大丈夫です、治ってきています、痛みもなくなって、そう言われてマルコーはほっとした、だが、気になるのは目だ、右目だ、もしかしたら、このまま、失明の恐れもあるかもしれないと思った。
賢者の石なら、だが、それはやめておけとパンダに言われてしまった。
「やばいことになるかもしれないからな」
理由を聞くと自分も彼女も別の場所、世界から来たという、だから何かあった場合、どう対処出来るか予測不能というのだ。
木桜の傷は切られて突かれただけ、片目になるのはあれだが、両目を失うよりはいいだろうと言われてマルコーはクールだなと思った。
「俺はパンダだからな、それよより、あの男、丸焦げの大佐かあっちのほうが気の毒だぞ」
「賢者の石を使っても回復する様子がない」
当然だなとパンダと思った。
「呪いは術を解くか、術者を殺すかしないと駄目だ」
「そう、なのか」
何故、それを教えてくれないとマルコーはパンダを見た。
「正直、相手の術がどんなものかわからないと手を出しにくい」
それは助けてくれるということか、問いかけるようなマルコーの視線にパンダは無言だった。
「飯に泊めさせてもらって、世話になっているしな、それに木桜を今は動かしたくない」
確かにとマルコーは頷いた。
怪我のショックか、疲れのせいなのか、ベッドの彼女は口数も少なく、殆ど寝ている。
「ねぇっ、おじさん」
呼び止められたスカーは相手を見ると思わず周りを見回した、自分のことかと思ったのだ。
通りを歩いているのは女性、子供、あとは少年だ、この場合、おじさんというのは自分ということになる。
思わず自分で自分を指さすと娘は頷き、近づいてきた、驚いたのは自分と同じくらいの身長だ。
「呪いにやられそうになったでしょ」
側まで来ると娘は呟いた。
「それと美夜さんの血の匂い、ねぇっ、どこにいるの」
問いかける言葉、いや、声が、表情が険しくなった。
「や、やっと会えたーっ」
医務室に入って、ベッドで寝ている女性の姿を見るなり、セーラー服の女生徒は声を上げた。
「えっ、高田、ど、どうして」
名前を呼ばれて身体を起こした彼女に突進し、抱きついた。
(い、痛いっっ、傷が、腕があ)
「帳を卸して呪霊を、だけど難しくて、あたしが来たの」
何、それ、帳、呪霊。
「五条家のボンボンって、役に立つのか、立たないのかわからない、だけど反転術式の相性が良かったみたいで」
意味がわからない、ぽかんとすると。
「め、目、どうしたの」
このとき、彼女は目を隠している包帯を見て顔色を変えた。
「あっ、まあ、刺されて、こればっかりは」
「もしかして、これからずっと」
「お医者さんも人間、無理な事だってあるわよ」
一瞬、呆然としたような表情の抜け落ちた彼女だったが、抱きついていた腕を放すと、近くにいたマルコーに初めて気づいたようだ、白衣を着ているので医者だと分かったのだろう。
「治る、わよね」
「あっ、その、今、色々と」
はっきりしない返事に高田延子(たかだのぶこ)は不満を感じたのだろう。
「そうだ、代わりの目を入れたらいいのよ」
「代わりの目って」
いきなり何を言い出すのかと、不思議そうな顔をする彼女から離れるとドアに向かった。
「任せて、この後、握手会なの、時間がないわ」
ドアの閉まる音がして、部屋の何は静かになると、ベッドの上の彼女は部屋の中のマルコーを、そしてスカーに何か言いたげな視線を向けた。
久しぶりに更新、ちょっと悩みましたが、UPします。