ぴた……。
エリスの指が愛撫を止めた。
「ふあ……?」
姉を極限まで追い込んだ状態で突然愛撫を止めるという行動にクローディアは困惑し、半開きの唇から気の抜けた声を漏らす。
(えっ……?)
「おねえさま…今までごめんなさい…でも、信じてたよ…きっと、耐えてくれるって…」
虚ろだった瞳にサファイアの輝きを戻し、姉に微笑むエリス。
「エリス…?」
きょとんとする姉を優しく抱き留めつつ、卑劣な敵を睨みつけるエリス。
「師匠…いいえ、異界召喚士の精神支配を解く術式が間に合ったの」
「キヒィ!?なっ何を言っておるんじゃあぁ!?」
みっともなく狼狽する異界召喚士を尻目に、姉に治癒魔法を注ぐエリス。
「おねえさま……もう大丈夫、楽にして」
「エリス……良かった……」
妹の想いを察し涙ぐむクローディア。
エリスの温かい体温と鼓動に乗せて、魔の媚薬と痺れ薬の呪縛が解け勇者の力を取り戻していく。
「おのれェェ愚か者どもが!儂を侮ったツケは高くつくぞぉ!」
狼狽から一転、勝利を確信した様子で姉妹姫を睨む異界召喚士。
クローディアを蝕む媚毒と麻痺毒は易々解かれる程甘くはない。更に拘束具も健在。
小賢しく精神支配の術式を解いたエリスとて再び支配すればそれまで…!
しかし、エリスとクローディアの瞳はどこまでも冷ややかだ。
「終わりだよ異界召喚士。ボクたち姉妹の勝ちだ」
――――時は遡り3日前。
「おねえさまぁぁぁっ!いあぁぁあぁぁっっ!?」
空間転移の負荷でエリスの幼い身体は強烈な浮遊感に揺さぶられ、激しい眩暈に襲われる。
まるで悪夢で崖から飛び降りて目が醒めた時のように、身体と意識がふっ…と戻る。
「うぅ…ここは?」
妖しげな魔界の機器が設置された薄暗い部屋だった。
天井には捕えた者を吊るための拘束具が設置されている。
しゅぅぅぅぅ………ぷしゅぅぅぅぅ…………
拘束具の傍の床に設置された禍々しい物体から、妖しい霧が部屋を満たしつつある。
「ふぁぁ…この霧……瘴気?」
(この邪気と禍々しさ……まるで魔界そのものみたい……)
くらぁ…。幼い少女の紺碧の瞳が霞む。
普通の幼女であれば成す術が無い状況。だが。
「…いと慈悲深き聖女さま…我が願い、灯火となりて邪を祓わん……」
「フィールド・プロテクション!」
エリスを中心に、円形の魔法陣が展開。清浄なる領域内の瘴気と邪毒が浄化される。
シリル皇家の開祖たる、異界から来たと伝えられる聖女様の加護を借り受ける高等神聖魔術。
賢者でも難しい魔術を、10に満たない幼さで行使してのけた不世出の魔法力と、突如攫われ、たった独りで瘴気に襲われる状況で咄嗟に的確に対処した判断力。
帝都守護の為シリル皇家に伝わる秘術、神聖結界を独自に習得した天才魔法術士。
魔界や瘴気に対する知識も豊富。帝国の賢者姫と謳われる所以であった。
「はぁ…ふぁぁ…少し…吸っちゃった…」
エリスの身体がじぃんと痺れていく。屈強な騎士でも数分で無力と化す瘴気に得体の知れぬ薬が混ぜられた霧。
咄嗟に息を止め防御結界を張ったものの、幼い身には危険な状況だった。
「ほぉ、これは驚いた。お主のようなガキが何という冷静で的確な判断力と魔力よ」
「っ!?あなた…だれ!?」
「ワシの名は異界召喚士。シリル帝国第二皇女エリスよ、お主はお主の姉クローディアを捕える為の人質じゃよ。勇者姫めの戦闘力は凄まじく正攻法ではとても敵わんからのぉ~」
「おねえさまを…!?…っ」
(わたしのせいで、おねえさまが危ない…そんなの絶対、だめっ!)
敏い知性で瞬時に状況を理解し、可憐な唇をかむエリス。
自分の身の危険よりも、大好きな姉を想い歯噛みする。
「キヒヒ、咄嗟に防御結界を張ったのは見事じゃが、所詮一時凌ぎよ。無駄な抵抗はやめて我が手中に堕ちよ」
「…嫌よ」
碧い瞳に決意が宿り、キッと睨む。
「わたし、おねえさまの足手纏いにはなりたくない!それに…おねえさまは絶対、負けません!きっと助けてくれるもの…いつだって助けてくれたもの。だって、わたしのおねえさまは勇者だから!」
「グム~生意気なガキがぁぁ!」
勇者姫を捕える餌に過ぎないと思っていた無力な幼女に反抗され激高、醜い腕が幼い身に迫るが。
バチィィィ!
「ギョエェェ!?」
神聖結界に触れた瞬間、眩い光に弾かれた醜い腕が焼かれ塵と化した。
「…無駄です。この守護結界には、あなたみたいな悪い魔族は入れないんだから!」
「キヒィ…じゃが、いつまでそうしておるつもりじゃ?所詮はガキの悪足掻きよ」
腕を魔術で再生させつつ、幼き姫の抵抗を嘲笑う異界召喚士。
「はぁ…はぁ…ふぁぁ…!」
小さな肩をふるわせ、エリスは辛そうに息を継ぐ。
咄嗟に神聖結界は張ったものの、高等魔術維持の膨大な魔法力消費と、僅かに吸い込んだ魔の霧の影響で、エリスの力が抜けていく。
(おねえさま……たすけてっ……!)
ぽろぽろと泣きながら、エリスは懸命に結界を維持し続ける。
幼い胸に、大好きな姉への信頼と愛を宿して。
(おねえさまがきっと助けてくれる……だからわたし…諦めないっ!)
神聖結界維持の為に小さな両腕を天に掲げているエリスは、可憐な頬を流れる涙を首を振って払う。
「なんというガキじゃ。勇者姫の身体が目当てじゃったが、これは思わぬ拾い物やも知れぬの」
無力な人質の驚異的な粘りと結局無駄な抵抗にほくそ笑む醜い魔族。
「はぁっ…はぁっ…んっ、くぅ…だめ…意識…が…」
くらぁ…。幼き身にはあまりに酷な疲労感にエリスの碧い瞳が霞む。
「くっ…!」
崩れ落ちそうな身体を踏ん張ろうと身を捩るエリスだが。
ぴくっ…!ぞくぅっ!
「あっ…!」
可愛らしいドレスが肌を擦った瞬間、幼い少女が感じた事の無い未知の刺激が駆け巡る。
(ふぁぁ!?なに、これ……お胸が…おまたも、ビクッて…)
身体が熱っぽく、甘い感覚に力が抜けていく。
「キヒヒ!どうやら媚薬が効いてきたようじゃのぉ」
エリスの異変に勝利を確信し卑劣な笑みをこぼす異界召喚士。
「はぁっ……はぁっ、びやく……?」
「ヒヒ、ガキには分からんじゃろうが…まぁじっくりその身体に分からせてやるわい」
エリスに使用した媚薬は、後に姉クローディアに盛った媚薬原液を数百倍希釈した代物だったが、それでも貞淑な成人女性が淫らに堕ちていくには十分な効能があり、まだ幼い少女にはあまりに残酷だった。
エリスは一吸いした瞬間に守護結界で防いだものの、小さな胸で吸った僅かな媚薬だけでも幼き身には堪え難い快感を催すのだった。
「はぁっ…ふぇぇ…ぁっ!」
ぴくん…ぞくぅ…。
堪え難い快感に、股をもじもじと捩ってしまうエリス。
幼い姫が堕ちる瞬間を想像し醜悪な笑みを浮かべる異界召喚士。
(どうしよう、おねえさま……きもちぃよぉぉ……)
ぞくんっ!
(身体がどんどん熱くなってきてるよぉ……)
びくんっ……!ゾクゾクッ!
(いやっ!やだぁぁ!助けて……おねえさまぁぁぁ……!)
「くぅっ……!」
なんとか残った力で守護結界を維持し続けるエリスだが、カラダの火照りはどんどん酷くなってくる。
(くぅ……からだが、おまたがムズムズして……お胸も、乳首もジンジンするっ…はぁ……あついっ……!)
「ふぅっ、ふぅっ……!」
可愛らしい吐息を必死に押し殺すエリス。
「ヒヒ、よく粘るのぉガキ……見事な守護結界じゃが…足元がお留守じゃぞぉ」
「え…?きゃあああぁっ!?」
ズズズ…ボコォ!
床下を割り、エリスの足元から触手が襲い掛かる。
触手はすぐに清浄なる結界の守護で焼け爛れていくが、消滅するまでの僅かな時間、エリスの火照った脚を這いずり、ジンジン痺れる股を擦った。
「ああぁぁぁあぁっ!?」
ビクッ!
触手は消滅したが、ドロリとした媚薬粘液がねっとりと幼い身体に纏わりつく。
今まで経験した事の無い感覚に、可愛らしい悲鳴を上げてしまうエリス。
(おまたが……ジンジンして熱いっ……!)
媚薬に蝕まれた幼い身体は、その刺激を快感として享受してしまう。
「ふえぇぇ……だめぇぇぇ…!」
じわぁ…。
まだ初潮を迎えていないはずの未熟なクリトリスが真っ赤に充血し、強制的に愛液がにじみ出てしまう。
「くぅぅん……!」
びくん!びくびくびくぅ!
(やぁ……!だめっきもちよくて…結界が壊れちゃう……!)
脚をガクガク震わせて可憐な顔を紅潮させながら、エリスは懸命に意識を保とうとする。
「ヒヒ、どうしたガキぃ……随分と苦しそうじゃのぉ?」
異界召喚士が醜い顔を歪め、エリスを嘲る。
「はぁっ……はぁっ……ぁっ!」
魔術維持に集中すればするほど、股間が熱く甘く痺れていく。
(あつい……ジンジンしておまたがキュンキュンするよぉ)
幼い身体を蝕む媚薬に幼い心は屈していく。
(あっ……だめ、もう立ってられないっ……!助けて…おねえさま!)
がくんっ!がくがくがくぅ……! ついに限界を超えたエリスの膝が、ガクガクと崩れ落ちる。
維持していた結界に綻びが生じる。
「くぅっ……!んくぅ……はぁっ!んあぁ!ぜったいっ!負けないんだからーっ!」
それでも気力を振り絞り、両掌を天に掲げ、なんとか結界を維持し続けるが。
(おねえさま……どこにいるの……?)
(わたし……もう、げんかいだよぉ……!)
倒れそうなほどに前のめりになった少女の身体を、結界の綻びを突いた小さな触手が這う。
(あっ!そこはぁっ!!?)
ぴくっ!くにっくにっ! 触手は小さな胸元を這いずり、ドレスの上から胸の頂を押し潰す。
(だめぇぇぇっ!!!?)
ビクッッッ!
媚薬で敏感になった乳房への突然の責めに、エリスは背筋を仰け反らせて悲鳴をあげてしまう。
(ふぁぁ…しまった…結界…が……)
健気に維持し続けていた神聖結界が無情に消滅していく。
その瞬間、防いでいた媚薬霧を胸いっぱいに吸い込み、エリスの身体が甘く痺れていく。
「ふぁぁっ…だ…めぇ…!」
「全くてこずらせおって。じゃが強力な媚薬を吸ったお主は最早無力よ」
完全に勝利を確信する異界召喚士。
媚薬霧には強力な痺れ薬も仕込まれており、姉姫に使用した薬を数百分の一に希釈しているとはいえ、幼き姫を無力化するのは容易い。
疲労困憊し身体が痺れていく幼き姫に最早抵抗の術は無かった。
「ヒヒ……どうやら胸でも感じるようじゃのぉ」
異界召喚士が醜悪な笑い声をあげながら醜い指をパチンと鳴らすと、床からさらに二本触手が生える。
「きゃっ……!?」
一本の触手がエリスの足首を掴み、逆さ吊りにしてしまう。
「くぅっ!やだっ!はなしてっ!」
足をばたつかせて抵抗するエリスだが、幼い少女の力ではどうする事もできない。
(くっ……やだぁ…からだに力、入らないよぉ……)
痺れた手足を震わせながら悔しげに唇を噛むエリス。
無防備になったエリスの全身を二本の触手が這い回る。
「ふぁぁあっ!?」
細い首筋、鎖骨を触手に弄られ、甘い声で喘いでしまう。
「くぅ……おねえさまぁっ!」
媚薬のせいで鋭敏になった幼い身体に容赦なく押し寄せる快感に、ついにエリスの瞳から涙が零れる。
(わたし……こんなの知らないっ……!からだのなかがあつくてジンジンするのぉっ!)
「ふぁぁっ!そこはだめぇっ!」
遂に一本の触手がエリスのドレスの裾をめくりあげ、股下の下着をずらしてしまう。
「え……?なに、これ……?」
自分でも見た事のない位置に、太い触手があてがわれているのを感じて動揺するエリス。
(こ、こわい……!)
未知の恐怖に震えあがるエリスだが、次の瞬間。
「ふああぁぁあぁっ!!?」
媚薬で蕩け切った幼い秘裂を、触手が舐める。
「やっ……!んああぁぁぁあぁっ!?」
ぴくん…ぞくぅぅぅぅっ!
凄まじい快感に咽び泣くエリス。
「キヒヒ、この媚薬触手はガキにはちとキツイかのぉ」
「ふにぁぁぁぁ……」
幼いながらも叡智を湛えた碧い瞳は快楽で曇り、とろとろに蕩けたお股からはまだ分泌されるはずの無かった愛液が滴り落ちる。
「ふあぁっ……!」
直に触れられ、快楽のスイッチを押されたエリスは朦朧としながらも悲鳴をあげてしまう。
(いやぁ……からだあついよぉ……!おまたジンジンするぅ……!)
「キヒヒ、良い具合に出来上がってきたようじゃのぉ」
異界召喚士が醜悪な笑みで嗤う。
「さてエリスよ、ワシの目をよぉーく見るのじゃあ!」
「はぁっ…ふぁぁ……え?」
触手に嬲られぐったりしたエリスの顎はぐいっと掴まれ、強制的に目線を合わせられる。
「キヒヒ、お主は勇者姫を釣る餌のつもりじゃったが気が変わったわい。エリスよ、我が弟子となれィ!」
邪眼に魅入られたエリスの碧い瞳から光が消えていく。
(ぁ…いやぁ……あたまが、ぼおーってしびれて……なにもかんがえられない…)
頭の芯からジィィンと痺れていくエリス。
「クヒヒ、帝国の賢者姫も所詮はガキよ。エリスよ、ワシの弟子となるな?」
「……はい、師匠」
(ぇ…わたし、何言ってるの…?)
虚ろな瞳で従順に返事をする自分を、別の意識がぼぉーっと見つめる。
身体が痺れて動かない。
身体は動かないのに、別の自分が人形のように邪悪な敵に従ってしまう。
「キィッヒッヒッいい子じゃ!お主にはこれから我が異界召喚術を叩き込んでやろうぞ」
「……うれしいです、師匠」
(いやぁ!嬉しくなんて、ないっ!)
自分の身体なのに、自分自身が制御できない恐怖にエリスは身悶える。
(いやぁぁ!助けてっおねえさまぁぁぁっ!)
懇願も虚しく、エリスの意識はどんどん遠ざかっていく。
「さて我が弟子エリスよ。お主にはこれを渡しておこう」
小さな指先に、禍々しい隠し針を装着させられる。
「キヒッ!この痺れ針には特製の超強力痺れ呪毒が仕込まれておる。お主は姉姫と再開したフリをして抱き付き、姉に刺して痺れ薬を注入するのじゃ」
「……はい、師匠」
(…そんな…わたしが、おねえさまを……?)
聡いエリスはその意味を即座に理解し、従順に頷き毒針を受け取る自分に絶望する。
この針を、敬愛する姉に刺す? そんなこと、できるわけがない。
(ダメっ!そんなこと、やりたくない!)
必死に抵抗するエリス。
(んんっ!いやあぁぁ!おねがい動いて…わたしのからだ…!)
だが身体は痺れ指先一つ動かすことができない。
虚ろに濁った碧い瞳から一筋の涙が可憐な頬を伝った。
(このままじゃ、おねえさまが…だめ!ぜったい、そんなことはさせないっっ!)
悲壮な決意を固め、残された精神力を振り絞るエリス。
残された僅かな魔法力を精密に操作し、痺れて動かないはずの指先を掌に握り締めていく。
最強の勇者を捕える目的の超強力麻痺毒を、普通の身体な幼女が受ければ……昏睡から永遠に目覚めぬ死は確実。
(おねえさまはやらせない……っ!ごめんなさい…さようなら、わたしの大好きなおねえさま……)
最愛の姉を騙し討ちさせられるくらいなら、自分の命をもって姉を助ける!
勇者たる姉に決して劣らぬ不屈の魂と姉妹の絆だった。
だがエリスのその決意は、邪眼の力で無残に砕け散る運命にあった。
(う、動かない?……そんなっ!)
指先が僅かでも動けば奇跡であったが……麻痺毒の効果で指先は痺れ動かせたのはわずか数ミリであったのだ。
エリスの決死の行動は僅かに身体をビクンと痙攣させただけに終わった。
賢者姫エリスは抵抗もできぬ無力な幼女であることを強いられているのだった。
(嫌ぁぁ……わたし、もうおねえさまに会えない……)
絶望に心が折れていくが。
(いいえ!おねえさまなら…勇者姫クローディアなら!ぜったい、諦めたりしないんだからーっ!!!!)
痺れる身体と殆ど支配された精神で僅かに残された意識で、エリスは精神の極一部を自ら封印する術式を編んでいく。
(ごめんなさいおねえさま…これからわたし、おねえさまにヒドイ事します……でも、信じてる…おねえさまが耐えてくれれば、きっと、チャンスはわたしが作りますッ!)
エリスの意識が闇に堕ちる。
姉妹の絆の光に希望を託して。