※この作品はR-18です。

真・女神転生〜ジャッジメントサマナー〜 幕間劇   作:葉隠小太郎

5 / 9


※注意※

セクシャルなシーンを含みます
ご注意頂けたら本編へどうぞ。




天使と悪魔使い 前編

 

 

何時も大切なモノを奪われるときは決まって予期していない事ばかりだ。

 

如何に手で水を掬おうともその間から零れ落ちてしまう様に、何もかもを保っておくことは出来ない。

 

傷つき、涙を流し、嗚咽を吐いて後悔する。

 

ずっとそればかりだった気がする。

 

『…ぐんちゃん…!!ぐんちゃん!!!』

 

冷たい雨が降りしきる中で僕の腕に抱えた少女から熱が奪われていく。

今まで生きていた証が消えていく事を暗に示している。

 

僕には何も出来なかった。

 

ただその場で泣き叫ぶしか出来なかった。

 

故に僕は…。

 

『動けクソバカタレ。ギリッギリだがまだ蜘蛛の糸位は残ってるぞ!!』

 

あの時しかめっ面で僕の頬を殴った男が医者であり、彼女を死の淵から生還させた恩人であることを今も認められないでいた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

山中のとある県道で一台のバンが走る。

時刻は既に午後の5時を差し、遠くからオルゴール音が流れて聴こえる。

 

恐らく市役所や県の防災無線を通した定刻チャイムであろう。

 

「……まだ根に持ってるの?カネキ?」

「…………別に」

(持ってるわね…)

 

バンの中で運転席にて動かす青年〔佐々木琲世〕と助手席に座る少女〔郡千景〕の二人は上り坂の山を越え、遠くに見える集落の存在を確認する。

 

「民宿あるかしら?」

「無かったらハイエースの中で過ごすしか無いかな…」

「あら?ということは一晩中一糸纏わぬ素肌で温め合う?」

「そんな爛れた感じなのは駄目だって…」

 

山と山の間に出来た小規模集落に余所者向けの民宿があるとは思えず、いっそこのまま桃色な状況にしけ込む事も踏まえるつもりらしい。

 

こればかりはナンセンスの琲世はむくれる千景を宥めつつ、集落の中へと車を走らせた。

 

 

 

…………

 

 

 

「すまんな。民宿はねぇけど民泊始めるってんでそれ用の空き家使ってくれな」

「分かりました。ありがとう御座います」

 

最初に見つけた年配の村民から民泊用の家を借りる事が出来た。

 

言うにはまだ始めるに手続きがなされておらず、まだ幾つか部屋が出来上がっていないが短期間であれば不自由なく使えるとのこと。

 

此れには琲世も素直に喜びを示す。

 

「後でぶちゃる予定だった野菜持ってきてやっから足りんもんは通りの商店で買ってけぇな?」

「あっ、はい(ぶちゃる?)」

 

ぶちゃるとは採れたは良いものの、出荷調整等で余った収穫物を粉砕して畑の肥やしにする行為。

隣近所に配ったり遠くに住む親戚に送る事も行いはするも、其れでも出てしまう事は珍しくなく、結果的に畑に捨てる事となる。

 

幸いにも遠くからやって来た若者という田舎暮らしにとって珍しい客に老人も顔をほころばせて喜々と採れた野菜を提供する。

 

「……とはいえ、一輪車に山盛りは多い気がする…」

「ご好意に甘えておきましょ。後でお酒持っていくわ」

「……だね」

 

一先ず借りた家へと足を運び、貰った鍵で玄関を開ける。

 

昔ながらの引き戸式の扉を開けると、玄関自体は広く立派な造りをしていた。

 

「二人で使うには広々し過ぎね」

「民泊って言ってたからシェアハウスなのかも」

 

二人は靴を脱ぎ、玄関を上がって左右の廊下や他の部屋を見る。

 

間取りは和室が八畳一間が4つの六畳一間が2つの六部屋。

其処に大きめの台所、シャワールームが4つ、そして大きな屋内温泉と露天風呂がある。

 

但し露天風呂はまだ完成しておらず、屋内温泉は溜めるに時間が掛かる。

 

「………温泉溜めて、布団を敷いて、食事の準備をすれば良いか…」

 

使えない部屋の所在を確認しつつ、ハイエースから荷物を運んでは泊まる部屋へ置いていく。

とはいえ、数日着る衣類と肌着程度しか持っておらず、直ぐに終える。

 

「あっ、買い物行かないと…」

「別に良いでしょ?ちょっと位はイチャイチャしたい」

「ぐんちゃん、流石に野菜だけじゃ駄目だって…」

「………ふーん」

 

やけにスキンシップが強い。

 

そんな感想が頭に浮かび、へばりつく彼女を背負いつつ買い物へと向かう。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

翌日

 

「……はぁ、暑い」

 

森が生い茂る中に重い足取りで奥へと向かう。

 

ジィジィ蝉が子孫を遺さんと羽音を掻き鳴らすのはある種夏の風物詩であるが、今聴くにはうっとおしさを思う。

 

だが、琲世としても向かわねばならない理由があり、兎にも角にも歩くしか向かえない場所でもある。

 

「………ん?」

 

暫く歩くと、奥に古びた祠が見える。

 

何時から存在していたか判別しづらくなっている苔むし具合で誰も此処に来て参拝をした形跡は見当たらない。

 

「…酷い有様だな…」

 

朽ちた木製の賽銭箱と周り草だらけの状態から、手入れもされていない。

此れには特定の宗派に肩入れしていない琲世も心痛い気持ちが湧いた。

 

「………少し綺麗にしてみるか」

 

そうと決まれば、今できる範囲で手入れをしていく。

 

元々表向きとある理由でやって来た調査員という体で草刈りに使う鎌等の道具に日曜大工程度の金槌と釘にニスと木を用意していた。

 

その為、祠周りの草木を刈り取り、綺麗に整地した後に祠の壊れた部分を新しく直しては器用に社殿も用意。

何かを考えてか、凝った造りにしてしまった事で前よりも遥かに立派な物へ変わり果てた。

 

なんということでしょうとビフォー・アフター?なナレーションが聞こえてくる程、見違えるように変わった祠は何処か神々しい雰囲気を醸し出していた。

 

「……ふぅ、あっ…もうこんな時間か…」

 

腕時計を見ると早朝出てから既に昼時になりつつある。

流石に昼食を作って待っている千景の事を考えたならばこれはいけないと直ぐ踵を返し、元来た道を急いで降りていく。

 

 

『………クスッ』

 

琲世の後ろ姿を祠のすぐ横の木の陰から誰かが笑みをこぼし、消えていなくなった。

 

 

 

…………

 

 

 

その夜。

 

「祠?そんなもんあったかの?」

 

借家の管理をしている年配の男性〔永谷康史〕の誘いの元、琲世と千景は夕飯をご相伴に預かっていた。

 

「随分前の物で、殆ど朽ちていまして…」

「まぁ、何せ村も殆ど余所からの移住が多いもんでな?最後の出身者はもう亡くなったと思うぞ?」

「そうですか…」

 

永谷の妻〔永谷さと〕は早採れの小さなじゃがいもを皮ごと煮転がした物を器に盛り、琲世の手元に置きながら答える。

 

「皆さん移住者だったんですか?」

「ああ。ここ十年間でやって来たもんばっかりでな。割りと綺麗な家が建っとるだろ?結構若いのも多いんだ」

「確かに…」

 

トマトのサラダを食べる千景を一瞥し、琲世は永谷の言葉に納得がいく。

 

出会う人間は永谷同様に年配の夫婦からそのすぐ下と少し離れて20代30代と若い世代が所々で住んでいる。

 

まだ都会でバリバリに働いていてもおかしくない年齢層が住むに不便さが見える集落で何故移住を決めたのかが不思議に感じられた。

 

「其処まで不便って訳じゃない。若者が結構居るし、ここら辺で採れる野菜や果物も通販サイトで飛ぶように売れるから農協だって割高でも流通させてくれるんだ。其処まで困っちゃおらん」

「でも農地を広げるとかはしないんですね?」

「そりゃ、山には"神様"が居る。貰った恵みを必要以上に広げて欲深くなるのは罰当たりだ」

「………神様…ですか…」

 

次々に出てくる料理を食べつつ、夫婦の言葉を聞く。

 

信仰とは異なる言葉や科学的根拠では説明出来ない大いなる存在のもたらしたモノを享受する以上、必要最低限で抑えることも知恵の一つ。

 

金の卵を産む鶏を殺す事は良くないのと同じ事だと言えた。

 

「神様とは具体的に?」

「………さてな。言い伝えも無くなってしもうた」

 

千景が問うも、さとは首を横に振る。

 

口伝のみしか無かったらしく、既に誰も伝えられなくなってしまった。

 

琲世はあの祠の主がその神様ではないかと考えてみるも。

 

「………うーん?」

 

情報の少なさから頭を悩ませても何も出てこない。

 

「とはいえ、上の寺辺りでも行けば住職が知っとるだろ。彼処は昔から有ったそうだ」

「分かりました。聞いてみます」

 

最後のデザートとして桃を剝いてはそのまま削ぎ切った果肉を爪楊枝で突き刺して頬張る。

 

「凄く甘いですねコレ」

「じゃろ?移住したときに残っとった桃の木を頑張って実を成らせたんじゃ。とても甘おうて美味いじゃろ?」

 

頬袋一杯にする千景にやや呆れ気味な琲世。

 

「しかし、この桃初めて見ましたけど何って品種ですか?」

 

桃色の語源とはいえ、奇妙に桃色をし、部屋中に甘ったるいリキュールめいた匂いを充満させる果実に少し謎を見せる。

 

「うん?…こいつか?…コイツはな…」

 

 

 

 

「み(・)ち(・)ゃ(・)果(・)っ(・)て(・)い(・)う(・)品(・)種(・)じ(・)ゃ(・)」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「…ちゅ…ちゅぅ…♡んちゅるっ…♡♡」

 

その夜、僕等は帰宅と同時に互いを貪り始める。

 

「…んゅ♡ちゅっ…♡んっむっ…♡」

 

玄関を閉めながら鼻息を荒くし、彼女が背伸びをして口元に寄せると僕も其れに習って口づけをし合う。

 

華奢な身体のぐんちゃんを抱き寄せてはゆっくりと靴を脱ぎつつ玄関を上がり、強く強く口をつけ続けては直ぐ隣の部屋へ静かに倒れ込む。

 

「…はぁ…はぁ…はぁ…」

「はぁ…♡はぁ…♡はぁ…♡」

 

お互いに視線を交わし、熱気を帯びた表情を見る。

 

普段から感情を出すような娘でないけれど、今の蕩けた顔つきは僕だけに見せる特別な物。

 

それを見るだけで僕の心を支配していた。

 

「…カネキ♡」

「ぐんちゃん…」

 

ラフな格好の彼女は所々でその服をはだけさせ、汗ばんだ素肌を見せる。

そんな乱れた姿が僕の心臓を早く高鳴らせ、脈動を立たせられれば我慢できるものなど無い。

 

彼女にのしかかったまま無理矢理自分のシャツを脱ぎ、ベルトの金具を外し、ズボンを脱ぐ。

 

「…こんなに♡おっきく…してる♡♡」

「当たり前だろ…。君が可愛過ぎるからだ…!」

 

張り詰めていたモノが外に露出する。

それを見たぐんちゃんが赤面しながらもほころばせる。

 

「…いっぱい…愛して♡♡」

「ああ…愛してやる…!」

 

そう言って僕等は両手を握り合い、口づけを交わす。

 

「じゅるっ…♡ぐじゅ…じゅるるっ…♡ちゅぅ…♡」

 

舌を絡ませ、口内を這わせ、中の唾液を混ぜ合わせながら吸い付いてを繰り返す。

 

好きな者同士が行う接吻は何時までも何処までもし続けたいと思う中、其れだけで済むわけもなく。

 

「んっ…♡///」

 

はだけた部分から手を入れ、なだらかな山だが柔らかな乳房を触れる。

既に硬くつんと起立した赤い実が主張する。

 

「……小さくてごめん」

「そんな事言わないで」

「……こんな身体だとカネキが何時も疑われちゃうじゃない…」

「ぐんちゃんはぐんちゃんじゃないか?そんな悪いこと言う娘はこうだぞ?」

「あっんっ♡♡!?」

 

首元を噛んで強く吸う。

あくまでも僕の物だと彼女に分からせるために。

 

好きな娘と愛し合う事こそ素晴らしいことだと証明するために、僕は君と交わる。

 

「……来て…♡♡」

 

子供みたいにとはもう言わせない。

 

「…んっっ…♡♡♡!」

 

彼女のヴァギナに僕のを充てがい、奥へと押し進める。

 

熱く蕩けそうで柔らかさと甘さが混線する感覚は如何なる時でも変わらず、僕の神経を撫でて刺激してくる。

 

「あっ♡あっんっ♡!!」

 

耳元で囁く様な喘ぎ声が興奮に導く。

 

「あっ、カネキ…♡♡んっふぅ…♡」

 

身の丈も身の軽さも全て僕の身体に納まるほど小さな身体を抱きしめ、胎の中を穿き、劣情をぶつける。

 

硬く反り立った剛直とは言ったもので、柔らかな粘膜である膣内を蹂躙し、抽挿を繰り返す事で愛を確かめる訳だが。

 

「…カネ…キ♡気持ち…良い?」

「うん…めっちゃ興奮してる…」

「ふふっ…♡良かった…きゃうっん♡!!」

 

悪戯な笑みを作るぐんちゃんを求めたくなった。

 

強く、それでいて優しく。

彼女のやらしい部分をねぶるように。

彼女の全てを吸い尽くすように。

 

「あっ、あっ……。だ、ダメェっ…!!?またっ…イッ…イッぐっっ…♡♡♡!!」

 

自分のマグマの様に燃え滾った熱量をぶつけ。

 

「まっ…でっ…///!それっ、ダメェっ♡♡♡!!」

 

身に刻みつけては印を付ける。

 

「あんっ!あっうっっ゛♡♡♡!!?」

 

ねっとりと沈みゆく沼の如く。

 

「やぁっ!!?らめぇぇぇ…♡♡!!」

 

凍りついた葡萄の房のように濃醇で。

 

「イグゥ!!?イッでッる゛っ゛♡♡♡!?」

 

僕は。

 

「ぁあぁあ゛あ゛ァア゛ア゛♡♡♡!!!?」

 

彼女を孕ませたいと思いながら、熱く煮え滾った胤を吐き出し、胎内を白く染め上げる。

 

尚。

 

「貴方はけだもののフレンズね?」

「ぐえぇぇ…」

 

事後はいつもこう弄られるのである。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

〔八木琢磨〕

 

僕等に依頼をしたのは裏業界で探偵をしている人物だ。

 

曰く、この村は大自然の中で終末期を迎える為のホスピスケア施設だという。

その為、大きな体育館や集会所という箱物から商店とコンビニ、移動販売車等と充実している。

 

しかし、実態は認知症を患った老人を無理矢理収容し、不味い食事や杜撰なケア体制の蔓延った劣悪老人保健施設であった。

 

「知ってる弁護士がね?遺書の内容に不適切情報があるって訴訟を起こしてあれ見つかっちゃった訳だ。其処で施設運営してたのが元ヤクザの半グレだったり、クソオブクソな状況だったりと聞くに堪えない話ばかりだった」

 

競馬新聞片手に片方の耳にはラジオが繋がっているイヤホンと負けじと不良めいているけれど、其れよりも最低とは考えられる。

 

「さて…話は此処から…おっ!!?行けっ!イケっ!!走れ!!」

 

どうやら馬券の当たりらしい馬が先頭を走っているらしい。

 

馬券の種類は知らないものの、固唾を飲む勢いに思わずこちらも口を閉じて見守る。

 

「……ヒャアァァァ!!!オーイエス!!イエス!!マザーファッカー!!!」

 

当たったみたいです。

 

「………良し、えっと…何処まで話したっけ?」

「施設運営の奴が行方知れず。もしかしたら骨も残らず溶けちゃってるかな?と思う所から」

「おうおう、そうだそうだ」

 

此処から話の続きが入る。

 

 

どうにもその施設が解体工事された後で移住者が増えたとか。

 

なんでも、殆どが年金を得てるような歳の人物ばかりで幾ら道路状況が改善されたとしても、住むには不便過ぎる所である。

 

「それがね?何だか知らないが小金持ちになってるわけで、その村だけ平均収入が一千万単位なんだよこれが」

 

八木さんはどうにも頭を捻って考える。

その額を稼ぐにも田畑の敷地面積が圧倒的に足りない。

 

では高級フルーツやレアな野菜なのか?と問われると全く違う。

 

如何に考えても霞を掴むように何も得られなかった。

 

「で、現地に送るか?と考えて君に任せたい。君なら絶対生還できると踏まえてね?」

「ただの農村ならこの額出てこないと思いますが?何かあったんですか?」

「察しが早い。実は裏バイトの4人を向かわせたけど誰一人帰ってこなかったんだ…」

「わぁ…」

 

恐らく僕に渡されたこれは彼等に払う予定だった金額なのだろう。

四人分の命の価値としてはだいぶ低いと考えるが。

 

「………分かりました」

「ありがとう!持つべきものは友だ……いゃァァァ!!!?」

 

今度は大外れしたらしい。

 

萎れた姿になっている中年男性を放置して僕はぐんちゃんの待つ喫茶店へと向かった。

 

 

 

…………

 

 

 

朝。

 

妙に日差しが強く感じる軒下で寝転がって居ると。

 

「ハッハッハッ!!若いってのは良いの!!」

 

何故か永谷さんにそれとなく昨夜の痴態についてバレた。

 

どうしてかと問おうにも其れを上手く躱して僕を弄ってくる。

 

「みちゃ果を食べた夜は女とまぐわう。昔から言い伝えられてる話じゃよ」

「そうと知って出したんですかソレ?」

「いやはや、妹か何かとは思っとったがかみさんから幼妻じゃないかと言われて合点行ったからな!これも爺孝行ってやつよ」

 

そんな事をしないでも関係は良好なので、とはお首に出さず口を噤む。

 

これ以上面倒に巻き込まれたくない。

 

「しかし、あんなに催淫性の高い食べ物…摂取して大丈夫なんですか?」

「平気じゃ平気。むしろ儂はみちゃ果のお陰で元気ハツラツ腰も曲がってないし、今ならシニア競歩も出来るぞ?」

「………確かに」

 

足腰の具合を見る辺り、無理をしてる風には見えず軽快な足取りを見せている。

 

どんな効能が期待されているのか分からないけれど、関節のクッションや筋肉の増量、心身への精力増強も期待されているみたいだが。

 

「良ければ此処に住まんか?」

「えっと…其れはどういう意味で?」

「何。儂もこの歳じゃし子も居らん。財産分与ってことでこの家を安く買ってくれれば嬉しいがな?」

「………」

 

何を思ってか、僕にこの土地に住めと言う。

 

確かに不便さはあるものの僕の持つ力を発揮すれば別段問題はない。

 

ただ。

 

「すみません。僕にもやる事があるので」

「そうか。若者にやる事があるのは良いことじゃ。うん」

 

せっかくの誘いを無碍にしてしまうも、永谷さんは笑って仕方がないと許してくれた。

 

とてもいい人だ。

 

何れ僕よりも良い人に巡り会えて、その人を本当の家族同然に接して欲しい。

 

そう思っていた矢先だった。

 

 

「………カネキ。〔ミサキ〕の一人が索敵中に斃された」

「嘘だろ」

 

その夜、ぐんちゃんからとんでもない事実を言い渡される。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

悪魔変身者(デビルシフター)郡千景の能力は【七人ミサキ】と呼ばれる自身を含めた7つの自分を作り、運用出来る物。

 

その為、昼間は斥候と調査、夜は家の周りを交代で警護をしていた。

 

「まさか物理反射抜けて来るとは思わなかった…」

「大丈夫?痛くない?」

「何時も言うけど心配しなくていい。全員やられるなら兎も角一人二人なら其処までならないから」

 

一部不安な思いはあれど、千景の言葉を信じて琲世は落ち着いて顔を覆う。

 

「やられた場所は村の中央部分。お寺がある所よ」

「確か昔からあるって言ってた?」

「ええ。ただとんでもない場所かも知れないわ」

 

少なくとも千景のレベルと同等であるミサキの一人が即座にやられる。

其れだけの攻撃能力を有した存在は厄介極まりない。

 

其れと真正面から戦うことを避けるべきだと考え、琲世は村を出ることにする。

 

しかし。

 

「嘘だろ…」

 

最初村に訪れた際の県道おろか、周りの地面も無くなっていた。

 

「……どうするカネキ?」

「一旦家の方に向かおう。結界位なら張れる」

 

唯一安全策として、敷地範囲にルーン文字を刻んだパワーストーンを六芒星状に仕掛けている。

多少は防ぐことが出来るであろう、そう考えて用意した物だ。

 

家に戻り、部屋の中へと入る。

 

「………はぁ…」

 

最早出来ることは無い。

そう思いながら琲世は部屋の中央に胡座をかいて頭を抱える。

 

(僕等はもう腹の中かも知れない。ゼペットじいさんの気持ちはこうなのか?)

 

自分だけであれば良い。

だが連れてきた千景の事を考えれば無責任だ。

 

そう考えては彼女だけでも逃す算段を見つけねばならない。

 

(………ただ何かに覆われてるだけか?一切合切遮断は難しいし、そうなれば呼吸をする為の空気とかの問題も出てくる…。何処かに開く穴があるのか?其れ共薄くなっている部分がまだ残されて…)

 

出来ることをするため、持っていたメモ帳に書き記していく。

 

残った手段と自身の知識を合わせ、道を切り開けるかどうかを探っては案をまとめる。

 

(……トラフーリやトラポート。いや…もしくはポートキーなら行けるか?だがポートキーのセットはGPSと連動させないと壁の中にいる状態になりかねないし…)

 

あらゆる手段を試さなければならない。

 

メモ帳に記載した其れ等を明日もう一度あの場所に向かい、其れを実行する。

 

も。

 

「………あっ…///」

「あっ…」

 

喉が渇き、台所の冷蔵庫に仕舞った水を取りに来ると、椅子に座ったまま半裸で致している千景の姿を見てしまった。

 

「………ミサキ?」

「………///」

 

ただ違うのは白いフードを被った【七人ミサキ】の一人で、4番目と思われる。

 

「ご、ごめん…カネキ…その…」

「いや。良いんだようん」

「ぁぁぁぁ……///」

 

如何に分身的な存在であれ、生理現象である以上仕方がないと生暖かい笑みで許容する琲世に思わず顔を隠すしか出来なくなる。

 

「……他のミサキは?」

「幾つかで見て廻ってる。家の周りだけだけど…」

「そっか…じゃあ」

「えっ?きゃっ…!?」

 

椅子に座っていたミサキを琲世が抱える。

 

笑みを崩さず、若干怖い様子の琲世に何をするのか引き攣った笑いが出てしまった。

 

「えっ、ね、ねぇ…カネキ?」

「いやー、考えたら皆の慰労もしなきゃ駄目だよね。今日はもう警護とかしなくて良いからちょっと皆で仲良ししないと発散できないからさ?」

「あ…あの…カネキ?」

 

抱えられながら連れて行かれたのは先程の部屋。

 

「…あっ…///」

「えっ…と…///」

「やっほーカネキ♡」

「………うん♡」

「ど…どうも…///」

 

既に揃った5人のミサキ達。

その瞳にはハートマークが映し出された様なイメージになっており、何時でも準備が整っていた。

 

「………か…カネキ///」

「今夜は寝かせないぞ?」

 

その笑みはまさしく獲物を見つけたと歯を見せる肉食動物を思わせる物だった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

〔イマジナリー宮本〕

「ささきーよ。お前は今大変な事になっている」

〔琲世〕

「……はっ?」

 

突然の出来事。

何が起こっている?

 

〔イマジナリー宮本〕

「良いか?お前はある物を摂取したことで脳内に分泌されている。βエンドルフィンやオキシトシンホルモン、オピオイドも確認されているわけだが…」

〔琲世〕

「…………はぁ?」

 

つまり僕の脳に脳内麻薬が分泌され続けている訳になるのか?

 

〔イマジナリー宮本〕

「みちゃ果…どんな物かは調べなければ分からんが、恐らく其れが原因と見える。このままだとみちゃ果を食べ進めて何が起こるか未知数だ。直ぐに解毒方法を探るしかない」

〔琲世〕

「と言っても、其れが分かれば苦労しないですけど!?」

〔イマジナリー宮本〕

「とりあえず、尿で排泄か脳の熱暴走を防ぐために冷水で冷やすがベターだな」

〔琲世〕

「ホーリーシット!!」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「オボボボボ〜〜〜〜〜!!!?」

 

早速シャワーで水全開にしながらペットボトルのお茶2リットルをガブ飲みする。

水中毒が何かとはよく言われるけれど、あれは血中濃度がだだ下がったケースなので尿素として排出されるには問題はない。

 

もう全て垂れ流しだ。

 

僕は一体何をしてたんだと言わんばかりに爛れていやがった。

 

どうしてこうもイマジナリー宮本に頼ったんだ僕は…!?

 

「………さて」

 

ベターな対処法だが一応効いたのかある程度まともな思考回路を取り戻した。

 

とはいえ、閉鎖された空間である以上何が起こってもおかしくはない。

 

「………さて、脱出準備だな……くしょん!」

 

その前に身体を拭こう。

夏とはいえ冷水は身体に毒だな。

 

 

 

 

             後半に続く。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。