※この作品はR-18です。

異世界転生者淫魔、残酷な真実に気づく   作:性癖サンドバッグ

1 / 15
催眠おじさんが淫紋に敗北したってマ?

 

吾輩は淫魔である、インキュバスつまり男の方だが。

転生を自覚した時点で淫魔として目覚めたので、娼館で働いている。

食事するとお金になるよい職場だと思う。

きちんと同意の上なので討伐されないのが素晴らしい。

見た目が貧相で幻覚で容姿を偽るタイプでなくて助かった。

 

 

異世界ファンタジーなら街の外で冒険?

ないない我、戦闘力皆無ぞ?

 

最低限は戦えるはずの新人冒険者の二割が活動を始めたひと月目で死ぬ。

負傷引退を含めればさらに増える。

最初の一年間を冒険者として生き残る新人は、多くても三割くらいらしい。

 

シビア過ぎる。街から出るとかないかな。

 

こんな情報があったから、ダークファンタジーだと思っていたんだ。

 

レベルなんて強さの基準があるし。

魔法だってあるが、淫魔だとエロい事に特化したタイプで攻撃魔法とかは使用できないんだ。

できて知能の低い相手をテクノブレイクさせるくらい。

絵面と臭いと空気が最悪なことになるだろう。

誰も得しないし、幸せにならない。

 

 

それらはひとまず置いておいて、聞いてほしい。

この世界を転生者目線でジャンルの分類をするのに必要な情報を、顧客の一人からピロートークで聞いてしまったんだよ。

 

 

 

 

催眠おじさんが淫紋に敗北した話を。

 

 

 

 

酷すぎる、真面目に異世界ライフを満喫するべく努力してたのに。

 

ダークファンタジー系世界に転生したと思っていたが、漫画やラノベがベースの冒険譚じゃない。

 

ダークファンタジーではあるけど、バカゲーよりのエロゲ世界かもしれないのだ。

まあ、淫魔が街中に馴染める時点でエロゲ世界は覚悟していたけど。

思っていたより、ひどかった。

 

 

問題の催眠おじさんは弱くはなくて、むしろ魔王級の実力の吸血鬼だったらしい。

 

人類に敵対している種族の総称である魔族の中でも実力者で、血族も実力者揃い。

周辺国家を影響下に置いていた、この街の近隣で最大勢力のトップ。

 

 

 

 

 

まぁ、レベルドレインで弱体化してるはずの勇者ちゃんに四天王(四人とはいっていない)と共に襲撃をかけて返り討ちにされたんだけど。

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

勇者ちゃんに会ったのは、もちろん娼館。

 

支配人が困惑と申し訳なさの混じる顔で聞いてきたんだ。

 

「エロい事ならおおよそ出来ますって言ってたけどレベルドレインってできる?」

 

 

就職のための面接の時、確かにエロい事はおおよそカバーできる能力だって言ったけれども。

そんなこと聞かれても、相手もそれがエロい事だと認識しているなら出来ますとしか。

 

我、淫魔ぞ?

 

変化する容姿から能力まで、基礎能力以外は相手依存の本人でもよくわからん種族なんだよ。

 

 

勇者ちゃんの第一印象は凛とした美人。

 

立ち姿は一本筋が通っていて、まるで聖剣の化身。

戦いの邪魔にならないようにだろうか?

 

髪をショートにしていて、光沢のある痛みのない綺麗な淡い色合いの茶髪。

透き通るような碧眼にキリっとした顔つきの美人。

スタイルもよくて戦いに身を置いているのにその肢体は傷一つ見当たらない。

物静かだが、意思や感情が希薄なのではなく強い芯があるように見える。

 

 

淫魔のセンスで会話や仕草、視線からも相手の嗜好を読み取るのが癖になっているんだけど。

部屋まで一緒に行く段階で読み取れた勇者ちゃんの求めてるのが、純愛いちゃらぶプレイっぽくて困惑させられる。

 

 

 

なにせ、この世界でレベルドレインってリョナ系ジャンルになるんだよね。

腹パンとか首絞めよりかなりエグ目の。

 

 

 

オーダーがあったからにはプレイに組み込まないといけないんだけど、困った事にレベルドレインしようにも実力に差がありすぎて魔力通らないんだ。

ドラゴンに縫い針が通らないくらいの感覚だろうか?ドラゴン見た事もないけど。

 

 

これは淫魔らしく頑張らないといけないようだな!

 

 

魔力に拒否反応が出ないよう手を繋いだり、指を絡めたりから始め。

抱きしめて体温と鼓動を意識し合う。

額にキスを落として容姿だけでなく僕を壊さないよう気遣う優しさを愛おしいと謳い上げる。

 

はぁっと漏れる吐息が艶かしい。

 

それでも通らないから本人の同意を得て、淫紋を勇者ちゃんと僕のパスとして刻もうとしたんだ。

でも、これすら時間がかかる。

同意があるならタトゥーシールくらいの手軽さでぺいっと終わるはずなのに、容量でかいゲームのダウンロードみたいな遅さでしか進まない。

 

淫紋を刻まれる事に快感が伴うなんて事は無いと思うんだけど、淫魔とつながるパスが意識できるようになるにつれて目が潤んできている。

 

いちゃらぶ主体なのにこの世界基準からするとリョナが混ざる感情がバグるプレイが終わって。

 

普通に暮らせば、何年も過ごせるような金額のチップに驚かされたけど、取り繕った薄く笑った顔じゃない笑顔の勇者ちゃんを見ていい仕事したな、と思ってたらさ。

 

リピーターで来た勇者ちゃんから、ピロートークで聞いてしまったんだよ。

この世界がどんなジャンルに分類されるのかを知る手がかりになる逸話を。

 

前回のプレイの後から勇者ちゃんは、レベルダウン分を取り戻してレベルドレインに貢ぐ分も含めて経験値稼ぎをするために街の周辺の魔族の掃討をしていたらしい。

 

元から?それとも性癖壊れてない?レベルドレインは貢ぐ系に入れたら重すぎる。

前世基準だと臓器売って作った金を貢がれるくらいの重さじゃないかなこれ。

 

そんなことのために掃討された周辺の魔族達の中でも酷い目にあった、襲撃かけてきた催眠おじさんの話をしよう。

 

 

 

彼は血族から有力な、対勇者戦で戦力にできる程の爵位持ちの吸血鬼四天王をけしかけて意識をそちらに割かれているところに

 

 

「おら‼催眠‼」

 

 

みたいに魔眼を使ってきたみたいなんだけど、操作系は早い者勝ち…なのかもしくは、本人の同意有で先に刻まれている淫紋のほうが操作の優先権が高かったのか、はじかれたみたい。

 

 

狙いは良かった。

現在人類最強の勇者ちゃんを手駒にできたのなら、自軍の損害は桁が変わるだろうし少なく見積もっても前線近くにいる人類側の士気が折れる。

 

 

でも、淫紋に負けてしまって意味が分からなくなっても呆然と棒立ちしてたら狩られるよね。

 

 

実際には、数秒程度の混乱だったのかもしれないけど。

勇者ちゃんの話だと無抵抗にぼさっと立ってたから切り伏せたらしい。

 

しかも魔力の波長的ななにかを覚えられて、襲撃に参戦していた全員が蘇生に必要な棺を壊された上で止めを刺されたので、それぞれが率いていた一族ごと消滅したんだって。

 

 

なんか、自分が吸ったレベルのもとの話されると反応に困るよね。

なんて返したらいいのだろう。

 

不名誉すぎる敗北の証を用意して魔族侵攻の抑止力にしてみる?

 

淫紋に負けた魔王ここに散る、とでも刻んだ墓でも用意して。

なんか前世の名作RPGでそんな煽りなかったっけ?

 

しかし催眠おじさんは、まだやられ方としてはましだと思うんだよね。

なにせ人類最強の勇者ちゃんと戦っての敗北なんだから。

 

 

もっとひどいバカゲー要素のやられ方だったのは、聖女ちゃんと戦ったリッチーなんだよなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

私は強かった。誰よりも何よりも。

子供の頃から周囲の大人よりも、襲撃してくる魔族すらも超えて。

 

戦って、村を守った。共に戦える人は誰もいなかった。

 

戦って、町を守った。ついて来れる人は誰もいなかった。

 

戦って、国を守った。私は一人敵陣切込み、立ちふさがる全てを切り払った。

 

 

 

私の周りには、並び立てる人が誰もいない。

一人が当たり前になっていた。

 

 

 

街の中で仲間と歩いている冒険者を見かける。

 

 

彼らは仲間を見つけ徒党を組まなければ森に踏み込む事すらない。

それが魔族が待ち構えているわけではない、野生動物の縄張りであっても。

そうしなければ生き残れないから。

 

 

ああ、私もこの力がなければ誰かと肩を並べて居られるだろうか。

 

それとも一人のままだろうか、どんな結果になるにせよ何もせず終わるなんて耐えがたい。

そんな思いが重なり、最近になって少しうわさの出始めた淫魔のいる娼館へ行くことにした。

 

そこで私は、私の運命と出会った。

 

私の戦いを、生きてきたことを肯定してくれる相手に。

 

 

 

歴戦の騎士や王ですら私と目を合わせ続けられはしないのに、真っ直ぐに目を見て話してくれる。

 

嬉しい。

 

私の手はオーガやトロールでも握り潰せてしまう。

なのに私の手を握ってくれた。

指を絡めるなんてお祭りの時のカップルのよう。

心臓だけでなく心が弾むとはこういう事なのだろうか?

 

嬉しい。大好き

 

 

抱きしめてくれた。

その気になればドラゴンすら絞め殺せる私を。

 

 

嬉しい。愛してる。

 

 

 

 

また会いに来るために、積み上げようレベルと武功それら彼を満たせるものを。

 

私は一人だ。

だからこそ、思い立ったらすぐ行動に移せる。

 

待っていてね、すぐに終わらせて来るから。

 

彼に刻まれた淫紋を服の上から撫でる。

レベルドレインを受けたにも関わらず、私のパフォーマンスが以前より上がっているのを感じる。

 

これから彼の糧になるのだから、ちょろちょろ目障りだった蝙蝠(こうもり)すら歓迎できそう。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。