魔導具師ダリヤはうつむくしかない… 作:リモバイ
魔ダリ界隈が賑わってほしいから皆も書いてほしいな。
中堅規模のネイトリー商会というNo.2。
ヴォルフが緑の塔に入り浸っていることを知り、復讐のためダリヤを利用する計画をたてる。
ダリヤについている護衛たちのガードが堅く、なかなか接触出来なかったが偶然を装い手紙を渡すことに成功。
手紙にはヴォルフへの恨みと理由、自分は破滅するが必ずヴォルフを道連れにする策を持っていること、誰かに話した時点で実行すること、ダリヤの態度によっては考え直す、と書いており、もしこの誘いに乗るのならネイトリー商会へ取引の連絡をして欲しいと書き添えた。
ダリヤは手紙を見て悩むが、誰にも相談せずに一晩考え、一睡もせぬまま朝を迎え、ネイトリー商会へ手紙を書く。
手紙を出した次の日、ロセッティ商会へトラセーが来館し、ダリヤが対応すると言い、2人だけで商談室へ入る。
ダリヤに盗聴防止をかけてもらい、手紙についての話をするトラセー。
一通りヴォルフへの恨みを語り、ダリヤの反論を跳ね除け、熱くなる演技をし、ダリヤから冷静さを奪い、本題に入る。
ヴォルフへ復讐をするのは決まっている。
だが、出来るのであれば自分も破滅はしたくない。
そこでダリヤにヴォルフへの復讐の対象になってもらい、間接的な復讐として矛を収める。
ダリヤに何をするのかはこれを受け入れてから教える。
受け入れられないのであれば、自身が破滅しようがヴォルフへの復讐を明日にでも始めると宣言。
トラセーはダリヤに冷静さが戻らぬよう、語り続け、焦らせ、目で威圧し、決断を促す。
ダリヤはうつむき。
悩み。
諦め。
受け入れた。
そうしてトラセーは頷き、ダリヤへ、命令する。
「では服を脱いでください」
「…え」
「脱ぐのですよ、服を。 今ここで」
「そ、それは…っ!」
「貴女は先ほど、受け入れると言いました。 違うのですか?」
「………」
「違うのならば構いません。 商談はここまでということで、ヴォルフへの―」
「……した」
「聞こえませんな。 もう一度お願いします。」
「わかり、ました…っ」
「よろしい。 では脱いでもらいましょうか。 ああ、下着も全てお願いしますよ」
「………はい」
ダリヤは。
うつむいた。
力なく立ち上がり、脱いでいく。
腰のベルトを外す。
上着を脱ぐ。
無感情に。
ソファーに置かれる服が増えていく。
いつもの仕事場。
そんな場所で。
下着姿。
動きが止まる。
ダリヤはうつむいた顔をあげ、トラセーを見て、悟り、諦め…。
再度うつむき、背中に手をまわした。
「ほぉ…」
「っ!」
「綺麗な身体ですね。 ああ、身体は隠さないでください。 手は後ろに、顔は…そのままでいいでしょう」
「は、い…っ」
ダリヤはうつむいたまま、トラセーに裸身を晒す。
手を後ろにしたことで、自然と胸を張るような姿勢になったことに気付き。
トラセーに対し、乳房をアピールするような自身の姿に改めて羞恥を抱き。
それによって生じた自身の身体への変化に、気付くことが出来なかった。
「では、その姿のままこちらの契約書にサインをして貰いましょうか」
「けい、やくしょ…?」
「ええ。 私たちは商人ですからね。 こういうのはキチンと契約をしておきましょう」
「……まだ、聞いていません」
「何をですか?」
「契約の…、内容です。 私も商人です。 契約の内容を把握せずにサインなんて」
「では受け入れないと?」
「…っ! それとこれとは話が違います! ……せめて、何をされるか、……だけでも」
「ふむ……。 まあいいでしょう。 では掻い摘んで伝えましょうかね」
「…ありがとう、ございます」
・ダリヤがこの契約を誰かに漏らした時点で本契約は破棄される。
・トラセーはダリヤが契約を守る限り、ヴォルフには関与しないよう努力する。
・ダリヤはトラセーの要求を可能な限り実行する。
・トラセーはダリヤの事情にある程度配慮し、事が露見しないよう努力する。
「とりあえずはこんなところですね。 あと1つありますが、まあ後で良いでしょう。 何か質問は?」
「…可能な限り、ですか」
「ええ。 『貴族からの呼び出しを断れ』『魔導具の権利をよこせ』『誰かを殺せ』などといった無理は跳ね除けて構いません」
「……」
「ですが。 『密室で裸になれ』のような、事が露見しない程度の要求には従ってもらいますよ」
「…っ! そ、それは…」
「ええ、もちろん、性奉仕も含めてですね」
「…!!」
「例えば『私のチンポを舐めて射精させろ』などですかね」
「ひっ…!?」
「はは、何を怖気づいているのです? これから何度もセックスをしてもらうのですよ? この程度のことで」
「……お、おねがい、します」
「なにをですかな?」
「お願いします…。 ゆるし、ゆるして…ください」
「おやおや…」
「それだけは…、それだけ…はっ」
うつむいたダリヤの目から涙がどんどん溢れ出る。
『どうしてこんなことになったのだろう』
『私はここで…』
『それならいっそ…!』
そんな考えが頭に浮かび、抵抗の意思を見せようとしたダリヤに、先手を打つようにトラセーがその言葉に応えた。
「構いませんよ」
「…ぇ」
「セックスだけはしたくないのでしたらそれでも良いと言いました」
「ほ、ほんとぅ…ですか?」
「ええ。 まあ、これが先ほど言った後1つの件ですね」
「…?」
「ダリヤさんがセックスを許可しないのなら、この契約は1年で完遂します」
「いち…ねん」
「ダリヤさんがセックスを許可するのなら、この契約は計10日で完遂します」
「とおか……」
「これはダリヤさんに決めてもらいます。 ほら。 契約書のここ、空いているでしょう? ここにダリヤさん本人に書き入れて頂き、サインをしてもらって、契約締結となります」
「私…が……」
「ええ。 貴女が決めるのです。 セックスをしても良いのか、嫌なのか。 1年間私の要求を受け入れ続けるか、10日で終わらせるのか。 貴女が決めるのです」
「………」
ダリヤはうつむいたまま契約書を見て、ペンを見て、また契約書を見た。
そうするとダリヤの脳裏にヴォルフの顔が浮かんできてしまう。
『ヴォルフが…』
『死ぬ』
『死なないまでも社会的、貴族的に死しんでしまう』
『魔物討伐部隊にもいられなくなる』
『ヴォルフが…』
『塔にも、来られなくなる……』
『それ、だけは…』
『私は……』
「ほう。 セックスはダメですか。 分かりました、良いでしょう。」
『それだけは、嫌だった』
そう決意し、ダリヤは契約書にその一文を書き記した。
勝手に、自然に、震えてしまう手を抑えながら。
字がブレることが無いように、ちゃんと読めるように。
こんな文言を、何度も書き直すことが無いように。
―――セックスを許可しない代わりに契約の完遂を1年間と定める。
『胸が痛い』
『身体が熱い』
『視界がぼやける』
『ヴォルフ』
『……ヴォルフ』
―――契約者:ダリヤ・ロセッティ
『助けて』
「ええ。 これで契約は結ばれました。 もう服を着ていいですよ、''ダリヤ''」
「………は、い」
「これで、私は契約が破棄されない限り、ヴォルフへ何も出来なくなりました。 ですが、事が露見し、契約が破棄された時点で私は動きます。 必ずヴォルフを破滅させます」
「……しません」
「ええ、ええ。 そう願っておりますよ。 いえ、もしかすると私は、貴女が1年も経たない内に契約を破棄してくれることをこそ願っているのかもしれませんね」
「…っ! しません! 契約は完遂させます! あなたにヴォルフは害させませんっ!!」
「……そうですか。 では、近日中で構いませんのでネイトリー商会にお越しください。 1時間ほどで済む商談にしますのでそのつもりでお願いしますよ」
「わかって、ます。 必ず、伺います、から…」
「よろしい。 では商談はここまでとしましょう。 ああ、身だしなみはしっかりとしておいてください。 外の従業員に勘繰られますのでね」
「…っ!」
「それと、涙で腫れた目をそのままにするのも危険ですからね、こちらのポーションを使ってもらいましょう」
「ぁ……。 ありがとう、ございます」
「いえいえ。 私たちは共犯ですからね。 互いに、事が露見せぬよう、努力いたしましょう」
「………はい」
3日後、ネイトリー商会。
商談室に通された私は、トラセーさんが来るのを待っていた。
自分でも分かるほど顔がこわばっているのが分かる。
うつむいたまま、虚勢を張るために顔をあげることすら出来ていない。
『何をされるのか分からない』
『いいや、分かっている』
『怖い』
『おぞましい』
『怖い』
『怖い』
『怖い』
『私は…』
そんな考えがぐるぐると頭を回るせいで、全くと言っていいほど緊張が解けない。
そうしているうちに、『ガチャリ』と音がして、トラセーさんが部屋へと入ってきてしまった。
『………ノックも、する必要がないということですか』
そんな、ふいに浮かんだ反発心のおかげでうつむいていた顔をあげてトラセーさんへと目を向けることが出来た。
「すみません。 お待たせしてしまいましたね、ロセッティさん」
「……いえ」
「ああ、君。 ロセッティさんには紅茶を」
「かしこまりました」
「それを淹れたら退出してください。 この商談はしくじれませんので、干渉はしないように。 …ああ、見送りも私が行うのでこちらに構わないように」
「かしこまりました。 では、これで失礼いたします」
そうメイドの方が応え、出ていったことで。
…二人きりに、なった。
『……これで、もう』
「では''ダリヤ''。 服を脱ぎなさい」
「…………はい」
『…分かっていた』
『分かっていたから』
『大丈夫だから』
『全部、分かって…』
『ここに……』
「ああ、服はシワにならないようにそちらに掛けておくといいでしょう」
『一度、見せている、から』
『見られてるから』
『大丈夫だから』
『これくらい』
『私は…』
「脱ぎ、ました……」
手は後ろに組んだまま。
改めて、男の人に裸身を晒した。
せめて、虚勢だけでも張りたかった、のに。
現実では胸を張ることすら出来ない。
顔は見られないように横を向いた状態でうつむいたまま、動かない。
裸になっているのに、顔も、身体も、熱くて。
……見られ、て。
「よろしい。 では隣の部屋へ行きましょうか。 着いてきなさい」
「…はい」
トラセーさんが歩き出す。
着いていかなければならない。
うつむいた顔を上げる。
ぼやけた視界には、歩を進めるトラセーさんと、向こうに見えるドアと、先ほど脱いだ、私の、服。
服を着たままのトラセーさんと、何も身に着けていない、私。
そんな異常な状況に、じわりと涙があふれてきた。
眼鏡を外して、ハンカチの代わりに手で涙を拭って、歩き出す。
トラセーさんに着いていかないといかないからと、無理矢理、足を動かした。
開いたままのドアを、くぐる。
……ベッド。
『…ベッド?』
ドアの閉まる音。
『どうして?』
『どうしてベッドが…?』
「ではそこに仰向けで横になりなさい」
「…っ。 セ、セ…」
声が出ない。
出せない。
しゃくり上げたような声にもならない声。
『嫌だ』
『それは、嫌…っ』
『しないって、契約、だった、のに』
「…ああ。 大丈夫、セックスはしません。 契約は守ります。 ですから安心して横になってください」
「!!! ほ、ほん、とぅ……に?」
「ええ。 私からは絶対に契約を破りません。 さあダリヤ、分かったのならどうぞ横に。 時間は限られていますからね」
「……、………はい」
「では始めましょうか」
「ま、待ってください。 何を、するんですか? お、教えてください」
「おや、このベッドを見て分かりませんでしたか? マッサージですよ」
「ぇ…。 マ、マッサージ、ですか?」
「ええ。 もちろん、気持ちよくなる方の、ですがね」
「…っ!」
「ではオイルを塗っていきますよ。 動かないでくださいね」
「…、っま」
「待ちません」
「あっ!」
「では、オイルを塗っていきますよ」
「ああっ、嫌っ。 待って、待ってくださ、あっ」
胸を、触られる。
オイルを絡めてぬるぬるとした手で。
ただ、それだけなのに。
「ああ、やはり揉み甲斐のある大きさでしたね。 これは思った以上でしたよ」
「うぅ…んっ。 はぁ…、ぁ…ぁ…」
「そうそう、手はそのままですよ。 今日は胸だけのつもりですが、手で邪魔されると胸以外のところをマッサージしてしまうかもしれませんね」
「…っ! あっ、あんっ。 そん、な…っ! あっ、あっ」
「どうです? 乳首はやはり感じてしまいますか?」
「あんっ! やっ、あっ、ダメっ。 そ、こ…っ、いやぁっ!」
「さあ、たっぷり感じてもらいましょうか、ね」
「あっ、は…っ、ああ、んっ。 あぁ…、んぅ。 んっ…ふ、…んんっ」
「では、今日はここまでにしましょうか」
「はぁー…、はぁ…、は…ぁ。 んふ…、ん…」
「40分以上もかけて一度もイかせられなかったのは残念ですが…、まあ初回ですしこんなものでしょう」
「…………また」
「どうしました?」
「……また、するんですか」
「ええ、もちろん。 ダリヤが何度目で私にイキ顔を見せてくれるのか、楽しみですよ」
「………!」
「ああ、そうですね、先に言っておきましょうか。 私はダリヤが乳首でイクまでは胸しか触りません」
「…っ!」
「言い換えれば、ダリヤが胸でイってしまったら、下半身へのマッサージに移るということですね」
「そ…、それ、は…。 どういう…?」
「ダリヤもオナニーくらいはしたことがあるでしょう? セックスはせずとも、クリやオマンコで楽しむことは出来るのでね。 この程度のことは受け入れてもらいますよ」
「…………、……」
「まあ、ダリヤが胸でイかなければ進まない話です。 そうですね…、これも貴女次第ということです」
「……わかり、ました」
「では先日のように、身だしなみを整えたら終わりです。 次回も楽しみにしていますよ、ダリヤ」
「…………はい」
2度目の、ネイトリー商会。
トラセーは前回のマッサージでの手ごたえから、イかせるのではなくダリヤの胸性感を高めることを決めた。
ゆっくりと、回数を重ね、乳首だけでイけるように、胸を揉まれるだけで発情するようにと。
そのために、ダリヤの絶頂が近くなれば乳首を弄ることを止め、胸の愛撫に留め、それでも絶頂が近くなればオイルの調合のためと言って離れるといったように、寸止めを繰り返すようにする。
これにより、ダリヤの快楽地獄が決定する。
トラセーは3度目や4度目でイかせるつもりはなく、今回もまた、ダリヤの胸の性感を高めるだけで終わった。
トラセーは、ダリヤが身だしなみを整え終わるのを待ってから、話を切り出した。
それは、通信用魔導具の試作図だった。
トラセーは、ダリヤをいつまでも呼び出せるとは思っていなかった。
こう何度も他の商会に出向くのは不自然だからだ。
必ず周りの者に不審がられ、調べられるだろうと。
そこで以前、ある魔導具師の遺品から買い取った資料にあったこれを用いることにしたのだった。
この画期的な魔導具の価値を、ダリヤはすぐに悟った。
当然だ。
前世で散々お世話になったものなのだから。
ダリヤはトラセーから、これを作るためにネイトリー商会に来ているというカバーストーリーを、腹心の者だけに、口止めをした上で話すよう提案される。
この話は、ダリヤにしても乗るしかなかった。
ダリヤ自身も、不審がられずに何度もここに来るのは難しいと思っていたからだ。
そうして、3度目。
ネイトリー商会に向かうダリヤに、イヴァーノからやんわりと理由を聞かれ。
話し。
納得させた。
流石のイヴァーノも、この魔導具がどれほど規格外なのかを想像し、動揺し、トラセーの慎重さを理解し、納得、してしまった。
ただ、イヴァーノはダリヤにお願いしヴォルフにだけは伝えることを承諾させた。
もう、これ以上誰にも広めないことを条件に。
そして7度目の胸へのマッサージ。
この日、ダリヤは乳房で1度、乳首で2度、絶頂した。