※この作品はR-18です。

犯人は誰、呪霊、呪術師、それとも呪詛師   作:木桜 春雨

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狙われた錬金術師、迷ってはぐれたパンダと彼女

 「パンダ君、これから」

 呼びかけても返事がない、木桜美夜は振り返って呆然とした。

 街外れなので周りに人はいない、自分一人がぽつんと立っているだけだ。

 パンダ君の姿が見えない、いつ、どこではぐれてしまったのか、しばらくの間、立ち尽くした。

 落ち着いて冷静になって深呼吸するのよと自分に言い聞かせた。 パンダ君のことだ、自分ではなくて反対に、あたしが、人間の美夜が迷子になったと思っているかもしれない。

 街中を歩いているとすれ違う人々の視線が恥ずかしくて、少し休みたいと思って人気のないところを探して歩き続けていた、その結果が、これだ。

 「だ、大丈夫よね」

 自分に言い聞かせるように呟く、だが、ここで冷静になった。

 パンダが一人、いや、一匹で歩いていたら掴まって動物園、いや、見世物、もしかしてペットにしようとどこかに連れて行かれてしまうかもしれない。

 頭の中に嫌な予感、悪いことばかりが浮かんでしまう。

 もし、パンダ君に何かあったら、校長の夜蛾がどんなに怒る、いや悲しむか。

 自分は呪術高専の用務員、そしてパンダ君は生徒だ、いわば生徒を守るべき立場の人間だ。

 捜そう、そして、この街から、いや、学校に戻らなければと屋持って元来た道を戻ることにした。

 

 

 「なんだ、あっけねぇ」

 地面に倒れ伏した男、いや、死体となった相手を見下ろした男、栗坂次郎は、にやりと笑った。

 錬金術というものが、どういうものかわからなかった、やりあってみてもし駄目なら一度目は退散しようとも考えていた。

 だが、オガミ婆から自分も援護、手助けするからと言われて逃げるのは最終手段だと考えた。

 背を向けるのは簡単だが、相手がどんな方法、手段を使うのかぎりぎりまで見極める必要があると思っていた。

 その結果、自分は勝った。

 

 「本当に殺したのか、錬金術師を」

 信じられないと自分を見る男、タッカーの顔は見物だ、目玉が飛び出るんじゃないかと、栗坂はにやりと笑った。

 「新聞とか、ニュースにならないのか」

 「わからない、軍が隠蔽するかもしれない」

 「軍、警察ってやつか、面倒だな」

 その言葉にタッカーの表情が固まった、自分の目の前にいる小男の言葉が一瞬、理解できなかったかったのだ、今、何て言った。

 聞き違いかと思ったが、尋ねようとする隙も与えず、栗坂は笑いながら背を向けた。

 「婆、ちょっと俺、出かけてくるぜ」

 

 ロイ・マスタングが怪我をした。

 現在の大統領、キング・ブラッドレイが引退することを発表したのは一ヶ月前だ、世間は大騒ぎになった。

 そこで、ロイ・マスタングが大統領選に出ることになった。

 その最中のことだ、しかも全身の大火傷ということで軍内部は大騒ぎになった。

 炎の錬金術師に、全身大火傷を負わせるなど、只者ではない。

 火傷は全身で常勤の医者達は困惑した、治療が難しく、自分たちの力では助けることはできないかもしれない。

 

 イシュヴァールで医者して働いてたティム・マルコーはセントラルの軍本部から呼び出しを受けて驚いた。

 何故、自分が呼ばれたのか分からなかった。

 

 「よく来てくれた、ドクター」

 自分を迎えてくれたのはブラッドレイだ、恐縮しながらも頭を下げようとすると制された、挨拶はいいというこか。

 案内された部屋に入ると、大佐だよと言われてマルコーは驚いた、顔、いや、全身が焼けただれている。

 治せるかねと言われて、すぐには返事ができなかったのは怪我の酷さに驚いたからだ。

 賢者の石があればと言われ、すぐに用意するとブラッドレイは頷いた、だが、それで治るかねと尋ねた。

 その言葉にマルコーは何故と問いかけるような表情になった。

 

 石があれば大丈夫だと思っていた。

 だが、皮膚の再生もままならない結果にブラッドレイは驚く様子もなく納得したように小さな呟きと溜息を漏らした。

 そしてマルコーはといえば無言になった。

 「ドクター、がっかりすることはない、石は作用している、この状態、普通なら死んでいてもおかしくないのだ」

 自分は無力だ、石があれば大丈夫だと思っていたマルコーは返す言葉もなかった。

 

 今は生きている、だが、この状態がいつまで続くか分からない。

 部屋の中で考えこんでいても仕方がないとマルコーは外へ出た、気分を変えるためだ。

 人混みを抜けて屋台でホットドッグと珈琲を買うと公園のベンチで食べることにした。

 昼はとっくに過ぎている、忙しくて食べるのが随分と遅くなったと思いながらほっとドックにかぶりつこうとしたとき、視線を感じた。

 顔を上げると目の前には大きな熊が立っていた。

 いや、熊ではない、黒と白の経路のクマに似た初めて見る生き物にマルコーは驚いた。

 合成人間、キメラなのか、軍はまだ、この開発を続けていたのだろうかと思った。

 成人男性並みの体格は大きい、だが、戦闘目的で造られたようには見えないと思ってしまった。

 変な例えだが、大きなぬいぐるみといってもいいと思った。

 このときマルコーは目の前の生き物の視線に気づいた、自分ではない、手に持っているホットドックを見ているのだ。

 腹が減っている、思わず差し出すと受け取るなりぺこりと頭を下げると口を開けると一口で食べて、いや、丸呑みしたのには驚いた。

 

 「あんた、軍人か」

 

 このとき不意に声をかけられた、少し離れたところから近づいてくる小柄な男の姿に気づいたマルコーは不思議そうな顔で相手を見た。

 初めて見る顔だからだ。

 

 「違うのか、それとも錬金術師ってやつか」

 

 まるで攻撃するような体勢を男がとろうとしたとき、マルコーの視界を遮るように白黒の生き物が前に立った。

 

 

 




 ロイ・マスタングは栗坂にこてんぱんに。
 ブラッドレイは引退したいようです、そして治療にマルコーが呼ばれました。
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