岡崎泰葉さん、女の子の「後輩」にイカされてしまう 作:ふりーじ屋/家庭内禁書
ご依頼は http://skeb.jp/@freege_affected か、 http://twpf.jp/freege_affected からどうぞ。
人は、同意の上で押さえつけ合ったり縛り合ったりしてサドマゾ遊びにふけっても、性的興奮を覚える。レイプは、一般に是認された生活の不気味で恐ろしいパロディ、つまり、同じ舞台衣装を使いながら、「同意」ということばを台本から削除してしまった出来事だ。
(チャールズ・ボウドゥン著、青木信子訳『トーチソング』)
※
「生配信って……あたし、実は久しぶりなんですよね」
「……自分のチャンネル持ちなのに?」
泰葉センパイの反応で、けっこうびっくりして、ちょっとがっくりキました。
見てくれてなかったんですか。それとも、チェックしていてわざとですか。
「最近は、撮ったの編集して済ませることが多くって」
「そういう人も多いもんね。見る側からしたらそっちのがテンポもいいし」
「久しぶり……だから、いま、あたし緊張してます。見た目より」
「ラジオやテレビの生放送とは、要領が違うんだ」
「えーと……コメントを拾わないといけない……ぐらいでしょうかね、違い」
「そうかな。じゃあ、それはたっちゃんにおまかせするよ」
まだつながっていないウェブカメラを前にして、あたしと言葉をやり取りする泰葉センパイは、その一往復のたびに落ち着きを“取り戻して”いるようでした。水色のカーディガンに白いブラウス、ネイビーブルーのプリーツスカート……センパイのコンサバ系っぽい私服
ほんの直前まで、けっこう出来上がってたのに。
よくわからないけど、さすがです。
「そろそろですよ」
「しなくていいの? マイクテスト。ウェビナーとかだと配信前によくやってるけど」
「あぁ……そういうのとは、ちょっと違う……んですかねぇ」
「ですかね、って。いいけど、チャンネルの主がいいなら」
もうセンパイったらあたしより余裕ありそうです。
水色のカーディガンに白いブラウス、ネイビーブルーのプリーツスカート……センパイのコンサバ系っぽい私服の下には、あたしがいくらかイタズラを仕込んでしまっている……センパイはそんな気配をぜんぜん漏らしていません。配信で伝わるのは姿と声だけだから、これからセンパイを見聞きする視聴者のみんなにはぜんぜん悟らせないでしょう。
あたしには、かろうじて感じられますけれど。
手を伸ばしてぎりぎり届くか届かないかの距離に座っているセンパイから、甘ったるい匂いが漏れているおかげで。
いきますよ、と手振り。
センパイが無言でうなずきました。
時間だ。
「視聴者のみ゙な゙ざぁ゙ああん゙……みんなの岡﨑アマネちゃんは、いま、めちゃくちゃ緊張していますぅうう……」
「え、タイトルコールは?」
「アバンみたいなもんですー……」
「……もう始まってるんだよね、配信」
「らしくないですか? あたしが緊張なんて……それ、久しぶりの生配信ってのもあるんですけど……見てください、あたしのお隣のお方……」
「……どうも、岡崎泰葉、です」
「岡崎泰葉センパイですぅううう……」
「たっちゃ……アマネさん、そんなキャラでしたっけ……?」
「泰葉センパイの前では、アマネちゃんは“たっちゃん”なんですぅ……」
あたしのチャンネルにいまつないでくれているファンのみんなが、コメントでどよめいている。前に生配信やってたときは、あたしもっと無理してハイテンション演じてたから。
いまは……なんだか、勝手にテンションがぶち上がってきちゃうんです。
泰葉センパイはどうでしょうか。
ウェブカメラがつながる直前まで、けっこうぶち上がってましたよね、えっちな意味で。
「コホン。では改めまして……『岡﨑アマネの聞く! プロの流儀』をー!」
「そ、そっちはコーナー名だね」
「そうでしたぁー! ゲストは岡崎泰葉センパイ、プロの女優でアイドルですー!」
あたしがボケてセンパイがツッコむってコントみたいな流れ。こんなの、あたしの動画配信してるチャンネルでは完全にイレギュラーなオープニングです。
いま、あたしは自分の事務所にやらされてた動画配信チャンネルの生配信を、事務所のなかのいちばんちっちゃいレッスンルームを貸し切ってやっています。2人きりです。あたしと泰葉センパイ以外は撮影アシスタントさんすらひとり残らず締め出してしまったのです。
あたしがわぁわぁ妙なコト言ってると泰葉センパイに収拾つけてもらうしかなくなるんです。
泰葉センパイはつけてくれるんです。
「アマネさん、他人事みたいに言ったけど……」
「たっちゃんって呼んでくださいよ前みたいにーっ」
「……あなたも女優だよね。こんど共演するから番宣で……」
「番宣とはいえ、無理を言って来てもらいましたぁー!」
「無理ってわけではないけれど、事務所のスタッフさんびっくりしてましたよ、出演依頼の最初のアポがたっちゃんから直電だったって」
鏡ごしに見る泰葉センパイの表情は、ホントにびっくりした、って物語っていた。
あたしと泰葉センパイは2人ともウェブカメラに正対して顔を見せているから、お互いの表情を直視できない……それだとちょっとやりにくいので、あたしはウェブカメラの背後にレッスンルームの大鏡がくる配置にしました。これで、鏡面ごしにお互いの姿を見られていたのです。
あとはてきとうです。テーブルとイスは事務所のを借りてきて、それだけだと殺風景に見えるからクロスを敷いたりなんだり。
「泰葉センパイは、たまたま同じような名字でいっこだけ年上の同世代だからってムショの違うあたしをかわいがってくださってねー! だからなんですー」
「えーと……やっぱりいまのたっちゃん、ふだん見せてる岡﨑アマネとずいぶん違うみたいね。コメントからも驚きの声がたくさん……」
「ああイケない、みんなを置いてけぼりにしちゃった、久しぶりの生配信なのにっ」
あたしの配信用チャンネルは、事務所がPR用に作って運営していたんですが、なかなか方向性が定まりませんでした。
原因は……強いて言えば、ほかがやってて流行っててるからって安直に動画配信やろう! って言い出した誰かだと思います。あたしと噛み合ってなくないですか? だってあたしたち女優は、特定のキャラに染まったらやりにくい……けど、こういう個人を押し出した動画配信って配信主のキャラを売らなきゃならないのでは。向き不向きというものを考えてなかったんでしょうか。
そんな文句言っててもしょうがないんで、あたしはチャンネル内で『岡﨑アマネの聞く! プロの流儀』って企画を出しました。仕事にかこつけてマスコミの取材の真似していろんな分野のプロのとこ押しかけて、あたしは誰が相手でも「できるんですかーそんなー?」からの「ええぇっ、すごい……っ!」とか半ば素で言ってればいいんです(いつもそれだから、ネットでは「即落ち2コマ」とかいじられてます)。もちろん、何か演技に生かせればとも思ってやってますけど。
これがぼちぼち評判よくて……というか、これ以外が鳴かず飛ばずで、このチャンネルの企画はこればっかりに。これはいろんな分野のプロの技を見せてもらうわけですから、チャンネルが生配信じゃなくて録画・編集したのを配信するばっかりになります。
これ、あたしはラクですけどスタッフさんはたいへんなようです。
それをカバーしてあげるって体裁で、あたしはよく出演交渉のファーストコンタクトを引き受けます。ファーストコンタクトってだいたい「こういう企画にご協力お願いしたいんですけど、企画書を送る窓口ってここでいいですか?」って電話で言ってメールやらファクスやら送るだけです。そこあたしがやります。初っ端から番組の主が出てくるとみんな気圧されてけっこう話聞いてくれます――あんまり行儀よくすると、岡﨑アマネって気付いてもらえないけど――それでいて、電話1本かけて企画書1枚を送るなんて忙しいあたしでもできますからね。
「きょうは泰葉センパイにプロのアイドルとしての、それと女優としての心構え、ぶぁんぶぁん聞いちゃいます! みんなも聞きたいことがあったら聞いてね!」
「自分が聞きたいことじゃなく、視聴者の皆さんが聞きたいことを聞くようにね」
だからセンパイ、あたしが直電するってこの企画だとけっこうあることなんです。変な意味にとらないでくださいね?
「わかりました! お仕事ですもんね!」
ホント……なんだか、勝手にテンションがぶち上がってきちゃう。
泰葉センパイはどうでしょうか。
ウェブカメラがつながる直前まで、けっこうぶち上がってましたよね、えっちな意味で。
※
「み、みちゃ、そ、そぇ、だめ……みにゃい……で、ぇひっ……っ」
ウェブカメラがつながるちょっと前、泰葉センパイはレッスンルームの冷たいフローリングで仰向けになって震えていた。
水色のカーディガンと白いブラウスはあたしがはだけてしまった。透けブラが心配になる白いブラもずらしてしまった。あたしより揉みやすい大きさのおっぱいのてっぺんがぷりぷりしていた。
あたしがそれを指でつまんでしまう。
「ぁ、きゃんっ……!? だ、めぇっ」
泰葉センパイの乳首とおっぱいはヌメっとしていた。あたしのイタズラのせい。あたしが泰葉センパイの服を無理やり脱がせて、とろーんとしたアヤしい液体を塗ってしまったせい。ふつうに売ってる香水をちょっと水で希釈してカタクリ粉的なあれでうっすらとろみをつけたの。
それをいかにもイケないクスリみたいな雰囲気かもしながら泰葉センパイにヌチャヌチャ塗った。
「く、う……んぐ、ぁ、う……っ……!」
「配信前ですから、手加減してあげますよ。すりすり、って……」
「あっ、ひぅっ、あひゅっぅ……だめ、だって……!」
「手加減してあげてもこれですか……泰葉センパイ、おっぱい敏感なんです? それとも……」
泰葉センパイは香水の雰囲気にあてられてか、前より敏感になっていた。香水のアルコールぶんのせいかな? ちょっときついけど頭ふわふわしそうな甘い匂いがした。泰葉センパイに使うからって奮発した甲斐があったものだ。
「……これが病みつきになっちゃったかな。困りますね、センパイ?」
「や、やだ、ぁ……わ、たし……んきゅっ、こんな、の……ふ、ふーっ……!」
でも、何より演技力。
ただの香水をあたしの演技力でイケない媚薬にするんですっ。
それが……女優・岡崎泰葉への手向けか、アイドル・岡崎泰葉へのはなむけか……とにかく、あたしが泰葉センパイに供えてあげたいもの。
「これのせいで、センパイはこっちも敏感になっちゃってますか?」
泰葉センパイのプリーツスカートをめくりあげてしまうと、ブラとお揃いのお行儀良いな白い下着がお行儀悪くぐしゃぐしゃに濡れていた。アンダーヘアが透けちゃってた。濡れ濡れ。あたしのイケないクスリもどきと、ひょっとしたらセンパイのえっちなお汁も混じってたかも。
下着をずらすと、センパイのクリも乳首ほどじゃないけどヌメッとぷりぷりしてそうな感じ。カラオケボックスのときよりえっちなの、見えやすくて助かりました。
「そ、そこっ……んっ、んくっ……く……ぁ、う……」
こすこす、こしゅっこしゅっ。
それだけで泰葉センパイは胴体をうっすら弓なりにしてしまうぐらい感じていた。そんな体勢じゃかわいい声が出せない。
いいですけどね。こんなときまでかわいかったら逆に恐ろしいですから。
「ァ、ひッ……ん、ぃ゙……!」
クリはおっぱいより遠慮なくできます。配信ではひじより上しか映さない予定でしたから。どんだけぐしゃぐしゃでもオーケー。
あたしがこすこすやりたい放題しても、泰葉センパイはちゃんと声をこらえてくれた。
「ら、ぁっ、んんっ……く、う……うぐ……ふぁ、あ……っ!」
「もっと強いほうがいいですか? それとも、もっと優しく?」
「ぁ……や、めぇ……も……っお、っ……!」
「センパイ、教えてくださいよ」
こすこす、こしゅっこしゅっ。くちゅくちゅっ。
床もイスもなにもかも、いくら濡らしてもらったって構いませんでした。安心です。このレッスンルーム、かなり時間にゆとりをもって貸し切りましたから。このあいだみたいな慌ただしい後片付けしなきゃって心配ありません。
「ふ、くぅ、んん……んっひ!? ああぁ、あぅく……!」
親指・人差し指・中指で取り囲んでしゅるしゅるとこすりたてた。泰葉センパイの額やほっぺたが真っ赤になってハンカチでちょっと拭ってあげるとメイクが崩れてしまいました。まぁいいですよね。もともとセンパイはあっさり系の顔にあっさり系のメイクだからあたしはカメラ映り心配してません。
「きゃふっ!? も、もう、やめ……あっ、ゃ、あ、んんっ……ひぁ……!」
スカートの中に戻ったら、クリトリスだけじゃなくて、太腿の付け根とか、おへその下とか、腰の骨の出っ張ってるところとかもするするって撫でてあげました。太腿の付け根は、太い血管があるせいか泰葉センパイのドキドキが指先に伝わってくるようであたしもドキドキしてしまいました。おへその下は、横隔膜かなにかが上下している感じで、さすがにここではセンパイも演技できないのかなって考えさせられました。腰の骨の出っ張ってるところは、ほかよりなんだか肌がすべすべしていました。
「うっ、ぐ……ぅぅぅうっ……! や、ぁひぁ、お゙っ!?」
そうして気を反らせたあと、またクリトリスに、きゅって。
「……もうちょっとしたら、時間ですね」
「いーっ、ひぃ、ひっ……う、ゔ……も、もう、やめ……っ」
「センパイのぷりぷりのここに、ぴとーってくっつけられるオモチャがあるんですよ。お召しになって?」
「な……!? そんなの、私、ぃ……」
「着けてもらいますよ。だって、配信中のあたしはセンパイとべたべたできませんし」
化学の実験で使うスポイトの頭にくっついてる赤いゴムみたいなあれに、ピンクローターみたいにぶるぶるする小型機械がくっついているシロモノ。これがあたしの持ち出したオモチャ。泰葉センパイのぷりぷりになってるクリトリスにゴムをちゅって吸いつかせて。
「ひふっ、きゅ、ぅ……っ!」
センパイのが一回りおっきくなっちゃったかな?
でもこれで終わりじゃない。
「これを、あたしがスマホのアプリでいじったら……ぶるぶるってなって、泰葉センパイのクリをもーっと気持ちよくしてくれます」
「そ、そんなの……外して、お願いだから……!」
「外しちゃイヤです」
「なんでよ……っ! あっ、ぎゃんっ!? いや、いや……これい、や……ああァああ゙っ!!」
「イヤって言ったらイヤなんですっ」
「いっ、っっうぅーっ! あ、ァア、ん゙……っ!」
あたしはジタバタする泰葉センパイを押さえつけながら、何度も何度も言い聞かせた。
泰葉センパイは時間ぎりぎりまで強情を張っていましたが、あたしが「なんなら、乳首にも着けてもらいましょうか」ってあと2つオモチャを取り出すと、慌てておっぱいを腕で隠しながらしばらくぷるぷる震えて黙りこくっていた。
時間が迫ってきて、けっきょくクリに着けたまま下着とスカートを直しました。
配信が始まってからの泰葉センパイは、そういうレイプされちゃってた雰囲気をおくびにも出していませんでした。
レイプしてたあたしのほうがよっぽど不自然な雰囲気でした。
「と、いうわけで! 泰葉センパイに演技指導していただきますっ。即興で! これ打ち合わせないんですよ。できればしたかったんですけど、センパイ大人気で忙しいからあんまり時間とれなくて」
「ぜんぶ私のせいみたいに言わないのー。たっちゃんはアドリブ多いから、私が覚えてきたらわざと変えてくるでしょ」
「そうなんですよねー」
「こらーっ!」
「だって泰葉センパイに準備させたらソツなくこなしちゃうに決まってますー。それじゃセンパイをナメてることに」
「もう、自分勝手なんだから……っ!」
打ち合わせなしの理由は……泰葉センパイが出演をしぶってたのに、あたしが配信のスタッフさんに「順調に進んでますよー」ってふりをしていて、じゅうぶんな時間がなかったからって事情もあるのでした。センパイ、しぶってても周りを埋めちゃえば首を縦に振ってくれるんです、ホントに優等生だから。
「即興だから、みんなからシチュエーションを募集しましょう! ええと……」
どんなシチュが出てくるかなんてあたしには計算ずくです。
このチャンネルにコメント書いてくれる人なんてあたしのファンですし、ここまでずっとあたしが泰葉センパイをあんな感じに扱ってきたら……。
「泰葉さんとアマネちゃん、女子高生どうしの禁断の恋……! ですって、きゃーっ、どうしましょうセンパイっ!」
「はしゃぎすぎだよ、たっちゃん……」
ぜったい、2人か3人はこういうシチュエーションをリクエストしてくれるんですよ。
それ強引に拾います。
「ではちょっと背伸びして、泰葉センパイが3年生、あたしが2年生ということで」
「……ということは、出会って1年経ってるって設定で?」
「そうです! 出会ったばっかりのセンパイにきゃあきゃあ言ってる後輩なんてさっきまでのあたしママじゃないですか。演技かどうかわかったものじゃない」
「なるほど、少し落ち着いた後輩で……私としては、これ以降も演技じゃなく本当に落ち着いてくれるとやりやすいんだけど」
「えぇ~泰葉センパイつ~れ~な~い~っ!」
泰葉センパイとあたしの視線が、鏡ごしでなく肉眼でちらちらぶつかる。いくら配信とはいえ、会話している人間どうしがまったく目を合わせていないってのは傍から見ると不自然なので、お互いようすを見てそうしています。
その視線のぶつかり合いの中に潜んでいる疑惑――いつオモチャを動かすの?――さぁ、ね。
あたしがいちばん動かしたいときです。
「じゃあ、まず後輩のあたしが泰葉センパイに迫る側で」
「うん」
「それをご指導いただいたあと、こんどは泰葉センパイがあたしに迫る……って!」
「迫る側の私は、たっちゃんの後輩役になるの? たっちゃん先輩に迫ればいいかな」
「ええと……あたしがセンパイ、なんて、ね……」
……泰葉センパイが、あたしの後輩か……って想像しちゃいました。
だいじょうぶかな、こんなコト思っちゃっててへんな演技になっちゃわないかな。
というか、どっちかな。
まぁ、始めるしかないです。生配信だと待たせちゃいけないからこういうとこ思い切って進めます。
「……泰葉センパイ」
「なぁに、アマネちゃん」
「センパイとあたしが出会ってから、もう1年ですね」
「……もっと、ずっと長いこといっしょに過ごしてた気がするけどね」
あたしたちは演技に入ったけど、泰葉センパイは半分ホントのことをセリフに混ぜてました。たぶんわざとです。
真実を混ぜるのはウソつきの基本です。
「で、なんとぉ! あたしにも……後輩ができたんですよ」
「でしょうねぇ。あなたも2年生ですよ、先輩の自覚を持って……」
「でも、泰葉センパイと並んでたらなー。あたしがセンパイづらするなんて、そんな」
「あなたなら、私みたいな先輩風を吹かせなくったって、後輩に慕ってもらえるわよ」
「そうですか? いまのところは、センパイにぜんぜんかないませんけどねー」
不意の沈黙。
泰葉センパイじゃなくったって、観てるみんなわかるでしょ。
あたし、仕掛けます。
「でも」
声をいきなりぎりぎりまで落とします。
泰葉センパイの眉根に、かすかな歪み。あたしじゃなきゃ見つけられないぐらいの。
「泰葉センパイは、あの1年生の子からも、お姉さま、お姉さまって」
「なぁに、アマネ、嫉妬しちゃったの……?」
「なんて名前でしたっけ、泰葉センパイにかわいがってもらってた子」
「……アマネ」
「ヒロミちゃんでしたっけ。ホタルちゃんでしたっけ。チヅルちゃんでしたっけ」
「……っ!」
もうあたしじゃなくても察せられるぐらいの動揺。あはは、泰葉センパイでもさすがにいきなりホントの後輩の名前を聞いたらびっくりしますか。
でも、調べようと思ったら3分でわかることですよ。だってあの子らも芸能人で、泰葉センパイとおおっぴらにユニット組んで活動しているじゃないですか。あたしが泰葉センパイ以外の誰にも関心を持っていない、とでも?
それとも不意打ちでしたか。
イケないクスリもどきと、ぷりぷりクリトリスに着けられたオモチャとに意識を持っていかれていました?
そっちで仕掛けるだろうって思いこんでました?
違うんです。
こっちを見て、感じて。泰葉センパイ。
「あの子たちも、あたしと同じようにシちゃうんですか? 泰葉センパイ」
「あの子たちは……あなたとは、違うわ」
「でも、あの子たちも、あたしと同じ後輩ですよ。少なくとも、あなたから見たら」
「……違うわ」
鏡ごしの泰葉センパイに、視線で詰め寄ります。
もうウソもホントももみくちゃ。
「ねぇ」
「……アマネ、あなた――」
「――こんどから、ヤスハ、って呼び捨てにしますよ。2人きりのとき。いいですね?」
「……っ……!」
アプリでオモチャを一瞬だけ起こしたら、泰葉センパイが一瞬だけ揺れた。
「……ハイハイ! どーでしたかみんな! 禁断って感じ出てましたでしょー!」
「……素のたっちゃんより、だいぶ臆病で控えめな後輩してたね」
「泰葉センパイは、こういう後輩のがスキなんです?」
「はいはい、講評に移りますよ」
「セ~ン~パ~イっ!」
視聴者のみんなの反応は……まぁ、上々でしょうか。
ふふふ、最近あたし「ええぇっ、すごい……!」ばっかり言ってたからみんな忘れてたでしょうけど、あたしだってプロのはしくれなんですよー。
「……まぁ、演技について忌憚なく言わせてもらうなら」
「えひゅっ!? せ、センパイったら、もぅ脅かさないでください、あたしもプロの女優のカンバン背負ってますので……」
「ええ、それは承知ですとも」
ぞく、ってしました。
泰葉センパイが“忌憚なく”なんて。
昔、あたしが“たっちゃん”呼ばわりされるきっかけのときですら、あんな遠回しだったのに。
「そんな身構えないでよ。これは個人的な意見として、よ」
「その前置きだとかえってダメ出しのダメージ増えちゃうかもです!」
「あーもー……さっきの私たちって、さ」
「は、はい」
「演技で、実質セリフしか使えなかったね?」
「……そうですか?」
「これ配信でしょ。だとすると、ながら見の人がいくらか含まれてる。そういう人たちにはほとんど音声しか伝わっていなかったハズだよ」
……完全に、盲点でした。
確かに、動画をながら見や倍速で見る人もいるって知ってはいました……けど、それってあたしからしたら信じられない鑑賞態度なので、うっかり忘れていました。これでも配信主だってのに。
「となると……ラジオドラマみたいに、もっと説明の多い、こってりした演技してもよかったんじゃないか、って思ったの」
「こってり、ですか」
「ラジオは音声だけ、情報量の少ないメディアね。これは受け手の負担が少なく、気軽に視聴してくれるって利点があるけど、欠点もあるわ」
「……伝わる情報量、少ないです」
「そう。じゃあ、そのぶん伝える側が大げさにやる。映像アリだったら、もうくどすぎ! って感じられちゃうの演技……これが音声だけだと、きっとちょうどいい具合になるの」
「もっと……ですか?」
「たっちゃんラジオとかあんまり聞かないね?」
「……ぎ、ギクッ」
動揺を、大げさに表します。わざとらしさをごまかす基本は、大げさにすることです。
でも……なんだか、あたしが、岡﨑アマネが、泰葉センパイをカラオケボックスでレイプする前に引き戻されていってる気がしました。センパイがセンパイしてました。
「私はドールハウスやってるけど」
「はい」
「ああいう小物って、デフォルメして特徴を大げさに押し出した造形にするの」
「そうなんですか?」
「指先でつまめるぐらいの小ささだから……情報量が少ない、というかちっちゃい。そこで特徴を大げさにして、実物と同じぐらい印象が強く、つまりちょうどよくするの」
「……こ、こんどあたしもやってみます、ドールハウス」
もし、あたしがドールハウス始めたら……泰葉センパイに、なんとか教えてもらえますか。
「ほかには……彫刻とか、イラストとかみたいに動かせないのが例としてわかりやすいかな。そういうのって、実写やアニメみたいな動かしてるのより大げさに見せてるでしょ」
「確かに……!」
「あとセリフも。小説や漫画を読んでると……作風にもよるけど、こんな会話を実際にしてるとこ聞いたことないよー、って思わない?」
「そうですね。それだから小説を舞台化するときホンを書き直さなきゃだめです」
「逆に、映画の台本を文字だけ読むとなんだか味気ない、物足りない」
「あっ! 読むだけで満足できちゃうの書いちゃうと、映像化したらこってりしすぎで……」
……タイムテーブルおしちゃうぐらい勉強させてもらって、それから仕切り直します。
こんどは泰葉センパイがあたしに迫ってきて、あたしがセンパイに迫られる演技。
「去年のあなたは、私の後ろをアヒルのヒナみたいについて回っていたのに。成長を感じるわね」
泰葉センパイが、センパイのママ、あたしに迫ってきました。
演技で。
「あたし、そんなぴよぴよしてましたか」
「うふふ、アヒルのヒナってヒヨコみたいにぴよぴよしているのかな」
どきっとする。どうしようもなく。
もう泰葉センパイから学ぼう、なんて呑気な気持ちじゃいられません。
「来年、私が卒業する頃には、あなたも私から卒業かしら。さびしくなるわね」
あたしは、何も言えませんでした。
いきなりじゃないのに。自分で泰葉センパイに前フリしておいたのに。
イケない。
何か言わなきゃ、あたしがこれじゃ……泰葉センパイが、先輩と後輩の演技、やりにくいハズ。
あたしは共演者なんです。
「来年のことを言うと、鬼も笑いますよ」
「なら、笑ってご覧なさい、アマネ」
なんとか言う……のが関の山。
笑えませんでした。
声のトーンも、意図的にではなく、勝手に沈んでしまいました。
「……想像した? さびしい、って思ってくれた?」
「泰葉、センパイ」
「センパイ、か」
泰葉センパイからさらりと漏れた“か”の破裂音が、何度思い出してもたまらないんです。
あたしがしでかしてきたことすべて受け止められて投げ返された、そんな気がします。
「ずるいわ」
ずるいのは泰葉センパイです。
こってりした演技しなさい、って言った舌の根も乾かぬうちに、これです。
「もっとあなたをさびしがらせたい、涙が止まらなくなるぐらいに」
“ずるいわ”と“涙が……”は、あたしだったらくどすぎ! って思って切り捨てたであろうセリフ。そう言ったほうがみんなに伝わりやすいんでしょうが。
「私が卒業してしまっても、ね」
あたし、ときどき演技しててイヤになることがあります。演技……特にあたしたちのような商業的なのって、みんなに理解されてなんぼ、なんですって。
文学やら絵画やら音楽やら建築やらダンスやらなんやらの界隈では、大衆の理解なんか求めてたまるか! みたいなアバンギャルドが、大手を振って歩いている気がします……あたしたちのドラマや演劇界隈よりも、ちょっぴり。
あたしもたまには、理解できるものならしてみなさい! って演技やりたいです。
泰葉センパイは“か”の一音であたしに「理解できるものならしてみなさい!」ってして見せました。あれは、少なくともいまはあたししか理解できないんです。
そのすぐあと、わざわざ“ずるいわ”と“涙が……”って。それに、“ね”も。
あんなのって、ありません。
極上のスープひと口だけ飲まされてからミソ放り込まれて台無しにされたみたいな。
「そ……」
しかもセンパイが、目とほっぺたで無言の追い打ち。
あたしは危うく“そんな顔して”って口走りそうになりました。
ねぇ、泰葉センパイ顔で演技してるじゃないですか。セリフしか使えないって言っておいて、そんな顔……。
女優としてイヤになりますけど、あたしはその泰葉センパイを“そんな顔して”としか言い表せなかったんです。そんなセリフしか浮かばなかったんです。情けない。“そんな顔して”ってあんまりいいセリフじゃありません。安直だし、これ言わされるのは映画・ドラマの脇役って決まっています。脇役がそう言うのは、主演の“そんな顔”を映してガツンと観客を仕留めにかかる前フリなんです。
でも……いまは、あたしが主演なんです、泰葉センパイじゃなくっ。
「……っ……!」
アプリでオモチャを起こした。
あたしにできたのは、それだけだった。
「ハイハイ! カットー!」
声が上ずっちゃった。
クリトリスいじめられてるのは泰葉センパイなのに、あたしのほうがよっぽど変な声。
「あのね、みんなわかった? センパイが手加減してくれたんですよ。あまりやりすぎるとあたしが本当に惚れちゃうから」
フォローのふり。
あたしがオモチャで泰葉センパイに無理やり手加減させたのに。
「……アマネ監督は、お気に召されましたか?」
泰葉センパイが、オモチャのおかげで見せてくれた一瞬のほころび。
それに、むしろあたしが釣られる。とらわれる。ずぶずぶって。
「ええ、とっても……」
あたしは配信中だったのに、それからはもう隙を見てはスマートフォンを弄り回した。泰葉センパイのクリトリスと無線でつながっているはずのそれを、本当のオモチャのように。そうすれば泰葉センパイがまた「……っ……!」ってなってくれるって思い込んで……まぁ、そんなマリオネットみたいなマネ、そうそううまくいくはずもなく。
「……っ……!」
……いや、終わるまで、ほんの1回だけ。それっぽいの。
どうでしょうか、センパイ。
※
「さっき、配信中……1回イッちゃいましたね、泰葉センパイ」
「……そう、見えたの」
「ええ」
「イッちゃってませんでした?」
逃げるように配信を切ってから、あたしは泰葉センパイの手をつかんだ。
やわらかくて、ちっちゃくて、あったかかった。
「ありがとうございましたー! 打ち上げ、行きましょうよ」
「ぃ、や、やめて」
「……ふふっ」
もしあたしが、こうやって泰葉センパイの手を引っ張って、ホテルかどこかに連れ込むところパパラッチされたら……さすがにあたしが主見出しになるかな、主犯だから。
「外に出るまでも、がまんできない、ってことですよね」
「違うって、離して……っ」
「違くありませんよ」
「……っ……!」
アプリでオモチャを起こした。
泰葉センパイを押し倒したフロアは、さっきと同じぐらい硬くて、さっきよりなんだかぬるかった。
「い、いっ……く……ッ……!」
泰葉センパイはくちびるを噛み締めながら、胴体を軽く弓なりにしてフロアに仰向けでぷるぷる震えていた。
もう何度目だろう。
センパイの両脚はあたしが馬乗りになって抑えてしまって、両手はセンパイのカーディガンで縛ってしまって、それからクリトリスのオモチャをほったらかしのまま、おっぱいであいかわらずぷりぷりしている乳首にイケないクスリもどきをヌチャヌチャ塗り込みながら、くりくり、しこしこやり続けていて、こんなありさま。
ブラウスは脱がさないままだった。センパイがジタバタしたのと、あたしのクスリもどきで濡れたせいでもうぐしゃぐしゃ。これじゃ、あたしが着替えを持ってきてあげなきゃだめ。
それも、終わるまであたしの服が無事で済んでいればの話だけど。
「はっ、ぅ、はっ、はっ……!」
「イッちゃってませんよね?」
「……く、ぅ……ぅん゙っ……ゔ、んんん゙っ……!」
また、くりくり、しこしこ。
そんな拷問に耐えるふうな表情を見せられると、あたしにもちらっと罪悪感が芽生えてくる。
「オモチャ、スキになれませんでしたか」
「ふ、う、く……すきに、なんて……」
「刺激が単調で、ずっと続けてると正座で足しびれちゃったあとみたいな……別に気持ちよくないんだけどなぁって感じになりますよね。だから、なるべくあまり動かさなかったんですけど」
「もう、やめ……く、んんんっ、んあっ、あっ」
泰葉センパイのくちびると舌をほころばせたかった。
言葉であそこまで演技やってくれたんだから、あたしもそれなりのことをやらなきゃならないと思っていました。
「あっ、く……んっ、んっうぁ……はぅ、んぅっ……!」
思いつくそれなりは、それだけだった。
「うんっ……あう、あっ……うんんんん、くっ……!」
「なんであたしの手じゃなくってこんなオモチャでイっちゃったんですか」
オモチャを引っ張ると、ほんのちょっとしか手応えがなくって、すぐにぽろって取れてしまった。
「い……イって、なんか……」
終わった、と泰葉センパイが思ってくれたであろう頃合いに、またくりくり、しこしこ。
「んぐぅうっ、ううゔっ!」
「じゃ、いいですよ。別に」
いや……あたしの手が力んじゃって、“くりくり、しこしこ”ってより強く乳首いじめちゃってた。きゅ、きゅって。
乳首がぷりぷりからこりこりって感じにどんどん張り詰めていくから、もっと強くシてしまいたくなる……けど、そうすると泰葉センパイももっと強情になるらしかった。そういうときほど燃えるタイプですか。
「……ひぅっ、ち、ちく、び……だ、め……ぁ、あ……!」
泰葉センパイの反応は大げさでウソくさいぐらいだった。
あたしが乳首を刺激してあげると、呼吸が乱れていって、肩甲骨がフロアでごつごつ痛そうな音を立てて、背中がきりきり弓なりになっていって、太腿がジタバタして、最後に華奢なウエストがぺこぺこして。
「っく、く……くううう、うゔぅっ……!」
イッたふうな素振り。
あたしを油断させようとする演技かもしれないのに、泰葉センパイがそうなってるだけで、ぞくぞくしちゃう。
「んぉ、いや、ぁ……ぉお、う、んぐ……ぉ……ッ……!」
何度かその素振りを味わったあと……イッたらしき直後は、ツメ先だけでくすぐったくしてあげると効くらしい、と察した。
するする、そろそろ。
「や、ぇ……そぇ、や゙、ぇ……ひゅっ、は、ぁ……え゙うっ……お゙ッ……!?」
「あ、だいじょうぶですか……? そっか、仰向けは、ね……」
あんまりやりすぎて、泰葉センパイがむせちゃった。仰向けのママよだれいっぱい垂らしちゃって気管に入っちゃったとか。そうだよね、考えてみれば。
肩を抱き起こして、ぜぇぜぇ震えてる背中を撫でてあげたら、その背中が熱くて細くって、またびっくりした。泰葉センパイとえっちしてると急にドキドキすること多いな。
「もう。苦しいなら、言わなきゃだめじゃないですか」
「ひっ……ひとを、ばかに、シて……っ!」
「……ええ? あたしが、泰葉センパイを、ばかにしてるって?」
へんなの。
もしあたしが泰葉センパイのことばかにしてたら、それこそ歯牙にもかけていませんが。
泰葉センパイの投射かな。
「だって……言って、も゙……あーた、止めや、しな……んむゔっ、ゔっ……っ!」
「センパイを泣かせたいわけじゃないんですけど……でも、なにシたいのかな、あたし」
泰葉センパイはままならない手足でもがいていたけど、あたしから離れられなかった。
センパイってかよわい。やっぱり体格差って残酷だ。
「……あ、もっとかわいいセンパイがみたいです。素直なセンパイがみたいです」
泰葉センパイの腋下に手を入れて、子供みたいに抱えあげてしまう。さすがにセンパイの体を頭から足裏までひょいと持ち上げるのは無理……だけど、フロアにスカートとお尻を無理やり引きずらせて、レッスンルームの鏡前まで持って行くぐらいあたしなら力ずくでできる。
「あ、ぅ……」
「すごいありさまですよ、センパイ」
「……だれの、せいだと、おも、って」
「あたしです。岡﨑アマネのせいです」
カガミヨカガミ、カガミサマ。
あなたがそこに映したことのある女優の中で、あたしたちよりすぐれた女優はいましたか?
「あたしのせいですよね?」
「ぁ……は、ぅ……くっ……」
いたかもしれませんね。
でも、いまのあたしたちよりしどけない姿だった女優は、きっといなかったでしょう……しどけない姿だったアイドルもいなかったかも、ですね。
泰葉センパイはざぁざぁ降りのゲリラ豪雨にでも降られたように髪も顔もブラウスもびっしょり。スカートがへなへなのくしゃくしゃに沈んでいた。むき出しのデコルテやおっぱいやウエストばかりが、汗だくでつやつやまぶしく見えた。
そんなセンパイにくっついてるせいか、鏡面で隣に映るあたしも半分ぐらいめちゃくちゃ。
「汗かいちゃってますね。拭いてあげます」
あたしのハンカチ1枚じゃ、ぜんぜん整えられないってわかってたけど、言ってみた。
「はな、し、て……う、ううぅうっ……!」
「はいはい……せっしゃおやかたともうすは、おたちあいのうちに、ごぞんじのかたもござりましょうが……なーんてっ」
脱力しちゃって、ぺたんと床に座っている……のも、おぼつかないらしい泰葉センパイ。あたしがその腕を絡め取った。そうやってあたしが腕つかんでなきゃ、膝下を床に着けたままごてんって背中から倒れちゃうかもしれなかったし。
鏡ごしにセンパイを見つめながら、センパイの背中がゆらゆら波打つのを感じた。うなじから、クスリもどきをかき消してくれそうな汗の匂いをすぅーって味わった。
残りのクスリもどきを指先にねちゃねちゃまぶして、泰葉センパイのほっぺたと鼻先を撫でた。
「や、めっ」
「これ、飲んじゃだめなのです。口に入っちゃったら、ぺってしてください」
これ薄めた香水だから、ウソは言っていない。
これでねちゃねちゃしたままの指先をスカートの中へ。触れる前から内腿がびくって怖がってた。
「っ……っっうぅー……ぅ……!」
泰葉センパイのあそこのぴらぴらを、そろそろってなぞった。あたしの手首がセンパイのこわばった内腿にぎゅうぎゅう挟まれた。
「鏡、見ててください」
目がすっかり潤んでいた。まぶたの周りが、へたっぴなメイクみたいにべったり赤くなっていた。
「きれい、ですよ」
泰葉センパイはぜぇぜぇ息を吐くばかりで何も言ってくれなかったけど、よろよろと首を横に振ってくれた。
スカートと下着ごしに、センパイのあそこがきゅって切なげに震えた……のを、指先だけで感じた。
「だって、ふつうの人だったら目も当てられない状態ですけど……あたし、センパイに見とれてます」
「ん、ぁぁ……っ……!」
センパイのあそこが、またきゅってなって、えっちなお汁が滴ったみたいだ。まるであたしのツメに目がついているように見て取れた。下着を引っ剥がした。指先であそこをとらえてくちゅくちゅぬるぬるって何往復かさせた。えっちなお汁をまぶすだけのつもりだったけどセンパイが顔もお腹も太腿をぴくっぴくってさせるのが面白くて余計にくちゅくちゅぬるぬるくちゅくちゅぬるぬるさせて、そのあと指先をしゃぶってみせた。
「……しょっぱぁい」
「ぁ、ははっ……」
あたしもよだれがぬるぬるしてきた。
こんなグロッキー状態のセンパイに、あたしがぜんぶかき消されてしまいそう。
指先にクスリもどきを塗り直してみせてから、またあそこへ迫った。
「ぅぅ……うううぅ……ぅぅうああはあっ……く、ひぃっ……!」
「もっとシてほしいですか?」
「……はぁっ、はぁっ……お、おことわり、よ……!」
「んふ、えへへ」
泰葉センパイは涙まみれ、鼻水まみれ、よだれまみれのヘロヘロなのに、ツンツンした声音。その後ろのあたしの表情がむしろヘロヘロってだらしなかった。あんまりでれでれってシちゃってて。
「もっと、そうしていてください」
「く、く、ぅうっ……あ゙っ……!?」
「そういうセンパイが素敵だから」
「ぃ、あ……ぇふ、ぇう、あ、うっ……!」
「あたしがひどくシてあげるほどセンパイはすごく見えるの」
「そ、お、だめ、だ、めぇ……! く、ふ……う、ぁ、んぅゔっ……!」
あそこの浅いところと、ぽってりしっぱなしのクリトリスを同時に捕まえて、いつでも指でひねりつぶせる具合に抑えた。
「……泰葉センパイ……」
「う、くっ……ぁ、ふ……っ……」
「イッちゃってました?」
「……ぃ……ない、いって、なんか……っ……」
「……はい」
きゅ、って。
「うはぁ!? ぁ、あァ、ぉおおお゙っ……!」
……あまりやりすぎるとあたしが本当に惚れちゃうかも。
「そうですよね、泰葉センパイはこんなんじゃイッちゃわないですよね」
きゅ、きゅってすると、びく、びくってシてくれた。
「あ゙っぉ……ッ!? あ、め、な……ひっ、ひゅっ……い、いき、できな……」
「泰葉センパイは、あたしが知るなかで最高の女優だと思います」
「んひぃっ、お゙っ……おっぐ、んんっあ……あ……くっ……んぐぅうっ、ううゔっ!!」
「ウソじゃないです。信じてくれないでしょうけど」
不意に、泰葉センパイががくんって背中を反らせた。あの顔が天井を向いてしまって、鏡ごしにも見えなくなった。がたがたしながら倒れようとする肩を、なんとかあたしの肩と腕でキープした。
鏡を見た。
おっぱいがかわいらしくぷるぷるしてて、ウエストが危なっかしくぺこぺこして、鎖骨とか肋骨とかがそれらに振り回されているようだった。見とれてたら、あたしの目が痛くなった。
泣けてきちゃった。
「お゙っ、ひ……そ、お、……ぁ、あ、い゙、ぐ……って、ぅ、ぁ、あ゙あ……っ!」
「……自分でオナニーしてるより気持ちいいかも。あたし、センパイのいじってるばっかりなのに」
また、きゅ、きゅってした。
また、びく、びくってシてくれた。
「ぁ……き、ひゅっ……だ、めぇ……も……っお、っ……!」
「泰葉……センパイ……」
「い……っく、や、ぐ……い、い、い……ッ!」
「……かわいいっ!」
なんだかうずうずして、がまんできなくなって、泰葉センパイをぎゅうって抱きしめながら頬ずりしていた。まだ原型が残ってたまんまるぱっつん頭をくしゃくしゃ撫でてたら、いきなり膝下がばたばたばたって慌ただしくなって、それからすぐにあたしたちの周りの床がびちゃびちゃになった。
あ、お留守になったあそこがおもらししちゃったんだ。
頭撫でられておもらしなんてワンちゃんみたい。うれしい、あたしイヌ派なんですよ。
「あ゙っ、ふ……あ、うっ……! あ゙、あ゙ーっ……!」
「……ん、ふふっ……ぁははっ……」
アンモニア臭がきつくなってきて我に返った。
泰葉センパイはあいかわらず汗と涙とよだれと鼻水とおしっことえっちなお汁でぐしゃぐしゃでした。
さっき久しぶりに共演したせいか、ふとこんな妄想が思い浮かびました。もしあたしがメガホンを握ってて、主演女優にここまで体を張ってもらったらどこまでうれしいだろうか、って。実際めちゃくちゃハードですよこれ。
あたしはセンパイを抱きしめたまま、もうしばらくいっしょにぐしょぐしょになった。別に、あやかれるわけもないだろうけど。
※
「何も、入ってませんよ」
あたしの予備の練習着を羽織ってる――だらしなく見えちゃうほどオーバーサイズですけど、着られる服それしか用意してなかったんです――泰葉センパイは、330ミリリットルのミネラルウォーターを片手に握ったまま、しばらく黙っていました。
あたし、それに何も入れられませんよ。フタぱきってひねってないでしょう。そこの自販機で買ってきたばかりで栓を開けてもいません。
それとも、手に力が入らなくて開けられないんです?
「何も、入ってませんよ。最初のあれもハッタリです。ただの香水をどろってさせてみただけ」
センパイは、あたしの演技に騙されてくれたとも騙されてくれなかったともとれない表情で、黙ってあたしを見ていた。あたしも言葉がなくて、突然のにらめっこ。
「……入ってませんよ」
あたしはどっちなのか見抜くの諦めて、先に目を背けた。
ぱき、って音がこもって聞こえた。
よく口をつけてくれるもんですね。自分で言うのもなんだけど。
「泰葉……」
泰葉センパイにとってあたしは、実は都合よくハラハラドキドキの火遊びができる相手なのかな。
あたしたちだめな“お友達”ばっかり寄ってくる商売だから、あたしなんかでも実はマシなほうなのかな。
「……センパイっ」
泰葉センパイにもオモチャも触れられていないあたしの体が、勝手にびくって揺れた。
(おしまい)