淫獄地域枠 リコ先生は村のみんなのお嫁さん 作:馬門戒明/輪島ライ
あれから10年近くが経って、私は中井戸村で臨床研修指導医として働いていました。
私が後期研修を終えるのと時を同じくして四谷先生は東京に帰り、それからは私が指導医として山陰大学医学部医学科の地域奉仕枠の研修医を育成するようになりました。
そして私が地域奉仕枠に転入してから10年目となる今日、65歳になっても鳥取県庁の嘱託職員として継続雇用されていた高柳さんは初めて中井戸村を訪れました。
私は形式上この日をもって中井戸村から離れてよくなり、今年度末で完全引退となる高柳さんは地域奉仕枠任期満了の面談を兼ねて私に会いに来てくれたのでした。
「これはこれは敷島先生、直接お会いするのは10年ぶりですね。本当に立派な女医さんになって……」
「私なんてまだまだ半人前ですよー。やっと指導医の立場にも慣れてきたかな? って思うぐらいで」
今日は土曜日なので診療所の外来診療は午前中で終わっており、後期研修が終わってから広々とした一軒家に移り住んでいた私のもとを白髪交じりの頭髪になった高柳さんは杖をついて訪ねてくれました。
そして36歳になった私のお腹には新たな生命が宿っていて、高柳さんは妊娠7か月を迎えて大きくなっている私のお腹を微笑ましく眺めていました。
「四谷先生からお聞きしましたが、お腹の子は4人目のお子さんとなるそうですね。お相手については聞いていませんが、敷島先生がこの村の男性とご結婚して出産されたのは地域奉仕枠の趣旨からしてもとても素晴らしいことと思います」
「いえ、実はそもそも相手が分からないんですよ。あと私戸籍上はまだ独身なんです」
「はいっ!? そ、それは一体どういう……?」
お腹をさすりながら言った私に高柳さんは仰天し、そうこうしていると午後の往診を終えたタカヒロくんが家に帰ってきました。
「どうもこんにちは、診療所で後期研修医として働いている芝田孝宏です。高柳さんと直接お会いするのは初めてだと思います」
「ああ、地域奉仕枠の芝田先生ですね。ご一緒にお住まいというと、お腹の子は芝田先生の……?」
「そうだと嬉しいんですけどね。上の3人の子も全員僕の子供かも知れないし、もしかしたら全員違うかも知れないんです。でも僕はリコ先生と一緒にいられて幸せですよ」
「は、はあ……」
高柳さんが状況を呑み込めず困惑していると、漁から帰ってきたマサツグさんが私の3人の娘を連れて家に入ってきました。
「お疲れ様です、僕はこの村で漁師をやってる佐々木正継です。リコ先生がお仕事の時は子供たちを漁村で預かることもありまして。今日は連れた魚を沢山持ってきたので後で高柳さんにごちそうしますね」
「ありがとうございます。その、佐々木さんが3人の娘さんの父親という訳でも……?」
「だといいんですけど、もしこの子たちが僕の娘じゃなくても僕はこの子たちの父親ですし、芝田先生もそうですよ。それは他の旦那さんも同じです」
「マサツグおとうさん、このおじいさんはタカヒロおとうさんのしりあいなの? だったらおかあさんともしりあい?」
今年で7歳になる長女のあみちゃんは高柳さんに興味津々で、この子たちは地域奉仕枠のおかげでこの世に生まれてきたということを考えれば高柳さんはある意味では娘たちのおじいさんなのかも知れないと私は思いました。
「どもっす、高柳さんに美味しい地酒をお持ちしましたよ。俺はこの村でスーパーの店長やってる長井道隆です。俺はリコ先生の3人目の夫なんですよ」
「それは事実婚という意味、なのでしょうね……いつの間にそんなことに……」
高柳さんはスーパーからお酒を持ってきてくれたミチタカさんを見てやはり驚愕を隠せない様子で、私はちょうどスマホに着信が入ったことに気づいて電話に出ました。
「もしもし、敷島です。あっ、ケントくん? へー、今日この村に里帰りしてるんだ。えっ、久しぶりに私と? うーん、妊娠中だし迷うけどそれぐらいなら付き合ってあげようかな。OK、じゃあ今から行くね」
電話の内容から事情を察して
「実は東京で大学院生やってる藤宮健斗くんが今日この村に帰ってきてるらしくて、私に会いたいみたいなのでちょっと会ってきます。もちろんお腹の子には注意するので大丈夫ですよ」
「あの、敷島先生はまさか他の男性とも……?」
「ケントくんは遠距離ですけど大学卒業してから私の4人目の夫になったんです。もしかするとお腹の子の父親かも知れないので、たまにはサービスしてあげなくちゃって思いまして」
「そ、そんなことが……」
「高柳さん、私はこの村のみんなのお嫁さんになったんですよ。夫として認めているのは4人だけですけど、今でも頼まれたら他の男性や女性にも奉仕してあげています。子供たちは村のみんなで育ててくれているから、私は安心してお医者さんに専念できるんです。この日本に私より幸せな女医さんがいるでしょうか?」
この村での自分の生活について堂々と語った私に高柳さんは何も言えなくなっていましたが、私が今とても幸せであるということは理解してくれたようでした。
それから私は一旦家を出て今年で25歳になるケントくんに会いに行くと遠距離生活で溜まった性欲を手と口とおっぱいで優しく発散させてあげて、そのままケントくんを連れて自宅に戻りました。
私とお腹の子も含めた4人の子供たちと4人の夫、そして高柳さんの合計10名でささやかな宴会を楽しみながら、私はこれから死ぬまでこの村での生活を楽しもうと改めて決意しました。
中井戸村のリコ先生は、村のみんなのお嫁さん。
そんな私と村のみんなに育てられた子供たちに、どうか幸せな未来がありますように。
(第一部完)