※この作品はR-18です。

系   作:七星七夕

4 / 24
当作品は二次創作であり、原作、実際の物事、人物、事象には一切の関連がありません、ご注意ください
また、死ぬほど捏造設定があり、原作の隙間を縫うような部分がいくつも散見されますが、これは個人の好みでありそういった作風であるとご理解いただければと思います。個人的にはその隙間は想像の余地のままになってたらうれしいな!

また、当作品は恋愛小説です
版権キャラクターとの恋愛描写や性行為描写が苦手な方は回避をお勧めします
主人公が大怪我したり戦闘したり場合によっては修行するかもしれませんが誰がなんと言おうとこの作品は恋愛小説です。ご理解いただければと思います
カップリングは「吉良イヅル×オリジナルキャラ」になります。ハーレム等の予定はありません、悪しからずお願いします









「   」

「   」

 

 最近、彼の方が私を見る時間が増えた気がする

 

 あくまでそんな気がするだけで、確証は無いんだけど

 その割には私と目が合うと気まずそうに視線を逸らすので、何を思ってるのか気になる今日この頃

 

 二回もまぐあっておいて何を今更、と言う話なんだけど

 そんなことを考えても仕事は回ってくる

 

「よいしょ…」

 

 今日は書庫の整理だ。よりにもよって彼の方と一緒となると最近を思えば少し気まずい…ような

 

 とりあえず会話は最低限に仕事を優先する。無理に視線を合わせようとしなければ別に普通に話はできる。それが寂しくないかと言われれば寂しさを通り越して悲しみに足を突っ込んでいるけど

 

 何気なく振り向くと、また彼の方はこちらを見ている。悪戯にわざと視線を合わせるとまた焦ったような気まずいような、そんな態度で仕事に戻っていくのが見えた

 

 そういえば、ふとちゃんと好きって言ったの私だけだったなぁなんて考えた。惹かれていると、貴方は確かに言ってはくれたけど、それだけでも嬉しいんだけど…欲が出ているなこれは、いけないいけない

 

 もし本当に私のことをいい意味で意識しての態度だったらそれはそれは嬉しいこと、でも気まずそうにしてるあたり違ったりして…

 相手も人間だから考えても無駄なんだけど、ついあれこれ詮索してしまうのも人間。不安はつきまとう

 

「吉良副隊長」

 

 声をかけると、焦ったように貴方の体が跳ねた。一体貴方は何を考えているのやら

 振り向いても視線を合わせない。あの頃みたいに無視みたいな話じゃなくて、気のせいでなければ耳が僅かに赤いような…多分気のせい。ここ薄暗いし

 

「この資料は、そちらのだと思うので置いておいてもいいでしょうか?」

「あ、うん…そうして欲しい」

「ありがとうございます」

 

 まだ分別されてない資料の山の上に私の持ってきた物も乗せておく。とりあえず自分の分別してる資料の元に戻ると、今度は悲しみを通り越して怒りさえ湧いてきた。また押し倒してやろうか

 

「ふぅ…」

 

 怒りを仕事にぶつけていると、私の所は一区切りついたようだ。資料に関しては雑な人と丁寧な人がいるのもまぁ…そんなものだと思うのでこうして定期的な整理が必要

 

 終わったので手伝いに行こうと声をかけにきたのだけど、私の中の怒りが悪戯を考えつく

 そこに同意してしまう私の理性は働くことを放棄してるので仕方ない

 

「…イヅルさん」

 

 そう声をかけると、貴方は驚いたようにこちらに振り向いた。そこから僅かに視線を逸らすけど、明らかに戸惑っている

 

「ひ、緋月君。ここは仕事場だから…」

 

 そう答える貴方はしどろもどろだ。愛らしいとは思うけど

 

「吉良副隊長が目を合わせてくれないので、ちょっとした悪戯です」

 

 手伝いますよ、と続けて私も残った資料の山を片付け始める。貴方の表情はわからない

 

「でもあんまり悲しくさせると仕事場で襲いますよ」

 

 なんて小さく呟くと、貴方はまた体を跳ねさせた。これは襲われる恐怖なのか否か…

 

 まぁ何でもいいんだけど

 資料整理も二人でやればあっという間。終わったら次の指示を出してもらってそちらに向かうことにした。次は交代で隊舎前の警備だそう

 

 帯刀して担当者と交代する。門の前でぼーっとしてると通りかかった素行の悪そうな死神がこちらを睨みつけてきた

 私は見てませんよ、という風に目を伏せる。しかし相手は近づいてきた。これは失敗だな

 

「…何で女がこんなところにいるんだ?」

 

 当たり前だが無視だ。こんな輩に付き合っていてもいい事はない

 

「何で女がこんなところに居るんだって訊いてるんだよ!」

 

 相手が手を上げたのに対して一緒に門番をしていた隊士が守ってくれた。確かに私一人でも対応出来るけど、事を荒げたくはない

 

「ちょっとやめろ!他の隊の隊舎だぞ!」

 

 隊士はそう言って男の腕を掴む。ギリギリと攻防を繰り広げているが、隊士が力勝負では負けそうだ

 私が男の脛を思いっきり蹴っ飛ばして転けさせると、男はますますこちらを睨む

 

「女性ってだけなら他にもたくさんいるじゃないですか。弱そうと思わないと喧嘩も売れないんですか?」

 

 自分でも煽ってると思う。しかし今の私は虫の居所がすこぶる悪い

 

「てめぇ…」

 

 相手はあからさまに怒っているが知ったことではない

 

「ちょっと、緋月もやめろって…」

「いいから」

 

 隊士は止めてくれてるけど、売られた喧嘩を買う程度にはイラついている。今は向こうが悪いわけだし

 

「…死神は男の世界なんだ、女がちゃらちゃらうろついていいところじゃねぇんだよ!」

 

 今度は拳を振り上げる男。力で押せば勝てるとでも思っているのだろうか

 

「!」

 

 振り上げた拳を私におろした瞬間相手は驚いた。私が拳を受け止めたからだ

 そのまま力を込めて骨から音がするほど握り込む。相手の痛がる姿など知ったことではない

 

「…わかりました?」

 

 僅かに涙を浮かべる相手の拳を握り続ける

 そのままもう片方の足の脛も蹴り飛ばすと男は大きな声をあげて飛んでいった

 脛を抱える相手の側によって顔面を蹴ってやろうかと思ったけど流石に言葉だけにとどめる

 

「次下手な喧嘩売ってみろ、殺すぞ」

 

 怒りを込めて見下す視線に相手は固まる。戦意を喪失したと判断して背中を向けると、また男の声が聞こえた

 

「なめんじゃねぇ!」

 

 声に驚き振り向くと再び拳が飛んできていた

 まずい、これは避けられない

 そう判断して腕で頭を防御する

 

「そこまでだ」

 

 しかし拳が飛んでくる事はなかった

 声にまた驚いてそっと目を開けると、そこには貴方の姿があって

 貴方は男から放たれた拳の手首と襟元を掴んでいた

 

「女性に無闇に手を挙げるとは、感心しないな」

 

 男は明らかに自分より上の立場の死神が現れて動揺している。門のそばには息を切らせた隊士の姿があったので急いで呼んできてくれたんだろう

 男の拳はぴくりとも動かない。普段細いのにこういう時頼りになると惚れ直してしまうの、我ながら現金だと思う

 

「この紋…やはり十一番隊か」

 

 貴方は男の着ている死覇装の襟を裏返して所属の隊を確認する。そのまま男を解放すると、奴は手首を摩っていた。どれだけの力で握られていたのだろう

 

「捕えろ!」

 

 貴方の声に数名の隊士が縄をかける。私はそれを呆然と見ていた

 

「このことは更木隊長に報告させてもらう。それまでは牢に入れておけ」

 

 貴方は普段怒るより強く感情を表しているように見えた。まるで私のために怒ってくれているような、そんなまさか

 貴方は牢に連れて行かれる男を見ようともしない

 

「!」

 

 だけど私に振り向いた貴方は明らかに怒っていて、少し緊張する。そのまま私の方に歩いてくると、私の肩に軽く手を置いた

 

「緋月君はこのまま僕の執務室に来るように」

「わ、わかりました…」

 

 冷たい貴方の声に動揺する。そのまま貴方は私を通り過ぎて行った

 

 

********

 

 

「失礼します、緋月です」

 

 彼の方の執務室をノックすると返事が返ってきたので中に入る

 貴方は書類仕事をしているようだったけど、私が入ってきたのを確認すると作業を中断して立ち上がった

 

 どうしたのかと見ていると、私の方に来て緊張する。その表情は明らかに怒っていた

 ドアのところに居た私の後ろに手を伸ばして鍵を閉める。そのまま私の手を引いて部屋の中央まで進むと、久しぶりに貴方が真っ直ぐ私を見た

 

「どうしてあんな事をしたんだ!」

 

 こんなに声を上げる貴方を見たことがなくて驚く。掴まれた両肩が少し痛い

 

「あそこで僕が助けなかったらどうなっていたか、君は考えたのか!?」

「も、申し訳ありませ…」

「謝れば済む問題じゃないだろ!」

 

 貴方はこんなに怒る人だったの?

 でもそんな姿見たことないって事は、私が特別だなんて、そうだったらいいなんてどこかで考えてしまう

 

「心臓が止まるかと思った…」

 

 両肩を掴んでいた手の力が抜ける。そのまま項垂れる貴方に、私は本当に心配をかけたんだと気づいた

 

「本当に、ごめんなさい…」

 

 私がそう言うと、貴方も私に謝って掴んでいた肩を軽く摩る「痛かったかい?」なんて言いながら

 

「でも、どうしてそんなに怒ってくれるんですか?」

 

 普通は反省文用の紙を渡されて終わりだと思うんだけど

 それを言うと、貴方は大きくため息をついて私を見た。貴方の目はやっぱり素敵だなぁなんて考えていると、貴方が私を抱きしめたから、私は驚いてしまって身動きが取れなくなって

 

「…君を、ちゃんと好きになれたから」

 

 なんて、そんなことを貴方が言うから

 夢か現か、私は僅かに呼吸を忘れた

 

「ここまで言えなくてごめん…どうしても緊張してしまって」

「そんな…事って」

 

 そんなことってある?

 貴方が、貴方が私を愛してくれるなんて

 そばに居れるだけで十分だったのに

 

「でも今日の事で気づいたんだ。本当に心臓が止まるかと思った」

 

 貴方が私を抱きしめる力が強くなる

 私は呆然としつつも自然と腕の伸ばせる部分で貴方を抱きしめ返していた

 

「い、イヅル、さん…」

 

 私の視界が、ぼやけてきた

 ようやく心に現れた現実味が涙になって私を喜ばせる

 

「なんだい、鏡花」

 

 だめそう、涙止まらないや

 

「私、私イヅルさんが好きです…!」

「僕も鏡花が好きだ」

「うぅ…ああぁ…っ」

 

 こんなの泣かないでいられない

 

 貴方が好き、貴方と言う形が好き、貴方の顔が好き、体が好き、心が好き、動作も何もかもが好き、良いところも悪いところも好き、たくさんの人に愛されてる貴方が好き

 

 何でって思うところなんてたくさんある

 普段の真面目すぎるところとか、おとなしそうに見えて頑固なところとか、責任感でものを判断してるところとか

 

 それでも好き、好きだ。貴方が好き

 

 貴方は泣いて止まらない私の背中を静かにさすってくれる。まるであの時みたいに

 それがここちよくて、もうあの時みたいに後ろめたくなくて

 

 あぁ、あぁ、なんて幸せなんだろう

 神様、私このまま愛されていたい

 長いこと泣いていた。それが静まった時、貴方は私を解放して私を見た

 

「はは、泣き腫らしているじゃないか」

「うぅ…」

 

 そう言って貴方は残った涙を拭ってくれた

 私はまだ少し鼻を啜って、それから貴方を見る

 貴方は私と視線を絡めてくれて、こんなに幸せな事はないと思った

 

「反省文はここで書くといいよ。そんな顔じゃ戻れないだろうから」

「はい…」

 

 そのまま本当に反省文は執務室で書いた

 これだけのことがあっても反省文書かされるあたり、貴方だなって思った

 確かに反省文を提出する頃には顔の腫れも大方治まっていて、それでも貴方を見てしまう

 

「…イヅルさん」

 

 私が呼ぶと、貴方が私を見た。私は今さぞご機嫌なのが表情にも出てることだろう

 

「公私は混同しないように」

 

 そう言う貴方の声はすっかりいつもの調子で、さっきまでの貴方が嘘のよう

 でもそれでいい、それが貴方のいいところ

 

「はい、吉良副隊長」

 

 だめだ、嬉しくて笑ってしまう。今日一日だけ許してください

 

「後緋月君」

「はい?」

「今回は初めてだから反省文だけど、次やったら謹慎だから。必ず何かあったら上官を呼ぶように」

「…はい、申し訳ありませんでした」

 

 普通に釘を刺された

 喧嘩すんなって事ですね…

 心配してくれてるのはさっきのことのおかげで伝わってるし、嬉しいから良いけど

 

「わかれば今日は良いよ。門番は角先に交代してもらってまたここに来てほしい」

「わかりました」

 

 門番を交代してもらって執務室に戻るけど、今更私に何の用事だろう?

 再び執務室を訪れる。そこには先ほどと同じ書類を書き進める貴方の姿が

 

「あの…」

 

 私がおず、と声をかけると貴方はこちらに気づいて筆を止めた

 

「今日は罰として僕の手伝いをしてもらおうと思って」

 

 えっ

 良いんですか?

 

「良いんですか?」

 

 思ってることがそのまま口から出た。よく滑る口だこと

 

「良いも何も罰だからね」

 

 それは罰じゃなくてご褒美って言うんですよ

 悪戯に笑う貴方に、私はやっぱり微笑んでしまった

 

 貴方も大概公私混同だって、言えるわけないよね

 

 

終

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。