岡崎泰葉さん、女の子の「後輩」にイカされてしまう 作:ふりーじ屋/家庭内禁書
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『月は無慈悲な夜の女王』の映画化ってどうなったんですか……?
「センパイがですね、ご担当のプロデューサーさんに、ずいぶん参っていらっしゃると、そう“うかがえ”まして」
スマートフォンのスピーカー越しのセンパイに、露骨なアクセントを聞かせて揺さぶります。めいっぱいわざとらしく。
あたしも緊張します。センパイを揺さぶっているあたしも、いっしょになってぐらぐら揺れてしまうシーンです。だって"うかがえ"たのが何からなのか、それとも誰からなのか? ってセンパイに見透かされたらプライドが傷つきますので。
『たっちゃんは……』
「はぁい」
『私が思っていたより、お耳がよろしいようで』
「ウサギさんみたいでしょう?」
センパイ、すぐには乗ってきません。でもまぁ半分乗ってくれたようなもんです。“うかがえ”を“窺え”と解釈したなら、あたしが目や耳でセンパイ自身のようすから察したというコトになります。“伺え”なら、誰かセンパイの周りから聞き出したというコトになります。
どっちもですよ、センパイ。
「ちょーっと、お話し、したいんですよねぇ、センパイと」
『……“あなた”ねぇ』
「センパイがいっぱしのアイドルづらしておいて裏では年上のカッコいい男の人にぽやぽやしてるなんてあたし信じたくないなぁって」
『じゃあ信じなきゃいいでしょうが』
「センパイは相変わらず演技がお上手なので」
『演技はただのウソをつく技術じゃないよ』
「ほうほう!」
あたしの反応は、自分でも吹き出しそうなほど大げさです。でもいまセンパイとつながっているのは音声だけだから。大げさがいいんですよね? このあいだ教えてくれましたね。
「そこらへんも気になるのでみっちりご指導いただきたいなぁって」
『ご遠慮願いたいわね』
「せっかくなんでうちにご招待しますよ。東京からなら近いですよ」
『えぇえ……』
「……少なくとも、長崎よりは」
『でしょうねぇ』
沈黙。スマホの通話アプリが息遣いをキャンセルしてしまっているんでしょう。困ります。人間、声以外でもたくさんモノを言ってるんですけど、すっかりカットされちゃって。
「あ、そうそう。ほたるちゃんです」
『……何が?』
「白菊ほたるちゃんです。あたしが“うかが”ったうちでいちばん詳しく聞かせてくれたのは」
できるだけ、わざとらしく、ウソっぽく言います。こうされるととっても難しいんです。何がって?
ホントでもウソでも……ウソらしく言われると、言われた側にとって真偽を見抜くのが難しい、ってコトです。
『……ほたるちゃんはね』
「はい」
『たぶん本当のコトを教えてあげたんだよ』
「へぇ?」
『私、プロデューサーさんが好き』
「……あらぁ」
……真偽を見抜くのが難しい、です。
矛先が鈍ってしまいます。下手に突くとこっちが折れちゃいます。
「あたし、ほたるちゃんけっこう好きです」
『そうでしょうねぇ』
「驚かないんですか」
『あなたが好きそうな子だから』
「何でそう思ったんですか」
いま、あたしは自分の部屋に一人きりで通話しています。センパイ側へあたし以外の声が届いていないハズです。センパイ側からもあの声以外の雑音がありません。こんな調子で会話を続けていると、世界があたしとセンパイだけみたいに感じられちゃいます。しかもあたしたちの会話が、お互いだんだんわざとらしくなって、このままだと世界が電波よりも軽くなってしまいそうです。
『ほたるちゃんはね』
「はい」
『仕事やレッスンのとき、真剣にやるとか、楽しくやるとか、そういう次元を通り越していてね』
「ほぅほぅ」
『心底楽しそうなんだ』
「このために生きてるーってオーラが、ふとしたときに、すごく自然にじわりと感じられますよね」
『……けっこう知ってるね』
「けっこう仲良しなんですよ、あたし」
センパイの言う通り。あたし、白菊ほたるちゃんのコトけっこう好きです。このあいだセンパイをあたしの配信用チャンネルのゲストにお呼びしてお話しをしたときほたるちゃんの名前を一回だけ出したんですけど、わざわざお礼に来てくれたんです。それきっかけで彼女のコトをもっと知るようになったら、まぁ曰くつきな芸歴で。まだ13歳なのにアイドルとして所属した事務所がもう4つ目で、現所属以外の3つが倒産しちゃったとのコト。オカルトじみたウワサまで立ってるし。それでよく続けられるもんです。よく拾ってもらえるもんです。
「ほたるちゃんとセンパイは、あたしのコトについて話したりしませんか」
『気になる?』
で、お仕事で近くにいるときはお菓子でも持ってちょこちょこっておしゃべりに行くようにしたら、割とすぐ仲良くなれました。ほたるちゃんってワケもなくお菓子を食べさせたくなるんですよ。先輩風をびゅうびゅう吹かせたくなるんですよ。そしたら、ほたるちゃんあたしの先輩風にすごくうまく吹かれてくれるんですよ。
ほたるちゃんとセンパイのご担当プロデューサーは確かおんなじヒトです。ほたるちゃんはご担当にたいそうご心酔です。話を聞くと、前に所属していた事務所で最後になっちゃった仕事のとき、ほたるちゃんをバーターとして付けられてたアイドルが嫌がって仕事がお流れになって責任転嫁されて公園でしょんぼりしてたら声をかけられて……そのほかにもいろいろ……あのプロデューサーさん、だいぶキマってらっしゃるようで。
「たっちゃんに近づくと取って食われちゃうぞー、とか」
ほたるちゃんから聞いてるうちにおかしくなって「もーほたるちゃんったらノロケみたいだよー」って軽い気持ちでいじったら、彼女が……「え、これくらい……」「ほたるちゃんとこってそんな感じなの?」「実は、泰葉さんもたいがいで」「えっ」……聞きましたとも。
『あなた、もしほたるちゃんとかに』
「“もし”手ぇ出してたら?」
『フリでも許さない』
「お取り調べの準備はお済みですか」
あたし、ほたるちゃんに会う前から泰葉センパイとプロデューサーさんがいっしょにいるところ少しだけど見たコトあります。見たときはそんなもんかなって流しましたけど、あんな話ほたるちゃんから聞くと気になってきます。
「あたし、センパイに聞きたいコトがあったんですけど……センパイもあたしに聞きたいコトがあるんなら、ちょうどよくなりましたねぇ」
こんどセンパイがあたしのお家に来てくださるコトになりました。通話を終えたあと、居ても立っても居られず部屋のお掃除お片づけを始めたら母親に怪訝な目で見られました。大きなお世話です。
センパイがお家に来てくださるコトになったのは、某日の夕方でした。ベースカラーが水色で差しに白が入った……シンプルというか素朴というか野暮ったいというか……そんな印象のワンピースを着ていました。センパイの私服コーデって水色がとても多いんですけどお好きな色なんですか? でも、いまもかけてらっしゃるパステルピンクで細いフレームのオーバル型メガネ、女優時代からの愛用品ですね。
センパイはお一人でした。プロデューサーさんとかほたるちゃんとかといっしょだったらどうしよう、って思ってたんですが杞憂でした。
センパイ、ここは初めてですね。あたしにとっても、お友達(?)を部屋に呼ぶのが何年ぶりだろってレベルで、初めてみたいな気分ですよ。
「……私たちって、家に友達呼んで遊ぶってすごくやりにくいからね」
「センパイの場合、長崎と東京を行ったり来たりだったってのもあると思いますよ」
センパイがお盆の麦茶で口を湿らせながらつぶやきました。口、つけるんですね。あたしの母親が持ってきたものだから警戒してくれなかったんでしょうか。せっかくだからそのチョコレートもどうぞ。あまりいいお茶請けがないって気づいたのが遅くてあわてて乗り換えのあいだに買ってきたものですけど、おいしいんですよ。ほたるちゃんもおいしいって言ってました。ベルギー王室御用達らしいですよ。東京って駅構内でもこういうお買い物できて便利ですよね。
「ちょっと静かすぎるんで、これ流してもいいですか?」
「ご自由に……映画?」
「昔、センパイが文庫で読んでましたよね」
モニターを点けて、サブスクリプションの中に入ってる洋画を一つ再生し始めます。50年ぐらい前に出版された古典SF小説を映画化したものです。舞台は近未来。地球人のうちのいくらかが月に移住して、月世界が植民地みたいになってるって設定です。植民地と言われても社会科の授業以外でほとんど聞いたコトのない単語だからしょうじきピンと来ないんですけど。月世界人が地球人からお金を巻き上げられすぎてアタマにキて独立戦争を仕掛けるんですって。50年以上前の小説なのにいまどき流行り(?)の人工知能やら文化戦争やらがキーワードだからちょっと前に映画化されたとか。アタマのいいヒトはときどき見てきたように未来を予測できるようです。
映画のプロローグが終わるか終わらないかのうちに、またあたしのお母さんがドアの向こうにやってきて、夜まで空けるから留守番してて、と言います。そんな聞こえよがしに言わなくてもいいから早く出ていって。
ほら、センパイに聞かれちゃった。センパイ、目が引きつっちゃった。
「……二人きりですねぇ」
「あなたねぇ」
親がいたらできないコトしましょう。
センパイの腕をつかんで、あたしのベッドに引きずりこんでしまいます。センパイのぶんのお着替え用意してますから安心してください。あたしの服ですけど。
「正攻法で相手シてもらえると思うほど見くびっちゃあいませんよ、センパイのコト」
「あなたには、幻滅されてたほうが良かったかなぁ」
押し倒して、馬乗りになって、センパイを見下ろします。メガネ、ズレちゃってますね。いまのうちに外したほうがいいですね。割れちゃうかもしれませんし。
「正攻法でしゃべってあげるほど物わかりよくありませんよ、あたし」
「……それはどうかしら」
「センパイ?」
「電話ごしならともかく、いまならわかるよ」
「……何が、ですかぁ」
「まだ、あなたを許してあげられそうね」
センパイのワンピースを傷めないように脱がせるのはたいそう苦労しました。
※
「センパイは、きれいですよね。お人形さんみたい」
「……そうかしら」
センパイの下着は、ワンピースより抜けるようなまぶしい白だった。瀟洒なレースをふんだんにあしらっていてお姫様のお人形さんみたい。でも肌があったかい。脱いでいないあたしの服越しにも伝わってくる。お人形さんじゃない。女優時代のセンパイはよく「人形みたい」って褒め半分やっかみ半分に言われていた。人形みたいにお利口さんだったし。でも違うんだ。ここまで近くで触れ合えば実感できる。あのプロデューサーさんったらセンパイのこの肌にもう触れたのか、いずれ触れようというのか。むむむ。
センパイの手足がじたばたして抵抗する気配があったので、あたしも服がくしゃくしゃになる前に脱いでしまう。センパイがもっと近くなってノーガードのぶつかり合いみたいでいまさら緊張する。
まぁいいの。あたしいま真剣だから。
「あなたは……どうしてこんなことするの?」
「こうしなきゃ、わからなさそうなんですよ。そういうコトを聞きたいんですよ」
「そんなこと……」
「バカバカしいって思います?」
「……聞かないことには」
「どんなバカげたコトでも言えるのがオフレコの特権です」
「でもたっちゃん、このあいだはオフレコどころかナマで……んんっ!?」
あたしはセンパイの肌に自分の肌をぴったり重ねてみたくなった。ぎゅうってのしかかる感じ。センパイの体温も息遣いも濃くなる。あたしの肌がもし冷たく硬い人形だったらぼうって曇ってた。近くなりすぎて目に焦点を合わせられない。センパイの表情がぼやける。あたしがいつも寝ているベッドなのにセンパイがあられもない姿で寝転がっているとウソみたいに興奮する。キスしたくなる。けど口がふさがると尋問できなくなるので、代わりにほっぺたをつつく。
「アイドルなのに、ステキなプロデューサーさんにうつつを抜かして、いけないヒトですぅ」
「……あなた、そんなに知ってたっけ」
「あんまり。じゃあ、センパイのコトを聞いてもいいですか」
手足で押さえつける。口でお伺いを立てても、カラダで有無を言わせない。
「センパイはどうして女優をやってたんですか」
「……もう、ちょっと、記憶がおぼろげかなぁ」
「女優を始めた理由じゃないですよ。それは……おおかた、周りの大人に言われて、でしょう」
「まぁ、それは……んんっ、ぇう、あ、うっ……!」
センパイの声と吐息が乱れる。触ったのは耳たぶだ。ぽわぽわしてる。ほんのりピンク色に見えるんですけどセンパイも興奮してるのかな。これまでのコトから言ってあたしに呼び出されたら何かやらかされるって分かってたハズだ、バカじゃないんだから。でも来てくれた。センパイはあたしに対して妙にお気楽なところがある。もしほたるちゃんからこうされてたら……うーん、そういうシュミないハズなんだけど。
「なんでアイドルになっちゃったのかも気になるんですけど」
「ん、ぅ、あっ……やめ、て……」
「そもそも女優を続けていた理由も、あたし、知らないんですよね」
指と手のひらでほっぺたを撫でると、手首の辺りでセンパイの拍動を感じる。とくん、とくん。センパイが手足をもぞつかせて抵抗しようとするたびに、あたしの手足や胴までつられてもぞもぞしてしまう。おっぱいぎゅーって押しつけちゃうとちょっと苦しそうだ。重いんですよコレ。わかります?
「悪いけどね、ヒトにぺらぺら言うことじゃないよ」
「ホタルちゃんは、あたしに教えてくれたんですけど」
「……そう?」
「彼女がアイドルになった理由ですよ」
「紛らわしい言い方しないでよ」
おどけて、ぺろりと舌先を出して謝ると、こつんとおでこをぶつけられた。なんてかわいい生き物なんだろうこのヒトは、後輩に三度ぶち犯されようとしているときに! あぁちょっと我慢できないかも。いや我慢しなくていいんだ、だってこれからするコトはレイプなんだから。センパイの肌に指先を食いこませてセンパイの緊張を感じ取って思いとどまる。レイプじゃないでしょうが聞くコトがあるでしょナニ考えてるんだろあたし。
「あたし、センパイが女優を続けていた理由、傍から見ててよくわからなかったんですよね」
「……応援してくれるファンのため、って言ったら信じる?」
「あんまり。確かに応援されればうれしいでしょうが、あたしたちチヤホヤされるだけならわざわざ芸能界で苦労しなくても……」
「チヤホヤって……まぁ、子役だと特にねぇ」
「あと、そんなにお金に困ってるように見えませんでしたし」
センパイのお家ってたぶんそれなり以上のお金持ちだ。子役時代、長崎の学校に通いながら東京でよくお仕事してた。センパイ売れっ子だから事務所も足代を出してくれてるでしょうけどそれにしたってもろもろ全部が経費で落ちるワケないと思う。お家からも出るもの出てるハズ。
「あっ……はぁっ……触っちゃ、だめだって……んんっ……!」
「遊べる時間を切り売りして、こっちが顔も知らない人から好き勝手なコト言われて……」
あと、センパイは親御さんとうまく行ってるハズだ。女優・俳優が演技する場所としていちばん難しいのが親兄弟のいるところだ(そのせいか、梨園みたいに身内との共演ザラな業界ではお客さんいない日常から演技してるんだって、きびしぃ……)。子役でありがちなのが、現場に親が来てて仲良し親子ですよ~って見せてても傍から眺めているとボロを出してるよ~って光景。だけどセンパイに限っては数年来あたしが見ていても見つからないんでホントにうまく行ってるんだと思っている。
うまく行っているんなら、仕事をがんばって自分の稼ぎを増やして早く家を出たいとかそういう動機もないんだろう。
「どうしてそこまでして、演技に打ちこんでたんですか」
「……どうして、って」
「じゃあ、プロデューサーさんに聞かれたコトないんですか? 女優としてあんなにキャリア積めるほどがんばってたのに、わざわざアイドルとか」
センパイに言葉で聞きながら、肌で探る。一方的だ。あたしは、あたしセンパイのコトが気になって気になって仕方ないんです……! ってバレバレでもいいんだ。開きなおれてありがたい。そうじゃなきゃ引いてしまう。センパイの肌がじんわりと熱い。興奮しているのか怒っているのか。もちもちしているけど指を立てるとぴゅくって強張るのが気持ちよくてクセになって、ついしゃべるの忘れちゃいそう。首筋も肩もほっそりしている。とってもか弱くて女の子らしい。いいなぁ、あたし背丈なりの肩幅があるから並ぶとゴツく見えちゃうだろう。
触る。
「んんっ、く……聞かれてたとしても、教えてあげる義理、ないわ……」
「承知ですとも」
「そういう態度じゃないと思うんだけど」
か弱いんだけど、さすがに鎖骨となるとしっかり骨みたいに触り心地がつるつる、こちこち、ってしている。指先でなぞるとくすぐったそうに身をよじられる。その反応がかわいらしくてもっと触りたくなる。
「演じるコトだけで得られるものがあるんですか。ないんですか。あるけどいらなくなったんですか」
「……私は、そんなに……」
「そんなに? ふぅん」
演技という行為からだけで得られるもの、か。あたしは……演技に浸っていると、自分が演じる役のキャラクターであって自分でなくなる感じ……これなんかどうだろ? われながら古風だなぁ、スタニスラフスキーのメソッドみたいな前世紀っていうか前々世紀のおとぎ話。でもそういう感じあるの。他人にさせられると嫌だけど自分がやりたくてやると気持ちいい感じ。しょっちゅうそんな感じになったらアタマがおかしくなりそうだけど、まったくそんな感じになれなかったら息が詰まりそうな感じ。それがきっと演じるコト特有の……うーん、個人的なフィーリングだけじゃなぁ。
「まぁ、アイドルもプロとして演じるお仕事でしょうけれど」
「んんっ……ふぅ、は、ぁ、あっ……!」
女優とアイドルの演技はたぶん違う。女優は作品に合わせて役がいろいろ変わる。アイドルは……岡崎泰葉だけの《偶像》役のみを演じるコトになるんですか? 決して他のヒトが名乗れないし、まして演じられない役。うらやましいかも。恐ろしいかも。ある意味で女優より愚直というか硬派かも。
理屈屋ぶったアタマとは裏腹に、手が、センパイの肌に勝手に伸びてしまう。
「あ……ふぁ、あ……んん……っ!」
「ねぇ、センパイ」
あたしの指先がセンパイの肌を滑るたび、センパイの声がぽろぽろこぼれて、光の下の粉雪や紙吹雪みたいにきらきらして見える。二の腕をつまむ。細くてしなやかなのにぷにぷにしてる。さわさわってくすぐると、きゅって緊張して硬くなる。声で問いかけながらカラダに問い詰めるつもりだったけど、あたしの手と指のほうがうるさい。センパイのおっぱいに手のひらを添わせる。吸いつく。たまご肌のせいか、あたしの手汗のせいか。
「センパイがプロデューサーさんのコトホントに好きで、プロデューサーさんにいいとこ見せたいって思って、等身大よりも素敵な乙女のフリしててもそれは演技です」
「ん……いちいち引っかかる言い方するね……? ……そ、そこっ……んっ、んくっ……!」
「むしろ演技のスタートラインでしょうね。そういうのだいたい子供から経験してます」
センパイのおっぱいはとても柔らかいけど、あたしに押し倒されてもきれいなお椀型を描いている。きれいだなぁセンパイのおっぱい。乳首がさくらんぼみたいにうす赤くてちっちゃい。触っているとこっちまできゅんきゅんしそうな声と吐息で喘ぐ。言おうとしていたコトが吸いこまれちゃう。ダメダメ。
「そういう子供のごっこ遊びや、素人さんの社交辞令や、詐欺師のウソとかと、プロの演技は何が違うんですか……?」
詐欺師といえば、世界には詐欺師のサルがいるんですって。『プロの流儀』で偉い動物のセンセイから聞いたんです。ペルーで野生のオマキザルを観察していたら、サルの1匹が地上に食べ物を見つけたかと思うとキーキー悲鳴をあげて群れの仲間に聞かせて樹上へ避難させ自分がエサを独り占めした、って光景を見たんですって。研究者仲間に聞いてみるとぼちぼちあるコトなんですって。うわぁズルい。
「ふ、ふぁっ、あ……あはっ、はぅ……!」
「ねぇ、何が違うんです、センパイ」
センパイのおっぱいはとても柔らかいけど、あたしに押し倒されてもブラをずらされてもきれいなお椀型を描いている。きれいだなぁセンパイのおっぱい。乳首がさくらんぼみたいにうす赤くてちっちゃい。触っているとこっちまできゅんきゅんしそうな声と吐息で喘ぐ。言おうとしていたコトが……なんだコレあたしアタマがループしてる。おっぱいを触っているのはおっぱいに聞くためだ。この感触には意味があるんだ。ふるふるって柔らかいんだけどふもとの辺りだとぴくっとくる筋肉や、ふくらんだりしぼんだりしている肺や、このとくんとくんしてるのってもしかして心臓……? あたしもドキドキしてますよ。あたしのおっぱい触ってみてもらおうか……? やっぱりダメ。あたしが聞いてるの。人差し指と親指のあいだで先っぽをくりくりひねってみるとひときわ高い声が出た。言葉になっていない。
「まぁ、浅いところではわかるんですよ。ごっこ遊びや社交辞令と違って先にお金の約束があります」
「ふぅ、は、ぁ……あなた、しゃべらせるつもり、ないでしょ……」
「それに詐欺師のウソと違って、演技しますよって最初から相手に知られていて、その上で相手を悲しませたり笑わせたり怒らせたり喜ばせたりするんです……あ、これじゃアイドルと女優の区別ありませんね」
じゃあ、もし人工知能がホログラムと合成音声のアバターをかぶって言葉や仕草で人の感情を狙ったように動かせたら俳優ですか? すっかり忘れてましたけどモニターでは映画が流れっぱなしで、月世界側の人工知能が対地球戦争のために月世界人を煽る演説をぶっています。月世界議長アダム・セレーネ。これ劇中の設定だと、人工知能がホログラムと合成音声のアバターをかぶってまるでアダムが実在する人物であるかのように煽動家を演じているんですよ。このあと月世界人を過激化させるためにアダムが地球側のテロで暗殺された体裁で表舞台から退場するのですが、動かしている人工知能は裏方として健在で引き続き革命のために策を練っています。
「あたしたちの演技でしか為し得ないコトについて、考えなきゃいけません。そうでなければ、演技の優劣を、あの移り気な人たちだけが決めてしまうコトになる。さすがにそれは、やってられないでしょう」
アダムの演説が終わるとセンパイのおっぱいに意識を引きずり戻される。人間ってこんなに柔らかくてあったかいんだなぁって感動しながら、指先から伝わってくる鼓動を感じてなんだか泣けてくる。手が震える。アタマの中までぷるぷるする。これが答えなんですか。センパイが吐息以外ホントに静かになってしまった。こっちでも口でも話してくれないんですか。あたし真剣なつもりなんだけど。
「は、ぅんっ……! ダメ、んっ、はぅ、んっ……!」
「答えてください……!」
きゅってしてしまう。強引にやるとセンパイがかえって意地になってぐちゃぐちゃのグダグダになるってわかってる。前もそうだった。センパイのデコルテとおっぱいのあいだに顔を埋める。桃みたいな匂いがする。あたしも同じ女の子のハズなのにどうしてこんなに嗅ぎたくなるんだろう。すぅはぁすぅはぁってあたしの吐息が饒舌になってどうするんだ。ぺろって舐めたくなるけどさすがにいやらしすぎる。代わりにキスマークつけちゃおうかな。許してもらえるならいくらでもつけたい。
「どうしてやめちゃったんですか……どうしてアイドルになっちゃったんですか……?」
センパイがどこかで答えてくれていると信じて肌をまさぐる。あたしの手が動くたびにお風呂の湯気みたいな吐息で肌を撫で返される。じっとり汗が浮いてくる。まだ足りない。あたしバカになっちゃってるんでもっとハッキリ伝えてもらわなきゃいけない。腕を回してぎゅっと引き寄せる。センパイはホントに肩も背中も細い。折れちゃいそうだ。
「キス、してもいいですか」
「……だめ」
「でしょうね」
探り探りだ。舞台で演出を詰めていくのと同じ。台本は基礎、土台にあたる。その上に、演出でいろんな刺激をシーンに乗せていく。観てくれるみんなを退屈させないようにね。でもあまり強い刺激を無理やり与えると、人間関係と同じようにシーンもぶち壊しになってしまう。だから最初は刺激を弱く、強めるときは少しずつ。顔を上げてセンパイの目を見る。ふって視線をそらされちゃった。髪をそっと撫でてあげる。さらさらだ。髪質いいなぁこの人。切りそろえたパッツン前髪を指先ぐらい乱してしまう。お。さっきコツンとしてくれたおでこがちょっと湿っぽくなってる気がするぞ。かわいいなもう!
「こんなときだけ聞き分けがいいんだから」
「不意打ちするスキをうかがってるのかもしれませんよ」
「そしたら、噛むよ。思いっきり。商売道具台無し」
すっと顔を下げておっぱいの先にキスする。ひゅっとびっくりした感じの吐息が聞こえる。ああどうしてあたしの手がセンパイのそれをつかめるところにないんでしょう。まだだいじょうぶ、ぶち壊しじゃない。くちびるだけでくわえてみる。ちゅっちゅって音がするくらい吸ってみる。センパイが口をつぐんで、鼻にかかった声がときどき漏れ聞こえてくる。歯をそっと立てる。歯のぎざぎざがセンパイの乳首に食いこむかどうか。
「や、やめっ……や、あ……あっ!」
「気持ちいいですか?」
「そんな、わけ……」
「あたしは気持ちいいです」
気持ちよすぎてエスカレートしすぎないよう言い聞かせながら、だ。刺激は少しずつ強く、展開は順を追って核心に迫るもの。例えばいまのあたしとセンパイがこういうシーンを演じているとして、そこのドアがいきなりパタンと開いてお母さんが顔を出したらどうかしら。わぁお、刺激が強すぎてあたしたちがわたわたして、面白くなりすぎていきなりコメディに。逆に、あたしもセンパイもこのままズルズル変化を起こさなければ退屈でシーンが自ら潰れてしまう。ぶち壊しと退屈のあいだのどの辺りを通っていけばいいのか、それを稽古で詰めていく。ストーリーが進んでシーンを積み重ねていくと、基礎、土台ががっしり強くなって演者や演出家がドタバタしても壊れなくなっていく。ストーリーのどんでん返しが最後にあるのはそういう制約のせいもある。センパイと二人きりで早くもっとドタバタしたい。
「っ……っっうぅー……ぅ……!」
センパイの乳首を甘噛みする。舌で転がしてみる。コリコリして硬くなっているとわかる。唾液をつけてちゅうっと吸い上げると、口の中で乳首がぷるんぷるん揺れる。おいしいわけじゃないんだけど楽しい。感じていないハズの甘くてしょっぱい味が頭にふわふわ浮かぶ。乳輪ごと口に含んで舌先で転がす。もう片方の胸も同じようにしてあげようとしたら噛む前からぽってり張り詰めていて、あたしがドキッとしてしまう。
おっぱいから離れておなかや脇腹にもキスをする。あたしがこうしてくちびるを押しつけるだけで痕が残るんじゃないかってほどやわらかい肌だ。
「センパイ、換えの下着って持ってきてます?」
「……ご想像に任せるわ」
「困っちゃうなぁ」
センパイのヘソのくぼみに舌を差し入れてみる。ヘソに舌を入れるなんて初めてしたけれど悪くない。何でかあたしのお腹の奥のほうにまで響いてくる。ヘソの周りがふっくらしている。ウエストがきゅってくびれているけど、それは正面から見るとそうなるってだけ。横から見るとすぐわかるように、背中やお尻の上が凹んでヘソ側がふっくらしているもの。むにゅむにゅ。センパイもいつかここで赤ちゃん作るのかな。いやあたしも女の子だから他人事じゃないけど。
「っん、ふ、あっ……くすぐったい、よ……」
センパイがすっかり大人しくなった。あたしの探り探りなペースに合わせてくれてるの? でもあたしいつまでこんなペースで続けられるかわからないんだ。センパイのお腹にいまにもかじりついてしまいそう。
「食べちゃいたいって気持ち、わかっちゃったかもしれません」
ついにセンパイの下着に手をかける。うっすら濡れて透けちゃって見えるのは気のせいかな。それとも汗かな。汗だよね? まだまだおかしくなるには早い。ショーツの上から指でなぞる。腰上げてくださいって言ったら素直に従ってくれた。すごいコトしてる気分になってきた、いまさらだけど。センパイの大事なところに指を添える。あそこの薄い毛がぺったりしている。割れ目にそってゆっくり上下に撫でると、さっきふっくらしてたお腹とかほっそりしていた太腿がぴくって緊張する。
「……あっ……は、う……はーっ、はーっ……」
「びっくりさせちゃいました?」
「……まぁ、多少は」
よかった。安心したのでもっと指を動かす。少し力を入れて奥を探る。ぐぐっと指が沈みこんでいって、内側の柔らかい感触の中にコリコリした芯みたいなものがあるとわかってきた。そのコリコリを指先でくすぐるように撫で回す。
「あぅっ、うぐっ、んぅぅぅっ、うんぅぅぅっ……!」
センパイの大事なところこんなにじっくり触ったの初めてだけどセンパイは誰かに触られたコトあるのかな。指先だけを曲げてみたり、親指を押しつけたり離したりする。あたしとセンパイの触れ合っているところがじりじり熱く敏感になっていく。つまんだり、ふっくらしているところごとぎゅっとしたり、くいくいと押さえつけてあげたりする。指先がぬるぬるしてくる。指を抜いて舐めて見せたくなるけど我慢する。そうしたらたぶんぶち壊しだ。代わりにあたしの指に反応してひくつくセンパイのおへそをじろじろ見る。センパイったら視線を投げたらすぐ気づいてくれて手で隠されちゃった。あそこは隠せてないのに。
「……かわいいっ」
「冗談でしょ……」
「あたしがそんなコト言うと思います?」
「あなた何言い出すかわかったもんじゃないから」
「えへへ」
ちょっと雰囲気緩みすぎ。センパイの膝のあいだにぐいっと割りこむ。膝と太腿を広げさせる。内腿を撫でながら、再びあそこに触る。もう抵抗できませんね? センパイのクリトリスが包皮に包まれている。指で剥こうとするとつるんと逃げてしまう。おいで、おいでって誘われてるみたい。
乗っちゃう。
「きゃあッ、や……ぁっ! だ、め……っ」
両手まで使って捉えて爪の先でかりかりしちゃう。もう逃さないぞ。
「…………っ!!」
あれ、感じちゃいました? びくびくってカラダが跳ねてくれてます。あたしに抗議するように、眉に力がきりきり入ってる。でも瞳が潤んでる。きゅっと結んだくちびるがてらてらしてる。そうですね。抵抗するか誘惑するかあいまいなほうが面白い。
「っ……っっうぅー……ぅ……!」
クリトリスをつまむようにしてこねこねしてあげる。もっと感じてくれちゃうのかな。皮、剥いちゃお。
「ん゙……ん、ぅ、く、ぁ……ぁ、ん゙ぅ……!」
クリの皮をめくりあげて直に触れる。人差し指でちょこっとだけ顔を出していたところから根元までねっとりいじくりまわす。びくんっと腰が跳ねるたびにあたしの指が強く押し当てられてセンパイったらもっと感じてしまうみたい。指を離すと透明な糸を引くくらい濡れてきちゃってる。腰、びくびくしてますね、なんて煽ると腰の動きをなんとか抑えているようす。さすがなんだけど、そのぶんあたしの背後というかセンパイの足元のあたりがシャカシャカ騒がしい。そっちで刺激を逃がそうとしてるらしい。気がつかないフリしてあげるの苦労しちゃう。
「ひふっ、きゅ、ぅ……っ! くっ、ふぅぅう……っ!」
センパイのあそこがじんわり開いてきた。乳首で感じて勃起しちゃったときのように、ぴらぴら全体に血がめぐって赤らんでふくらんできている。ここ触ってほしいんですか、って煽りながら指をもう一本増やす。中指を伸ばして割れ目に触れる。指先にとろとろした粘膜が絡みついてくる。ゆっくり前後に往復させてみると入り口がちゅうちゅう吸いついてきてさっきセンパイの乳首吸ったときのお返しをされた気分。改めて、指先を軽く埋めこんでみる。中はあったかいと熱いのあいだくらい。肉の壁がぎゅうぎゅう締めつけてきてる。指先めちゃくちゃ気持ちいい。あたし女の子だからわからないけど、こんなところにおちんちん入れたら狂っちゃうだろうな。
「ん、あっ……は、あっ……!」
センパイはプロデューサーさんとえっちしたコトあるんだろうか。色んな意味でどこまで突っこんでいいものか迷う。セックス経験を聞くのはプライベートに立ち入り過ぎだし、指を奥までくりくりしてしまってナカ傷めちゃったらどうしよう。あたし女の子だからクリトリスのほうが気持ちいいってわかってるハズなんだけど。そうだよクリトリス、クリトリス。
あそこの入り口のクリトリスあたりに、ふーって息を吹きかける。お誕生日ケーキのロウソクの火を消すぐらいの。それからふっと視線をずらしたらセンパイが手でシーツをぎゅって握ってるのが見えた。シーツにうっすらシミがついてるのも見えた。やばい。シーツを取り替える……にしても、あたし今夜このベッドで寝られるか心配になってきた。
「いくら濡らしてもいいんですよ。お気兼ねなく」
「そんな、の……くひゅっ……!? ハッ、はァッ……ん、んっ!」
あたしはそれなりに濡れるタイプだけれど、センパイのがうるおいたっぷりだ。またクリトリスを指先でくすぐる。ぴくんってお腹が波打つ。センパイが一生懸命に足を閉じようとするけどあたしのカラダが邪魔しちゃってる。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……! んはぁああっ! や、やめっ……や、あ……あ!」
あたしが喘いでしまいそうになるほど快感が流れこんでくる。あたしが攻めているハズなのに。熱い。ほっぺた真っ赤だって鏡がなくてもお察し。うわこれセンパイに見られてるの? センパイのあそこ夢中になって触ってそれで興奮してるってバレバレな顔つきを。うぅうぅ。
「はっ、はっ、はっ……えひゅっ!? も、もう、とめ、て……!」
「そろそろ、イッちゃいます?」
センパイはあたしよりめちゃくちゃになって。足がびくびく震えてして腰がくらくら浮いてお腹がきゅうきゅう引き攣れてるけど、もっと。あたしの手のひらで覆いきれないほどあそこくちゅくちゅしてるけど、もっと。
「あ、あなた、ねぇ……!」
「イキたくないんですか?」
「ぁ……だ、めぇ……も……っお、っ……!」
手が止められない。止めないんじゃなくて止められないんだってば……指をじゅぶじゅぶさせちゃう。こんなの無理っ。こんな気持ちよさそうなの聞かされて触れさせられて見せられちゃったら誰だってこうなっちゃう。聞けるのはあたししかいないけどー。これ以上やったら壊れちゃうかも。そう思ってもあたしの指がセンパイのナカにぐいぐい締めつけられると、いつのまにか指の付け根までずっぽり咥えこまれてる。処女だったらどうしようって思って顔をあげたら、センパイが背中まで反らせていて目がよく見えない。口がだらしなく開いちゃっててよだれ垂れて鼻息の荒くなっているのまでなら見えた。
「い……っく、い、い、い……ッ! と、とめてっ……!」
指が痛いぐらい締め上げられている。センパイのびくびくがひどくなって、すごくいっぱい愛液がどんどん出てきてあたしの手首にまで伝ってくる。さっきよりどろっとしている気がする。女体の神秘を感じる。いやあたしも女の子だけど、こんな気持ちよくなったコトないもん。でもまだ終わらないみたいだからもっともっとしてあげないと。あたしの指先じゃ足りないかもしれないけど、できるところまで手伝ってあげたい。ほらイっちゃえっ。あたしの頭の中は真っ白になっていて、きっと顔も真っ赤になっていて、センパイとお揃いかな。センパイが首をぶんぶん振って手足バタバタするけど押さえつけて責めるの再開する。まだ、まだ。もうダメ、もうむり、もうやめて、もうゆるしてください……センパイはあたしにそんなコト言わない。聞いてない。たぶん。
「ん……んーんっ! はあっはあ、あ……あああッ……!」
逃げ出されそうになって、押さえつけなおして、でもあそこも肌もぬるぬるで滑るからまた逃げ出されそうになって、また押さえつけて、何度目かにセンパイが大きく背中を反らした。上にのしかかって顔を覗きこむ。くちびるをパクパクさせて空気に何度か噛みついてた。声が出ていない。眉間に谷間ができそうなぐらい目がぎゅって閉じられている。あたしの太腿とか腰とかでセンパイの脚がバタバタして、それからぴゅっぴゅってちっちゃい水鉄砲みたいな何かが膝元にぶつかってきた。お潮でも噴いちゃいました? お返しに膝を曲げてあそこをぐりぐりしてあげると、おぉおぉ゙って苦しげに悶える。あ、いいなこれ、センパイの顔を観察しながらあそこを責めやすい。もうぜったい離れられないように首にも肩にも腕を回して固めてぐりぐり、ぐりぐり。あたしのカラダで泰葉センパイがこんなにめちゃくちゃになってくれるってコトは、泰葉センパイもやろうと思えばあたしをめちゃくちゃにできるって証なの、きっと。そう信じるとあたしもイケちゃう。これ女の子どうしの特権だよね。あ、男の子どうしでもそうかな?
「っく、く…………くううう、うゔぅっ……!」
いつのまにかセンパイのほうからもぎゅーってしてもらっちゃってる。止めてほしいのか、もっとしてほしいのか、どっちだってあたしの知ったこっちゃない。責め続けてあげるだけ。あたしが身動ぎするたびにぷしゅっぷしゅううーって出てくる勢いでかわいい。あたしもいっぱい出ちゃってるかも。わかんないや。なんかすっごい気持ちいいんだもん。まぁぜんぶセンパイのせいなんです、そうなんです。
「ゔぅー……あぐ、く、ぁ……も、ぅ……むり、むぃい……ゔっ、ゔっあ、いっ、イク、ううゔ……っ!」
ぎゅってシたままぐりぐりし続けたら、こんどは細かくぷるぷる震えながらカラダを反らして、あたしの枕に例のぱっつん頭をずりずり押しつけてぐしゃぐしゃになって、イッたらしい。ねぇイッちゃったんですか。それとも演技ですか。アイドル・岡崎泰葉はそうやってイクんですか。
しばらくのあいだ、はぁはぁ荒い呼吸といっしょに首筋とおっぱいとお腹をぷかぷかさせてるだけで、返事してくれなかった。
「……せんぱぁい」
呼びかけの何度目かで、センパイが目を開けた。
「……あなたね」
「はぁい」
「もう私とプロデューサーさんのこととか、どうでもよくなってない……?」
……あれれぇ?
「あはは、図星突かれちゃいましたぁ」
ホントでもウソでもウソらしく言えば、真偽を見抜くのが難しい……ハズ……。
「んっ、ああ……あはっ、あ……! も、も、ゃ……め、やめ、なさい……!」
「やだ」
さっきより強く押さえつける。さっきより強く抵抗される。じたばた。どたばた。もうケンカみたい。お母さん追っ払っといてよかった。
「あああっ!? ……だめ、だめだから……ぁ」
まぁ、センパイのあそこにあたしが手とか足とか突っこんでもだえさせるとどうにかできちゃう。
「……だ、めぇ……も……っお、っ……!」
そんなに言うなら、じゃあキズつけないようそっとあそこを撫でてあげます。指先だと不安になってきたので、手のひらでどしどし押す。面の刺激だと強くやっちゃってもキズつきにくいハズ。手のひらでぐじゅぐじゅってえっちなお汁を感じる。あ、いいね。もっと押しこんであげようとするとぬるんって逃げられる。センパイの太腿の片方をあたしの脚でホールドしてもう一度引き寄せる。
「つかまぇたぁ……」
「お゙っ、ひ……う、あ、あ、そこ……そ、ぇ、や、ぁ……!」
「ぇ、へへ……あたしは、いいんだ……!」
これだとあたしのあそこもずりずりして感じちゃうけど、ええい、肉を切らせて骨を断つ! センパイのあそこに狙いを定めなおしていじめちゃう。何度もやってると手のひらでもクリトリスの皮が剥けたり戻ったりが分かってきて、センパイが面白いくらい反応してくれる。あったかくてびくびくするの、しっかり抱いていてあげる。ステキなハスキーボイスのメロディ、あたしの独り占め。またずりずりする。もう、あたしのされるがままじゃないですか。
「ひうぃい゙っ……! あっ、あい……い、いく…ぅ゙………ッ!」
「うふ、ふふっ、あははっ……」
気持ちよくなりすぎて、あたしの腕とベッドの中でぴちぴちしてるセンパイ。あたしが望んだらこれ以上めちゃくちゃになってくれるんだろうか? イッてる最中らしいクリトリスを親指の根本あたりでこすっていじめて、もっとこりっこりにする。ぴかぴかに磨いたガラスをきゅっきゅって擦ってるときみたいな悲鳴が聞ける。すごくいい、この悲鳴。カラダがすっかり透き通って、すっかり明るくなって、すっかり舞い上がって、嬉しくて怖くて切なくて胸苦しい気持ちになってくる。あたしにもこんな声出るのかな。センパイに聞かせたらどう反応してくれるだろう。
もっとこする。
「んぐぅうっ、ううゔっ!! はぁっ、はぁっ…ぃ、いぐっ……むっ、もおおお゙……っ!」
センパイは声を殺そうとしてか、あたしの枕に顔を突っこんでいた。もうあたしに何されても手でガードできないねぇ。そうなるといまさらだけど優しくしなきゃって思う。センパイが弱そうなところをこちょこちょ触らせてもらう。どこ触ってもびくんびくん痙攣しちゃうんだ。
「ゃ、やめて……せめて、少し休ま……あ、あんあ、あァ、あッ……あああ゙あオッ……!」
センパイ気持ちいいのかな。あたしはとっても気持ちいい。このままずっとこうしていたい。あんまりやりすぎると死んじゃうかもしれない。そういえば女の子どうしのときってどうやって終わりにするんだろう。センパイのあそこはあたしの指も手首もべたべたにして、それでもまだあふれてくる。あんまりあそこがびくびくしすぎて、おしっこの穴もお尻の穴もつられてひくひくしているみたい。まだ続けていいの? ねぇセンパイ、教えて、教えて。
「あああ゙っ、ふわあぁっ……! あ゙、あ゙ーっ……!」
そのうちセンパイのおもらしを浴びた。あのアンモニア臭で気づいた。あたしは手を止めた。止めたまま、センパイとくっついて、いっしょにぐしょぐしょになった。こんどからセンパイをめちゃくちゃにするとき、あたしも服を脱ぐようにしようって思った。
※
「ねぇ、たっちゃん」
「はい」
映画はとうに終わっていました。外が暗くなってお母さんが帰ってきちゃいました。それはあたしがどうにかするとして、センパイいま寮暮らしでしたっけ。門限を破らせちゃったかもしれません。
「どうして女優をやってたんですか。どうして女優をやめてアイドルになったんですか、って。私にそう聞いたね」
「聞きましたねぇ」
センパイの着衣(?)で無事なのはメガネだけでした。お着替え何でも貸してあげるって言ったら、いちばん冴えない学校用のジャージを選ばれてしまいました。よりにもよってそれですかぁ? センパイ、あたしより背が低いのに無理に着るから袖があまってパタパタしていました。顔が赤いままなのも相まって、すっごくあざとカワイイです。
「理由は、ね」
「はい」
「あなたが言ってたその答えを、探すためよ」
あたしは、それをウソなんじゃないかと思いました。でも何も突っこめませんでした。ホントでもウソでもウソらしく言われると、言われた側にとって真偽を見抜くのが難しいんです。
「たっちゃんは、お仕事、楽しい?」
「まぁ、それなりに」
「そう」
「センパイとぐちゃぐちゃになってるときのが楽しいですけど」
正座させられてめちゃくちゃお説教されちゃいました。センパイはジャージの袖で自分の膝をパタパタ叩いていました。あの空色のダサ……素朴なワンピースがいつまでも乾かないでいればいいのに、って思いました。
(おしまい)