ヒキガエルの沼 作:スロット767
温かい水の粒が、肌に撫でるようにぶつかり、馴染み流れていく。タイヨウ教団の陽司親指姫は、今日一日の疲れと汚れを洗い流す、ひと時の休息を享受していた。
一昔前までは清潔な水を得る事すら一苦労だったそうだが、黎明を始めとする人々の尽力によって、今ではある程度の人が上下水道を不便なく使えている。そんなインフラを整えている人たちと交渉、議論を行い、教団信者の生活を安定させることも親指姫達陽司の仕事だ。現に今日は電力系統の技師たちとの相談がスケジュールに入っており、それが案外長引いてしまった。よって今日は、さっさとシャワーを切り上げ寝床に着こう、そう思っていた矢先の事だった。
「おーう淫売、居るか?……って、居ねえのか、こんな時間に」
嫌というほど聞いた野太い不快な声が、シャワールームの薄いすりガラス越しに聞こえた。
「いや、水音がするからシャワー浴びてるんじゃないかな?」
「おお、そうかそうか」
さっきまで暖かかったシャワーが、氷水ほどに冷たく感じられる。逃げる事も隠れることもできず、髪を濡らしながら少しずつ近づいてくる声に怯えることしか出来ない。
やがてガラガラと扉が開かれ、
「嘘でしょ……だって今日は……!」
「ああ?飯屋じゃあるまいし定休日なんてあるわけねぇだろ」
「お前は年中無休で俺らの奴隷やってりゃいいんだよ、わかったらさっさとケツ出せ」
「ちょ、まだシャワー浴びてる途中……」
抵抗虚しく、濡れた体を拭き取ることもなく引き摺り出される。親指姫の華奢で薄い身体は、難なく男の腕の中に収まり、ベッドへと放り投げられる。
「あぅっ!?っ……何すんのよ!」
「はは、全く最初だけは威勢がいいんだから……」
「そうそう、一回イったら俺らが飽きるまでアヘアへ言ってるし、そんな奴が今更怒鳴ったりしても怖くねえんだよ」
「ぅ…………」
つい反射的に言い返そうとした親指姫だったが、悲しいかな男達の言っていることは全て客観的な事実。今までの数えきれないほどの凌辱において、最後まで正気を保つことが出来た試しが無い。押し寄せる快楽に負け、白い海に溺れ、気付ば夜が明けている。そんな幾度とない敗北の歴史に絡めとられ、彼女の口は開かなかった。
「はっ、図星突かれたら静かになったな、そうそう、最初っから大人しく股広げてりゃいいんだよ」
「あうっ……んっ、やぁ……」
秘部を無遠慮に弄られ、甘い声を漏らす。それに嫌悪感や拒否感といった感情は誰の目から見ても感じ取れず、ただ情事で快感を得ている少女の、か弱い喘ぎだった。
「ああもう俺我慢できねえわ、入れるぞ」
「ひゃ!?ま、まだ……」
露出された陰茎を見つめる親指姫の瞳は、男達には期待にうるんだものとしか捉えられなかった。
「まだ何なんだよ、時間が経ったら良いのかよ?」
「そっ、そういう事じゃ……!」
「はぁ……どうせ突っ込んだら娼婦以下の汚ったねえ喘ぎ声になるんだから、こんなとこで上品ぶるなよ」
「っ……アンタらはどこまで私をバカにすれば……!ンンッ!!?」
「ははっ、それだよそれ、淫乱女ってそろそろ認めろよ」
既に血管が浮き出るほどビキビキに隆起した陰茎を一突き。すると親指姫の張りつめた表情は見る間に崩れ、身体は弓なりに快感を逃そうと動く。
「うぅぅん!?やめっ、そんにゃいきなりぃ……!」
「あー、これまで大分使ったはずなのにまだキツいな、流石十●歳」
「しかし成長期だと思うんだけど、全然胸大きくならないね」
「ああ、妹二人はそれなりにデカくなってんのにな、特に眠り……」
「やめて!」
「ああ?」
甲高い喘ぎ声から一転、まるでスパッと切断するような鋭さの、普段通りの親指姫の声が響く。寝転がされていた上体を起こし、男達が凄むほどの豹変を見せる。
「私の妹にもし手を出したら……殺すから」
シャワーでぐっしょりと濡れていた赤く長い髪は、数度の挿入でほつれた毛玉のように乱れている。それに鋭く憎悪の籠った目が合わさったその様は、さながらホラー映画の悪霊のようですらあった。
「……ぷっ、フフッ、ハッハッハッ!」
「……?」
静まり返った部屋の空気を一蹴するように、男達が大笑い。その光景に親指姫は、得も言われぬ恐怖を感じた。
「随分と妹想いの姉だな、見直したぜ」
「…………」
「でも……おらっ!」
「きゃっ!?いたっ……んん……」
親指姫は両肩を持って突き飛ばされ、ベッドの端の装飾に頭をぶつける。すかさず男達の一人が彼女に馬乗りになり、頭を片手で鷲掴みにして怒鳴る。
「せっかくいい気分で犯せると思ってたんだがなあ……オイ!」
「っぃ……」
「朝までオナホにして犯ろうと思ってたけど、予定変更だ。おい、アレ持ってきてるよな?」
「え?今日使うの?」
「ああ、二度と反抗する気も起こらないくらいにぶっ壊してやるよ、クソ女」
男達が親指姫の部屋に入ってからおよそ二時間。部屋は、耳をよくすまさなければ何も聞こえないほどに静まり返っていた。
あの後、男達はぞろぞろと部屋から出て行った。もちろん何もせずに帰るなどという手ぬるい連中ならば、親指姫の裸体は未だ本人しか知り得ないものであり続けていただろう。
「ん……ふうぅん……むご……」
ベッドの上には、猿轡越しに言葉にならない喘ぎ声をあげる親指姫の姿があった。目隠しを耳元ごとされる事で外部からの情報は遮断され、手を頭の上部で縛られることによりそれらを外すことも出来ない。そして何よりも……
「ンンっ…………フーッ、フーッ……」
彼女を苦しめているのは、M字に開かれ拘束された脚から覗く秘部と、身包みを剥がされた事により露わとなった二つの乳頭に取り付けられた薄ピンクの物体。それは一秒たりとも休むことなく、彼女の敏感な所を自身の振動によって責め続ける。
「むごぉ……ほっ……おぉぉ……」
快楽から捩れる肢体と、それを完全なものにさせない拘束。血式少女である彼女が本気を出せば引きちぎれる程度の強度だが、そこに集中など出来るはずもない。
(ああ……また変なとこに当たって……何なのよコレ……!)
その滑稽かつ無様な見た目とは裏腹に、親指姫は針の筵の心地。一向に手を緩めることのない、かといって強まることもない文字通り機械的な責め苦に、精神的な苦痛も蓄積して行く。
じっとりとかいた脂汗がその白くやわらかな肌を伝い這う様子は、目と耳を塞がれ鋭敏となった感覚器官を通して彼女の脳へと届けられる。水の粒が肌を流れるという一点においては同じはずなのに、シャワーを浴びていた時の自分と今の自分はあまりにも違う。彼女は零れそうになる涙を必死にこらえ、耐え続けた。
(なんで……こんな……)
しかし彼女は、一つ重大な勘違いを犯していた。男達は、この小さな機械で彼女を絶頂させようとしていたわけではない。
(あとちょっとで……イけるのに……!)
男達が設定したのは、最弱よりも気持ち強い程度のごくごく微弱な振動。絶頂することは出来ず、ただただもどかしい刺激が、電池切れまで延々と続く。それをもう一秒も耐えられないほどに、彼女の身体は調教、開発され切っていた。
(もうちょっと……突き出せば……)
生まれたての小鹿のように両脚をピクピクさせながら、まるで滑らかさのない動きで股を上へと突き出す。
「ひぐぉ……!?」
それにより、機械の位置が少し、本当に少しだけ奥にズレる。刺激がより子宮に近づき、親指姫は太い嬌声を上げる。うねうねと股を動かし、今の彼女は非常に滑稽な、浅ましいとまで言えるような動きをしている。それでも親指姫は、女の悦びを求める他の行動を選べなかった。
(はぁ……も、もっと……もっと欲しいの……!)
この場に誰もいないことが、かえって親指姫の心の枷を取り払ってしまったのかもしれない。彼女は彼女を知るもの誰もが信じられないであろう程の淫乱な思考の元、欲求とそれを満たすための行動をエスカレートさせていった。
(これ……うつ伏せで胸を擦れば……)
手の拘束具を中心にくるりと体の向きを変えると、彼女は恐る恐るベッドと自身の乳首に取り付けられた玩具との距離を詰めてゆく。
(……ひぎっ!?あ、あ”あ”あ”ぁっ!?)
視界が塞がれていた故に、彼女自身の感覚と実際のそれには誤差があった。彼女が思うよりも早くベッドと胸が衝突すると、シーツに包まれた玩具の振動はすべて彼女の乳頭へと向かい、哀れな絶頂を迎えた。
生殺しの快楽しか与えられていなかった今日、初めて味わう強烈な快感に、親指姫の華奢な肢体はガクガクとマリオネットのように揺れる。口と股間から汁を垂れ流しながら、ふいに引っ込めてしまった胸元を、今一度快感を味わいたいと言わんばかりに再度ベッドへと擦り付ける。
(お”っ、お”お”お”オ”っ!?ち、ちぃくびぃ、しゅご……お”お”お”!)
手の拘束具と、それを取り付けられているベッドの金具がガチャガチャとやかましく音を立てる。誰かに気付かれてしまうかもしれないという、最低限の恥じらいと危機感すら今の親指姫からは消え失せてしまった。ただ、猿のように快感を求め、特殊な自慰に走るメスでしかない。
「ゔーっ!ゔぅっ、ゔゔ……」
そんな醜い独り戯びと絶頂を幾度となく繰り返し、薄暗い夜はじっくりと時を進めてゆく。やがて彼女の乳首は強すぎる刺激により感覚が麻痺し、それは本人にも伝わる。
「うご……うぉ…………?」
(なんで……?なんで気持ちよくならないの……!?)
何事も慣れてしまえば、従来のやり方や量では満足できなくなる。多くの物事、特に依存性の強いモノにおいては鉄則とも言える真理だが、親指姫の身体は、乳首への快楽に対してその方程式が面白いくらいにピタリと当てはまっていた。もう少しのくすぐったさくらいしか感じられなくなったベッドへの押し付けを、それ以外は頭にないから繰り返す。だが、快楽は得られず拘束された身体を限界まで使って強く擦り付ける。そして、何も感じられないまま体力と精神力が失われてゆく。
(やだ……やだ……このままアイツらが来るまでこのままなんて……!)
親指姫の身体には、乳首以外にも秘部に玩具が取り付けられており、その三つは今もなお可動を続けているのだが……今の彼女は、乳首での快感にのみ脳が支配されており、そこには意識が及んでいなかった。既に彼女の性器からはだらだらと液が流れ出ているが、絶頂を目的とした強度では無いため、下腹部の洪水に気づかぬままに彼女は次の手段に出る。
(こうやって……肘を曲げれば……)
限られた可動範囲の中で、彼女はゆっくりと肘を曲げ、拘束された手首を軸に細い二の腕の内側をを乳首の玩具に当てる。
「ん"っ、ぅ……ん"ん"っぅ……!」
押し付けてもやや沈み込んでいたマットレスとは違い、これならば押し付けた分の圧力が直にかかる。そう考えた親指姫の発想は、見事に的中した。感じられなくなった快感が初めの頃のように復活し、強さを調節する事で絶頂のタイミングも自由自在。普段の陽司としての聡明な判断力や思考を全て捨て去り、如何にして乳首で絶頂するかという一点のみを詰め込まれた脳みそが導き出した、最適解だった。
(いい……これ、気持ちいいのぉ!)
猿轡の隙間から漏れる泡を含んだ唾液が、彼女の顔も肉体も濡らして行く。あまりに滑稽で、狭間で、淫靡な姿。しかし当の本人にとっては、生まれて一番の幸せな時間だったのかもしれない。
だが、そんな時間は唐突に終わりを告げる。親指姫の胸の玩具は、乳頭のてっぺんを包むかのように、何重にもテープで取り付けられていた。しかし彼女の汗や唾液により、その粘着力は次第に失われていた。そこにベッドや二の腕で圧力が掛かれば、ポロリと外れてしまう事など自明の理だった。
「んんっ、ゔ〜ゔ〜…………ゔぇっ!?」
もう何度目かわからない絶頂を迎え、飽き足らず次の絶頂を目指して二の腕を擦り付け始めたその時だった。テープの端っこがギリギリ耐えていた右の玩具がポロリと落ち、それを追うかのように左の玩具もペリペリとめくれ、ベッドを弾んで床へと落ちる。
(へ……?え……!?)
もちろん見ている者もいなければ、目隠しで半分は隠れているためにその顔色を窺う事は出来ない。しかしその内側には、宝石のような紅い髪のそれとは真逆の、錆び付いた青銅のように青ざめた顔が浮かぶ。
(待って……噓でしょ……そんな……嫌ぁっ!)
認めたくない現実に混乱し、無意味に体全体をブルンブルンと暴れさす。もちろん拘束されているため、手枷がガチャガチャと音を立て、汗がにじみ、シーツのしわが増えるだけ。先程までの強烈な快楽を一瞬で奪われた脳はもっとよこせと喚き立て、気が狂いそうになるほどのリビドーを全身にかけ巡らせる。その欲求が、満たされることは無いとも知らずに。
「ふごっ、ゔゔっーー!うっ、ぐごぉぉぉぉぉっ!!」
獣のような雄たけびが、暗い部屋に悲しくこだまする。陸に打ち上げられた魚のように、ベッドの上で跳ねる親指姫の脳は、もう自身の乳首を責めてくれる淫具の事しか考えられないものに変質してしまっていた。
(嫌……誰でも……誰でもいいから早く付けてよ……私の乳首に、拾って付けてよぉ!)
初めのうちは早く外れて欲しいと思っていた玩具を、今は暴れまわるようにして求めている。それを情けないとも悔しいとも、腹立たしいとも考えられない事そのものが、彼女が男達の手に堕ちたことを証明していた。
(お願い……おねがいだからあぁぁ!)
「おーい、元気にしてたかクソおん……ははっ、面白いことになってんなぁ?」
夜が明けた、と言うには少し早い時間。朝日よりも早く目覚めた男達は、身だしなみを整える時間すら惜しんで集合し、昨晩仕掛けた罠の様子を見に行く。
そこには彼らの予想通り、上と下の口から液を垂れ流し、無様な姿を晒す親指姫の姿があった。が……
「よっ、何重にもテープで固めたのに外れるって、お前どんな事したんだ?」
床に落ちていた玩具を拾い上げ、嘲笑しながら言う。
「おい、一晩中こいつに責められてた気分はどうだった?」
男はピクピクと痙攣する親指姫の目隠しと猿轡を取り、頬をペチペチと叩く。人よりも家畜に対するような扱いを見て、他の男がクスクスと笑った。
「ぅぁ……あ……?」
「おいおい、気失ってたのかよ?そりゃあローター外れるくらい激しいことしてりゃあ当ぜ……」
「お願い!入れて!私のおまんこにちんぽ突っ込んで!ねえ!早く!」
彼らも予想だにしていなかった発言に、尚も懇願する親指姫を除き一瞬空気が凍る。だが言葉の意味を理解した瞬間、彼らは一様に邪悪な笑みを浮かべ、彼女を取り囲む。
「やっと自分の立場が分かったか、この淫売」
「はい、はい……分かりました……!だから早くぶち込んでぇ!」
「人にものを頼むんだから、そんな言い方じゃダメだよね?」
「ぅぅ……私のおまんこに……皆さんのちんぽを、入れて下さい、お願いしますもう頭がおかしくなりそうなんです本当に……」
泣きながら懇願を続ける親指姫。拘束が無ければ土下座くらいはしそうな必死さが、男達の性欲を刺激する。
「おい、じゃあ誓え、てめえの今後の人生、全部俺らに捧げるってな」
「誓う!誓います!何だってしますから!早くっ、早くぅ!」
「おーおー浅ましい、陽司さっさと辞めちまえ」
「でも、そんな人がこんな情けないことしてるから良いんじゃない?」
「まあ確かにな、おし、じゃあ
「きて、来てっ、おちんぽぉ……ひぐぅっ!?」
一突きで、一晩中の身体の疼きを爆発させるような絶頂が訪れた。意識が椅子れるほどに強烈なそのストロークは、あれほど気持ち良かった玩具と二の腕のマリアージュがまがい物に思えてくるほどに強く逞しく、さらには官能的だった。親指姫の脳は、この瞬間に砕け散った。
「い”っ、い”い”っ、もっともっと突いでぇ!」
全てを犠牲にしての一時の快楽に、一匹の雌が紅い髪を振り回しながら歓声を上げ続けていた。