⭐️痴漢掲示板 狩られる女たち⭐️痴漢小説❤️短編集 イラスト付き有り 作:みなぽん
第二シーズン 第一話「傷痕の朝」
前回までのあらすじ
パラフィリア障害群――正常な性的関心から逸脱した対象に強い興奮を覚え、抑えがたい衝動に苛まれる精神疾患。
高校二年生の佐伯愛佳は、自分の「異常」を誰にも言えずに生きてきた。中学二年で自覚した異変は、高校に入ってからさらに悪化。通学電車や雑踏の刺激に苦しみ、ついに両親に打ち明け、治療に通い始める。「刺激を避ける」ため早朝の空いた電車を選び、目を閉じることで日常をやり過ごそうとする彼女だったが――。
その日、始発に近い電車の中で、左右の男たちに同時に身体をまさぐられる痴漢被害に遭う。恐怖と嫌悪に震えながらも、病であるがゆえに身体は抗えず反応し、ついには満員の車内で絶頂の声をあげてしまう。
逃げ込んだ学校でも、遅刻を理由に生活指導室に呼び出された愛佳を待っていたのは、体育教師・田崎による更なる陵辱だった。車内の痴漢に同僚教師が乗り合わせていたことを知る田崎は、愛佳の「弱み」を握り、生活指導室のデスクの上で彼女を組み敷しき犯す。そこで彼女が望まない絶頂経験する。
セカンドシーズン本編
布団の中で、私はずっと震えていた。
朝方、ようやく眠りに落ちたはずなのに、気がつけば昼過ぎで、カーテンの隙間から差し込む日差しがやけに白くて、目に痛かった。身体が鉛のように重い。起き上がろうとしても、背骨の一本一本がバラバラになったみたいに、うまく力が入らない。
天井を見つめながら、私は昨日――いや、つい数時間前までのことを、断片的に思い返していた。
始発に近い時間の電車。閉じた瞼の裏。隣に座った男の気配。そして――。
「……っ」
布団の中で、膝を抱え込む。
思い出したくない。なのに、脳が勝手に再生を始めてしまう。皮膚の記憶が、匂いが、音が、あの時の感触を克明に蘇らせる。
カバンで隠しながら這い込んできた指。スカートの上から太ももを撫で上げられた時の、背筋を走る悪寒。下着の上から敏感な場所をなぞられた瞬間、喉の奥から漏れた自分の声。
『君、おとなしそうな顔して、こういうの好きなのかな?』
違う。違うのに。
身体は正直だった。恐怖と嫌悪で震えているはずなのに、秘所は熱く濡れ、男の指の動きに合わせて腰が揺れた。あれは紛れもなく、私の身体が快楽を求めていた証拠だった。
そして左側からも忍び寄った別の手。二方向からの同時の刺激に、私の理性は呆気なく崩れ去った。
『イクゥッああっっ、ィクッ……!』
自分の口から迸った卑猥な叫び。靜かな車内に響き渡ったその声を、何十人もの乗客が聞いていた。彼らの視線が、まるで無数の針のように私の全身を刺した。
好奇。軽蔑。嫌悪。
あの瞬間、私は「普通のふり」をすることすら永遠に許されなくなった。
布団の中で、歯を食いしばる。唇の傷がまだ痛む。血の味が蘇り、吐き気が込み上げてくる。
それだけじゃない。
学校に逃げ込んだ私を待っていたのは、体育教師の田崎だった。
生活指導室のデスクの上に組み敷かれ、逃げ場のない壁際で、私はまた――。
「……うっ」
嗚咽が漏れる。
田崎の指が私の身体をまさぐる感触。
耳元で囁かれた卑猥な言葉。朝の電車での痴漢を知られていた絶望。
『その代わり……俺の言うことをちゃんと聞けるかどうか、試させてもらうぞ』
そして、私はまた感じてしまった。
嫌なのに。怖いのに。教師に犯されるなんて、最低で最悪な状況なのに。
私の身体は、田崎の指を受け入れ、絶頂に達した。
『ほら、素直にイケただろ』
耳元で嘲笑った声が、まだ鼓膜にこびりついている。
布団から手を出して、自分の手のひらを見つめる。震えている。ずっと震えている。
パラフィリア障害群。
医師は言った。「あなたは衝動を自覚し、抑製しようとしている。それはとても大事なことです」と。
その言葉が、今はむなしく響く。
抑製? 何を言っているんだ。
私は抑製なんてできていない。痴漢されて感じ、教師に犯されて絶頂した。ただの、快楽の奴隷じゃないか。
父と母の顔が浮かぶ。私の告白に、母は黙り込んだ。リビングから聞こえてきた父の声。「育て方を間違えたのか……?」
私のせいで、家の空気は変わった。食卓は靜かになり、母は笑わなくなった。二人とも優しかった。責めたりしなかった。病院にも付き添ってくれた。だからこそ、苦しかった。
私は家族を壊している。
その事実が、胸の奥にいつも沈んでいた。
それなのに今日、私はまた自分を証明してしまった。私は「異常」で、「変態」で、男に触られれば誰彼構わず感じてしまう、どうしようもない存在だと。
涙が、こめかみを伝って枕に落ちる。
田崎は、明日も明後日も、私を生活指導室に呼び出すだろう。私は抵抗できない。抵抗すれば、車内での痴漢のことをばら撒かれる。それに――もし抵抗したとしても、私の身体は結局感じてしまうのだ。
それが一番、救いようのない真実だった。
自分自身の身体なのに、自分でコントロールできない。嫌だと思っているのに、触られれば濡れ、弄られれば悦ぶ。脳が熱を持ったみたいになって、理性が遠くへ行ってしまう。
「……もう、いやだ」
小さな声が、布団の中に吸い込まれていった。
窓の外では、昼下がりの街の音が聞こえている。車の走行音。遠くの踏切の警笛。誰かの笑い声。
世界はこんなにも普通に動いているのに、私だけが、この布団の中で、自分の醜さと向き合って震えている。
ふと、枕元のスマホに目をやる。画面には、母親からのメッセージが表示されていた。
『今日は学校お休みするの? 体調大丈夫?』
既読をつける勇気がなくて、私は画面を伏せた。
何と返せばいいのだろう。「痴漢されてイかされました」「教師に犯されて感じました」「もう学校に行けません」――そんなこと、言えるはずがない。
私は布団を頭まで被り、ぎゅっと目を閉じた。
目を閉じれば、暗闇の中でまた脈打つ自分の鼓動が聞こえる。身体の奥底で、まだ燻っている熱の残り火。触れられたいわけじゃない。それなのに、自分の指が無意識のうちに太ももの内側に触れそうになっていることに気づき、ぞっとして手を引っ込める。
私は、本当に治りたいのだろうか。
それとも、この歪んだ衝動ごと、誰かに壊されてしまいたいのだろうか。
自分で自分がわからなかった。
ただひとつ確かなのは、明日が来るのが怖いということ。
そして、それでも明日は来てしまうということだった。
布団の中の闇が、ゆっくりと私を包み込んでいく。目を閉じたまま、私はただ、時間が止まってくれることを願い続けた。
⭐️通学
翌朝、目覚めて最初に感じたのは、下腹部の鈍い痛みだった。
一晩中うなされていたせいで、シーツは汗でぐっしょりと濡れている。枕には涙の跡がくっきりと残っていた。腕時計を見ると、まだ五時半。いつもより三十分も早い起床だった。
私はしばらく布団の中で天井を見つめてから、ゆっくりと上体を起こした。身体中が軋む。太ももの内側に、昨日つけられたらしい青あざが浮かんでいる。田崎の指の痕だ。
洗面所の鏡に映る自分の顔は、幽霊みたいに青白かった。目の下には濃い隈ができている。唇の傷は黒く固まって、笑おうとするとつっぱった。
それでも、私は製服に袖を通した。
卑劣な奴らに、私の人生を台無しにされてたまるか。
鏡の中の自分に、そう言い聞かせる。昨日は確かに最低だった。抵抗できず、感じてしまった。自分が情けなくて、汚らわしくて、死にたくなった。
でも、だからといって逃げ続けるわけにはいかない。
私は病気を治すために通院している。刺激を避け、衝動を抑える練習をしている。それがたまたま、卑劣な男たちの格好の餌食に見えただけの話だ。彼らに屈する必要なんて、どこにもない。
今日こそ、しっかり自製してみせる。
私はリビングに降りて、まだ寝ている両親を起こさないように、簡単な朝食をとった。食パンにバターを塗り、ミルクティーを流し込む。味はしなかった。
「行ってきます」
誰もいない玄関に小さく呟いて、私は家を出た。
空気は冷たく澄んでいて、東の空がうっすらと白み始めていた。住宅街を抜け、駅へ向かう道すがら、私は心の中で繰り返し唱える。
大丈夫。今日は違う。今日こそ自分をコントロールする。
駅に着き、改札を抜ける。ホームに降り立った瞬間、背筋を冷たいものが走った。
妙に人が多い。
いつもの始発に近い時間帯なら、ホームにはせいぜい十人いるかいないかだ。なのに今朝は、三十人以上が並んでいる。しかも、全員が男。スーツ姿のサラリーマンから、作業着の中年、大学生らしき若者まで。彼らは手に新聞やスマホを持ち、一見すると普通の通勤客のように見える。
でも、何かがおかしい。
私がホームに現れた瞬間、数人の視線が一斉にこちらを向いた。まるで、私の到着を待っていたかのように。
胸がざわつく。嫌な予感が、熱い溶岩みたいに胃の底からせり上がってくる。
電車が滑り込んできた。ドアが開く。中はこの時間とは思えないほど混んでいて、私は半ば押し込まれるように車内へと吸い込まれていった。
次の瞬間、今度は逆に背中を誰かに強く押されて、車両の中央へと追いやられる。私の身体は、無数の男たちの壁に囲まれた。
ドアが閉まった。
気づいた時には、私が乗っている車両だけが異常なまでに混み合っていた。
窓越しに見える隣の車両は人影もまばらだというのに、ここだけがぎゅうぎゅう詰めの満員電車と化している。
これは偶然じゃない。
確信が、氷のように心臓を刺した。
「おはよう」
背後から、聞き覚えのある声がした。
昨日、私の耳元で「おとなしそうな顔して、こういうの好きなのかな?」と囁いた、あの声だ。
身体が凍りつく。
「今日も早いんだね」
今度は左側から別の声。これも聞き覚えがある。二方向から私を弄ったもう一人の方だ。
「昨日は可愛い声、聞かせてくれてありがとう」
「おかげで俺たち、すっかりファンになっちゃってさ」
「また会いたいなって、仲間も呼んで待ってたんだよ」
周りを見渡す。彼らの目は全て、私の身体に向けられていた。まるで、檻の中の獲物を見つめる獣のような目。
逃げ場はない。前にも後ろにも右にも左にも男たちが立っていて、私は完全に身動きを封じられている。
製服の襟元が、嫌な汗でじっとりと濡れ始めた。
「やめ……て」
私の喉から、蚊の鳴くような声が漏れた。
その瞬間、つり革につかまった私の腕が、誰かに強く握られた。指を一本一本引き剥がされ、つり革から無理やり手を外される。両腕が、左右に引っ張られるようにして男たちの胸元に押しつけられた。
「抵抗しないの、偉いね」
耳元で低く笑う声。
違う。抵抗したい。突き飛ばして、叫んで、逃げ出したい。だけど身体は恐怖で固まってしまって、指一本動かせない。
製服の上から、無数の手が這い回り始めた。
背中。腰。お腹。太もも。
昨日のようにゆっくりと品定めするような手つきじゃない。もっと乱暴で、せっかちで、まるで獲物を貪るみたいに、私の身体のあらゆる部分をまさぐっていく。
「……ひっ」
誰かの指が、スカートの裾から侵入してきた。太ももの内側を撫で上げられ、身体がびくんと跳ねる。その反応を見て、周りの男たちが嬉しそうに息を漏らした。
「可愛い❤️怯えて震えてる」
「昨日も感じやすかったもんな」
「今日は何回イかせてもらおうかな」
やめて。お願い。助けて。
言葉は声にならず、喉の奥で潰れた。誰か気づいて。この車両だけ異常だって、誰か。
窓ガラス越しに、隣の車両にいる女性と目が合った。三十代くらいの会社員らしき人。彼女は一瞬、混雑するこの車両を見て眉をひそめたが、すぐにスマホに視線を落とした。一人の中年男性が彼女の斜め後ろで、私のいる車両をちらりと見てから、気づかぬふりをして新聞を広げる。
誰も、見て見ぬふりをする。
世界はこんなにも無関心で、残酷だ。
私の胸元に、無遠慮な手のひらが覆いかぶさった。ブラウスの上から乳房を鷲掴みにされ、息が詰まる。指が製服越しに頂点を探り当て、ぐりぐりと押しつぶすように弄り始めた。
「……やっ……やめて……ください……」
ようやく絞り出した声は、涙で震えていた。
でも、その懇願は彼らをより一層昂らせる燃料にしかならなかったらしい。
周囲から「可愛い声」「もっと聞かせて」というささやきが降ってくる。
「あのなあ、佐伯さん」
背後の男が、耳に唇を寄せて囁いた。
「昨日あんだけイったお前が、今更抵抗できると思ってんのか?」
心臓が凍りつく。
そうだ。昨日、私は彼らの前で絶頂してしまった。痴漢の手で感じ、声をあげ、全身を痙攣させた。それはもう、消えない事実だ。彼らにとっては、それが何よりの免罪符になっている。
私が感じるから、触っていいんだ。
私がイくから、もっとやっていいんだ。
その歪んだ論理の前に、私は無力だった。
無数の手が、製服のあちこちに潛り込む。ブラウスのボタンが外され、スカートのファスナーが下ろされていく。太ももを滑る指が、下着の縁にかかる。
「……いや……だ…」
涙が溢れてきた。でもそれさえも、誰かの指がそっと拭い去っていく。優しさを装った、残酷な仕草だった。
「泣くなよ、気持ちいいだろ?」
「大丈夫、昨日みたいにちゃんとイかせてやるから」
「他の皆にも協力してもらおうな」
協力。その言葉の意味を理解した時、私の全身が総毛立った。
周りを見れば、十人以上の男たちが順番を待つかのように、私を取り巻いている。彼らは互いに目配せをし、まるで役割を分担するかのように、それぞれが私の身体のどこを責めるかを示し合わせている。
これは、終わらない。
昨日よりもずっと長く、ずっと酷く、ずっと多くの手によって、私は弄ばれ続けるのだ。
恐怖と絶望が、黒い渦になって私を飲み込もうとしていた。
その時だった。
太ももをまさぐっていた手が、私の秘所に触れた瞬間――脳裏に、昨日の医師の言葉が蘇った。
『衝動を自覚すること。それが第一歩です』
『あなたは決して、欲望のままに動いているわけじゃない。苦しみながら、それでも止められないだけだ』
違う。今のこれは、衝動なんかじゃない。欲望なんかじゃない。
これは、暴力だ。
私の身体がどう反応するかに関わらず、これは許されない行為だ。
彼らが悪い。私が感じるとか感じないとか、そんなことは関係ない。
頭ではわかっている。なのに、口は動かない。身体は震えるばかりだ。
そして――やってくる。
誰かの指が下着の中に潛り込み、敏感な場所に直接触れた瞬間、私の身体は裏切りの反応を返し始めた。恐怖に冷え切っていたはずの下肢が、じんわりと熱を持ち始める。心臓が早鐘を打ち、息が浅くなる。
嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ。
私の身体、私のものなのに。なんで言うことを聞いてくれないの。
「あ……」
漏れた吐息に、周囲がざわつく。
「来た来た」
「ほら、感じてきたぞ」
「正直でいい子だなあ」
違う。違うのに。
指が動くたびに、腰が勝手に揺れる。足に力が入らなくなる。視界が滲み、耳鳴りがして、思考がぐちゃぐちゃになっていく。
私はこれから、また彼らの前で絶頂するのだろうか。
昨日よりも多くの人数の前で。
昨日よりも長い時間をかけて。
それを「協力」と呼ぶ彼らの手で。
ブラウスの前ボタンが、無遠慮な指によって次々と弾かれていく。留め金が外れる微かな音が、電車の走行音に混じって耳に届くたび、私の心臓は悲鳴を上げた。
左右から伸びてきた二人の男の手が、はだけた布地の下から露わになった乳房をそれぞれ鷲掴みにする。冷たい指先が、熟しきれていない柔らかな肉に食い込む。
「んっ……!」
息が詰まる。左右非対称なリズムで、彼らは乳首を指の腹で押し潰すように転がし始めた。捏ねられ、弾かれ、時折爪を立てて引っ張られる。痛みと、それとは明らかに異なる痺れのような感覚が、背骨を伝って脳髄へと直接突き刺さる。
「ほら、硬くなってきたぞ」
「乳首、ビンビンじゃねえか。感じてんだろ?」
耳元で囁かれる下品な言葉に、顔が熱い。違う、と首を振ろうとするが、身体は彼らにがっちりとホールドされて身動きが取れない。ただ、自分の乳首が彼らの指の動きに呼応して、恥ずかしいほど硬く屹立している事実だけが、残酷に伝わってくる。
その間にも、背後から別の男の手が私の臀部を執拗にまさぐっていた。スカートの上から、あるいは裾から潛り込んでは、弾力のある肉を掌で掴み、円を描くように揉みしだく。まるで品定めをするような、所有物を愛でるような、粘着質な手つきだ。
そして――。
「うっ……冷っ……」
背後の男が取り出したのは、プラスチックのボトルだった。冷たく粘り気のある液体が、太ももの付け根から尻の谷間へと垂らされる。ローションだ。
ヌルリ、と滑る異物感に、全身が総毛立つ。粘液は重力に従ってゆっくりと流れ落ち、決して触れられてはならない秘所のすぐ裏側、菊座へと到達した。
「ひッ……! そこ、だめ……!」
ぬるぬると滑る指が、抵抗なく皺の奥へと侵入してくる。排便器官であるはずの場所が、性感帯のように弄ばれるという強烈な倒錯感。異物感と、腸の奥を穿られるような不快感、そして内臓を直接触られるような恐怖に、胃が裏返りそうになる。
円を描くように菊座をこね回され、中の筋肉が無意識に収縮しては、ローションの助けを借りた指に敗北する。
「けっこう締まるじゃねえか。こっちも素直だな」
耳元で男が低く笑う。排洩器官を「素直」と評される屈辱に、目の前が真っ白になった。
さらに、前方にいた男が私のスカートの裾を強引にたくし上げた。腰の線まで布地がまくり上げられ、下着と太ももが車内の蛍光灯の下に曝される。
「んじゃ、こっちは俺がいただくか」
男は不自然な体勢で私の股間に顔を埋めると、下着の横から舌を差し入れた。
「あぁッ……! んぐっ……!」
生暖かく濡れた感触が、最も敏感な粘膜に直に触れる。舌先が陰核を捉え、吸い上げるように弄ぶ。唇で包み込まれ、強弱をつけて舐め回されるたび、腰がビクビクと跳ねた。
前後、左右からの同時責め。
乳首を捏ね回され、菊座をローションで冒涜され、秘所を舌で貪られる。
感覚が多すぎて、何がどこで起きているのかさえ暧昧になる。脳が熱を持ち、過負荷にショートしていくのがわかる。
「ほら、もうグショグショだ。舐められただけでこんなに濡らしやがって」
男が口を離し、粘膜が引っ張られるような音と共に銀糸が引く。その光景を見た周囲の男たちから、下卑た笑いが起きた。
「いや……違、ぅ……」
否定したいのに、声が震えて言葉にならない。身体の奥底から湧き上がる熱の奔流が、私の理性を押し流していく。
恐怖も屈辱も嫌悪も、全てが快楽という泥沼に吸い込まれていく。
自分の意志とは無関係に、腰が男の顔に押し付けられるように揺れる。乳首は限界まで硬く腫れあがり、菊座は異物を受け入れて蠢いている。
嫌だ。こんなの、絶対に嫌だ。
なのに、身体は悦びの悲鳴を上げ始めていた。
「あっ、あぁッ……ぁぁぁッ……!」
電車の微かな揺れさえも、今の私には刺激となって響く。彼らの手や舌の動きに合わせて、視界が白く発光し始める。
終わりだ。
また、私は壊される。
私の「異常」な身体は、この暴力すえも「快楽」として処理し、私を追い詰めていく。
明日も、明後日も、この地獄は続いていくのだという絶望だけが、迫りくる絶頂の波と共に、私の心を押し潰しそうだ。
「だめ……いか、ない……ッ!」
必死に歯を食いしばり、喉の奥からせり上がってくる波に抗う。唇の傷が痛むほど強く噛みしめ、拳を握りしめて、身体の芯を焼き尽くそうとする熱に抵抗した。
しかし、多方向から同時に攻め立てられる過創な刺激は、もはや私の意志など通用しない領域まで私を追い詰めていた。乳首を捏ね回される鋭い痺れ。腸の奥をローションでかき回される屈辱的な異物感。そして、敏感すぎる粘膜を舌で直接貪られる強烈な快楽。それらが一つに絡み合い、背骨を駆け上がって脳髄を焼き焦がす。
「あっ、あぁッ、ああぁぁッ……!」
耐えきれなかった。
身体の中心で何かが弾け飛び、私は声にならない叫びを上げながら絶頂に達した。全身が激しく痙攣し、目の前が真っ白に発光する。太ももの筋肉が引きつり、腰が反り返るように跳ねる。秘所から大量の愛液が溢れ出し、男の顔を汚すのがわかった。
どさり、と音を立てて膝が折れた。
力が一切入らず、私は男たちの足元に崩れ落ちる。床に膝をつき、両手をついて喘ぐしかない。電車の微かな振動が、膝を通して直接伝わってくる。絶頂の余韻で身体はまだ小刻みに震えていて、太ももの内側には冷ややかな汗とローションが混じり合って垂れていく。
「ハハッ! イったな、イきやがった!」
「すげえ痙攣だこと。俺たちにイかされてこんなになっちゃってよ」
「おいおい、床が濡れちまうぞ。こんなに出しやがって」
男たちの歓声が頭上から降り注ぐ。彼らの声には、獲物を完全に屈服させた征服感と、下卑た喜びが満ちていた。膝をついてくったりしている私を見下ろす視線は、哀れみなど欠片もない。
俯いたまま、涙で滲む視界の中で、私は震える声を絞り出した。
「……こんなことして……何が、嬉しいんですか……ッ」
喉が焼けるように痛い。嗚咽が混じってうまく言葉にならない。
「私の……お父さんくらいの、おじさんだっているのに……ッ」
私は顔を上げ、一番近くに立っていた中年の男を睨みつけた。皺の刻まれた顔。薄くなった髪。確かに私の父と同じ世代の人間だ。
「自分の娘が……こんなことされたら……どんな気持ちになるか、わかるでしょう……!」
精一杯の抗議。この惨めな状況下で投げつけられる、唯一の武器だった。倫理観のかけらでも、彼らの胸に突き刺さればいいと願った。
しかし。
私の叫びは、一瞬の静寂の後、爆発するような嘲笑に飲み込まれた。
「娘ぁ? ハッ、何言ってんだこの女」
「俺の娘はこんな淫乱じゃねえよ」
「逆に興奮するなぁ。同い年くらいの娘がいるって言ってた奴、羨ましいぞ」
彼らの目に良心の呵責など映っていなかった。むしろ、私の悲痛な訴えすらも、嗜虐心を煽るスパイスとして消費されている。倫理という盾は、彼らの欲望の前では紙切れ同然だった。
「さあ、まだまだこれからだろ?」
背後の男が私の腋の下に手を差し込み、無造作に引き上げた。
「ひっ……!」
膝が床から離れる。細い腕一本で軽々と持ち上げられ、私は男の胸元に背中を預ける形で空中に浮いた。足がぶらぶらと揺れる。逃げ場などない。
「足、持てよ」
男の指示で、左右から別の男たちが私の足首を掴んだ。
「やめ……放して……!」
抗議しようともがくが、彼らの力は圧倒的だった。私の両脚は左右へと強引に引き開かれ、大きくM字に割り開かれた。スカートは腰のあたりでくしゃくしゃにまとまり、下着は太もものどこかにずり落ちているのか、あるいは脱がされてしまったのか、下半身は完全に無防備に曝されていた。
露出した秘所が、冷たい車内の空気に晒される。
「うわっ、すげえな」
「ほんとにグショグショじゃねえか。見てみろよこの割れ目」
「イク時ってこうなるのかあ。けっこう開いてんじゃん」
彼らは私の股間を覗き込み、割れ目という卑俗な言葉で私の最も隠すべき場所を指し示しながら、ゲラゲラと笑った。
恥ずかしさで顔が沸騰しそうだ。絶頂の余韻でまだ充血し、愛液で濡れ光る秘所を、無数の男たちの視線が舐め回す。足を閉じようとしても、掴まれた足首はびくともしない。彼らは私をまるで獲物を解剖するかのように広げ、その恥態を品定めする。
「おーい、こっち来て見てみろよ! 佐伯愛佳ちゃんの淫乱な『おまんこ』だぞ!」
誰かが隣の車両に向かってふざけて叫ぶ声が聞こえた。
私はただ、持ち上げられ足を開かされたまま、涙を流して震えることしかできなかった。父への訴えは届かず、ただただ私の惨めな姿が、彼らの慰み物として笑いものにされていく。
電車はレールの上を何事もないように走り続け、私の絶望だけが容赦なく深まっていく。
股間を舐め回す。恥辱と絶望で全身が震え、涙が止めどなく頬を伝う。それでも、私の身体は裏切り続けていた。先程の絶頂の余韻で、秘所はまだひくひくと震え、新たな刺激を待ちわびるかのように愛液を溢れさせている。
「んじゃ、そろそろ一番乗りを決めようか」
誰かの声がして、背後の男が私を支え直した。足首を掴んでいた男たちが、さらに高く私の脚を持ち上げる。腰が浮き、秘所が天井に向かって突き出されるような格好になった。
「若いモンに譲れよ、こういうのは」
「へへ、サンキューっす」
二十代半ばくらいの、まだ若い男が私の前に立った。彼はベルトを外し、すでに硬くそそり立った自身を取り出す。サイズは決して大きくはないが、先端からは我慢しきれずに先走りが滲み出ている。若さ特有の、むき出しの欲望だった。
「や……やめて……お願い……」
懇願する声は震え、涙でかすれていた。だけど男は、獲物を狙う獣のように目を細めて笑う。
「大丈夫、すぐ気持ちよくなるから」
ぬるり、と先端が秘裂に当てがわれる。熱い。固い。そして、容赦がなかった。
「ひぅっ……!」
一気に最奥まで貫かれる。内壁を無理やり押し広げられる感覚に、息が詰まった。身体の中で、見知らぬ異物が脈打っている。恐怖と不快感で吐き気がする。
それなのに。
「あっ……あぁっ……!」
男が腰を動かし始めた瞬間、私の口から漏れたのは苦痛ではなく、甘い喘ぎだった。
パラフィリア障害のせいで、私の脳は性的刺激を過剰に快楽へと変換してしまう。彼がピストン運動を始めるたびに、膣壁がきゅうきゅうと締まり、亀頭の形をなぞるように蠢く。引き抜かれる時には、離れがたいとばかりに絡みついた。
「うわ、なにこれ……締め付けやば……」
若い男が驚きの声をあげる。彼はすぐに息を荒げ、腰の動きを速めた。パンパンという肉のぶつかる音が車内に響く。結合部からは、私の愛液と彼の先走りが混ざり合って白く泡立っていた。
「くっ……イく……!」
彼が私の奥深くに押し込んだ瞬間、熱い奔流が子宮口に叩きつけられた。ドクドクと脈打つ感覚。体内に直接、彼の精液が注ぎ込まれていく。汚された、という嫌悪感と同時に、私の身体は勝手に反応していた。
「ああぁっ……!」
二度目の絶頂が、私を襲う。膣が痙攣し、まるで精液を搾り取るかのように若い男を締め付ける。絶頂の最中に中出しされるという、二重の刺激に脳が焼き切れそうだった。
「次、俺な」
若い男が満足げに引き抜くと、今度は四十代くらいの、体格の良い男が前に立った。彼のものは先程の若者よりずっと太く、血管が浮き出ている。ゴツゴツとした手で、私の腰を固定した。
「待っ……まだ……イったばかりで……」
敏感になりすぎた粘膜が、空気に触れるだけでもひりひりと痛む。なのに男は容赦なく、まだ若者の精液で濡れそぼる秘所に、自身の巨大な肉棒を押し込んできた。
「ぐっ……ああっ!」
太さが違う。さっきまでとは比べ物にならない圧迫感に、内臓が押し上げられるような感覚。彼はゆっくりと、しかし確実に私の中で自身の形を教え込むように、時間をかけて奥まで到達した。
「ほら、ちゃんと奧まで入ったぞ」
男は私の耳元で囁き、それから容赦ないピストンを開始した。ゆっくりと、しかし深く。引き抜く時も、押し込む時も、内壁を余すことなく擦り上げる。私の身体は、その動きに合わせてうねり、彼を受け入れようと勝手に蠢く。
「あっあっあっ……! だめ、それ、だめぇ……!」
子宮口をコツコツとノックされる感覚。膣の奧の、さらに奧をこじ開けられるような刺激に、腰が浮く。自分ではコントロールできない場所から、快楽の波が押し寄せてくる。
「イけよ、遠慮すんな」
「ひゃうっ……!」
男が私のクリトリスを指で弾いた瞬間、三度目の絶頂が私を貫いた。同時に彼も、低い唸り声をあげて私の中で精を放つ。二度目の中出し。熱い液体が、子宮の奧を満たしていく感覚に、私はまた小さく達した。
次に現れたのは、五十代後半とおぼしき、初老の男だった。痩せていて、皺が深く、指には煙草のヤニが染みついている。彼のものは、先の二人よりは小さく、しかし不気味なほど硬かった。
「俺の娘と、同じくらいかな」
彼は私の顔を覗き込みながら、そう呟いた。その目は濁っていて、何を見ているのかわからない。
「お父さんなんでしょ…やめて……」
震える声で言った。さっき私が投げかけた言葉を、彼にぶつける。
しかし彼は、ただ無表情のまま、私の中に侵入してきた。
「くくくその言葉、むしろ興奮するぜ」
冷たい。まるで感情のないピストン運動。それなのに、形は私の気持ちいい場所を的確に擦り上げる。年の功なのか、彼は私の弱い部分を熟知しているかのように、小刻みに腰を使い、時折奥をぐりぐりと押し潰した。
「んっ…やだ…あっ……」
声を抑えられない。若者や中年の時よりも、なぜか深いところで感じてしまう。彼は何も言わず、ただ黙々と私を犯し続けた。そして、何の前触れもなく、私の奧に精を放った。ドクドクというよりも、じわじわと染み出るような射精。それが妙に生々しくて、私は声もなく涙を流した。
「俺も俺も」
「次、いいか?」
男たちは次々と私の前に並んだ。年齢も、体格も、サイズもバラバラの男たち。一人が終われば、すぐに次が私の中に入ってくる。
長くて細いもの、短くて太いもの、上に反り返ったもの、先端だけが異様に大きいもの。それらが次々と私の膣内を蹂躙し、それぞれの形を教え込み、精液を注ぎ込んでいく。
「あっ……ああっ……! また、イク……イっちゃう……!」
「俺も出すぞ……!」
何度目かの絶頂と同時に、また一人が私の中で果てた。とめどなく溢れる精液が、太ももを伝って床に滴り落ちる。車内には、汗と精液とローションの饐えた匂いが充満していた。
もう何人目かもわからない。十人は超えた。十五人かもしれない。
私はもはや、まともに言葉を発することもできず、ただ人形のように彼らに犯され続けた。意識が朦朧とする中で、それでも身体だけは正直に反応し、絶頂を繰り返す。
心は死にたがっているのに、身体はまだ悦んでいる。この矛盾こそが、私の地獄だった。
「そろそろ終点だぞ」
誰かの声で、ようやく地獄の時間が終わりを告げる。電車が減速し始め、男たちは名残惜しそうに身支度を整え始めた。最後の一人が私から引き抜き、満足げに息をつく。
私は床に崩れ落ち、動けなかった。製服は乱れ切り、あちこちに精液の染みがついている。下半身は感覚が麻痺して、自分のものではないみたいだった。膣からは、何人分もの精液が混ざり合った白濁液が、とめどなく溢れ出ている。
男たちは何事もなかったかのように、それぞれの駅で降りていく。中には、私の髪を優しく撫でてから去る者さえいた。
「また明日な、佐伯さん」
昨日と同じ声。背後の男が、最後にそう囁いて去っていく。
また明日。
その言葉が、ナイフのように胸に突き刺さった。
これは終わりじゃない。明日も、明後日も、私は彼らに犯され続ける。私の身体が彼らの欲望を受け入れ、悦び、絶頂する限り。
電車が駅に滑り込み、ドアが開く。私は立ち上がることもできず、這うようにしてホームに降りた。製服の乱れを直す気力もなく、ただ床に座り込んで震える。
周りの乗客たちは、そんな私を一瞥するだけで、誰も声をかけてこなかった。私という存在は、この世界において、すでに透明なのかもしれない。
「……もう、いやだ……」
誰にも届かない呟きが、ホームの喧騒に消えていった。
製服のポケットで、スマホが震える。学校からの連絡だろうか。それとも、母からの「今日は大丈夫?」というメッセージだろうか。
私は画面を見ることすらできず、ただうずくまって泣き続けた。身体の奥では、まださっきまでの快楽の残り火が燻っていて、それが何よりも自分を呪わしく思わせた。
⭐️星野純恋
ホームの冷たいコンクリートに座り込んでいた私の耳に、聞き覚えのある声が届いた。
「……佐伯?」
顔を上げる気力もなかった。ただ、涙で滲んだ視界の中に、色とりどりのシューズが止まるのが見えただけ。
「なにこれ……最悪」
ため息交じりのその声は、星野純恋だった。
金髪にピンクのメッシュを入れた彼女は、クラスでは浮いた存在だ。授業は寝ているかスマホをいじっているかで、先生たちからは「不良」扱いされている。私みたいな地味で真面目な人間とは、接点なんてこれっぽっちもなかったはずなのに。
「おい、聞いてんの?」
純恋は私の前にしゃがみ込んだ。強引に顔を覗き込んでくる。近い。甘い香水の匂いがした。
「……星野、さん」
「うわ、ひどい顔」
彼女は眉をひそめ、私の乱れた制服や、太ももにこびりついた白濁の跡に視線を走らせた。一瞬だけ、彼女の瞳の奥で何かが揺れた気がした。軽蔑じゃない。怒りでもない。もっと深い、痛みを伴うような色だ。
「立てる?」
手が差し出される。
私はその手を見つめた。汚れた私が触れていい手じゃない。そう思ったのに、身体が勝手に動いた。
「……っ」
すがりつくように、彼女の手を掴む。その手は、男たちのそれとはまるで違っていた。細くて、でも力強くて、温かい。
純恋は何も言わずに私を引き上げた。よろめく私の肩を抱き寄せ、自分のコートで身体を覆うようにして歩き出す。
「行こう。学校まで送るから」
「で、でも……こんな格好で……」
「誰も見てないって。見ても何も言えない奴らなんだから放っときな」
彼女の声には、拒絶を許さない力強さがあった。私はただされるがままに、彼女に支えられて歩いた。
始発に近い時間の道は静かだった。冷たい朝の空気が、火照った肌に心地よい。純恋の体温だけが、私の凍りついた心を少しだけ溶かしてくれている気がした。
学校に着くと、純恋は正門ではなく裏口の方へ私を連れて行った。誰にも見つからないように配慮してくれているのだとわかって、胸が締めつけられた。
「こっち」
彼女が連れて行ってくれたのは、使われていない旧校舎の部室棟だった。廊下は薄暗く、空気はひんやりとしている。
「星野さん、ここ……」
「いいから入って」
彼女がドアを開けると、そこは小さな部室だった。机や椅子が乱雑に置かれ、埃っぽい匂いがする。でも、部屋の奥には小さなシャワールームがついていた。昔の体育会系部活の合宿所だったのかもしれない。
「服、脱いで」
純恋は蛇口をひねり、お湯を出し始めた。
私は躊躇した。この汚れた身体を、誰かに見せるなんて。
「……自分じゃ、洗えない?」
彼女は服を脱ごうとしない私の手をそっと握り、優しく促した。
「佐伯は何も悪くないよ」
その言葉が、私の堰を切った。
「うっ……あぁっ……!」
涙が止まらなかった。声を上げて泣きじゃくる私を、純恋はただ黙って抱きしめてくれた。男たちにつけられた汚らわしい匂いが消えていくような気がして、私は彼女の肩に顔を埋めて泣き続けた。
やがて彼女は、震える私の服を一枚ずつ脱がせてくれた。ブラウスのボタンを外す指先は驚くほど優しくて、まるで壊れ物を扱うみたいだった。
シャワーの湯気が、二人を包み込む。
温かいお湯が身体を打つたびに、男たちの感触が少しずつ洗い流されていく気がした。純恋の手がポンプから直接ソープを取り出し、泡立てて私の背中へ滑り込ませる。
「……んっ」
びくりと身体が跳ねた。
「ごめん、冷たかった?」
「ううん……違うの……ただ……」
誰かに優しく触れられることに慣れていなかった。昨夜の今日で触れられるのは恐怖か快楽だけだと思っていたから。
「気持ちいい?」
「……うん」
彼女の手は私の背中を、肩を、腕を丁寧に洗っていく。まるで母親に洗ってもらっているみたいに安心して、私は目を閉じた。
太ももに手がかかった時だけ、身体が強張った。
「大丈夫」
耳元で囁かれた声は温かくて。
汚された場所も、彼女の手が泡で覆ってくれると少しだけ浄化される気がした。指先が内腿を滑り、秘所の周りに残った白濁を優しく洗い流していく。恥ずかしさはあったけれど、不思議と嫌悪感は湧かなかった。
全て洗い終えると、純恋は私にバスタオルを巻きつけ、自分の服も濡らさないように気をつけながら抱きしめてくれた。
「もう大丈夫だから」
濡れた髪から滴る水滴もそのままに、私は彼女の胸に顔を押し当てた。
「辛かったね」
ただそれだけの言葉が、どんな慰めよりも深く心に届いた。
私は声を殺して泣いた。彼女はずっと背中をさすってくれていた。その温もりだけが、私と世界を繋ぎとめる唯一の糸だった。
しばらくして落ち着いてくると、私は顔を上げた。
「……星野さんは、どうして……」
「ん?」
「どうしてこんなこと……私なんかのために……」
クラスでも殆ど話したことなんてないのに。不良扱いされている彼女が、どうして地味で冴えない私なんかに構うのだろう。
純恋は少しだけ笑って、私の濡れた髪を耳にかけた。
「佐伯が毎朝一番電車に乗ってるの、知ってたよ」
「えっ……」
「前から気になってた。……似たような匂いがしたから」
「匂い……?」
「無理してる匂い」
彼女は私の目を真っ直ぐに見た。
「私も昔そうだったから。……自分を押し殺して、周りに合わせて笑って。……それでいつか壊れちゃいそうだった」
私の心臓が高鳴った。
「だからさ、佐伯があんな姿でホームに座ってるのみて……放っておけなかった」
彼女の手が私の頬に触れる。
冷えた頬に伝わる彼女の体温が愛おしかった。
「これからは一人で乗らないで。……もしまた何かあったら呼んで。すぐ飛んでくるから」
星野純恋という少女は、太陽みたいだと初めて思った。遠くて眩しくて近づけないと思っていたけれど、実は一番近くで温かさをくれる存在だったんだ。
「……うん」
私は彼女の手に自分の手を重ねた。
「ありがとう……純恋ちゃん」
名前を呼ぶと、彼女は少し驚いたように目を見開いてから、花が綻ぶような笑顔を見せた。
「敬語やめなよ。仲良しだろ?」
「……うん」
自然と笑みがこぼれた。こんなに心からの笑顔をするのはいつぶりだろう。
旧校舎の部室にはまだ少し肌寒かったけれど、純恋と二人きりの空間はどこよりも温かかった。
彼女と出会えたことが、地獄のような朝の終わりに与えられた小さな奇跡だった。
⭐️盾
教室のドアに手をかける瞬間、私の足はためらいを見せた。
昨日の今日だ。田崎が私を放っておくはずがない。朝のホームルームが終われば、必ず声がかかる。あの低い、耳障りな声で。「佐伯、ちょっと来い」と。
そう思うだけで、胃の奥が冷たい塊になった。
「大丈夫」
背後から、小さな声がした。振り返ると、純恋がいた。彼女は私の不安を見透かしたように、静かに頷く。
「私がついてるから」
その言葉だけで、少しだけ背筋が伸びた気がした。
意を決して教室に入る。まだ早朝で、生徒はまばらだ。自分の席に荷物を置き、椅子に座る。机の冷たさが掌に伝わってくる。
時刻は八時五分前。担任が入ってくるまでの、ほんの数分間。
その時だった。
「おい、佐伯」
背筋が凍りついた。
振り返らなくてもわかる。あの声。あの足音。体育教師・田崎だ。
「生活指導室まで来い。話がある」
彼は教室の入り口に立っていた。腕組みをし、見下すような視線を私に向けている。その目には、昨日私を犯した時と同じねっとりとした光が宿っていた。
身体が勝手に震えそうになるのを、必死に堪えた。立ち上がろうとして、足に力が入らない。
「……はい」
か細い声しか出なかった。周りの生徒たちは何事かとこちらを伺っている。でも、誰も助けようとはしない。教師の命令は絶対だという空気が、教室を支配している。
私は椅子から腰を浮かせかけた。
その瞬間。
「待ってください」
鋭い声が響いた。
私の隣から、純恋が立ち上がったのだ。金髪の頭が、朝の光を受けてきらりと光る。彼女は田崎を真っ直ぐに見据え、一歩前に出た。
「佐伯さんは今、体調が悪いんです。朝から具合が悪くて、保健室に行こうとしてたところなんです」
嘘だ。純恋は私が電車で何があったのか知っているはずなのに、彼女は平然とそう言ってのけた。
田崎の眉がピクリと動く。
「星野……お前には関係ないだろう。佐伯、こっちへ来い」
「関係あります」
純恋は一歩も引かなかった。
むしろ、さらに一歩前に出て、私と田崎の間に立ちはだかる。
「彼女は私が保健室に連れて行きます。用があるなら、それからにしてください」
教室が静まり返った。生徒たちの視線が、二人の間を行き来する。空気が張り詰める。
田崎の顔に、苛立ちの色が浮かんだ。
「……星野。お前、またサボる気か? 相手が悪いぞ」
「サボりじゃないですよ。付き添いです」
純恋の声には、微塵の揺るぎもなかった。彼女の背中は細いけれど、私にとってはどんな厚い壁よりも頼もしく見えた。
「……ちっ」
田崎は舌打ちをした。不機嫌そうに私を一瞥し、それから純恋を睨みつける。
「勝手にしろ。だが佐伯、逃げられると思うなよ。放課後、必ず来い」
そう言い捨てて、彼は踵を返した。足音が遠ざかり、廊下の角を曲がって消えるまで、私は息をすることさえ忘れていた。
へなへなと、椅子に崩れ落ちる。
「大丈夫?」
純恋が私の顔を覗き込んだ。その瞳には、心配そうな色が浮かんでいた。
「……うん」
私は震える手で自分の腕を抱きしめた。田崎の言葉が耳に残っている。「逃げられると思うなよ」。放課後には行かなければならない。そうすればまた、あの生活指導室で――。
「考えないで」
純恋の手が、私の手の上に重ねられた。温かい。
「放課後も私がついてるから。一人にさせない」
彼女の言葉は、まるで私の心を読んだかのように的確だった。
「本当に……?」
「本当だよ。約束する」
彼女は私の手をぎゅっと握った。その力強さが、私の不安を少しずつ溶かしていく。
「ありがとう……純恋ちゃん」
彼女に救われたのはこれで二度目だ。電車で犯された後も、学校で田崎から守ってもらったのも、彼女だ。彼女はまるで――。
ナイトだ。
ふと、そんな言葉が頭をよぎった。
童話や映画に出てくる、姫を守る騎士。弱き者を守り、悪から救い出す勇者。純恋はまさにそれだった。金髪は鎧のように輝き、その言葉は剣のように鋭く敵を退ける。
そして今、彼女は私の手を握り、約束してくれている。「一人にさせない」と。
胸の奥が熱くなった。
ときめき、と呼ぶにはあまりにも複雑な感情だった。感謝と安堵と、そしてもっと深い何かが混ざり合って、心臓を早鐘のように打たせる。
私は彼女を見つめた。真っ直ぐな瞳。力強い手。守られているという実感が、全身を包み込む。
田崎のことはまだ怖い。放課後のことも不安でたまらない。でも、純恋がいてくれるなら。
少しだけなら、前を向けるかもしれない。
「行こう。保健室」
純恋は私の手を引いて立ち上がらせた。その手はまだ温かくて、私の手を決して離さないと語りかけているようだった。
教室を出る時、私は一瞬だけ振り返った。田崎が消えた廊下の角を見つめる。
もう大丈夫。
心の中でそう呟くと、私は純恋の手を握り返した。
彼女という盾がある限り、私はもう一人じゃない。
そのことが何よりも嬉しくて、私は彼女の背中を見つめながら、小さく微笑んだ。
⭐️放課後の光
終業のチャイムが鳴る直前、私の心臓は早鐘を打っていた。
田崎がくる。あの生活指導室に引きずり込まれる。また私の身体は、嫌悪感と共に快楽を刻み込まれてしまう。そう思うだけで、呼吸が浅くなり、掌が冷たい汗で湿る。
「愛佳」
隣の席から、純恋が小声で私を呼んだ。彼女は机の下で、私の手をそっと握ってくれた。
「呼吸、深くして。大丈夫だから」
その温もりだけが、私と現実を繋ぐ命綱だった。純恋の言う通り、大きく息を吸い、ゆっくりと吐く。彼女の手が、安心させるように私の甲を撫でていく。
チャイムが鳴り響いた。
教師が「解散」の声をかけ、教室がざわめきに包まれる。生徒たちが荷物をまとめ、友人と話しながら出口へと向かう。私は椅子に座ったまま、硬直していた。いつ、「佐伯」という声がかかるかと身構えていた。
一分経った。五分経った。
教室の人口が減り、いつもの放課後の空気が漂い始めても、田崎は現れなかった。
「……来ないね」
純恋が呟いた。彼女はスマホを取り出し、何かを確認するように画面を見つめている。
「職員室も、生活指導室も靜かだし。もしかして、来なくなったのかも」
「えっ……」
信じられなかった。あれほど「逃げられると思うなよ」「必ず来い」と言い捨てた男が、何もしてこないなんて。
「ま、いいじゃん。呼び出しがなきゃ、行く必要ないし」
純恋は立ち上がり、大きく伸びをした。その顔には、勝利の笑みが浮かんでいるようだった。
「行こう、愛佳。放課後を楽しまなきゃ」
彼女は私のカバンを勝手に持ち上げ、私の手を引いた。
「え、どこに?」
「屋上」
彼女はウィンクをして、私を教室から連れ出した。
屋上への扉を開けると、夕方の風が優しく吹き抜けてきた。
空はオレンジと紫が混ざり合ったグラデーションで、遠くのビル群がシルエットのように浮かび上がっている。まだ少し肌寒いけれど、この開放感が、今まで閉じこもっていた私の胸をスッと広げてくれた。
「いい眺めでしょ?」
純恋はフェンス際に歩み寄り、風に金髪を揺らしながら振り返った。逆光の中に立つ彼女は、本当に光そのものみたいに見えた。
「うん……すごく、綺麗」
私は彼女の隣に並び、夕焼け空を見上げた。冷たい風が、火照っていた頬を冷やしてくれるようで気持ちよかった。
「ここ、あたしのお気に入り。サボる時は大体ここにいたの」
「やっぱり、サボってたんだ」
「バレた?」
純恋は悪戯っぽく笑い、フェンスに背を預けて座り込んだ。私もその隣に座る。コンクリートの冷たさがお尻に伝わるけど、不思議と不快じゃなかった。
「ねえ、愛佳は何が好き?」
突然の問いかけに、私は戸惑った。
「好き……?」
「そう。食べ物でも、音楽でも、何でも。あたしのこと知りたいじゃん? 逆も然りだよ」
彼女は、私のことを知りたいと言ってくれた。
今まで、私の「好き」なんて誰も聞いてくれなかった。病院の先生は症状のことしか聞かないし、両親は気を遣って核心には触れない。痴漢たちは私の身体の反応しか見ていなかった。
「……ねこ」
口をついて出た言葉に、自分でも驚いた。
「ねこ! いいねえ。名前は?」
「シロって言うんです。白色の、ちょっとぽっちゃりした……」
「あー、わかる! あたしも猫好きよ。家で飼ってるんだ」
「えっ、本当?」
「うん。名前は『ゴロウ』。女の子なんだけど、強そうだからさ」
「ふふっ……似合いそう」
笑った。自然と声を出して笑った。こんな風に、他愛のない話で笑うなんて、いつぶりだろう。
「愛佳の笑顔、可愛いね」
純恋が、私の顔を覗き込むように言った。
「えっ……」
「もっと笑えばいいのに。すっごく愛佳に似合ってる」
顔が熱くなるのを感じた。夕焼けのせいだけじゃない。ドキドキが止まらない。これは、恐怖や絶望のせいじゃない。もっと温かくて、柔らかい鼓動だ。
「純恋ちゃんこそ……笑うと、太陽みたい」
「太陽? なんか照れるね」
彼女は照れくさそうに鼻をこすり、それからカバンから小さな包みを取り出した。
「お腹空いてない? お裾分け」
それは、コンビニのチョコパイだった。
「いいの?」
「当然。友達でしょ?」
友達。その響きが、胸に染みる。私は「ありがとう」と言って、チョコパイを受け取った。
甘い。チョコの甘さと、パイのサクサク感。そして、純恋と一緒に食べるという幸せ。口いっぱいに広がる甘さが、今までの苦い記憶を少しずつ溶かしていくみたいだった。
「美味しい」
「でしょ?」
彼女ももう一つを頬張り、口元にチョコをつけながら満足そうに笑う。その姿がおかしくて、また笑ってしまった。
風が吹き、純恋の髪が私の頬をくすぐる。彼女は自然に、私の肩に頭を預けてきた。
「ねえ、愛佳」
「ん?」
「明日も、一緒に電車乗ろうね」
「……うん」
「明後日も、その次も。あたしが隣にいるから、もう変な奴らは手出しできないよ」
彼女の体温が、肩から伝わってくる。確かな重みと温もり。それは、どどんな言葉よりも確かな約束だった。
「あたしね」
純恋が、少し声のトーンを落として言った。
「愛佳があのホームで座り込んでるのみた時、心臓止まりそうになったんだよ」
「……どうして?」
「だって、あたしの姫が傷つけられてたんだもん」
「姫……?」
「そう。あたしが守るって決めた人」
彼女は私の目を真っ直ぐに見て、それから私の手をそっと握りしめた。昨日、シャワーを浴びさせてくれた時と同じ、優しくて温かい手。
「愛佳は、何も悪くないよ。身体が反応しちゃうのは、病気のせいで、愛佳のせいじゃない。だから、絶対に自分を責めないで」
涙が、また込み上げてきた。でも今回は、悲しい涙じゃない。温かい言葉に包まれて、心が解けていくような涙だった。
「純恋ちゃん……」
「ん?」
「ありがとう……私、頑張るね。治すために、前を向くために」
「うん。手伝うよ。なんでも」
彼女は私の手を引き、立ち上がらせた。空はすでに紫から濃紺へと移り変わり、一番星が瞬き始めていた。
「帰ろうか。暗くならないうちに」
「うん」
私たちは手をつないで、屋下を後にした。
下駄履きで校門を出る時、私は恐怖を感じなかった。通学路も、駅へ向かう道も、まだ少し心臓は早鐘を打つけれど、隣に純恋がいる安心感がそれを上回っていた。
明日、また電車に乗ることになる。もしかしたら、また田崎が何かしてくるかもしれない。でも、もう私は一人じゃない。
私には、盾があり、剣があり、そして何より——私だけの太陽がいる。
「ねえ、明日はゴロウの写真見せてあげる」
「楽しみにしてる。私もシロの写真、見せるね」
「やった!」
純恋の笑い声が、夜道に響く。
今日という日は、地獄の朝から始まったけれど、こんなにも美しい夕暮れで終わるなんて思ってもみなかった。
繋いだ手から伝わる温もりを頼りに、私は一歩ずつ、未来へと足を踏み出した。
⭐️痴漢電車
翌朝、私は製服の襟を合わせながら、玄関鏡の前で深く息を吸い込んだ。吐き出す白い息が、不安の具現化みたいに霧散していく。
昨日の今日だ。あの男たちが、また私を待ち構えていることは容易に想像がついた。「また明日な」と囁いたあの声が、鼓膜の裏にこびりついて離れない。
「行ってきます」
誰もいない玄関に呟く声は、昨日と同じく小さかった。でも、心臓の音は昨日ほど激しくはない。理由はわかっている。私にはもう、約束を守ってくれる人がいるからだ。
家を出ると、朝の冷たい空気が頬を刺す。いつもの通学路。いつもの時間。でも、昨日とは決定的に違うことがあった。
「おはよ、愛佳」
通学路の途中にあるコンビニの前で、見慣れた金髪が冬の朝日を弾いていた。ピンクのメッシュが入った髪、だぼっとしたコート、そして校則違反のピアス。星野純恋は、片手に温かい缶ミルクティーを持って私を待っていた。
「純恋ちゃん……」
「おまたせ。寒かったでしょ? これ、あたしのおごり」
彼女は呆気にとられる私の手を無理やり取って、温かい缶を握らせてくれた。掌にじんわりと伝わる熱が、凍りついていた私の心を溶かしていくみたいだ。
「どうして……家の近くに?」
「決まってんじゃん。一緒に駅に行くためだよ」
彼女は当然のように言って、私のカバンを勝手に持って歩き出した。
「あのさ、昨日言ったよね。一人で乗らないでって」
「うん……」
「あたしが隣にいるから、もう変な奴らは手出しできない。……そう信じてるけど、でもやっぱり心配だからさ」
純恋は振り返り、悪戯っぽく笑った。
「あたしのナイトとして、姫を送迎しないとね」
その言葉に、胸がきゅんと熱くなった。彼女は昨日の私の「ナイト」なんていう照れ隠しのような言葉を、こうも自然に受け入れてくれている。
「ありがとう……純恋ちゃん」
「んもう、何回もありがとうって言わないの。友達でしょ?」
彼女は私の肩を抱き寄せ、コンビニの駐車場を出た。
駅に近づくにつれて、私の足取りは重くなった。改札口が見えてくる。あの光景を思い出す。男たちに囲まれ、身動きが取れず、弄ばれたあの閉塞感。足がすくみ、呼吸が浅くなる。
「愛佳」
純恋が私の肩を抱く腕に、ぐっと力が込められた。
「あたしがいる。何があっても、絶対に離さないから」
彼女の声は低く、でも力強かった。その言葉だけで、少しだけ足が前に出せる気がした。
改札を抜け、ホームへと降り立つ。
その瞬間、私の背筋を冷たいものが走った。
いた。
昨日と同じ場所に、昨日と同じ顔ぶれが揃っていた。スーツの男、作業着の男、学生の男。彼らはホームの柱に寄りかかったり、ベンチに座ったりしながら、明らかに誰かを待っている。
私が現れた瞬間、数人の視線が一斉にこちらを向いた。昨日の獲物を見つけた獣の目だ。彼らの口元が、ねっとりと笑った。
「おはよう、佐伯さん」
背後から、昨日あの声がした。耳元で囁いたリーダー格の男だ。
「昨日は逃げちゃったねえ。でも、もう逃げ場ないよ」
「今日こそ、たっぷりサービスしてもらうから」
別の男が、下卑た声で笑う。
恐怖が、泥みたいに胃の底からせり上がってくる。身体が勝手に震え始め、昨日の触手の感触が皮膚に蘇る。嫌だ。もうあれは嫌だ。
私は無意識に、純恋の服の裾をぎゅっと握りしめた。
「愛佳、下がって」
その時、純恋が私の前に立った。
華奢な背中。でも、その背中は今、どんな鉄の扉よりも頑丈に見えた。彼女は私を背に隠すようにして、男たちの方へと向き直る。
「お前ら、何やってんだ?」
純恋の声は、鋭く冷たく響いた。教室で見せる無関心なトーンとは違う。刺すような、威嚇する声だ。
「あ? お前誰だ?」
男たちの視線が、私から純恋へと移る。明らかに不審そうな、そして値踏みするような目だ。
「佐伯さんの友達だよ」
純恋は少しも怯まず、一歩前に出た。
「毎朝毎朝、集団で女子一人を待ち伏せして楽しいか? 最低のクズ野郎どもが」
「はあ? なんだテメェ、俺たちの仲間か? そういう趣味あるのか?」
男の一人が、下品な笑い声をあげた。「仲間」という言葉に、私の身体が強張る。
「ふざけんな」
純恋の声が低くなった。
「お前らさ、昨日あたしの友達がどんな目に遭ってたか知ってるだろ? 帰り道、足が震えて歩けなくなってたんだよ。あたしが泣いてる彼女を抱きしめて、汚れを洗い流してやったんだよ。お前らがつけた汚れをな」
彼女の言葉に、男たちの笑いがぴたりと止まった。彼女の目は、怒りで燃えるように光っている。
「お前らのしてることは犯罪だ。強製わいせつ。強姦!佐伯さんが泣き寝入りしてるからって、調子に乗るなよ」
「てめぇ……!」
リーダー格の男が、顔を赤らめて一歩踏み出した。大きな手が、純恋の胸倉を掴もうとする。
「純恋ちゃん!」
私は悲鳴を上げた。でも、純恋の反応はもっと速かった。
彼女は男の手をしゃくり上げ、逆に男の手首を掴んでねじり上げた。男が「ぐあっ」と苦痛の声をあげて膝を折る。
「うるせえんだよ、おっさん」
純恋は男の手首を離し、男を蹴り飛ばす勢いで突き放した。そして、周りの男たちをぐるりと見回す。
「次は誰だ? 今すぐ警察呼んで、お前ら全員逮捕されたくないなら、さっさと失せろ」
彼女はスマホを片手に、画面を見せつけるように亮示した。通話画面の『110』の数字。
悪事に慣れていない素人の男たちにとって、その『110』の数字は呪いの文字みたいに見えたのだろう。
「ちっ……クソッタレが」
「今日はついてねえな」
「行こうぜ、あいつマジだ」
男たちは顔を見合わせ、舌打ちしながらぞろぞろと改札の方へと去っていった。彼らの背中が見えなくなるまで、純恋は一切視線を外さなかった。
男たちの姿が消え、ホームに靜寂が戻る。電車が滑り込んできた。ドアが開く。中は普通の通勤客がいるだけで、昨日の異常なまでの混雑はなかった。
「ほら、行こう」
純恋は私に手を差し出した。その手は、男の手首を捻った直後とは思えないほど、優しかった。
私は彼女の手を握り返す。まだ少し震えていたけれど、昨日のような絶望的な震えじゃない。安堵と、感動の震えだ。
電車に乗り込む。二人並んでつり革に掴まる。車内は暖かく、日常の風景が窓の外を流れていく。
「……すごいよ、純恋ちゃん」
私は小さな声で言った。
「あんなにたくさんの人を、一人で追い払うなんて……」
「あたし、喧嘩慣れしてるからさ」
彼女は少し照れくさそうに笑った。
「それに、愛佳を守るって決めたから。どんな奴が来ても、絶対に負けないって思ったら、怖くなかった」
彼女の言葉が、心に染みる。昨日、私が彼女を「ナイト」だと思ったのは間違いじゃなかった。彼女は、私の盾であり、剣であり、そして何より私の心を照らす太陽だ。
「でも……あたしも、何かできたのかな」
私は自分の手を見つめながら呟いた。
「ただ後ろに隠れてるだけで……純恋ちゃんに守ってもらってばかりで……」
「何言ってんの」
純恋は私の肩を抱き寄せ、耳元で囁いた。
「愛佳がここに立ってるだけで、十分だよ。昨日は一人で耐えてたのに、今日はあたしと一緒にここにいる。それだけで、すごく勇気いることだよ」
彼女の言葉に、涙が込み上げてきた。悲しい涙じゃない。温かい言葉に包まれて、心が解けていくような涙だ。
「純恋ちゃん……」
「ん?」
「私……もっと強くなりたい。純恋ちゃんみたいに、自分を守れるくらい強くなりたい」
「なれるよ」
彼女は私の髪を優しく撫でた。
「あたしがついてるから。一緒に強くなろう」
彼女の体温が、肩から伝わってくる。電車の揺れが、私たちを同じリズムで揺らしている。
私は彼女の肩に少し体重を預けた。
彼女は嫌がらず、むしろ少し嬉しそうに身じろぎした。
「ねえ、愛佳」
「ん?」
「放課後、また屋上行かない?」
「うん、行きたい」
「やった。今日はあたし、もう一つチョコパイ持ってきてあげる」
「ふふっ……楽しみ」
私は自然と笑っていた。昨日の絶望が嘘みたいに、心が軽い。
電車が次の駅に到着するアナウンスが流れる。ドアが開き、新しい乗客が乗り込んでくる。普通の人々。日常の風景。その中で、私は隣にいる親友の顔を見上げた。
金髪にピンクのメッシュ。校則違反のピアス。でも、その姿は今、誰よりも美しく見えた。
「ありがとう、純恋ちゃん」
「どういたしまして、愛佳」
彼女は私の手をぎゅっと握り直した。その力強さが、もう二度と離さないという意志を伝えてくる。
私は前を向いた。恐怖はまだ完全に消えたわけじゃない。でも、隣に彼女がいてくれる限り、きっと大丈夫。
私には、守ってくれる太陽がいるから。
窓の外、朝日が昇り始め、町を黄金色に染めていく。新しい一日が、始まる。
⭐️翌日 帰ってきた地獄
翌朝。いつもより早く起きて身支度をした私は、インターホンの音を聞くや否や飛び出していた。ドアの向こうには予想通り、ピンクメッシュの入った金髪が風に揺れている。
「おはよ! 今日は一段と寒いね」
星野純恋はそう言って、ぶ厚いダウンジャケットの襟元に顔を埋めた。耳に光るピアスはいつも通り派手なのに、その横顔がなぜかとても頼もしく見える。
「純恋ちゃん……ありがとう」
「お礼は禁止って言ったじゃん。友達でしょ」
彼女は私のカバンを当たり前のように奪い取り、腕を組んできた。触れ合う腕からじんわりと温もりが伝わってくる。昨日までの私には想像もつかなかった温度だった。
改札を抜けた瞬間、背筋を氷の刃でなぞられたような感覚に襲われた。ホームの端、いつもの柱の陰。そこに彼らがいた。
七、八人はいただろうか。昨日と同じメンバーに加え、知らない顔も数人。その中の二人は明らかに体格が良く、粗暴な雰囲気を纏っていた。そのうちの一人は右の手首を布で吊っている。昨日、純恋ちゃんに捻り上げられたリーダー格の男だ。
「来たな、佐伯さん」
男の声は地響きのように耳に届いた。ぞくり、と鳥肌が立つ。
「あれ? 今日はお供がいるのかい?」
視線が私から純恋ちゃんへと移る。嘲りと興奮が混ざった醜い表情だ。
「お前らか。昨日の借り、返してもらうぞ」
純恋ちゃんが前に出た。しかし、相手は昨日の比ではない。特にあの二人の巨漢は、並の男性の倍はありそうだ。
「へえ、昨日は二人で来たから逃げられたってか? 今日は特別待遇だぜ」
リーダーの男が唇を歪める。
電車がホームに入線してきた。ドアが開く。
「行くよ、愛佳!」
純恋ちゃんは私の手を強く引き、混雑が始まる前の電車に駆け込んだ。しかし、男たちは素早い。七、八人の塊となって私たちを追い越し、あっという間に車両の隅に追いやった。ドア側は巨漢が二人、退路を塞ぐ。
「おいおい、急がなくていいじゃないか」
リーダーがゆっくりと車内に乗り込みながら言った。
「今日は、昨日とは違う方法でお楽しみを提供するつもりだからな」
純恋ちゃんが私を庇うように両腕を広げた。
「お前ら、これ以上愛佳に近づいたら承知しないぞ」
「ほう? 昨日は二人しか相手にしなかったろ? 今日は……さて、何人相手できるかな?」
リーダーの合図で、男たちが一斉に純恋ちゃんに襲いかかった。
「やめろっ!」
純恋ちゃんの叫び声と同時に、鈍い衝撃音。一人の男が彼女の腹部に拳を叩き込んだ。
「純恋ちゃん!」
私の悲鳴を嘲笑うように、第二、第三の拳が飛ぶ。
純恋ちゃんは歯を食いしばって耐えているが、体格差は圧倒的だ。巨漢の一人が彼女の腕を捩じ上げ、もう一人が足払いをかける。あっという間に彼女は床に倒れ込んだ。
「離せよっ! この野郎!」
純恋ちゃんは地面でもがくが、複数人に組み敷かれている。顔を何度も殴打され、鼻から鮮血が垂れるのが見えた。
「やめて! やめてください! 私を殴ればいいでしょ! お願いだから純恋ちゃんは
私の叫びは虚しく宙に消えた。男たちの下卑た哄笑だけが車両内に響く。
「まあ待てよ、佐伯さん」
リーダー格の男が、床に這いつくばる純恋の金髪を掴み上げた。強制的に私の方を向かされる彼女の顔は腫れ上がり、額からは血が滲んでいる。
「今日は君のためにがんばるこいつにわからせるのさ、l自己犠牲精神旺盛なナイト様をねぇ」
男はそう言うと、純恋のショートパンツのウェストに指をかけた。
「やっ……! 触るな……っ!」
純恋ちゃんが必死に抵抗するが、両腕は他の男たちに抑えられている。
「やめろーっ!!」
私は絶叫した。喉が張り裂けそうだった。
男たちは楽しそうに笑いながら、純恋の衣服を剥ぎ取っていく。黒いタイツが破かれ、白い肌があらわになる。ブラウスが力任せに引き千切られ、白い下着が露わになる。その姿が、男たちの影の中できらりと光った。
「見ないで……愛佳……」
純恋ちゃんがか細い声で言った。
涙で視界が滲む。見たくない。でも、目を逸らせない。
男たちは下品な口笛を吹きながら、純恋ちゃんの身体をまさぐる。胸を揉みしだき、太ももを撫で回す。彼女の口から漏れる苦悶と羞恥の入り混じった声が、私の心臓をナイフで抉る。
「ほら、佐伯さん。見てご覧よ。お友達が随分可愛らしい顔で啼くじゃないか」
リーダーが私の髪を掴み、無理やり純恋ちゃんの方へ顔を向けさせた。
「やめて……お願い……私が全部するから……純恋ちゃんには何もしないで……」
私は涙ながらに訴えた。もうどうなってもいい。この子を助けるためなら。
「面白い提案だね」
リーダーはニヤリと笑い、純恋ちゃんの身体から一度手を離した。そして、私に向き直る。
「佐伯さん。君の大好きなお友達を助けたければ……お前が代わりになれ」
その言葉が、まるで死刑宣告のように私の鼓膜を揺さぶった。
純恋ちゃんが息を飲み、顔を上げる。その瞳には絶望と怒りが渦巻いていた。
「ふざけんな……! 愛佳を巻き込むな……!」
「やめて……」
私は懇願するように呟いた。
「わかったから……」
「愛佳……ダメだ……絶対に……」
「ごめんね……純恋ちゃん……」
私は震える声で答えた。
「私が……代わりになります……」
電車が次の駅に到着するアナウンスが虚しく響く。ドアが開き、新しい乗客が乗り込んでくる気配がする。その日常の風景と対極にある、この異常な非日常。
男たちの視線が私に集中する。獣のような眼差し。
地獄が、帰ってきた。
私のために純恋ちゃんを犠牲にするくらいなら……私は喜んで身体を差し出す。
「愛佳ァァーーー!!!!」
純恋ちゃんの絶叫が鼓膜を揺さぶる。
彼女の声が遠のく中で、私は自らワンピースの裾をたくし上げた。純白のショーツに彩られた太ももがあらわになる。
男たちの息遣いが荒くなる。私は震える手で純恋ちゃんの頬に触れた。
「大丈夫だよ……純恋ちゃん」
涙が零れ落ちる。
「私は強いから」
その言葉とは裏腹に、私の指先はガタガタと震えていた。
⭐️地獄再び
リーダーが私を車両の隅に引きずっていく。逃げ場のないコーナー席の陰で、私の体は背後の男に拘束された。彼の腕が私の胸に食い込む。
「まずは準備体操といこうか」
リーダーの指が太ももを這い上がる。
「ほら、君のご主人様を見てみろよ」
彼は首を傾げて言った。純恋ちゃんは他の男たちに押さえつけられ、口にハンカチを噛まされている。
それでも必死に目を見開き、私に訴えかける。
「やめて……愛佳……」
声にならない声。私は涙をこらえながら、彼女から視線をそらすことができなかった。
その時だった。
身体の奥深くから何かが湧き上がる。恐怖と絶望の中に潜んでいた本能が覚醒した。パラフィリア障害の性欲反応—それが今は呪いではなく、生き延びる手段になる。
私の瞳孔が収縮する。
「あ……ん…」
自分の意思とは関係なく、甘い吐息が漏れる。秘部から蜜が滴るのがわかる。
「おい、こいつ感じてやがるぜ!」
男たちの嘲笑が爆発した。
「やっぱり淫乱だなぁ!」
興奮に任せてリーダーがショーツを引き下げる。私の腰を掴んで持ち上げる。彼の熱いモノが下腹部に当たる。
「純恋ちゃん……見ないで……」
私は涙ながらに懇願した。しかし同時に、全身が情欲に蝕まれていく。
「やめて……お願いだから……」
そう言いながらも、私は腰をくねらせてしまっていた。男たちの手が背後から乳房を鷲掴みにする。乳首を摘ままれて尖らされる。
「ヒィッ!」
鋭い快感が脊椎を駆け上がる。下腹部から蜜が噴き出す。
「さすがだな」
リーダーが嗤う。
「それじゃ本番といこうか」
彼の勃起したモノが割れ目をなぞる。私は無意識に両足を開いていた。男たちの哄笑が響く中で、彼のものがゆっくりと挿入されていく。
「あっ! ああっ!」
悲鳴と嬌声が混じる。
彼の抽送が始まると同時、背後の男がブラジャーを剥ぎ取った。乳房が晒される。その先端を背後の男が捻り上げる。
「ヒイィッ!」
激しい快感と苦痛に身悶える。私の腰は本能的にリーダーを求め始めた。
「おいおい、積極的じゃないか」
嘲笑とともに速度が上がる。パンパンと乾いた音が車内で反響する。
純恋ちゃんは狂ったようにもがいている。しかし男たちは巧みに彼女を押さえ込みながらも辱めを与えていた。
リーダーの一撃が奥深くを抉る。私は天井を仰いで絶叫した。
「イクゥゥ!」
腰が砕け散るような絶頂。
子宮が収縮して男のものを締め付ける。
「くそっ!」
リーダーが呻いて放出した。熱い精液が胎内を満たす感覚。
「まだまだ終わらないぜ」
新たな男が迫る。彼らは交代で私を凌辱し始めた。
一方で純恋ちゃんは完全に服を剥ぎ取られていた。
「純恋ちゃん……」
涙ながらに見上げると彼女と目が合う。
その瞳には屈辱と哀しみと—そして怒りが滾っていた。
「佐伯さん、君の代わりって言ったけどさ」
リーダーの男が、私の顎を持ち上げて囁いた。その指先は、私の唇をなぞりながら下へ降りていく。
「せっかくだから、お友達にも楽しんでもらおうぜ」
私の心臓が凍りついた。
「やめて……約束が違う……!」
「約束? 何のことかな? お前らに選択肢なんて最初からねえよ」
男は冷酷に笑い、私を突き放した。代わりに彼らは、床に組み敷かれていた純恋に群がり始めた。
「離せ……っ! 触るな……!」
純恋が必死に抵抗する声が響く。彼女の細い腕が振り払われ、巨漢たちに容易くねじ伏せられる。傷だらけの身体が、無数の手にまさぐられていく。
「やめて……お願い……純恋ちゃんだけは……!」
私は床に這いつくばったまま叫んだ。助けなきゃ。守らなきゃ。でも身体は言うことを聞かない。さっき注ぎ込まれた精液の重みが下腹部に残り、足に力が入らない。
「見ろよ、佐伯さん。お前のナイト様がどうなるか」
男の一人が私の髪を掴み、無理やり顔を上げさせた。
視界に飛び込んできたのは、地獄絵図だった。
純恋の最後の下着が引き裂かれる。白い肌に、赤い手形がいくつも残されている。男たちの指が彼女の秘所に伸びる。
「ああっ……! やめ……!」
純恋の悲鳴が耳を突き刺す。
私は目を逸らそうとした。見たくない。こんな光景、見たくない。
でも——。
身体の奥で、何かが疼いた。
「え……?」
自分の身体の異変に気づき、戦慄した。
秘部が、濡れ始めている。さっきの陵辱のせいじゃない。目の前で純恋が犯されている光景が——私の異常な性欲を刺激している。
「嘘……でしょ……」
信じられなかった。親友が傷つけられているのに。私が助けなきゃいけないのに。なのに私の身体は、この惨劇に興奮している。
「いやだ……こんなの……いやぁ……」
自分自身が怖かった。人間じゃないみたいだった。
「ほら、星野さん。佐伯さんが見てるぜ」
リーダー格の男が純恋に囁きながら、彼女の脚を強引に開かせた。
「んぐっ……! んんーっ!」
口を塞がれた純恋の目が私を捉える。その瞳には屈辱と怒りと、そして哀しみが渦巻いていた。
男の猛ったものが、彼女の秘所に押し当てられる。
「入れるぞ」
残酷な宣告とともに、男が腰を沈めた。
「んんーーーっ!!」
純恋の背中が弓なりに反った。口からはくぐもった悲鳴が漏れる。彼女の身体に男の異物が侵入していく。
その瞬間——私の身体の中で何かが弾けた。
「あっ……ああっ……!」
声が出た。悲鳴じゃない。嬌声だ。
私の秘部から大量の愛液が噴き出し、太ももを伝って床に滴り落ちる。子宮が疼き、全身が火照り出す。
目の前で純恋が犯されている。その事実が私のパラフィリアを暴走させていた。
「いやだ……こんなの……おかしいよ……」
頭では拒絶しているのに、身体は正直に反応する。視線は純恋から離せない。男のピストン運動に合わせて揺れる彼女の白い身体。苦痛に歪む表情。それら全てが私を興奮させていた。
「ほら見てみろよ。佐伯さんはこんな光景で興奮してるんだぜ」
男たちの下卑た笑い声。
「お前らは繋がってるんだな。片方が犯されてればもう片方も感じるのか?」
「違う……違うよ……そんなこと……」
否定したかった。でも私の手は無意識に胸を揉みしだき、太ももを擦り合わせていた。
純恋の目から涙が溢れている。それは肉体的な苦痛だけじゃない。親友にこんな姿を見られている屈辱。信頼していた人間が自分の凌辱に興奮しているという絶望。
「愛佳……守れなくてごめん」
彼女の唇がそう動いた気がした。
心臓が抉られるようだった。
「ごめんね……ごめんね純恋ちゃん……」
涙が止まらない。ごめんなさい。守れなくてごめんなさい。そして——こんな風に興奮してる私を許して。
男の動きが激しくなる。パンパンという音が響くたびに純恋の身体が揺さぶられ、彼女の口からくぐもった喘ぎが漏れる。
「いい締まり具合だぜ」
「俺も俺も」
男たちが次々と純恋に交替していく。白濁液が彼女の太ももを伝い、床に溜まっていく。
その度に私の興奮は高まり、自分でも制御できないほど愛液が溢れ出した。
「ああっ……また……きて……」
自分の声に驚愕した。「きて」なんて言ってない。言ってないのに——身体が男を求めている。純恋が犯されるたびに、私も犯されたくなっている。
「助けて……誰か……私を殺して……」
私は自分の身体を抱きしめてうずくまった。人間失格だ。化け物だ。親友の苦しみをオカズにして感じるなんて。
「どうした佐伯さん? 欲しいんだろ?」
男の一人が私に近づき、耳元で囁いた。
「ほら、お前も仲間に入れてやるよ」
彼は私を引き起こし、車両の隅へと押しやった。
そこにはすでに数人の男たちが待ち構えていた。
「愛佳……」
純恋の声がした。振り返ると彼女は男たちに抱えられながら、私を見ていた。その瞳にはもう怒りも哀しみもなかった。ただ虚ろな光だけが宿っていた。
「ごめんね……」私は泣きじゃくりながら言った。「私……おかしいんだよ……こんな時なのに……感じちゃうんだよ……」
純恋は何も言わなかった。ただ静かに目を伏せた。
それが余計に私を苛んだ。
男たちの手が私の身体をまさぐる。指が秘部に入り込み、中を掻き回す。
「あっ! ああっ!」
歓喜と絶望が入り混じった声が漏れる。頭では拒絶しているのに身体は快楽を受け入れてしまう。この矛盾こそが私の地獄だ。
「いい反応だぜ」
「さすが淫乱だな」
男たちの嘲笑を浴びながら、私は目を閉じた。
瞼の裏に焼き付いているのは、犯される純恋の姿だ。それを見て興奮した自分。その自己嫌悪が胸を食い破りそうだった。
助けて。誰か私を止めて。
こんな私を——許さないで。
電車は進み続ける。地獄を乗せたまま。
次に停車するのは天国か煉獄か。
どちらでも良かった。ただ一秒でも早くこの苦しみから解放されたかった。
⭐️電車が走り終点のホーム
電車が静かに減速し始めると同時に、男たちの動きも緩慢になった。長い凌辱の時間が終わる。彼らは満足そうに笑いながら、私たちを置いて列車を降りていった。
私は純恋ちゃんと車両の床に座り込んだまま、動けなかった。下半身は白濁液で汚され、身体中には男たちの痕跡が残っている。純恋ちゃんも同様だった。彼女の身体は痣だらけで、口の端には血が滲んでいた。
「純恋ちゃん……ごめんね……」
私は彼女の手を握った。彼女の指は冷たくて、震えていた。
「なんで謝るの……愛佳は悪くない……」
掠れた声で答える彼女。その瞳は焦点が合わず、虚空を見つめている。
「私が……止められなかったから……」
嗚咽が止まらない。
「違う……私が弱かったからだよ……愛佳を守れなかった……」
彼女は涙を零しながら言った。その顔に浮かぶのは自責の念だ。
私たちは互いに謝り合った。どれだけ言葉を尽くしても、この罪悪感は拭いきれなかった。