野球部キャプテンの俺が菜食主義女子マネージャーに肉を食わせるまで 作:馬門戒明/輪島ライ
「キャプテン、保護者会の皆さんからスポーツドリンクです。全員分あるので1つずつ取って貰ってください」
「ああ分かった。ななこ、パシらせて申し訳ないがさっき伊藤が脚をくじいたみたいだから湿布も持ってきてくれないか?」
「分かりました! キャプテンと私の仲ですし何でも言いつけてくださいね」
うちの高校野球部の女子マネージャーである
今時はそもそも女子マネをやりたがる女子生徒も少ない中でななこは野球部のために献身的に働き、今度のバレンタインデーには部員全員に手作りチョコレートを持ってきてくれようとしているということも1年生部員からの噂で聞いていた。
そして、ななこが高校2年生にしてキャプテンを務める俺に惚れているということも日頃の付き合いの中で何となく分かってきていた。
「ああーななこたんやっぱりかわゆいなあー、あの子なら僕みたいなデカブツにも優しくしてくれそうなんだなあー」
「山田先輩、ななちゃんなら先輩でも絶対行けますって! 今度デートに誘ってみたらどうですか?」
「貴様ら貴重な女子マネ相手に何を考えとるかあー! 山田と坂本は部の秩序を乱そうとした罰として今から腕立て50回! 連帯責任で伊藤以外の全員も腕立て30回! さあやるぞやるぞ!!」
「ひえー、キャプテンがやるなら僕らもやらざるを得ないんだなあー」
俺の同級生でキャッチャーを務める山田がふざけた発言をしたので俺は自分も含めた選手のほぼ全員に腕立てを命じ、命令したからには100回はやってやろうと俺が高速で腕立てを始めると他の部員も慌ててそれに追従した。
「きゃっ、皆さんいきなり腕立てしてどうしたんですか? 私もやった方がいいですか?」
「ああ気にするな、ななこは真似しなくていいからそこでストレッチでもしておいてくれ!! いつもながらすまん!!」
「は、はい……。でも皆さん、かっこいいです……」
部室から湿布を持ってきたななこは恍惚としてそう言ったが、その目が俺しか見ていないことも分かっていた。
こういう間柄を続けてきて、俺もななこを彼女にしたいと思ったことがない訳ではない。
しかし……
「あのっ、キャプテン、今度の日曜日私と遊んで貰えませんか!? 大事な話もあるので……」
「そうか、俺もななことなら遊びに行きたい。今度の日曜っていうと5日かな?」
ある日の練習後、ななこに部室裏に呼び出された俺はついに来たかと思いながらななこの決死の言葉を聞いていた。
この日がいずれ来ることは分かっていたし、俺もそうなった時の心づもりはしていた。
「そうです。私キャプテンが行きたい所が分からないので、お任せする形になるんですけど……」
「それも全然構わないよ。ただ、その日は昼まで実家の手伝いがあって会えるのは夕方からになる。いつ抜けられるかも分からないからとりあえず15時に俺の実家の倉庫まで来て貰っていいかな? 店の裏だからすぐ分かると思う」
「ああ、ご実家のお店の倉庫ですね。分かりました、当日は付いたらラインで連絡します。それではよろしくお願いします!」
ななこはデートの約束を取り付けると恥ずかしそうに早足で去っていき、小柄な背丈にDカップのボディラインはいつにも増して魅力的に見えた。
だが、それでも俺は今の状態ではななこの恋人になることはできないと分かっていた。
というのは……