ギャラクシー・ジャーニー 宇宙騎士キタリヴァン 作:馬門戒明/輪島ライ
「ヒャハハハハハ!! 死ねっ、死ねぇ!! お前はこの要塞で俺に道連れにされるんだよぉ!!」
「そうはさせん、宇宙騎士の使命はいつでも笑顔で家に帰ることだ。なればっ!!」
所々で爆煙が吹き上がる宇宙要塞の最奥部で、コンバットスーツを装着したジャニィさんは宿敵のヒューマロイドと最後の戦いを繰り広げていた。
流体金属の身体を鋭く変形させてコンバットスーツを突き刺そうとする違法改造ヒューマロイド「デバステイター」の攻撃を回避しつつ、宇宙騎士キタリヴァンとなったジャニィさんは光の刃で流体金属と斬り結ぶ。
「子供たちは全員救出しました。ナタリアさん、僕があと30分以内に戻らなかったらカイゼルフォンで離陸してください」
「承知致しました。どうかご武運を」
銀色の繭に保護した子供たち全員をカイゼルフォンの船内にいるナタリアさんに手渡すと、僕はガードスーツを身にまとったままジャニィさんの加勢に向かった。
星間犯罪シンジケートの本拠地である宇宙要塞で改造を施されたデバステイターの前にはジャニィさんに勝ち目がないことは既に分かっていた。
「お前はなぁ、俺たち犯罪者を殺してきたけど俺たちと同類なんだよ!! 何がジャニィズナイツだぁ? 奴隷商人から助けた子供を性奴隷にしてりゃ世話はねえよなぁ!!」
「好きなだけ言うがいい、俺は自分が地獄に行くと分かっている!! だからお前を道連れにするっ!!」
キタリヴァンが左手から放った光線は流体金属の前に阻まれ、コンバットスーツは圧縮された流体金属の一撃で吹き飛ばされる。
ジャニィさんが全身を宇宙要塞の壁面に打ち付けたその時、僕は戦いの場に到着した。
「ジャニィさん、今助けます! このヒートネイルを使えば……」
「そんなリーチの短い爪で俺を斬り裂けるかよぉ!! 死ねえっ!!」
流体金属を射出してガードスーツを爆破しようとするデバステイターに、僕は降りかかる流体金属を回避しつつ迫った。
そして数万度の高温に加熱されたシルバーネイルを奴の喉元に突き立て、デバステイターの頭部と胴体を切り離す。
「うがあっ!! やるなぁお前、だがこれで2対2だなぁっ!?」
「リューク!!」
相手を斬首できて気が緩んでいた僕に、デバステイターは切り離された頭から流体金属を射出した。
コンバットスーツのジャニィさんは全身で僕とデバステイターの間に割って入り、流体金属はコンバットスーツに激突した直後に爆発する。
「ジャニィさんっ!? お前、許さないからっ!!」
怒りに身を任せた僕は再びシルバーネイルを数万度に加熱し、既に半分しか残っていないデバステイターの頭部を焼き尽くした。
そしてその瞬間、コンバットスーツはジャニィさんの身体から自動的に解除された。
「これは……?」
「キタ族のコンバットスーツがお前を選んだんだ。さあ、怒りに身を任せて悪を討て。それが、お前に託された……」
「何を言ってやがんだぁっ!? あ、あ、ぐああああぁぁぁ……」
コンバットスーツを装着し、宇宙騎士キタリヴァンを継承した僕は無言で右手を振りかざした。
ヒートネイルを凌駕する高温の光の刃はデバステイターの胴体を包み込み、その瞬間にデバステイターは流体金属を焼き尽くされて息絶えた。
「そうだ、それでいい。今日からはお前が宇宙騎士キタリヴァンとなって子供たちを救うんだ。それでこそ、俺は……」
「ジャニィさんっ!! そんな、僕を一人にしないでください!! 今からカイゼルフォンに戻って、また皆で家族として……」
「いいんだ、俺はお前とナタリアと暮らせて幸せだった。これからはお前が家族を作って、子供たちに幸せな家庭の姿を教えてやってくれ。頼んだぞ」
「ジャニィさん……」
ナタリアさんの予言通り、ジャニィさんはデバステイターとの激戦でわずかな力を使い果たした。
滅びゆく宇宙要塞で息絶えたジャニィさんの亡骸を優しく抱いて、僕はコンバットスーツを身にまとったままカイゼルフォンへと帰還した。