※この作品はR-18です。

淫獄地域枠 リコ先生は村のみんなのお嫁さん   作:馬門戒明/輪島ライ

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プロローグ お医者さんになれない!?

 皆さんこんにちは、私の名前は敷島(しきしま)理子(りこ)といいます。鳥取県にある山陰大学の医学部医学科に通う6年生……

 

 ……でした。1年ちょっと前までは。

 

 

「あのですねえ、私どもとしても地域枠の方に2回も浪人されることは想定してないんですよ。確かに敷島さんは大学入試でセンター試験しか使われていませんけどね、普通は皆さん大学に入ったら一般枠の医学生さんに負けないよう頑張って勉強されるんですよ!」

「そんなあ、私だって頑張って勉強してきたんですよ! だからちゃんと留年せずに6年生まで上がれた訳ですし、卒試もちゃんと合格して……」

「留年しなくたって国試に受からなきゃ意味ないでしょう!? 今だから言えますけど地域枠の医学生さんに留年されるとこっちが困るので山陰大学では少しぐらいの低得点は見逃すことになってたんですよ。そんなこと何回も何十回も再試受けてる間にご自身で気づきませんでしたか!?」

「えっ、そうだったんですか……」

 

 私に卒業してからこれで6回目となる面談を鳥取県庁の一室で行ってくれているのは県庁職員の高柳(たかやなぎ)さんで、この人は山陰大学医学部医学科の地域枠を管轄する立場なので私とは地域枠入試の面接の時からの付き合いです。

 

 知らない人のために説明すると地域枠っていうのは今の日本にある大半の医学部医学科に設置されている特別枠で、大学入試がものすごく楽になって学費が国公立ではほぼタダになる代わりに卒後8年とか10年は田舎でお医者さんとして働く義務を課されるものです。

 

 高柳さんは在学中からずっと成績が悪かった私をいつも励ましてくれた優しいおじさんですが、私がこの前の医師国家試験も不合格になって国試二浪目に突入してしまったことには怒りを隠せない様子でした。

 

「大体敷島さんは本当なら2回国試に落ちた時点で地域枠除名の上に国試受験資格を剥奪されるはずだったんですよ!? 敷島さんが何の意味もない大卒資格しかない無職にならないよう特別に手を回しましたけど、次も落ちたら本当に後はないですからね!?」

「そんなこと言われたってぇ……私もう国試に合格できる気がしないですよぉ……」

 

 同じ山陰大学医学部医学科の地域枠生だった研修医の彼氏は少し前に私が二浪したと知った瞬間に別れを切り出してきて、既にメンタルがボロボロになっていた私は強い調子で言ってくる高柳さんの目の前で涙を流し始めました。

 

 高柳さんもこんな私が次こそは国試に合格できるとはとても思えないようで、うーんと唸りながら向かい側の椅子に腰掛けて何かを考えていました。

 

 そしてしばらく待ってから、高柳さんは諦めた表情で机の引き出しから何かのパンフレットを取り出しました。

 

 

「あのですね、これは流石に気の毒なので本当は勧めたくなかったのですが、実は地域枠には敷島さんのような落ちこぼ……いえ問題を抱えた方を救うための特別枠があるのです。これがパンフレットなのですが、中身自体は通常の地域枠とそう変わりません」

「ええっ、地域奉仕枠……?」

 

 高柳さんが取り出したパンフレットには「地域奉仕枠のご案内」と書かれていて、私はその文字列を読んだ瞬間に顔が真っ赤になりました。

 

「これは要するに地方の中でも無医村と呼ばれる地域で卒業から10年間過ごして頂くというものでして、この枠に転入して頂ければ敷島さんでも国試に合格できるようになります。敷島さんのこの前の国試の成績は地域奉仕枠の基準を満たしておりますので、時期は少し遅れますが今からでも転入して頂ければこの前の国試は合格という扱いにできますよ。もちろん研修医一人で無医村に放り込まれては何もできませんので指導医1名が同行して医療行為に当たります。当然臨床研修指定病院では研修を受けられないのですが、無医村を救うためにこのような特別枠が厚生労働省により新設されたという経緯でして……」

「な、なるほど……」

 

 高柳さんは詳しく説明してくれていてこれに転入すれば今から研修医になれるという事実は分かりましたが、私の頭の中は「奉仕」というキーワードで一杯でした。

 

 

(奉仕って……えっちな意味だよね?)

 

 

 私は少し前まで彼氏がいた身ですし処女ではありませんが、無医村で地域の皆さんに一人で奉仕するという発想には頭が付いていきませんでした。

 

 

「といっても流石にこれは嫌ですよね。私どもとしては全力で頑張って次の国試に合格して頂ければそれが何よりです」

「いえっ、私この枠に転入したいです! このまま勉強しても国試に受かるか分からないですし、お医者さんになれずに終わるぐらいなら、いっそのこと……」

「ええっ、本当に転入されるのですね!? 分かりました、敷島さんが地域医療にかける熱い意思を尊重して今から転入手続きを行いましょう。来月には研修医として赴任して頂くことになりますので今からお引越しの準備を始めて頂くようお願いします。では契約書をお持ちしますね」

 

 それから高柳さんが持ってきてくれた契約書にサインをしながら、私の胸はずっとドキドキしていました。

 

 私は来月から鳥取県内の無医村にたった一人の研修医として派遣されて、そこで村の男性の皆さん、ひょっとすると女性の皆さんにも……

 

 

 来月からいきなり始まる研修医生活を高柳さんに激励されながら、私はとりあえずかかりつけの産婦人科でピルを多めに処方して貰うことを決めたのでした。

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