ギャラクシー・ジャーニー 宇宙騎士キタリヴァン 作:馬門戒明/輪島ライ
「おとうさんはナタリアさんとけっこんしてるの? それともつきあってるだけなの?」
「僕はナタリアさんの家族だけど結婚してないし付き合ってもないよ。僕には好きな人がいるから」
「へー、それってどんなひと? ええー、これおとこのひとだよね?」
「そうだよ、この人はジャニィさんっていう名前で僕が世界で一番好きな人。今はもうこの世にいないけど、僕はジャニィさんの恋人なんだよ」
「そうなんだー、でもおとうさんがすきなひとならぜったいすてきなひとだよね! わたしもあってみたいなぁ~」
カイゼルフォンの船内でくつろいでいる娘の一人と、僕は笑顔で話していた。
宇宙騎士キタリヴァンの新たな仕事は身寄りのない少女たちのための養育施設を経営することで、施設の少女たちは書類上僕の娘ということになっている。
「おとうさんはわたしたちのなかでだれがいちばんすき? わたしのことがいちばんすき?」
「僕は娘の中で君のことが一番好きだし、他の子のことも一番好きだよ。家族っていうのはそういうものなんだよ」
「そうなのー? よくわかんないけど、わたしはおとうさんのことがせかいでいちばんすき! しょうらいはおとうさんとけっこんする!!」
「ははははは、そう言ってくれて嬉しいけど僕は君に素敵な恋人さんと結婚して欲しいと思うよ。それがお父さんの理想だから」
少女たちに愛情という概念の尊さについて教えようと日々努力している僕だが、今になっても僕は恋愛と愛情との区別がついていないのかも知れない。
ジャニィさんが僕に抱いていたのは恋愛なのか単なる愛情なのか、それともその両方だったのか。
「マスター、新たなお仕事が入りました。カイゼルフォンは戦場に向かいますから、この子は施設に送ります」
「ええー、もうちょっとナタリアさんといっしょにいたかったのにー。しばらくあえないならいっしょにおふろはいろーよ!」
「もちろん構いませんよ。私たちは家族ですからね」
少女を連れて浴場に向かったナタリアさんを見送りながら、僕はジャニィさんが写った写真立てに目をやった。
ようやく人間族の成人男性と同じような肉体年齢に達した僕は、まだジャニィさんのような勇ましい大人の男性には程遠い。
だけど、心でだけはジャニィさんと同じ勇ましさを持つことができる。
僕が銀河を旅して子供たちを救っていく限り、僕の魂はいつでもジャニィさんのもとにある。
そう考えていられさえすれば、僕は宇宙騎士キタリヴァンとして生きていくことができるのだから。
(完)