斥候ちゃんの子供が産まれて少し経ち、賑やかになった淫魔の近況である。
斥候ちゃんの子供は男の子でハーフではないダークエルフだった。
龍も無事に妊娠なのか、繁殖可能な条件が整って帰って行った。
数が少ないらしい龍の事だから、極端に妊娠か孵化に時間がかかるものだと思っていたけど、そんな事はなかったようだ。
どうやったのか龍の姿に戻ってから産卵して、斥候ちゃんの子供が産まれて少し経ったくらいで卵から孵ったらしい。
しかし人型になるにはまだまだ時間がかかるらしいので、会えるのはだいぶ先だろう。
龍の方も種族を継げる仔が産まれたらしいので、淫魔要素がどこにいったかは不明である。
笛で淫魔の座標を特定しているのか、親馬鹿な話を何度も魔法で送って来ているので近況も把握している。
雄が4の雌は1、龍の単位は匹なのか体になるのか分からないが、しばらく滅びる事は無くなったみたいだ。
魔女さんは地元には母や婆様がいるからと、淫魔が子供をお腹に認識出来る様になった段階で帰っている。
◇ ◇ ◇
皆が決めた順番に、子供を作る事も含めた計画に更新された。
種族的に後回しで大丈夫だった斥候ちゃんと子供を作ったので、聖騎士さんが少し割を食う形になったけど、妊婦の介助や子供の世話のヘルプを一番喜んで手伝ってくれている。
計画を立てたり女性陣で集まった時の中心になるのは、皆の中で最年少の聖女ちゃんだった。
淫魔の吸精が出来る相手がいなくなってしまわない様に、少しずつ間隔を開ける形で子供を作る計画になっている。
斥候ちゃんの子供が産まれて一年経ったくらいで、勇者ちゃんとの子作りが計画表上で可能になったけど、少し問題もあった。
暫く、レベルドレインが出来なくなる問題である。
勇者ちゃん以外なら問題でもなんでもないのだけど、ライフワークが欠ける側からしたら代替可能な対策が必要だった。
討伐によって周囲の安全を確保する形になっていたが、この辺りも人類側の領域になっているので狩れる相手も居なくなってしまった。
貢ぎ癖というのか、相手の役に立っている実感が好きなのか、未だ少し不安定な所のある人だった。
なるべく一緒に過ごす時間を確保して、勇者ちゃんが作ったご飯を食べる。
聖女ちゃんに教わって、編み物をしているのを傍で見守ったりもした。
でも一番効果があったのが、ウェディングドレスプレイなのが少し納得いかない感がある。
前世だと男女の感性の違いから、会話していてもすれ違うなんて話もあった。
この世界ではそれに加えて、種族の違いまであるから余計にややこしい。
婚礼の時の装束だと説明したけど、普通ではない使い方をしたのがどう作用したのだろうか?
序列の様なものが出来たりして、関係が不自由なものにならない様にと決めたのは女性陣だったのだが。
やはり関係の区切りとなる、婚礼の様な事に憧れなんかもあったのだろうか。
◇ ◇ ◇
子供が出来たと勇者ちゃんが自覚が出来る様になった頃には、これまでと比べ物にならない程に落ち着いていた。
母は強しと言う事なのだろうか?
子育ての先輩になる斥候ちゃんとも、一気に仲が良くなって色々と話をしている姿を見る様になった。
屋敷の方は管理、維持に雇った人の手が入るが、勇者ちゃんが望んだ一軒家の方は自分たちで自由に家事を出来るのでこちらの方が気が楽らしく入り浸っている。
聖女ちゃんや聖騎士さんの屋敷に詰めていない方がこちらで家事などの補助をしてくれている。
今日は屋敷に聖女ちゃんが居て、家に聖騎士さんが手助け出来そうな事が何かないかと後方待機している。
自覚に間違いがなければ、異世界転生者なのにそれらしい事と余り縁がなかった。
強さは求めるだけ無駄な種族であったし、栄誉は似合わない。
権力を求めたら傾国を警戒されて、秘密裏に処断されそうだ。
そもそも上に立つ能力がないので、お飾りにしかなれないだろうけど。
洗脳や催眠によって相手を手中に収める黒幕としてならいけるか?
でも黒幕系女子は性癖だが、淫魔自身が黒幕となるには欲しいモノと手間が釣り合わない。
大切な人が当たり前に隣にいる日常。
それくらいの平凡な幸せが身の丈に合っていたのだ。
手に入ったのは、思っていたのと違う形だったけれど。
前世の価値観は、複数ヒロインの好感度高めておいて一人以外梯子を外すよりはいいな、ヨシ‼と判断している。
淫魔の価値観は、何で生存できる環境が維持出来ているのか分からないけど、生活に困らないなら、ヨシ‼そんな程度だ。
我が子は機嫌よく寝ているので、起こさない様にほっぺを触れるくらいにして、斥候ちゃんにハグをする。
勇者ちゃんの膨らんできたお腹を撫で、頬にキスをする。
聖騎士さんは昨日が自分の番だったので、いいから行ってこいと後方見守りの態勢から頷いている。
仕事の見送りにしても、こうはならないだろうと言う状態だが、これ隣の家での聖女ちゃんとの逢瀬へ送り出されているのだ。
嬉しいし頼もしいけど、淫魔の情緒が乱される程度には不自然な状況だ。
それぞれの幸せを積み上げた結果、支え合う形でどうにか崩れず維持される様になった。
子供達やこれからの日々が幸せで補強して、平凡ではないこの日常が続いて欲しいと思う。
そのために今日は聖女ちゃんとウェディングドレスプレイだ‼
◇ ◇ ◇
勇者ちゃんは出会ってからかなり変わったと思う。
ピリピリした空気を纏っていたのが優しい空気になっているし、不安定さも母になってからは改善された様に感じる。
貢ぎ癖も愛情を注ぐ子供が出来たので、変わってくるだろう。
束縛や依存したりしない親になれる様にきちんと支えようと思うが、手本に出来そうな相手が周りにいるから酷い事にはならないだろう。
聖女ちゃんはあまり変わりが無いように思える。
しかしそれは彼女が成長して理想と現実のギャップを埋めていったからだろう。
上に立つ側として自分が相応しいのか悩んでいたみたいだが、女性陣の中心でまとめ役を熟している姿に無理をしている素振りは見えない。
聖騎士さんは真面目過ぎて内側に溜め込むタイプなので、これからも様子を見る必要があると思う。
誰かを守る事に意義を見出している人だからか、子守りや妊婦の付き添いなどが好きらしい。
忌避する程では無いが、好んで近付かない程度には大人に隔意があるようだ。
聖女ちゃんにも似た傾向があるのは、聖騎士団がアンデット系の闇深案件解決の為に派遣される集団だったからだろうか?
斥候ちゃんは初めから安定していたと思う。
楽しそうな事や知らない事に興味を示すから、特殊性癖でない程度の通常とは異なるプレイを求めたりしていた。
彼女には、ここでの生活にキチンと向き合う覚悟と愛を貰った。
今は産休中なので、淫魔が得意な事以外でもしてあげられる事を探さないといけないとも思っている。
錬金術師さんは暫く会っていない。
人類の生存圏、衛星都市の新造や耕作地の拡大が行われている時に、戦略物資である水に関わる発明をしているので仕方ない。
この衛星都市に居を移す前に会った時は、目の下に隈を作って忙しいと言っていたけど、嬉しそうでもあった。
改良や簡略化で製造効率を上げたいと言っていたが上手くやっているだろうか。
魔女さんはブレない人だった。
性癖と言えるだけの拘りはまだ意識していない様だけど、好きな行為が無い訳では無いのでそのうち楽しめるモノを見つけて欲しい。
お腹にいる子供が乳離れしたら、来ると言っていたので交流が続きそうだ。
アマゾネス系な美人なのでビキニアーマーなんかのプレイもしてみたい。
龍は滅びを延長する事は出来たけど、どうなるのだろう?
彼女とは性癖や人化した時の姿など、淫魔と相性の悪い部分が目立つ相手だった。
快楽堕ちは堕ちる過程にエロさを求めたい勢なので、即堕ちは駄目ではないが体は堕ちても心まではと、言葉だけでも抗って欲しかった。
でも種族最後の一人として残される事を怖がる心の弱さがあったから、即堕ちして子供を求めたのかもしれないと気が付いた。
◇ ◇ ◇
彼に自覚は無いのかも知れないが、史上最悪の魔王になれる能力を持つまでに成長してしまっている。
ここまで高レベルになった淫魔の前例はなく、もはや目を合わせるだけの簡単な事で異性を支配してしまえるだろう。
相手の意識がはっきりしていない状態は好みでないらしく、あまり使いたがらないけれど。
しかし可能か不可能かで言えば人類、魔族問わず半数を意のままに出来てしまうという事でもある。
この事を知っている者は恐らく支配人から報告を受けた者達とわたくし達だけ。
脅威になる様な人柄ではないと彼を知る者は把握しているだろうから、短絡的な事をする様な者は、龍の怒りに触れた者の末路が頭にある内は出ないだろうと思いたい。
来たとしても、わたくし達の家の敷地内に侵入した時点でそれを後悔する事になるでしょう。
彼は穏やかな暮らし、そんな檻の中に自分で入っている。
国、更には世界そんなものを支配するよりも、わたくし達といられる事の方が魅力的だとそんな風に想われているなんて、もし彼がこの一帯を支配して一つの勢力にした方が安全じゃない?そう言ったなら皆そしてわたくしも協力してしまうだろう。
わたくし達に求められていたのは彼を止める事だろうけど、それは初めから叶わない事だったのでしょう。
必要になる事も無いでしょうし。
婚礼の装束だと言ったこのドレスを、夜伽の装束へ変えていく事を楽しんでいる姿を見ると本当に彼の興味がこの生活の中で完結しているのだと分かる。
ストッキングの滑らかな手触りに満足そうに頷き、ショーツと繋がるガーターベルトに感嘆の声を漏らす。
きつく締め上げてはいないコルセットとはいえ、くびれを確認するかの様に横を撫でられるのは少し恥ずかしい、そう思って顔が赤くなるのを彼は楽しそうに見ている。
支える物の無い状態の胸を両方下から持ち上げる様にしたと思うと、胸に飛び込んで来る。
お互い立っているので、彼の頭の高さが胸に丁度よく収まるのだ。
夜の相手をする時にいつもわたくしより小さくなっているけれど、もうどんな姿であっても受け入れる事が出来る程度には愛しているのだけど。
手を引かれベッドでは無く魔法で用意された台へ乗せられて、夜伽用に改造された婚礼の装束で妊娠している訳でも無いのに出る様にされた乳を搾られる。
何とも倒錯的でわたくし達に似合っている。
彼が邪悪な者でなくてよかった。
願わくばこの愛しい人との、幸せな生活が続きますように。
更新はこれで終わり。
龍が来てから最期までに入れる話としたらこれくらい。
異世界転生、ファンタジー世界のテンプレは大体入れれたと思う。味付けは少し変えたけど。
性癖壊されるけど、人として救われる。影響を与える側から与えられる側に、生存の為に全力な男娼生活から、愛する相手の為に生きる様に変わる所をコメディな感じで書ける文才があれば一つの話に出来て収まりもよかったのだけど、作者的にこれくらいができる範囲です。