※この作品はR-18です。

系   作:七星七夕

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当作品は二次創作であり、原作、実際の物事、人物、事象には一切の関連がありません、ご注意ください
また、死ぬほど捏造設定があり、原作の隙間を縫うような部分がいくつも散見されますが、これは個人の好みでありそういった作風であるとご理解いただければと思います。個人的にはその隙間は想像の余地のままになってたらうれしいな!

また、当作品は恋愛小説です
版権キャラクターとの恋愛描写や性行為描写が苦手な方は回避をお勧めします
主人公が大怪我したり戦闘したり場合によっては修行するかもしれませんが誰がなんと言おうとこの作品は恋愛小説です。ご理解いただければと思います
カップリングは「吉良イヅル×オリジナルキャラ」になります。ハーレム等の予定はありません、悪しからずお願いします










「  」前編

「  」

 

「緋月さんが笑うようになったんです」

 

 瀞霊廷通信の記者の質問に答える隊士を見て、私は驚愕した

 

 そんなに笑ってなかったのかと

 思わず見つからないようにその場に隠れて話を聞いてしまう

 

「笑うように? 当たり前では?」

 

 記者は不思議そうに隊士を見ている。それに隊士は答えた

 

「緋月さんは笑わなくて有名なんですよ、愛想がないとかそんな話じゃなくて、いつも怒ってるような冷たさなんです。そんな人が笑ったんですよ! ニュースですよ!」

「はぁ…」

 

 隊内でのニュースを記者は集めてるんだろう。それはわかるけど、私のそんな些末なことをニュースにしないで欲しい

 

「ちなみに誰に笑いかけたとかわかりますか?」

「吉良副隊長です。一体2人に何があったのかと…」

 

 隊士は明らかに困惑している

 私も困惑している。なんでそんなことがこの隊舎内で騒がれているのかと

 

「ふむ…吉良副隊長に春、ですかねぇ」

 

 記者はニヤリと笑う。今すぐやめろと殴った方が良いだろうか

 

「春…ですかねぇ」

 

 隊士もニヤリと笑った

 それでも止める気にならないのは、私のおかげで春が来たなら嬉しいと思ってしまうから

 

「…っ」

 

 顔が赤くなるのを感じる

 こんなに幸せなことがあって良いのだろうか

 

 

********

 

 

「お疲れ様です。吉良副隊長」

 

 今日も今日とて上司を見かけたら挨拶

 この時に無意識に笑ってしまったのを、あの隊士は見ていたんだろう

 

「お疲れ様」

 

 あぁ、今日も貴方と目が合う。なんて幸せなことだろう

 

「あぁ、そうだ」

 

 そう言って吉良副隊長が足を止める。そして私に数枚の書類を渡してきた

 

「この書類、記入しておいて」

「わかりました」

 

 受け取ると、その一番上には小さなメモ書き

 ふと視線をやると"20時においで"と一言

 吉良副隊長は何事もなかったように歩き去っていく

 

「あは…」

 

 これはにやけないでいられない、嬉しい

 このこと以外で仕事が早く終わらないかななんて、思ったことなかったな

 

 

********

 

 

20時

 

「夜分遅くに失礼します。緋月です」

 

 小さな灯りがわずかに透ける戸に私は声をかけた

 すると少し奥から人の歩く音が聞こえて、その人物は鍵を開ける

 

「いらっしゃい」

「ありがとうございます」

 

 貴方の優しい声に、胸が高鳴る

 正しい手段で吉良副隊長の家に来るのは、久しぶりだ

 

「上がって」

 

 そう言って貴方は一歩足を引く

 

「お邪魔します…」

 

 何度か通った戸だというのに、なんだかまだおっかなびっくりになってしまう

 

「とって食ったりしないよ」

「わかってるんですけど、改まると緊張しちゃって…」

 

 へらりと笑う私を吉良副隊長は不思議そうに見る

 私がそれに疑問を感じると、彼はなにか気づいたようにして「なんでもない」と言った

 

「とりあえず中に入らないか? お茶でも淹れるよ」

「ありがとうございます」

 

 居間に入ると、囲炉裏の火が温かく部屋を照らしていた。最近はそこまで冷えるわけじゃないけど、なんだかこころが解けるような感じがする

 

「座ると良い。お茶もすぐに入るから」

「わかりました」

 

 囲炉裏の前に並べられた座布団に座る

 出されたお茶を啜りながら、今日は何をしようかと考える

 

 2人の休日が重なる日はお泊まりの日

 なんのこともない、ご飯食べて何気ないお話をして、明日の休みは何しようかとか決めたりして、寝るような、そんな日

 

 今までこの会は2度あったけど、よくある…と言うかなんなのか、まぐあいみたいなものは私の初めての時以来ない

 晩御飯は食べに行ったり、2人で作ったり…そもそも隠すような仲でもないので当たり前に2人で過ごしている

 最初はお土産にお茶請けを持って行ったりしていたんだけど、そんなに気を遣わなくて良いと断られてしまった

 

(……)

 

 今日は自分が作ると、台所に行ってしまった吉良副隊長の調理の音を聴きながら、ほのかに考える

 

 多分彼の方は、私とまぐあうのが怖いんだと思う、と

 たしかに初めてがあれじゃ、無理ない気がするけど

 

 彼の方の性格的に、多分私を傷つけたと思ってるだろうから

 

 何事もないようなふりをして今まできたけど、彼は明らかに私に過度に触れるのを怖がっている

 怖がっている、避けている…どちらでも良いけど、とにかく私に自ら触れるのを控えているのがわかる

 

 実際どうしたら良いかわからないんだと思う。私は気にした様子が一切ないし

 いっそ責めてくれれば、とか考えてそうだな

 そうなると、私の気持ちは無視ってことになるけど

 

 私は確かに言ったはず、彼の方の手で失う純潔は悦びでこそあれ悲しむものではないと

 それでも彼の方は、私を信じていないと言うことになる

 その方が悲しい

 

 やがて私を呼ぶ声がして、私はその声に応えた

 そのまま2人で夕食の準備をして呑気に食べて、食後のお茶を縁側でいただきながら私は言った

 

「吉良副隊長」

 

 そう声を掛けると、彼はこちらを不思議そうに見た

 私はその視線に目を合わせて言う

 

「触れても、良いですか」

 

 その言葉に、彼があからさまに挙動を乱したのがわかる

 そこにあったのは確かな恥じらいとかすかな恐怖。そう感じた

 

「だ、めじゃ…ないけど」

「ないけど?」

 

 言葉を濁す吉良副隊長に、私は僅かに詰め寄る

 それに少し体を引く彼に、私は少しだけ…

 

「無理ならいいんです」

 

 はっきりしない貴方に、ほんの少しだけ寂しさを感じながら私は引いた。別に無理して欲しいんじゃない

 

「あ、いや、その…」

 

 貴方が明らかに言葉を選んでいる

 戸惑ったその表情は愛しいけど、貴方に触れられないのは寂しい。私も欲が出たな

 

「ダメとかじゃないんだ、ただその、緊張して…」

「緊張、ですか?」

 

 そう言われると、私も僅かに照れ臭さがでてくる

 

「そう…女性に触れられることは、普段ないから」

 

 その言葉に、私は自分の中のタガが外れたように感じた

 さっきのいじらしさのようなものを取り払って、私は吉良副隊長の手を取って詰め寄る

 貴方の驚いた瞳が私を見て、確かに嬉しくなったけどその気持ちは堪えた

 

「女性なら、誰でも一緒なんですか」

 

 真っ直ぐ貴方を見つめる瞳に嘘はない

 誰でもいい誰かなんて、私は嫌だ

 

「私に緊張して下さいよ」

 

 そう言って私は彼を押し倒す

 わずがにはだけた胸元が見えて、少し興奮した

 

「言ったじゃないですか、私を、"私"を見てって」

 

 そう話す私の目は、少しばかり怒っていたと思う

 それに対して、貴方も少し寂しそうな目をして

 

「…君だって、他人行儀に僕を呼ぶじゃないか」

 

 そう言った

 

「!」

「付き合ってる割にそんなので、君はいいのかい?」

 

 正直、盲点だった

 私は"吉良イヅル"と言う存在を半ば崇拝してると言ってもいい。それゆえに、付き合ってる自覚がないのは私の方だったかも知れない

 

「き、吉良副隊長だって」

 

 私は照れで顔が熱くなるのを感じた

 貴方だって十分他人行儀だと言うのに

 

「じゃあ、名前で呼べばいいのかな」

 

 そう言って貴方は、私の目を見て

 

「鏡花」

 

 紛れもなく、なんの照れもなく、貴方は私をそう呼んだ

 

「〜っ!」

 

 普段は"〜君"って誰にもつけるくせに

 

(私の名前だけ、そんな特別みたいな)

 

 ずるい、そんなのずるいよ

 そこまでされたら、私だって

 

「〜っ、い、い…」

 

 言葉が出てこない

 頭ではわかっているのに、どうしても心臓の強い鼓動が邪魔をする

 

「い?」

 

 貴方は意地悪に私を見る

 あぁ、今だけは、今だけは私を見ないで

 

「い、イヅル、さん…」

 

 恥ずかしくて目が合わせられない

 絞り出した言葉に、貴方が吹き出すように笑った

 そのままくつくつと堪えるように笑い出す

 

「な、なんですか急に」

 

 私が怒ると、貴方は笑い終えて

 

「君でもそんな顔をするんだと思って」

「!!!」

 

 私はまた顔が赤くなった

 そんな顔ってどんな顔!?

 

「君はどんな時でも余裕がある人だと思っていたよ」

「そんなこと、ないですよ…好きな人と居るんですから」

 

 いつも余裕があるわけじゃない

 名前なんて呼んでいいのか不安だし

 押し倒すなんて胸の高鳴りが抑えられる訳ない

 

 こんなに貴方が好きなのに

 

「今日は意地悪です、貴方は」

「そうでもないと思うけど」

 

 そうやって私を見るのはずるい

 余裕があるのは貴方じゃないか

 

「なんだか、手のひらの上で転がされてる気分です」

「そんなことないよ」

 

 貴方はそう言って私の頭を軽く撫でた

 私がそれに驚くと、貴方は「ごめん」と謝った

 

「君にどう触れていいか、わからないんだ」

 

 それは

 正直それは言うと思ってた

 やっぱり後ろめたいんだろう、私と無理矢理まぐあったことが

 でもそれって、勝手に逃げて卑怯だ

 

「まぐあいがないのも、そのせいですか?」

「!」

 

 貴方は確信をつかれたように驚いた顔をする

 それを見て、納得と同時に少し呆れた

 

「私言いましたよね? 貴方とまぐあうことに悦びこそあれ後ろめたいことなどないと」

「…」

 

 君はそう言うけど、と言わんばかりに貴方は視線をそらす

 私はそこに続けた

 

「貴方が後ろめたかったら、私の思いはどうなるんですか?」

 

 私は貴方の顔を掴んで無理矢理視線を合わせる

 

「罪を着せて欲しいと言うなら、私から逃げないでくださいよ」

 

 そうやって私から逃げることこそ貴方の罪だ

 私を見てみようって、思ってくれたんじゃなかったの?

 

「!」

 

 貴方は少し驚いて目を見開く

 私は少し泣きそうなのを堪えながら、言葉を続けた

 

「私は貴方に、い…イヅルさんにいつだって何度だって触れたいし、触れて欲しい」

 

 名前を呼ぶのに照れが残ってるのは許して欲しい

 やっぱり慣れないし、嬉しさが恥ずかしさになって胸を締め付ける

 

「貴方がするなら、どんな触り方でもいいの。貴方が触れてくれることが大事で、喜びで」

 

 愛おしくて、嬉しくて

 

「それこそ何度だって体を重ねられるなら、それこそ嬉しいこと」

 

 貴方を感じられて、貴方を私だけの貴方にできる瞬間

 

「だから、だから私から逃げないで。私を見て」

 

 そう思ってる私を見て、私を愛して

 

「逃げる貴方の優しさも好きだけど、残酷に求められることが、私の幸せだって伝えましたからね」

 

 その後どうするかは貴方次第だから

 私が押し倒した貴方から離れると、貴方はそっと体を起こした

 そして私を抱き寄せて

 

「!」

「ごめん、確かに僕は逃げていた」

 

 そう一言、貴方は言った

 私を抱く掌に、僅かに力が入る

 

「僕は君に…求めてないことをしたと思っていた」

 

 貴方が私にすることで、求めないのは貴方が私を見ないことだ

 貴方が私を見てくれるなら、それならなんでもいい

 

「だから、君に触れるのが怖かったんだ。君をどこかで求め始めている自分が」

「!」

 

 その言葉に、胸が高鳴った

 貴方が、貴方が私を求めてるって?

 

 そんな、そんなまさか

 

「正直嬉しかったと思う、こんな僕を好きだと言ってくれて」

 

 私の胸の高鳴りは収まりそうにない

 だってこんなに嬉しいことばかり言ってくれる

 それが、貴方の口からなんだもの

 

「これでも大事にしたかったんだ。始まりがその…残酷だったから」

 

 残酷だろうか、あんなに貴方は私を見てくれたのに

 

「そんなことないです」

 

 私が素直に述べると、貴方は少し間を置いてから

 

「…そう、君がずっとそう言うから、僕はわからなくなって」

 

 貴方の方に視線を向けると、貴方は悩むように俯いていた

 

「君が僕と付き合ってからよく笑うようになって、僕はそれに少し惹かれたりしていて」

 

 それにも戸惑って、と貴方は続けた

 私はその言葉に、二つの意味で驚いていた

 そんなに笑うようになったのかと言うことと

 貴方がそんな私に惹かれていると言うこと

 これは、喜んでいいの?

 

「見てみようと思うなんて偉そうなことを言っておいて、こんなに早く惹かれるなんて思わなかったんだ」

「…」

 

 私は私でどうしたらいいのかわからなくて言葉を返せないでいる

 こんなに嬉しいことって、ある?

 

「…僕も、君と一夜を共にしたいと思っている」

「!!」

 

 俯き気味になっていた私の視線が、言葉に対して反射的に貴方の方に向く

 すると貴方が、確かに私を見ていて

 

「今日は、どうする?」

 

 そんな、そんなの

 

「答えが"はい"以外にあると思ってるんですか?」

 

 少しばかり涙交じりの笑顔で、私は応えた

 

「…じゃあ部屋に行こうか」

「はい」

 

 こんなに嬉しいことがあるなんて思ってなかった

 

 貴方が私を見ている

 

 

続

 

 

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