露骨な目つきで夕雲のシルエットをなぞりあげてみると少女の膝の上で小さな指がきゅうと握られた。吐息が聞こえてくるようだった。夕雲は私のベッドに小さく座り、上目遣いでこちらを見つめている。白いワンピースの裾から伸びる太ももがどこまでも艶めかしい。
「ところで……提督? 隣、来てください。せっかく一緒に居るんですから、離れてるのは……その、寂しいです」
誘われるまま隣に腰を下ろすと、私の体重でベッドが軋んで、2つの身体が触れ合った。想像以上に柔らかく、甘い匂いがふわりと漂ってくる。
「あ……」
肩口に、夕雲の顔があった。大きな瞳が潤んでいる。
まだだ。動かない。けして動いてはならない。指一本でも自分から触れにいってしまったらそのまま貪りついてしまいそうだった。自分がこんなに節操のない人間だとは知らなかった。一回りも下の少女の仕草にいちいち反応させられてしまう。
「あの、提督……私、その……一応、覚悟、してきたんですよ……?」
自室に入る前は自制を誓っていたというのにたった数分間で引き返せないところまで来ていた。すべて夕雲のせいだった。男を滾らせるような言葉を繰り返す少女にその愚かしさを教えこんでやりたい。
今、自分はどんな顔をしているか。知ったことではなかった。
どうやって食べてやろうか、それだけが思考を染めている。
「あの……デ、デート。ありがとう、ございました。来てもらえて、嬉しかったです。その、二人でお出かけしたいって思っていたので……勇気をだしてここまで来れて、良かった……です」
理由などどうでもよかったし、後のことなど考えられない。
彼女を抱く、それだけが決定事項であり、世界の全てだった。
「夕雲」
片手を伸ばして電灯から伸びた紐を引く。部屋の灯りが消えると少女が息を呑むのが分かった。座ったまま細い肩を抱き寄せて、耳元で囁いた。
「大丈夫」
ぴくりと震えた。
「大丈夫」
ゆっくりと髪を撫でつける。何度も何度も。それ以上はまだ何もしない。肩の力が抜けるまで繰り返す。暗闇のなかで縮こまる乙女を慈しみながら、一欠片の理性に耳を傾けた。丹念に愛してやれば本当の意味で彼女を手に入れることができるかもしれない。
「ん……」
指先を伝わせるようにして肩から首へ、頬と撫でていく。信じられないほどの柔らかさに他の場所にも触れたくなるが、まだ早い。ゆっくりとゆっくりと解きほぐし、安心が行き渡ってから次へと進む。
細く白い首筋に顔を寄せ、舌をちろりと這わすと濃密な味がした。今まで何年間も一緒に居たのに知らなかった味、そして若い女性特有の甘い匂い。その源泉を直に味わっていると思うとどうしようもなく興奮を催した。
「てい、とく」
肌を舐めあげる私の舌から離れるように身をよじったが逃がしてやれるわけがない。いっそう強く抱き留めながら顎のラインをなぞりあげ、頬に辿り着くと形の良い薄桃色の唇が映った。
吐息が絡みつくと、夕雲の身体が震えた。私の意図に気付いたのだ。肉食獣の心地で見つめていると、彼女は目を瞑って頷いた。むしゃぶりついてしまいたい気持ちを必死に抑え、ついばむようなキスをする。腕の中の身体はぴくりと震え、数度繰り返すたびにまた震えた。
「ん、ふ」
心のドアのカギを一つずつ開けていくように、じっくりと手順を踏んで解きほぐしていく。舐めて、吸いつき、やがて僅かに開いた唇の隙間に侵入する。ぬらぬらとした感触を楽しみつつ唾液を啜り、奥で縮こまっていた小さな舌を捕まえた。その頃には少女の身体はすっかり脱力し、新しい愛撫を始めても身を任せるようになっていた。
「ぷは、ふ、あ」
唇を離すと唾液の橋が妖しく光っていた。
潤んだ瞳と見つめ合っていると男としての達成感が生まれてくる。今、自分はこんなにも若い娘を悦ばせている。それもおそらくは自慰もよく知らないような処女を。
「キスは初めてだった?」
「は、い……」
不躾と知りつつ聞いてしまった。だがその甲斐はあった。もっと気持ちよくさせてやりたい、夢中にさせてみたいという征服欲が膨らんでいく。
ガラス細工を扱うように慎重に、夕雲の華奢な両手首をシーツの上に縫い止める。
覆いかぶさって見下ろすとまるでピン留めにされた蝶のよう。仰向けの矮躯を上から押さえつけられた乙女は視界を埋め尽くす私だけを呆然と眺めている。
そうだ。私が初めての男になる。
もはやどうあろうと逃がさない。
私の思考もまた凶暴な雄の獣欲に塗り潰されていた。
大切に扱いたいという気持ちと本能のままに汚してしまいたいという気持ちがせめぎ合っていた。自分本位の嵐が吹き荒れて脳が焼けている。信じられないほどの上玉を前にかろうじて理性を保てた理由は夕雲への情愛が優ったからではなかった。たった一晩で食い散らかしてしまうには惜しすぎる。
彼女が欲しい。
長い人生の果てまでも自分のものにしてしまいたい。
形の良い耳朶に触れると小さく声が漏れた。歪な輪郭に指の腹を沿わせながら柔らかな耳たぶとこりこりした耳の根本部分を揉んでいく。潤んだままの瞳が私を見つめ、恭順を示していた。もう片方の腕を背中に潜りこませると背中を浮かせてファスナーを下ろすのを手伝ってくれる。
仰向けの身体からワンピースを脱がせていくと白い裸身があらわになった。
均整のとれた身体のラインに僅かにたわむ肉付きが、もう充分に雄を受け止められる身体であることを主張している。殊更目を引くのはつんと上向く形の良い胸の膨らみで、
「……っ、ぁ」
思わず手が伸びて、そっと掠めるような淡さで弾力を確かめた。背丈のわりに豊かに育った果実は充分に食いでがあるうえに成長の余地も感じさせられる。収穫のタイミングに立ち会えたのは奇跡としか言いようがない。
自身のシャツを脱ぎ捨てて、痛いほど膨張する逸物をズボンから取り出すと、夕雲の肢体が緊張に包まれる。滑らかで張りのある太ももを撫でながら覆いかぶさって耳元で囁いた。
「大丈夫だ」
暗示でもかけるつもりで繰り返した。抱きしめて少女の体温を全身で感じながら、小ぶりな尻、引き締まったウエストをあやすつもりで撫でていく。緊張をほぐすためだったが手触りのよさにいつまでも撫でていたくなってしまう。
ふぅ、ふぅと熱い息遣いが聞こえた。私の手の感触に身を委ね、感じ始めている。
不意打ちで唇を重ねた。今度はいきなり口内に舌を挿し入れたが、夕雲は積極的に応じてきた。順応力に感心しつつ、こちらもより情熱的に舌を絡ませる。
ぴちゃ、ぬりゅ、と小さな水音と、漏れる吐息だけが室内に響いた。
「ん、んふぅ」
舌遊びに熱中している夕雲の背中を強く掻き抱き、尻を撫でていた手をこっそり動かしていく。鼠径部から下腹部、秘所に到達すると、さすがに気付いたのか、閉じられた目が大きく見開かれた。けれどそれも一瞬で、すぐに潤んだ瞳で見つめ返してくる。
そのまま夕雲の秘所に指を滑らせた。柔らかな隙間から熱いぬめりが漏れていた。指先にからめて閉じられた割れ目をこすりあげていくと、指が小さな突起に触れ、夕雲の身体が固まった。クリトリスだ。
「んっ、んん」
唇を離す。安心させるように彼女の頭を撫でながら、反対の腕で割れ目への刺激を続けた。
「はっ……んんっ」
それは快楽半分、未知への戸惑い半分といった声だった。いくら覚悟を決めてきたとはいえ怖くないはずがない。誰にも触らせたことのない場所を男にいいようにされているのだ。もしかすると後悔でもしているのかもしれない。
「う、んんっ……」
だとしても止めることなどできない。すでに怒張ははちきれんばかりになっていて、夕雲の太ももに先走りを擦りつけている。かろうじて残った理性でできることはせめて彼女が少しでも快感を得られるように愛撫の加減を調整することだけだ。
「夕雲、怖いか」
「いえ、んっ……だいじょう、ぶ、です」
「いいか……隠し事はしない、感じたことを素直に口にする。それが気持ちよくなるための作法だ。大丈夫、どんなことを言っても嫌われたりしない」
「はぁっ、は、あ」
「可愛いキミも見ていたいが、他の全部も見てみたい」
「ほんと、ですか……?」
さらさらした髪を撫でつけて応えると、夕雲は仰向けのままおずおずと両腕を開いた。
「き、キスを……してほしいです。さっきみたいに、優しく、たくさん」
たまらず唇を押しつけた。愛撫を続けながら口づけに没頭する。口蓋や頬の裏側まで舌を伸ばし、唾液を流しこみながら、少女の両脚の間に身体を割りこませる。
指先のぬめりは充分だった。
片手で己の分身を握り締めると、そっと夕雲の入り口に押し当てた。彼女もいよいよ本番なのだと理解したのか、両手でぎゅっと抱きついてきた。
そして、一息に腰を突き出した。
「……っ!」
瞬間、夕雲の目が大きく見開かれ、そしてすぐに強くつむられた。
よく濡れていたからか思っていたほどの抵抗はなく、しかし隙間なく握りしめるような締め付けを少女の膣は持っていた。未踏の狭さが私の肉棒を締めあげる。これが処女の味かと感慨に浸った。
夕雲の小さな頭を抱え、もう片方の指を彼女のそれと絡ませた。一本ずつ交差させ、いわゆる恋人繋ぎの形にする。喘ぎとも苦しみともつかない吐息を繰り返す夕雲を見ると、一筋の涙が零れていた。
「大丈夫か」
「……そ、想像してたより、痛くはないです」
「良かった。今は怖いか?」
「さっき、までは。今はもう、平気、です。いえ、不思議な、感じ……」
「それでいい」
正直に言えたご褒美といわんばかりに髪を梳いてやると、夕雲はとろりと表情を崩した。
火照っている頬は、与えられているのが苦痛だけではないのだと伝えてくれる。
息を荒げている少女と動かずに見つめ合っているのは、破瓜をいたわる気持ちが半分、そうしていないとすぐに昇りつめてしまいかねないという男の都合が半分。涙をぬぐってやりながら芸術品のような裸体を眺めていると、「あ、あの」と彼女から声をかけてきた。
「少し、落ち着いてきました……。きっと、もう、大丈夫……。提督は、どうですか? 私の、なか、気持ちいですか?」
「ああ、とても」
「ふふ」
額にうっすらと汗を浮かべながら微笑んだ。
「ナ・マ・で、挿れちゃいましたね」
思わずドキリとさせられる。
「私のおなか、熱いです……。ずっと、期待していましたから。提督とこうなりたいって、思っていました」
「そうだったのか……」
「提督は、どうですか? 私のこと、その、どう思われていますか……?」
「……」
これが一夜限りの逢瀬なら。
奥底に潜めた気持ちなど絶対に口にしない。寄りかかってしまえば昼の日常・人間関係に支障がでてしまう。
しかし本音を曝け出せと先に言いだしたのは自分のほうであり、何よりも一夜で終わらせたくないと願ってしまっていた。だからかもしれない。
「私もずっとキミが欲しかった」
するりと言えてしまった。
「いい女だ。何もかも。ただ若すぎることだけが私を押し留めていたのに、キミはどんどん成長していく。より美しく、より完璧になっていくんだ。それでもキミが私をただの上司として見ていれば自制できたのに……」
絡めた指に力をこめる。
「気付かないようにしてたんだ。なのに、キミは……。キミは恋を夢見る程度の気持ちかもしれないが、私は、」
その時、夕雲はぐいと私を引き寄せて、初めて自分からキスをした。
「いいですよ」
全てを受け入れるような、いっそ母性めいた笑みを曝け出す。
「私をあなたの女にしてください」
「キミは……っ!」
淫靡に蠢く唇にむしゃぶりつき、腰を力強く動かした。誰も味わったことのない膣肉を私自身である肉棒で荒らしていく。少女が「ううっ」と呻きをあげようが止める気はなかった。男の醜い独占欲をそのままぶつけて私専用の形にするために開拓していく。
「ああっ……だめ……っ」
絡めた指をベッドに押しつけて抵抗は無意味と教えこむ。女は男に勝てないと、お前は私の意のままだとじっくりと刷りこんでいく。
「んっ、ふぅ……ふぁっ」
苦痛と艶が入り混じった声。私が押し広げるたびに夕雲は鳴いていた。痛みと被虐、そして快楽、ついさっきまで処女だった女が浮かべるそれら混濁した表情がいやがおうにも興奮を掻きたてる。
何度もストロークを重ねていると夕雲の脚が私の腰に絡みついてきた。蕩けた顔つきで、はしたなくもよだれを零し、一度唾を飲みこんでから喘ぎを止めた。
「す……き……」
余裕なく呼吸を荒げながら縋りつくような声を絞りだす。
「好き……好き……好きなんです……」
頭がおかしくなりそうだった。いっそ首を締めたくなるほどの前後不覚の劣情が膨れあがり、背筋を伝って頭蓋を焼きつくす。びくりと震える少女の肢体を容赦なく貫いた。
不意の締めつけに思わず睾丸が持ち上がる。自身の限界を悟った。
これ以上はまずい――
ひくひくと蠢く淫肉から脱け出そうと腰を持ち上げたが叶わない。夕雲の両脚がしがみついている。更に、
「お願い、します……。提督、の、女にっ、してください……っ」
何もかもが真っ白に染められる。
自分の意志とは無関係に腰が最奥へと突き動かされ、先端から欲望の塊をぶちまけた。