「助けてノノえもん!」らくがき等置き場 作:春画屋@二次創作R18
一日目の夜:セックス
〜(中略)〜
三日目の午後(その1):ラブラブエッチ
三日目の午後(その2):イチャイチャごろごろ
三日目の??:
三日目の夕方(その1):ノノミ、上機嫌で帰る
三日目の夕方(その2):眠い
……ん? 今、どこだ?
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——私が思っていたよりずっと長い間、
——それから、ごめんなさい。「あちらの世界」から来た『あなた』のこと、
——思っていたよりずっと人がよくて、すぐに何でも信じてしまうあなたを
——自分でも本当に勝手だとは思うのですが、出来れば「向こうの世界」に帰った後も、楽しかった思い出として、たった一つしかない特別な、私たちの
……もし、このまま何も教えないままなら、あなたはずっと
——だから、誰にだって当たり前のことを聞きますね。
「元の世界に、帰りたいですか? 先生」
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——どうして、いきなり修羅場になった。俺はただ、ノノミとラブラブエッチをした後、イチャイチャごろごろしながら、夕飯はどうしようか考えていただけなのに。助けて、アロ……えーっと、アロナじゃなくて? 違うの?
「先生、大丈夫ですかー?」
俺とノノミが向かい合っているテーブルの上では、
「落ち着きましたか?」
「大丈夫、大丈夫。いや、ノノミに突然、「元の世界に帰る方法を教える」なんて言われたもんだから、もしかしたら見捨てられて、「帰れ」って言われてんのかと……」
「あはは……。もしそう思っても、ノノミさんはそんな言い方はしませんよ……。男女の仲って難しいですね……」
「だよなー! うんうん! いやー、お前が居てくれて助かった! 『アロナ』……じゃないんだっけ? 何だっけ、『手乗りアロナ』だっけ?」
「はい! 私はあなたが望み、ノノミさんの力によって誕生した、『手乗りアロナちゃん』です!」
違いがよく分からないが、『アロナ』じゃないそうだ。じゃあ、そうなんだろう。よく覚えてないし。
修羅場というものを経験したことはあるだろうか? あれは嫌なものだ。トラウマにもなりかねないし、こんなもの出来れば一生経験しない方がいい。ちなみに俺は、ついさっきまで修羅場にいた。胃が痛くなってそのまま死ぬかと思った。この『手乗りアロナちゃん』とやらが居てくれて本当に助かった……。
大体、昨日の夜から俺の部屋にずっとノノミと二人で、朝から今さっきまでずっとラブラブエッチしまくっていて、幸せな気分でイチャイチャごろごろしていたのに、唐突に「元の世界に帰る方法を教えます」なんて言われたらどう受け取る? どうなる? 俺はパニクった。そりゃもう
まあ、錯乱しながらも「第三者を呼ぼう! 第三者を!」と言って、
「……先生には、私が「帰れ」って言っているように聞こえましたか……?」
ノノミが黒くて重いオーラをまといながら言った。ダメだ、雰囲気明るくなってねえ。まだ、修羅場続行中だった。
「違うんだ、ノノミ。自分にちょっと自信がなくてそう思っちゃっただけっていうか、疲れてたっていうか……えーっと、えーっと、あっ、そうだ! 久しぶりだな『アロナ』! いやー、いつ以来だ? ていうか、この世界に来てから会ってなくない? やだなー、もう!」
「あっ、あっ、ぺちぺち叩かないで下さい!」
何を喋っていいのかわからないので、テーブルの上のアロナ(じゃないんだっけ?)を叩いて助けを求める。
「……ふふっ、その子は『アロナちゃん』ではないんですよ」
ノノミが少しだけ笑顔になった。よし、この話題で続行だ!
「えー! お前、『アロナ』じゃないの⁉︎ 手乗りサイズだとか、そういうことじゃなくて? 見た目は同じだけど、別物ってこと?」
我ながら
「はい! まあ、まったく違う存在というわけではありませんが……。先生が
「シッテムの……何だって? まあいいや! よくわかんないけど、『アロナ』じゃないのか! ていうか俺、今までブルアカの『アロナ』自体をすっかり忘れてたんだよなー。何でだろ。前の世界では毎日ブルアカにログインして、『アロナの出席簿』にスタンプ押すのが日課だったのに。そういえばこっち来てから押してないってことは
そうだった。今思い出したけど、ブルアカを起動するとまずこいつが「おかえりなさい!」とか何とか言って、出席簿にスタンプを押してもらって、ログインボーナスをもらうんだった。セコい人間なので、毎日かかさずログインしてたんだ。何でそんなこと忘れてたんだろ。
いや、今はその辺はどうでもいいんだ。テーブルの上でちまちま動いているこいつが『アロナ』なのかとか、何で俺はそこまでド忘れしてるんだとか、その辺はあんまり興味もないし、後でいい。説明された内容も難しくてよくわからないし。ノノミの雰囲気が少し
「えーっと、そもそも『シッテムの箱』って何だっけ? そこからして覚えてないんだけど? んで、その中の女の子? ってのが何だって?」
「やっぱり
「名前……名前だけはうっすらと……。箱なの? どんな形の? シャーレのどっかに、そんな箱置いてあったっけ?」
『シッテムの箱』……名前を聞いたことはあるような気がするが、ブルアカのストーリーのどっかで出てきたっけか? アビドス……? ミレニアム……? あとは、ストーリーの舞台ってどこだっけ。本当に序盤のストーリーすらうろ覚えの人間だから、それすら思い出せない。真面目にブルアカやってるプレイヤーが聞いたら、怒られそうだな。
「うーん、
お願いします、とノノミが答える。確かに元気がなくて、何か説明するにもしんどそうだ。そして、ノノミの許可を得た『手乗りアロナちゃん』——喋ってる分にはまんまアロナなんだから、もうアロナでいい気がするな——の説明が始まった。
——どうやら俺は、知らなかったのか忘れたのか、『ブルーアーカイブ』というゲームの基本的な知識——というか常識——がごっそり抜けているらしい。そもそも、これだけ長いこと『シャーレの先生』を
「失踪した『連邦生徒会長』が『キヴォトスの外』から呼び寄せて、『シャーレ』の顧問として任命した存在……」
「はい。そして、『連邦生徒会長』が『シャーレの先生』に託したのが『シッテムの箱』と呼ばれるタブレット端末です。先生が今持ってるそれは、連邦生徒会から支給された標準的なタブレット端末ですね。もちろん『サンクトゥムタワー』に干渉するような権限もありませんし、『クラフトチェンバー』を使用することも出来ません」
そもそも、その『クラフトチェンバー』ってやつ自体を忘れてたんだよ、俺は。使わなくても困ってなかったから、気付かなかった。俺はブルアカのチュートリアルはゲームで最初にやった時の記憶しかないんだけど(それもうろ覚えなのだが)、そういやそんな話してたっけ? ふむ、しかし、色々聞いているうちに少しずつ思い出してきたぞ。言われてみれば、確かに『連邦生徒会長』——
「そういや、『アロナ』って「先生」が持ってるタブレット端末の中にいたんだよな。スマホじゃなくて」
「はい。タブレット端末である『シッテムの箱』のメインOS『A.R.O.N.A』、それが『アロナ』……と
ああ、「アロナ」が入ってたタブレット端末か。『シッテムの箱』って。で、「先生」のはずなのに何で持っていないのか知らないが、その『シッテムの箱』ってのは、俺の持っている連邦生徒会から支給されたタブレット端末とは違う、特別なやつですよ、と。
で、それのOSだったっけ、こいつ……じゃなくて、こいつのオリジナルの方の、いわゆるブルアカの『アロナ』は。こうして見ると、OSにしては人間くさいというか、アホっぽいけど。まあ、こうして画面の外に出て来ちゃってる時点で、「こいつ」と本来の『アロナ』って、大分違う存在なんだろうけど。
「しかし話を聞いていると、俺は『シャーレの先生』でも何でもないような気がするんだが? シャーレの顧問っていう肩書き以外、今言っていた条件を満たしてないし、俺はシャーレで要望とか依頼を受けた生徒のところに行って、雑用やったりボランティアやったり、その他は書類仕事ぐらいしかやってないぞ?」
「あなたは『シャーレの先生』がやるべきことを、ちゃんとやってきましたよ? 今の話を聞いた上で、あなたの中で『シャーレの先生』はどんな存在ですか? 雑用の類ではなく、超法規的権限を活用してもっと壮大な事件を解決しなければダメですか? 『シッテムの箱』を持ち、勇敢に戦闘指揮を取らなければ『シャーレの先生』としての資格はありませんか? 私はそうは思いません!」
そう言われても、特に戦闘指揮をやってないのに関しては、割とコンプレックスではあったんだけどな。どうもその辺は、『シッテムの箱』とやらを持っているかどうかでだいぶ違ったみたいだし、ノノミのおかげか、戦闘指揮を取れないからって、そこまで困ったことはないんだけど。
そんなわけで、結局、シャーレに回ってくる仕事以上の何が「主人公」としての『シャーレの先生』に求められるのか……なんてのは分からないまま来てしまった。まあ、「便利屋68」だの、ゲヘナの他の部活だの、ミレニアムの部活だのが暴れるたびに、深刻なケンカにならないよう、中立のシャーレの立場から気を配ったりはしていたつもりだけど。何しろ、ブルアカの世界は『ヘイロー』ってもんがあるから
「先生は対策委員会のみんな……シロコちゃんやセリカちゃん、アヤネちゃんやホシノ先輩に
「ノノミさんの言うとおりです! 私は『シャーレの先生』とは能力や行動で認められるものではなく、そういった精神の持ち主のことだと思います。あなたと接した生徒の皆さん一人一人に聞いたって、あなたを『シャーレの先生』として認めない、なんて人はいないと思います!」
「そう? ……そうだったらありがたいけど。そうかな」
ほめ殺しかな?
とは言え、基本的にサラリーマンみたいな感じでシャーレの仕事をしてたにしても、一応自分の出来る範囲で『シャーレの先生』をやっていたつもりだし、認められてるなら嬉しい。ユウカやアコに仕事を
「……私以外にも、いろんな女の子に悪さをするところは、ちょっとどうかと思いますけど」
「ごめんなさい」
ノノミの目が笑っていなかった。そもそも、下手したらヴァルキューレあたりにとっつかまってそうな話だしな。『シャーレの先生』
「それでは、少し順序立ててお話ししましょう。引き続き、私が説明しちゃってもいいですか? ノノミさん」
ノノミがこくんと
「結論から言うと、『あなた』が以前いた元の世界、『現実世界の日本』は確かに存在します。帰ることも可能です」
「マジで」
「向こうの世界」で生きてた頃の俺の記憶って、「こっちの世界」での俺の
「えっと……割とリアクション
「だって別に帰るつもりなかったし。強制送還でもされたらしょうがないなーと思ってたけど、もうキヴォトスに永住するつもりだったし」
そして、おじいちゃん、おばあちゃんになっても一緒に暮らし、ノノミと一生を
「ていうか、実際帰ったとして、「向こう」はどうなってんの? 俺、元の生活に戻れんの?」
「それに関しては、あなたがここに来た日とほぼ同じ生活に戻れるはずです。ただし、こちらで過ごした時間と同じ程度の時間が過ぎているはずです。その期間、まるまるこちらに移住して生活していた、そんなイメージで大丈夫だと思います」
「んじゃ、借りてる部屋は? 家賃払えてんの? 大家に何か言われてない? あと口座の貯金……」
「……えっ」
えっ、じゃないんだが?
「今の「えっ」はどういうことなの? 何、そういうのの確認、取れてないの?」
「いえ、その……単純に、違う世界と行き来するっていう話の時に、そこまで具体的な質問をされるとは思っていなかったので……。大丈夫、大丈夫ですよ! そこは大丈夫です! 全部元通りになるはずです! 心配ありません!」
「あはは、ごめんなさい、アロナちゃん……。こういう人なので……」
「でしたね……。直接話すのは初めてなので、ちょっとビックリしてしまいました。ものすごく現実的な方というか……」
いや、聞くだろ、普通。こっちで普通に暮らしてんのに、山ほど負債が待ってたら、そんな世界に帰らないって。俺はいろいろ苦労したから知ってるんだ。まあ、家賃は口座から引き落としされてるとして、貯金はいくらになってるんだろ。それはそうと、ノノミが「うちの夫がごめんなさいね」みたいなノリで
「いや、セコい性格しててすまん。まあ、わかんないならいいよ。ていうか、俺は帰っていいの? 一応、『シャーレの先生』ってこの世界にとって特別な存在だと思うんだけど。ブルーアーカイブの「主人公」的な……」
「その通りですが、基本的にあなたが帰ることについては、何も心配はないと考えてください。
要するに、『シャーレの先生』が前の奴——まあ、いたんだろうけど——から俺に、代替わりした程度の話ってことね。多分、俺がずっと「先生」をやっていたのと同じように、後任の奴が誰か来るんだろうから、俺が引退するなり退職するなりして『日本』に帰っちゃっても、後のことは心配ない、と。「後任者」は多分いるんだろうって、黒服も言ってたし。
……さっき持ち上げられたばっかりでそう言われると、「可もなく不可もなく普通に務め上げただけですよ」と言われているようで悲しいな。ていうか、実際そう言われてるよな、これ。やっぱり、さっきのはほめ殺しか。確かにブルアカの「先生」らしい活躍なんてしたことないし、別にいいけど。まあ、自分の都合だけで考えていいなら、気は楽だし。
「そして、あなたが元の世界に帰る方法……それは、「帰りたいと強く望む」ことです」
「それだけ? なら、今までもいくらでも帰れたんじゃないの?」
「その通りです。本当に強く望んだなら、その瞬間に勝手に帰ってしまったかもしれませんし、実際、それに近いことぐらいはあったかも知れません。もちろん、この方法を具体的に知らなければそう簡単に強く望んだりはしないでしょうから……そうですね、こちらの世界を居心地のいい世界だと感じていたから、帰ろうと思わなかった……なんて理由だったら嬉しいです! えへへ」
「嬉しそうだな、アロナ。そうだと思うよ? 俺はこの世界、好きだもん」
「ふふっ、先生にそう思っていただけたのでしたら、私も嬉しいです。もちろん、この世界のみんながそうだと思います☆」
少ししんみりしながらも、ノノミが何とか笑顔を保って言った。アロナはもちろん、ノノミが笑顔だと俺も嬉しい。しかしお前ら、俺が帰るのを前提みたいな風に話をしながら、しんみりするのはやめろ。ほぼお別れ会の空気じゃねーか、これ。「元の世界に帰った後も、この世界のことを忘れないでくださいね」みたいな。今のところ、教えてくれるっていうから、帰る方法を聞いてるだけだってのに。
「つまり、代わりの「先生」なんかも当てがあるみたいだし、「こっちの世界」のことは心配いらないと。「あっちの世界」も、いつでも戻れるように準備してあるから大丈夫と。だから、帰りたいなら今すぐにでも帰っていいですよ……って感じ? 何かノノミは、俺が帰りたがってるのを前提で考えてるみたいだけど」
「え? 帰らなくていい……んですか? だって、ここは危険ですし、それに……」
「いや確かに、キヴォトスってのはどうもわけの分からん社会だからなあ……とは言ってたけどさ」
何しろ、社会の仕組みもいまだによく分からないし、人間の男どころか成人女性すらいないんで、普通の人生を送れるかどうかも分からんのだ。元の世界の方が無難ではある。しかし、元の世界に戻るにしても、元通りの生活に戻れるとは言っていたが、それだって帰ってみたら、どこに
……てなことは言っていた気がする。そこまで気にするのなんて、俺ぐらいのものなのかも知れないが、俺なら考えそうだなって思われてそうだし、否定する気もない。そりゃそうなんだが、そもそも、
「こっちに来てすぐに「ずっと一緒にいて欲しい」って言ったの、ノノミじゃない」
「え? そ、それ、覚えて……」
「いや、それを真に受けてずっといようと思ってるわけじゃないし、気がすんだからもう帰っていいです、ってんなら——」
「そ、そんな勝手なことを考えていたつもりは……わ、私……」
「わーっ! 違う、違う! ごめん、言い方が悪かった! そんな風に思っている訳じゃないから!」
あ、危ない……。言い方には気をつけないと。しかし、さっきまで二人でごろごろしながら、「ずっと一緒にいられたらいいですよね」なんて言ってたんだから、何でいきなりそんな態度なの、とは思うんだよな……。いちいち俺がネガティブに受け取ってるような扱いをされているが、この二人、暗に「帰れ」って言ってるだろ。
そもそも教えるにしたって、もっと早かったり遅かったりしたらダメだったのか? 「ブルーアーカイブ」がどうとか「先生」がどうとか、そういう事情を一切考慮しないで考えていいっていうなら、今までノノミが言わずにいたことに理由でもあるのか?
その辺を聞いてみたいが、こういうデリケートな話題を聞く時は細心の注意を払わないと……。単純に気持ちの問題だとしたら、女の子特有の理不尽な地雷もあるし、それを踏まないように気をつけて……。
「あのさ、単なる疑問というか、知りたいだけなんだけど、突然帰る方法を教えてくれたのって、何か意味あんの? ノノミにとって、今日が何か特別な日だったとか……? あ、いや、特に特別な意味なんてないならないで、別に構わないっていうか、意味なんかなくても言いたくなる日もあるよねー、っていうか、別にそんな必要もない……あー、あー、あー!」
……地雷、踏んじゃったー……。じわり、ノノミの目に涙が浮かび、あふれた涙が頬をつたう。それをぬぐいながら、弱々しい声で、
「ぐすっ……すみませ……私、先生の気持ち、全然考えてなくて……いつが良かったの、かも……」
「大丈夫! わかった! 答えなくていいから! いや、答えてくれてもいいけど、落ち着いてからでいいから!」
「先生! ノノミさんは、今日になって先生に教えたというより、今日まで言えずにいたんですよ! 簡単には教えられない事情があって! そういうことですよね?」
「そうか、だよなっ! ていうか、そもそもそんなの、いつ言ってくれても良かったから! もっと前でも後でも、全然オッケー! 帰り方を教えてくれてありがとう!」
必死なのである。自分でも何を言ってるのかよく分からない。アロナ、助け舟をありがとう。
「……私、先生と一緒にいられて幸せだったんです。今だって、何も言わずにいたらずっと一緒にいてくれたのかも知れない、そう思ったら嬉しくて……。でも、あまりに幸せすぎて、先生も幸せそうで、『元の世界』のことや帰り方を知っているのに言わずにいるのがどんどん心苦しくなって、もう限界で……そんな理由で、先生の気持ちもちゃんと考えずに……」
「いや、その辺は俺も聞かなかったんだし、お互い様というか……」
ぶっちゃけた話、こっちも「知ってそうだけど、聞いたら「もう帰る」って言ってるみたいだしなー。帰るつもりもないし、まあいいか」って感じで、茶番を続けてきたようなところもあるし。「知ってるー?」「どうでしょうー?」「そっかー」「うふふー」みたいな。でなきゃ、まず「知ってたのかよ!」ってツッコミを入れるべきだった話だよ。
「要するに、俺は何も考えなくていいけど、ノノミの方にはタイミングをよく考えないといけないような、難しい事情があった……って話なんだろ? 俺がどう考えてるのかはっきりしない内は、簡単に教えちゃいけないような事情が。なら、責めるつもりはないって。その事情って、聞いちゃまずいの?」
「そ、それは……。ですが、聞いてしまったら先生はきっと……いえ、その……」
「言いたくないなら言わなくていいんだけどさ。俺、「
「先生。このお話は、聞いてどう思うかではなく、「聞くこと自体」が問題なんです。「聞いた」瞬間に、「知った」という「事実」は確定してしまいますし、それに……——」
「「聞くこと自体」? 「知った」っていう「事実」? 確定って、どういう……?」
「……これ以上は、こうやって説明するのもまずいですよね……? どうしましょう……」
「ご、ごめんなさい、アロナちゃん……。私が自分のことだけで頭がいっぱいで、先生の気持ちを見失ってしまったから……でも、言えばご迷惑を……」
「いや、別に俺はそこまで気にしてないから」
何なんだ? やたらと俺に気を
さっぱり分からん。
……しかし、ここまで聞いちゃったら話を聞かせてもらわないわけにはいかないぞ。この世界に残るったって、このままじゃ気まずくって、ノノミと顔をあわせづらくなる。そんなことになって、ずるずるといた
「アロナ、俺の記憶って後から消せないか? 俺、物忘れが激しいみたいだし、その辺をちょこっと後押しというか。ノノミから話を聞いて、その後聞いた内容も、聞いたこと自体も記憶から消すって。何も知らない元の状態に戻す前提で話を聞くの。ダメかね?」
「え? でも、それでは聞く意味が……。それに、さっき聞いた帰る方法や、帰る方法を教えてもらったこと自体も、全て忘れることになってしまいますが……」
「それは別に構わないし、ノノミにとっては、ずっと言えずに抱え込んできたことを一度吐き出すことには意味があるだろ? 何も言わずにいるよりは楽になるはずだ」
「でも、だとしてもそれは……どうしますか? ノノミさん……」
見ると、ノノミは肩を
「わ、私……ひっく、せ、先生のつらそうな姿、見たく……なぃ……ぐしゅ……」
「俺? いい、いい。俺は別にいいよ。別につらくてもいいし、話を聞いたら問答無用で強制的に送り返されるとかでも構わないし、何なら自主的に帰ったっていいよ。ノノミがその方がいいんなら」
……と、実際に言ってみて気付いたが、どうやら俺は、どっちの世界がいいとか自分の気持ちがどうなのかとか、そういうことにはろくに
昔からこうだから、さんざん相手の心配をした挙句、自分が損することになるわけで、元の世界での友人たちには毎回説教されてきた。別にそれ自体を後悔してるわけでも、
それでも、俺には目の前で泣いているノノミを放っておくことは出来ない。周りに何か言われても、知ったことか。俺は覚悟を決めることにした。
そして、説明が出来る様子ではないノノミに代わって、アロナ……さっき生まれたばかりにしては、いろんなことを知っている『手乗りアロナちゃん』が、「事情」を教えてくれることになったのだが……。話を聞くうちに、俺は自分の考えがかなり甘かったのを思い知らされた。それは、少なくとも単なる悩みを打ち明けてもらう、なんてレベルの話ではなく、ノノミが泣いているのを
最終回:「