『セックスしないと出られない部屋』
「これ考えたやつ馬鹿ですね」
「そうだな」
閉じ込められて最初に思った事は二人共に同じであった。
「すいません、あなたは天才です!この私が言うんだから間違いありませんよ!!」
「・・・」
「・・・」
「何も起きないな…」
「やっぱり馬鹿!!」
あれから10日は経っただろうか。ご丁寧に日数が表示されているが、それを信じず、物に簡単な印を付けて日数を確認する。印は今日で10個目。なので単純計算で多分10日目。イレイナは形振り構わず実力行使に出たのか色々と魔法をぶち込んだ。しかし扉には傷一つ付かない。はぁはぁと息を荒げる。そして此方を見ると、
「……何か便利な物ないんですか?」
滅茶苦茶アバウトな注文をされた。残念ながら今回運んでいる品物にはそんな物はない。精々美味い食材があるくらいか。それを伝えると、役に立たないなコイツ…とでも良いだけな目線を向ける。この部屋の中では等しく役に立たない2人なので、不毛な感想ではあるなと思ったが。それで彼女の気が済むなら言わないでおこう。
「あー!体から変な感じしますよ!最悪です!!」
「かと言って食わない訳にもなぁ…」
「そういう正論はいいんですよ」
閉じ込められました。出る方法はセックスしかありません。だからといって、はいそうですかと頷くほど素直ではない。というか強制された性行為等、誰もが嫌がるだろう。それを見越してなのか、いきなり現れる食料には一服盛られていた。
「先にどうぞ」
長い旅先での経験により、昔より警戒深くなったイレイナ。それは良いのだが、仮にも友人に、毒が入っているかもしれない物を進めるのか?そう言うと、魔法を使える私が後の方が良いんですよ、と適当に今考えたであろう言い訳をする。面の皮の厚さは倍以上に成長したな。友人の悲しい成長にやや思うところはあれど、仕方がないと腹を括った。で、その結果分かったのが、媚薬入り料理という情報である。
「必死すぎじゃないですか…?」
必ずセックスさせる。そんな強い意志をこの部屋を作った者から感じた。これにはイレイナもかなりドン引いてる。悪趣味とかそういうものではなく、本気でセックスをさせたいだけなのか…?と彼女は顎に手を宛てながら、この部屋を作った主の狙いを推測し始めた。
「…取り敢えず処理して来て良いか?」
「ええ……乙女の前で何言ってるんですか?」
「じゃあセックスするのか?」
「見えない所でお願いしますね」
相変わらず掌を返すのが早い奴だ。僕も自慰行為を他人に見せる趣味はない。なので物資で簡単なカーテンを作ると、その中でチャチャっと済ませた。
「…音もどうにかして欲しかったですね…」
無茶を言わないでほしい。それこそ魔法を使ってどうにかすれば良いだろうに。少し頬を赤く染めたイレイナからの指摘に、僕はそう返した。
そうして何とか自慰行為を行う事で理性は保ってきた。しかしそれも水際対策。日に日に入っている媚薬の量が増えている気がする。食べた後、直ぐに勃つのは盛りすぎではないだろうか。イレイナも一口食べた瞬間、目がトロンとして様子が可怪しくなった。直ぐに我に返って自慰行為ルームへと駆け込んで処理をする。食事の合間に数回も、交互に自慰行為ルームへと向かうのは、傍から見たらかなりシュールな光景だろう。
「く、くぅ…!お、おのれ…!やるしか…やるしかないんですか…!?」
「…もう少し粘るか?」
「…何か他の方法とかあるんですか」
「……イレイナが無いなら……無いなぁ…」
はぁ…とお互いに深い溜め息を吐く。己の無力さを痛感する事が、まさかこんなアホみたいな状況でとは夢にも思わなかった。それはイレイナも同じらしい。はっきり言って媚薬を盛られたせいで、思考も上手く回らない。何か良い案をと考えようとしても、隣に居るイレイナのふとした仕草を意識してしまい、直ぐに思考が中断される。
「はぁ………やります。やりますよ、やりましょう!!こんちくしょうめ!!」
「…ちなみに経験は?」
「無いですよ!悪かったですね!」
「となると初めて同士になるのか…」
「あれ?そうなんですか?」
初めて同士の性行為は、上手くいかないと聞いた事がある。片方がリード出来る存在だったのならば良かったのだろうが、これではちゃんとセックスしたと判定を貰えるか分からない。なので初めて同士、恥はあるがお互いの性知識を出し合って、何とかしようという方向になった。
「…た、確か…その…男の人のを…い、入れれば良いんですよね…」
「あ、ああ…それでこう…出して…それで終わり…です…」
「じゃ、じゃあ!?す、直ぐに入れて出して終わりですね!!」
「いや、それだと確か凄く痛いらしい…イレイナの方がだが…」
「え?それじゃあ嫌です」
さっきまでの恥ずかしがる女の子らしい顔は何処へやら。イレイナは真顔で否定の言葉を吐いた。僕も恥ずかしさはある。しかしこのままでは出られない。なので覚えてる範囲の知識を赤裸々に語った。
「な、成る程……先ずは準備ですか…」
「取り敢えず……触る所からか」
これからセックスするぞ、と自分達の体に認識させなければいけない。ただヤれば済むと思っていたが、かなり恥ずかしい行為なのだな。性行為というのは。先ずは無難そうなお腹辺りを触る。するとイレイナはひゃん!と可愛らしい声を出した。
「…次はイレイナの番で」
「わ、分かりました…そ、それでは失礼して…」
イレイナは恐る恐る、僕の方へと手を伸ばした。そして首筋を優しく撫でる。変な声が出てしまった。自分で触る分にはなんとも思わないのに、他人に触られると、どうしてこんなにも変な気分になるのか。
「お、おお……」
結構興味津々なのか、イレイナは首筋から胸板へと手を移動させる。こうして僕、イレイナ、僕と交互にお互いの体を触っていく。回数を重ねると、人間慣れていくものらしく。大分遠慮が無くなってきた。
「好きですよね〜男の人は…」
「…そういうイレイナも、触ってるじゃないか」
「こ…これは仕方なくなので…」
僕はイレイナの胸を触る。イレイナは僕のモノを触る。順番ではなく、同時に触り合う。何方からともなく、言葉にしなくても、自然とこうなった。
『んっ…』
こうして唇を重ねるのも何度目か。お互いの体を触っていくと、どんどん歯止めが効かなくなってくる。媚薬のせいも在るのだろう。衣服を脱がしていく。1枚、1枚とゆっくり、ゆっくりと。二人共に下着だけの姿になると、次のステップに進んだ。
「こ、これを入れるんですか」
「こ、此処に入れるのか…」
イレイナは下着の中から取り出した肉棒を掴む。僕はイレイナの脱がした下着から出て来た彼女の大事な部分を見る。僕が下でイレイナが上。お互いの性器を見る不思議な体勢。
「ひぅっ!?」
「これが…イレイナの…」
「い、いきなりは辞めて下さい!」
イレイナの中に自分の指を入れた。するとイレイナは体を震わせる。大事な所に指を突っ込まれ、少々イレイナはお怒りだ。
「くっ…!こ、こうです!」
「うっ…!?」
「ふふふ…」
責められっぱなしは性に合わない。イレイナは自分のモノをその可憐な手で上下に擦り始めた。柔らかい彼女の手から感じる快感に、思わず声が出た。その情けない声に、イレイナは満足気な表情を浮かべる。こうなると、お互い何故か対抗心のようなものが出始めた。僕はイレイナの中へと指を入れて掻き回す。イレイナは僕のモノを擦って中のものを出させようとする。最早一種の勝負であった。そうして性器を刺激し合うこの勝負に勝ったのは…
「ひゃうっ…!??あっ…!くぅっ…!」
「はぁはぁ…」
イレイナは絶頂を迎えたのか、体をガクガクと痙攣させ、力が上手く入らないようだった。危なかった…。もう少し長くイレイナが耐えていたら、僕の方が先に果てていただろう。ガチガチに勃起したモノがその証拠だ。
「イレイナ、そろそろ…」
「くぅ…く、悔しいですが仕方ないですね…」
イレイナの中はかなり柔らかくなり、トロトロに濡れている。確かこの状態になれば、男のモノを入れても大丈夫な筈。少しイレイナの中では趣旨が変わっているが、本来の目的はこっちだ。なので本番へと入る。
「あ…あの…くち…唇をですね…」
「…分かった」
「あっ……んんっ…んむっ…ちゅるる…」
イレイナも初めての経験に恐怖心があるのだろう。せめてキスをしたままで初体験をしたい。普段見せない女の子らしいイレイナの表情に、胸の中がドキリとした。全部言わせる前に唇を塞ぐ。舌をイレイナの口内へと侵入させる。イレイナは僕の舌を受け入れると、自分の舌を僕の舌へと絡ませてきた。口同士が繋がる、これも一種の性行為だろう。しかし扉が開く気配はない。だからこそ僕は、蕩けた顔をしたイレイナの彼処へと先端を入れた。目で合図を送る。イレイナはギュっと僕に抱き着いた。これが彼女なりの肯定の答えなのだろう。それに応え、一気に奥まで、イレイナの膜を破り突き入れた。
「んん~〜〜っ!!?」
イレイナの顔が苦痛に歪む。膜が破れた時の痛みは尋常ではないと聞いた事がある。イレイナの表情を見るにそれは本当のようだ。少し時間を置く。キスをしてイレイナの痛みを紛らわした。
「んんっ…ちゅるる…ちゅる…ちゅる…れろ…れろ…だ、大丈夫…です…」
「良いのか?」
「はい……んむっ…ちゅる……」
最低限の返答をすると、イレイナはまたキスを求めた。かなり気に入ったらしい。舌でセックスをしながら、優しく奥をトントンと突いてやる。まだ痛みは引いてはいないが、散々準備したお陰で快感の方が強くなったのか、再び蕩けた顔を見せるイレイナ。そんな顔を見ると、僕の中の獣欲とも呼べる浅ましい欲が刺激された。少しずつ、腰を円のように回しながら出し入れを行う。偶に良いところに当たると、可愛らしい喘ぎ声を上げるイレイナ。
「んむっ…はぁ…はぁ…来るんですよね…?」
「ああ…このまま…」
「はい…どうぞ…んむっ!」
腰を動かす速度が早まる。僕の様子に射精の時が近いのを察したイレイナは、一旦唇を離し、中に出しても良いと許しをくれた。それが何だかとても嬉しくて、僕は湧き上がる絶頂に身を委ねた。
「んん〜〜〜っ♡♡」
真正面から抱き締め合い、イレイナの中へと沢山注ぎ込む。熱い液体を中で感じ取ったイレイナは絶頂したのか、強く僕を抱き締めながら、全身を震わせた。ガチャリと音がした。どうやらこの部屋の扉がやっと開いたようだ。
「やっと開いたか…」
イレイナから離れて、彼女の中からイチモツを抜き出す。栓をしていたモノが無くなったので、イレイナの中からは僕の精液が逆流してくる。何だかもう一戦やりたくなったが。それは駄目だと自身を諌める。そうしてイレイナの方を向こうとすると、
「…まだです」
「イレイナ!?もう扉をは─」
「言いましたよね、やられっぱなしは性に合いませんと」
「くあっ…!?」
イレイナは僕を押し倒した。そしてまだまだ元気な僕のモノをその足で挟んだ。器用に僕のモノを虐めるイレイナ。
「ふふふ…私に恥を掻かせた悪い棒には、こうしてお仕置きです」
イレイナの足裏は、旅人とは思えないほどに柔らかくて気持ちが良い。彼女の足から感じる快感に耐える僕を、イレイナは意地悪な笑顔を貼り付け、見つめていた。
「うんうん、また硬くなってきましたね」
「イレイナ…な、何を…?!」
「こうするんですよ…♡」
イレイナは僕の上に跨ると、そのまま僕のモノを中へと咥え込んだ。そして体を上下に揺らす。僕の胸に手を置いて、イレイナは腰を激しく振った。
「あなたの顔が見下ろせて良いですね、この体位は…♡」
「イレイナっ…!」
巧みな腰使いに今すぐ果ててしまいそうだ。しかしイレイナはその度に腰の動きを止める。まだまだ僕は虐め足りないようだ。そうして暫くイレイナの玩具になっていると、
「…そろそろイッても良いですよ…?」
「くっ!!」
「んんっ♡♡」
耳元で囁かれた。その後にイレイナは搾り取る為に本気の腰使いを始めた。これには堪らず射精してしまう僕。イレイナは中で僕の精液を再び受け取ると、満足気な表情を浮かべた。今までは僕主導の性行為だった。だからイレイナは自分主導でやりたかったのだろう。
「はぁ…はぁ……イレイナ…」
「〜♪…何ですか?」
「最後にもう一回…したい…イレイナと…」
「!ふふふ…仕方ないですねぇ…特別に…ですよ…?」
懇願するように頼んだのがイレイナの心に刺さったようだ。鼻歌を歌いながら、イレイナは僕の申し出を受諾してくれた。
「…んんっ…これは好きですね…だからもっとしてください…♡」
「分かった…んむっ…!」
お互いに起き上がり、正面から抱き締め合う。再びディープキスを交わしながら、ゆっくりと腰を打ち付け合う。この短時間で性行為のコツを覚えたのか、イレイナの腰使いは堪らない。昔から優秀なのは知っていたが、こんな所でも優等生だとは。
「…あなたは次に何処へ行くんですか?」
「───だな」
「……そうですか」
配達先の場所を伝える。すると少々寂しそうな顔を見せたような気がした。しかし直ぐに腰を打ち付けると僕の精液を出そうと責め立ててくるイレイナ。
「ご馳走でした…♡♡」
呆気なく果てたモノを中で受け取ると、イレイナは淫靡な微笑みを浮かべた。……名残惜しいたが気持ちはあるが、これで彼女との行為は終わりだ。
「私は初体験です」
「?」
「余りこういう事はしないと思います。…だけど……んんっ」
イレイナは僕の腰辺りに強く吸い付いた。唇を離した所にはくっきりと
「この印がずーっと消えないでいたいですね…♡」
「それは……もしかして─」
「…シーッ♡………では、此処から出ましょうか」
イレイナは僕の口に指を当てた。言わないでください。言葉にせずとも、そう言われた気がした。
「では、私は───へ」
「僕は───へ」
衣服を身に纏い、部屋の外に出る。中は閉め切られていたから分からなかったが、今は朝のようだ。背中を向けてそれぞれの道を歩み出す。暫く連絡を取っていなかったので、上司からの叱咤が憂鬱である。しかし、腰辺りに着いた彼女の証を見ると、不思議とその気持ちも薄らいでいった。彼女とまた会うのは果たしてどれほど先なのか。それは神のみぞ知る、だ。
「ふふっ…♡」
何処かの魔女は、自分に着いた証を見て微笑んだ。此処に証を付けるという事は………だ。次に向かう道すがら、魔女は上機嫌であった。
キスマークを何処に付けたかはご想像に。
此処まで読んでくれてありがとうございました。