夢。夢の中にいる――
ぴちゃ、ぬりゅ
ブラインドから夕陽が差し込む仮眠室。ベッドに腰をかけ、汗ばむ熱気にけだるさを覚えながら、少女の薄紅色の舌が男性器を這いまわる音を聞いていた。大きく広げた股ぐらの間で小さな頭がゆるゆると上下する。傾くたびに色艶のある長髪がさらさらと流れ落ちていった。
「ぷ、は……」
射精後の疲労感のまま足を投げ出しながらこれまでの経緯を思い出していた。
初期艦である夕雲に誘われてデートしたこと。
部屋に連れこんだこと。
欲望のままに一夜を過ごしたこと。
メイド服の恰好で手で奉仕させたこと。
そして今は、精液まみれの男性器を舐めさせていること――
お掃除フェラって言うんですよね――と、はにかんでから少女は舌を伸ばした。一度触れてしまえば動きは大胆になり、ねっとりと根本から先端まで舐めあげた。顔が上がった拍子に目が合うと媚びるように目元を細める。初めての口奉仕に抱くはずの嫌悪感をまったく見せていない。本来なら触れることさえ許されないうら若き乙女が自分を悦ばせるために尽力していると思うと総毛だつような征服感を覚えた。
「上手だ……」
絹のような髪を梳いてやる。夕雲は満足げに吐息を絡め、より積極的に舌を這わせていく。
「ん、ちゅ、っぱ」
水音が響く密室の天井をぼんやりと眺めながら私は一つの思考を巡らせていた。
この後はどうしてあげようか。
順序でいえばこのまま身体を重ねるべきだろう。手間をかけてメイド服を仕立てあげ、手と口で奉仕してくれた女に精いっぱい報いてやる。献身を褒め、喜びを伝え、たっぷりと可愛がる。
だがそんな最低限の誠意さえ背筋が震えるような背徳感にとろかされていた。
眼下を覗けば、股ぐらに美少女。
愛嬌のある垂れ目、その下には艶のある薄桃色の唇があって私の性器を淫靡に呑みこんでいる。くぷ、ごりゅ、と硬いものに形を変えさせられる水音が耳朶の奥に積み重なっていた。
背徳と常識のコントラストにくらくらさせられる。
「ん、んむっ、……んう」
少女の白い喉がこくりと動く。
ぷは、と唇を離し、端正な顔を寄せながら、すん、すん、と小さく鼻息を漏らした。
「おちんちん……また、むくって大きくなってます……」
小悪魔のように微笑んだ。
瞳をどろりと情欲に溶かしながら、たっぷりと間をおいてから囁いてくる。
「そうですよねぇ……。手コキで射精させられたばかりの、おちんちん。こぉんな丈の短いメイド服を着た、つい昨日まで処女だった女の子に、お口で丁寧にお掃除されちゃったら……興奮しちゃいますよね?」
幹を愛おしそうに舐めあげる。
「大丈夫ですよ、誘ったのは私のほうですから。任せてくれれば……慰めてさしあげます。ね、ご主人様?」
べろおり、と亀頭を舐められる。丸い形に沿ってぬらついた舌が往復する。れろれろと、時に早く、時にねちっこく。
「これ、も」
つい気になった。
「これも、雑誌に……書いて、あったのか?」
そうですよ、とメイド姿の夕雲は咥えながら頷いてみせる。一瞬ためらったがもう一つ聞いてみた。「練習もしたのか」と。夕雲は、素直に「はい」と答えた。
「男の人はみんなフェラチオが好きだって書いてありました。んちゅ、あむ……。どうして、好きなんでしょう……? はふぅ……舌がぬめぬめしているのがいい……? とろとろの舌で、こうやってぇ、」
張り詰めたエラにぴったりと押しつける。
「れぇろ、れろれろ……舐めまわされるのが、れろ、好きなんでしょうか」
「ふぅ、くっ」
「それともぉ」
ちゅっぱ、と音を立てる。
「こうやって、唇で扱かれるのが、お好きなんでしょうか」
震える肉棒の切っ先に口をつけ、色艶のある髪がふわりと前後する。先走りと唾液にまみれた竿がまんべんなく吸い上げられる。熱い肉の輪が性器を潜り抜けていく感触に、知らず吐息が漏れた。
「どちらも、いいさ。……けれど、それだけでは、ない」
上目遣い。行為を続けながら耳を傾けている。
「最もいいのは、気分だよ」
口での奉仕は、する側は快楽を得られない。にも関わらずしてくれるなら本物の好意があるに決まっている。男はそう信じる。
「従順さに、甘えたく、なるんだ。男は格好つけの、生き物だから」
ゆるゆると動き続ける小さな頭を優しく撫でて褒めてやる。
耳にかかった髪をかきあげてあげた。
「ふぅぅ……」
股下から立ち昇る快楽に身を委ねながら、考える。
嘘は言っていない。だが隠している本音もある。フェラチオを気持ちよく感じる本当の理由、それは男の汚れた肉棒を自身の快楽のためだけにしゃぶらせる身勝手さにある。その背徳感・征服感たるや、男の本懐とさえいえるかもしれない。
「ん、んぷ、っちゅ……はぁ……」
けれどそれぐらい言わずとも彼女は見通しているだろう。瞳には私が映っていた。快楽を送りこみながらポイントを探っている。どこが気持ちいいのか、何が心地よいのか。心の奥底まで覗きこもうとしている。
ちゅるりと悪戯っぽく唇を舐めあげた。
「本当は……違いますよね? 普段は真面目にお仕事の話をしたり、他の娘たちと楽しそうにお喋りしている、この小さなお口にぃ……」
れろり、れろれろと舌が這いまわる。
「がちがちになった自分のおちんちんをしゃぶらせるのが……」
ちゅぷ、ちゅちゅ……と啜りあげられる。
「悪いことをさせてるみたいで、興奮しちゃうんですよね?」
ぞくりと快感がこみ上げた。
裏筋を固い舌先でほじられて思わず腰が浮き上がる。確かめるように二度三度と突かれると抗いようもなく逸物が震えた。
好奇心旺盛な瞳が満足げに細められていく。
「弱点、見つけました」
べちょりと舌腹が押しつけられて集中的に円を描かれた。
「っふ、う、く……!」
腹筋に力が籠る。硬くなった太ももをさわさわと撫でまわされて、緩急差になすすべもなく翻弄される。少年のように呼吸を荒げ、恥じながらも断続的に声を漏らし続けた。陰嚢の中で精子が煮えたってくる。
「んふ。私のお口の中、犯したいですよね? じゅぽじゅぽって、お口の中の柔らかさ、感じたいですよね? 喉の奥まで苦しそうにおちんちんを咥える顔、見てみたいですよね……? ……いいですよ。してあげます。ちゃんと練習してきましたから」
根元の部分を恭しく両指で支えてみせる。
あ~ん、と大きく口を開け、鮮やかな紅色の口腔粘膜と滴る唾を見せつける。
口元のほくろが狂おしいほど艶めかしかった。
「わらひのお口、ご堪能くらさい、ご主人様……」
そして、ゆっくりとストロークが始まった。
「んちゅ、んちゅ」
じれったいほど単調なリズムを刻む。徐々に早まっていくスピードに期待感が高まっていく。ぬぷぬぷと呑みこまれ、絡みつく前に引き抜かれる。あの生き物のように蠢いていた舌の感触はどこだ。探して、腰を突き出した。しかし硬い歯に甘痛さを覚えるだけ。どこだ、どこにある。絹のように滑らかな髪ごと小さな頭を掴んで、固定して、引き寄せて、ぐりぐりと押しつけた。形のよい眉根に皺が寄る。苦悶の表情さえ美しい。
「ふうっ、ん、ふうっ」
きっと私しか知らない。咥えさせられ、被虐の悦びを浮かべる夕雲の表情など、世界中で私だけしか知らない!
肉棒を根本まで呑みこませ、裏筋を柔らかな舌で包みこませた。メイド服の少女は亀頭を喉奥で受け止めて苦しげに眉間に皺を寄せながらも口淫を続ける。いつの間にかメイドの頭は動いており、亀頭の先端まで引き抜いてから一気に喉の奥まで咥えこむ。繰り返すたびに可愛らしく鼻が鳴る。
少女は苦痛と艶の混じった声を漏らしながらもどこか楽しげだった。私からけして目を離さず、無言で意思を伝えてくる。はしたなくも男の性器を咥えこむ顔を見てほしい、代わりに快楽にとろけた貴方の顔を見せてほしいと。
股ぐらの間で私のメイドが頭を振る。従順に吸いついて
「っ、くあ……!」
射精。すぐさま竿ごと吸いだされ、性器の芯に火花が走る。異様な感覚に腰が痙攣し、口を半開きにして呻き声をあげていた。
「ふう、う、うぐ……!」
びゅぐびゅぐと女の喉奥に精液を撃ち出した。身を震わせながら、全てを呑ませるために力いっぱい頭を抑えつける。
びゅる、ぐびゅ、びゅっ……
「っは、はあっ! はっ……」
奥へ、更に奥へ。
少女の内側に吐き出す快楽に夢中になった。待ち望んだ放出。仄暗い達成感に震える。
その全てが少女の瞳に捉えられていた。取り繕う余力はない。荒ぶる呼吸を整えようとしていると、メイドは容赦なく最後の仕事にとりかかった。
ちゅう、ちゅうぅ、ちゅうううう
「……っ」
逃げようもなく子種が吸い出されていく。根元から尿道を通り抜けていく感覚にぞくぞくと背筋を震わせる。痺れるような酩酊感になすすべもなく呻き声をあげた。
ちゅぽんと口が離されて、間にかかった精液の糸がぬぐわれる。
「んあ……見えまふか、わらひの、お口のなか」
「ああ……」
白濁液がたっぷりと舌の上に乗せられている。
「すごい匂い……それに、にがい……」
じゅるると音をたてて啜りとる。口内で舌を蠢かせ、整った鼻梁を少しだけ歪ませながら小分けに呑みこんでいく。こくり、こくりと、白い喉が動いている様をぼんやりと眺めていた。
あ~ん、と再び大きく開けられた口内には鮮やかな紅色の口腔粘膜があるだけだ。
もう指先一つ動かしたくない。
四肢が鉛のように重く、口を開くのも億劫だった。
「かわいい」
メイドはどこか恍惚とした表情で笑いかけてくる。
「射精されるとき、頭をぎゅうって掴まれて、なんだか興奮しました。フェラチオって男の人が征服感を感じるんだと思ってましたけど、私のほうも征服感を感じられた気がします」
すうう、と臭気を吸いながら、柔らかくなった私自身へと舌を寄せていく。
「んちゅ……この人の快感は、私が握っているんだなって。ちゅぱ、私が射精させてあげるんだなって、はむ、思うと、ふふ、楽しかったです」
ゆったりと時間が流れている。
密室の天井をぼんやりと眺めながら私は奉仕するメイドの頭を撫で続けた。