岡崎泰葉さん、女の子の「後輩」にイカされてしまう 作:ふりーじ屋/家庭内禁書
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ご参考→https://skeb.jp/@freege_affected/works/26
作中の「性感帯としての資格を持つのが性器だけというのは思い込み・不公平ではないか?」って話の元ネタは澁澤龍彦『快楽主義の哲学』の「第四章 性的快楽の研究」のサドのくだりです。
澁澤は「私には独創性を徳とする気がさらさらないので、それくらいならば、いっそ自分で自分のお話の種明かしをすることを楽しみたいのである」(『ドラコニア綺譚集』の「かぼちゃについて」)とも言っているので、まねしてみたいなぁと思って、蛇足を恐れず記します。
そのコーディネートをまとう泰葉センパイを、あたしは写真で見た覚えがあります。オレンジがかったベージュカラーのキャスケット帽子、もっと濃い赤茶色のカーディガン、白いブラウス。黒いスカートからお尻のラインがほんのり浮きでている。ピンクでオーバルフレームのメガネをかけている。ぜんぜんイヤらしくない姿です。白いカーディガンとマリンブルーのワンピースのあたし――いつかのセンパイのオフショットをマネしてみました――よりも正統派な秋の装いです。
ぜんぜんイヤらしくないはずなのです。
「たっちゃん……目が」
「目が?」
「……やらしい」
路線バス車内のポールをつかんだまま、センパイはあたしの顔に自分の顔や肩がくっつきそうなほど立ち位置を近づけます。近寄られすぎてあたしがやらしい目で眺めにくくなります。同時に、あのまんまるな髪からふんわりと甘い匂いも近づいてきてあたしの鼻先をくすぐります。
「やらしい、って言うほうがやらしいんです~」
「小学生みたいなことを」
「だからセンパイがおかしいほうになります」
「なにが」
あたしがセンパイをレイプしてからはじめての秋が来ています。
「お尻で気持ちよくなっちゃうのがおかしい、って言って」
「おかしいでしょ」
「そうでしょうか」
女優であるとかアイドルであるとかここ路線バスの中だとかって以前に、うら若き乙女が口にしてはならないおしゃべりをしています。でも近づいていればだいじょうぶです。バスのエンジン音やらアナウンスやらに紛れて他の乗客に聞かれちゃいないはずです。
「おかしいかどうか、また確かめてみます?」
もっとしちゃいけないこともしたくなっちゃいます。
※
あたしたちはさっき都内某所の駅前から路線バスに乗りこみました。すっきりと空が高く見える秋晴れで日傘を持ってきてよかったと思うほどで、風がちょっと吹いてるけど温度も湿度も過ごしやすいしで、よいお日柄だし駅から歩いて……と思いかけたけど目的地までの所要時間を調べたら徒歩だと思ったよりかかるらしかったので素直にバス停に並びました。
列はおじいさんおばあさん、おにーさんおねーさん、あと制服姿で単語帳をめくる高校生もちらほら、都合20人ぐらいの先客。センパイに列の後ろで待っててもらってあたしは先頭まで歩いてバス停の時刻表を確かめます。白、水色、ピンクの背景色3種で塗り分けられた時刻表の列のうち見るべきは水色の土曜日のところです。土曜日にあたしとセンパイが一緒にお出かけするなんてめったになくてうきうきします。電光表示板が「あと3分」で次のバスが来るといいます。
あたしのご機嫌も天気に負けず劣らずうららかです。センパイはどうです?
「ん……!? こら、ちょっと、あなたホントに……」
「この程度、たまたま触れてしまうこともあるでしょう、おかしくありませぇん」
乗ったバスが動き出してあたしたち2人並んでつり革とかポールとかにつかまっています。
そうしながら、つまり他人に見られかねない場面でセンパイへねっとり触れるのは――きょうはまだ触るふりをしただけですが?――久しぶりです。前にあたしのチャンネルの生配信中にセンパイにこっそりいたずらして視聴者にバレかけて以来センパイがけっこうガチなトーンで怒るようになってしまったから他人に見つかりにくいところでいたずらしています。
「でも、いっしょにお花を見に行くのがメインですから」
「……たっちゃんって、お花に興味あったんだ」
「行ったことある人の話をたまたま聞いて~」
「思わせぶりな言い方を」
思わせぶりなのはセンパイです。どうしてあたしの誘いに乗ってくれちゃうんでしょう?
近づかれただけであたしがセンパイへ触れる手やくちびるや舌やなんやらがじりじりとエスカレートしています。あのまん丸い髪の毛から、耳、首筋、それから胴と手足の出っ張ったところとへこんだところも前にいたずらしたの思い出します。
「あたし、植物園は初めてですけど」
「私は……プライベートだと……ああ、バイオパークぐらいかなぁ、半ば動物園だけど」
「ばいおぱーく?」
「あ、うん、地元の話」
「きょう行くところ、秋バラが見頃なんですって!」
「……そう」
センパイが表情を引きつらせなかったかのように言います。“引きつらせなかったかのように”です。センパイがさっき近づいてきたせいであたしからはこめかみより上しか目視できませんでしたが引きつらせたと察するにはじゅうぶんです。
何を連想してくれたんでしょう?
「誰かに教えてもらったの? あいかわらず、いろいろエラいヒトにお話を聞いているから」
「おかげさまで当チャンネルはご好評をいただいております……まぁ、そんなところです」
センパイの丸く整えられたヘアスタイルの向こうで、バスの運転手さんがハンドルを握っています。アクセルやブレーキを踏んでいます。他のお客さんとか運転席後ろの衝立みたいなのに遮られていてもわかります。その手足のように、センパイはヒトのカラダの各部位が自明な役割に専念するべき、と考えているようです。腕や指はものを運んだり操作したり、足は歩いたり、目はものを見たり、口はなにか食べたりしゃべったり、うんぬん。
だからお尻で気持ちよくなるのはおかしい……それでは楽しくないでしょう。
「お尻で気持ちよくなってもおかしくありません」
「な、なにが、いきなり……んっ、っ……」
スカートごしにセンパイのお尻をふわっと撫でます。ああ、もう楽しくって……手にお尻のぴくって反応が返ってきた瞬間、車窓の向こうまで鮮やかになって見えます。
セックスとかで気持ちよくなるべきなのはあそこだけなんでしょうか? あたしはそれ疑問なんです。まぁあたしもセンパイのカラダをあちこち弄り回すまで疑問と思いませんでしたが。
「おかしくないんですって」
広い世の中にはセンパイへの異論があるようです。前に『プロの流儀』でフランス帰りのおエラいセンセイからオフレコで聞いたところによると、あっちでは――性感帯としての資格を持つのが性器だけというのは思い込み・不公平ではないか?――とか本気で考えるヒトがいるらしく。
「んっ、ふぁぁっ……そ、そこっ……んっ、んくっ……」
「そこって、どこです?」
あたしも聞いただけなら“ふーん”で済ませてたんですが出来心で実践してみるとこの考えって説得力を感じるのです。おっぱいとか本来のお役目は授乳だけですけどセンパイは気持ち良がってくれますし、クリトリスの本来のお役目ってそもそもなんだって話です。特にセンパイは体のへこんでるところを優しくじれったいぐらいにいじってあげるとぴくぴく可愛くなってくれるのをあたしは覚えて味をしめています。センパイにもっと性感帯を増やしてもっと楽しいカラダになってほしいのです。あたしがそうしてあげたいのです。
「……く、うっ……」
いまいちばん気になっているのはセンパイのお尻とその穴です。どっちもちょっといじるときゅっきゅって反応して、特にお尻の穴はもう動きからして「これが排泄だけの器官と思うのは無理があるでしょ~」って具合です。
センパイはおかしい、っていうんですけど……あたしも理屈ではセンパイに賛成なんです。だって自分のお尻いじっても気持ちよくないです。
でもおかしい、ありえないって現実を超えていくのですよあたしたちは。
藍から出づる青のように、現実から出るフィクションは現実をどこかしら超えていってこそのものです。うれしいことはよりうれしく腹立たしいことはより腹立たしく悲しいことはより悲しく楽しいことはより楽しく。
気持ちいいことはより気持ちよく。
そのために常識、道徳、理性からバイバイする必要もあります。
「耳が赤くなってますよー」
「あ、う、ぅぅぅっ……!」
植物園最寄りのバス停の名前が車内の電光掲示板に表示されます。あと3つ先か。停車して、乗りこもうとしたお客さんのICカード残高が足りなくて、チャージするのか、それとも両替か、運転手さんが決済用の端末を白手袋の指で操作しているようです。カラダをずらして首を伸ばして目視します。うん、運転手さんのアタマがどういう意図を持っているか、動きではっきりわかります。お仕事ですからわからなきゃこっちも困ります。
あたしたちのお仕事はどうでしょう?
「……ひょっとして、どきどきしちゃってますか? あたしのせいで」
「どきどき、なんて……そんなかわいらしいものじゃ」
「んふふーっ」
あたしたちのお仕事は、演技です――センパイは女優の看板を下ろしてしまいましたが――演技は、意図が不明瞭です。同じ笑みを浮かべて見せても、見る人の思い込みで解釈がぜんぜん違ってきます。その思い込みを誘導するのが――しかも、このバスの車内みたいな現実の状況そのものではなく現実の模倣や暗示によって――シナリオやら演出やら道具やら撮影やら宣伝やらなにやらの役割です。誘導通りと行かないのは誘導がへたっぴなのです。
もしバスの運転手さんが運転や接客をするときのように一挙手一投足の意図があっさり伝わったら、女優とか監督とか演出とかって仕事がどんなに楽だろうか、と思います。楽になりすぎて商売にならなくなりそうです。
「ふ、むぅっ、んんっ……」
こうしてあたしからお尻のふくらみやすぼまりをこそこそ撫でられながら――バスの中だからスカートと下着ごしでとどめていますが――もだえているセンパイは何を考えてるんでしょうか。いかがわしい動画を撮られて脅されて仕方なくってポーズで、あたしを調子に乗らせてからかっているのでしょうか。あたしはセンパイが演技お得意なのたぶん世界でいちばん知っていると思ってるんですが。
ただこうしているあたしだって自分の妄想に突っ走ってつまずいてどっか落っこちてそうで実はおっかなびっくりでいつのまにか統合失調症か何かに足を突っ込んでるのかなぁ、センパイがお尻の穴で気持ちよくなって……違う、考え過ぎ、あたしの妄想……でももしそうだったら……。
「……ね、ねえ、たっちゃん」
「はい……?」
「あの、次のバス停じゃない?」
あわてて降車ボタンを押します。ピンポーン、という音が白々しく響きました。
※
バス停から歩いて3分ぐらいで植物園のゲートが見えます。
「えぇー……バラってこんな、くさ……ギンナンみたいな匂いで」
「たっちゃん、これはまさしくギンナンの匂いよ、東京だとよく見るでしょ」
「植物って縁がなくって」
「あなたが誘ってきたんでしょうが」
あたしが誘ったのに、センパイのほうがお詳しそうです。あたしを先導するように前を歩いてくれます。ぷりぷりしているであろうスカートごしのお尻のラインはジャケットのすそに隠れておあずけです。
センパイあたしなんかと一緒でいいのかしら、ろくでもないことするに決まってるのに、もしやまんざらでもないな? まさか……イヤ、イヤ、って何度も聞いてるから……入場料500円……テーマパークとか美術館とかに比べて懐に優しいですなぁ。
入り口すぐにコンテストで入賞したって看板付きのキクが並んでいます。見ているお客さんが10人ぐらい立っているけど横を素通りして園内のタイル敷きの道を進みます。街中でも見覚えのある姿の木々や植え込みのあいだをすたすた歩いていきます。センパイけっこうノリノリです。
ヒマラヤスギが大きく枝葉を広げてトンネルみたいになってるところを軽快な足取りで抜けるとふわっと視界が開けます。
「おー……見頃には、少し早いかな?」
センパイは早くもバラに目を向けているようです。でもあたしの視界にはいろいろなものが入ってきます。
「ええと……あっちにあるのが、バラの……?」
あたしたちの立つ位置より少し先にテニスやバスケットのコートぐらいなら取れそうなだだっ広く整えられた芝生が広がっています。その芝生の向こう側に、まぶしい青空と植栽らしき緑色が続いています。緑色の中に赤、白、黄色の粒みたいに小さいものが散らばっていて、どうやらそれがバラの花らしい……芝生を挟んで30~40メートルぐらい離れていて見えにくいのでバラ“らしい”にとどめておきます。開園まもない時間なせいかお客さんの人影がぱらぱらとまばらです。
いきなりカランカランと鐘みたいな音で『野ばら』――シューベルトのほうかヴェルナーのほうか忘れちゃった――のメロディが聞こえます。見ると芝生のそばに銀色の柱つきカリヨンが立っています。切りの良い時間だったようです。バラ園の中心あたりから細い水柱が10本ぐらいすぅっとせり上がります。バラの植栽が噴水を囲む配置になっていて、芝生のところより少し低くなっている――沈床、という庭園のスタイルだとあとで教えてもらいました――ので、芝生の遠目からだと色とりどりのバラを遠くからいっぺんに眺められたんでしょう。
「けっこう咲いているように……ここからでも見えますけど」
「去年の写真だともっと咲いていたらしいよ」
芝生を通り過ぎバラ園の中に入ります。センパイの足の向くあとについていってきょろきょろ見渡します。
植栽の中はほぼ等間隔にハガキ大の名札が立っていてバラの名前や作出年・国を示している――白いフレンチ・レース、真っ赤な聖火、黄色いドクター・ファウスト――けど、あたしは名前の由来がなんとなく察せられるぐらいでどれも“はじめまして”です。
先客はご年輩が多く、ほとんどがごつい一眼レフを構えています。ゴシックロリータの衣装をまとったビスクドールを立たせてふっくら咲いたバラを背景に撮影、なんて人までいます。おあつらえ向きの自然光があるしお花屋さんでたくさんバラを買うより安く済むしで、こういう趣向に向いているんでしょう。センパイはドールハウスが趣味というけどこういう経験はあるんでしょうか。
そのビスクドールが傘をさしていたのであたしもいまさら日傘を開きます。センパイと相合い傘しようとしたら「私は帽子かぶってるから」と断られちゃって大げさにしょんぼりしておきます。
同年代が一人も見当たらなくってあたしたち浮いてます。植物園って相葉夕美さんや西園寺琴歌さんみたいなおねーさんが集まる場所じゃなかったんですかぁーっ、って心中ぼやいていたら顔を読まれたのかセンパイに呆れられてしまいました、くすん。
てくてく一回りして戻ってきたら、さっき『野ばら』を鳴らした銀色の柱のあたりに人がたむろしているのが見えます。聞いてみるとボランティアさんによるバラ園のガイドを受けられてその希望者の集合時間が近いようです。せっかくだからセンパイと一緒にお勉強させてもらいます。
「今年は遅めなんですか」
「夏が暑かったので……暑いと剪定を遅らせるので」
「せんてい? 選ぶんですか?」
「……まぁ、ある意味では。いい感じに咲きそうなつぼみにだけ栄養が行くように、ほかは切ってしまいます」
芸能事務所みたいで世知辛いなぁ、と言いかけてなんとかくちびるで押し留めました。
「剪定から40日ぐらいで咲きますので、剪定が遅れると開花も遅れて」
「じゃあ、香りも」
「咲ききっていないのと、きょうは風が少しあるのも」
バラ園のまっただなかでも匂いを感じなかったけど――あたしは入り口のイチョウみたいに、近づいたらバラの香りが勝手に鼻へ侵入してくるって思ってたから拍子抜けしていた――ガイドさんに勧められてずいっと花に顔を近づけようとします。ほとんどのバラの花があたしの胸から膝下ぐらいの高さに咲いていてあたしが腰を曲げてようやく届いて、勢い余ってくちびると花びらがくっついちゃってくすぐったくて自分がおっちょこちょいで笑っちゃいます。柑橘系のライムみたいな匂いが……あたしはバラの匂いってキンモクセイみたいに甘ったるいものだと思ってましたが、甘い系と爽やか系があるって教えてもらいます。
センパイがあたしよりもっと低い位置の花をかごうとして腰をかがめています。敷物をさっと取り出して引いて地べたにひざを突けるようにしてあげます。
「……用意がいいね」
「あ、あたしが使うためのものだったんですけど交代で使えばいいと思って~!」
腰をかがめてお尻を突き出すセンパイは、あたしによくない。
思い出してしまう。バラ園の真ん中で邪念が湧いてきてしまう。気持ちよくさせた快感は儚く去っていくけど、記憶はしつこく残る。
あたしがセンパイのお尻をいじりはじめたのは偶然のはず。レイプしてるときあそこをくちゅくちゅさせるほどいじっていると、きゅっきゅって反応するお尻の穴も見えるから、手が滑ってそっちも指先でこちょこちょしてみたんだろう。“はず”とか“だろう”とか自分がしでかしたくせにあいまいなのは、あたしにとってセンパイの反応のほうがずっと鮮烈だったから。
『……あら~? センパイ、こっちもいじってあげたほうが――』
『――そ、そんなわけないでしょっ』
やけにイヤがるようすだったので、さらにいじってたら――そうじゃなきゃ、さすがにあたしも他人サマのお尻にこだわろうとは――センパイが慌てだして何事かと思ったら“ぷすー”とかなんとか。あたしにおならを聞かれてしまって、頭を抱えてわぁわぁ恥ずかしがっていた。
あたしはおならを聞かされてしまったことよりセンパイの反応に驚いた。お尻をいたずらされていればおならぐらい出ておかしくないのになぁ。
あたしの中に、センパイのお尻についての邪念がむずむずと、支柱に絡むつるのように伸びていく。
『んくっ……!? あの、そんな……ところで、感じたり……』
『そうでしょうか、ね』
えっちなことをするたびに、さりげなく、あるいは露骨にお尻のふくらみもお尻のすぼまりもくすぐってしまう。センパイから“気持ちよくなったり”するわけない、って聞かされるから、センパイがお尻で“気持ちよくなったり”するようになっちゃえばいいし、あたしのことをイヤになるぐらい気にしてしまうようになっちゃえばもっといいと思う。
『っ……っっうぅー……』
『そんなにびくびくしないでくださいよ、デリケートなのはわかってますから』
『じゃあ、そっとしておいてくれないかなぁ?』
『イヤです』
『このぉ』
センパイのお尻が性感帯になればいいのになぁ、と念じながらいじってる。けれど“きゅっきゅ”って反応を超えるいたずらは致しかねている。センパイのお尻の穴は薄いピンク色であそこの粘膜と比べてほんのり紫がかっている。肛門のしわが放射状になっている見た目はバラというよりキクに似ている。あたしがそこに意識を向けるとそれを感じ取ったようにお尻の谷間までぎゅうってすぼまる。そうやって拒まれるマネが楽しくて、こちょこちょして内側に侵入しようとする。
こんなに魅力的なセンパイのお尻の穴のお役目が排泄だけなんてウソでしょう?
もちろんセンパイはイヤイヤって首を振ったり胴をよじったりときには蹴飛ばしてきたりする。でもあたしが何度か体格差を活かして抑えこんであげたら諦めたように緩める。抵抗したらかえってあたしを煽る、って気づいたんだろう。
気づいたのが遅かったかどうか、まだわからない。
『はぅぅ……う、っ、んぅぅぅっ……!』
無理に手でいじらなくても、あたしのすぅはぁって鼻息とか口で吹くだけでセンパイはびくって反応してくれる。センパイの言うお尻で“感じる”わけないでしょうの意味って……性感だけを指しているんですかーそうですかー、たまってるのがすっきりしたとか本来の機能は埒外ですかー、埒外のままでいいんですけどー……お尻の穴を守るように張り詰めるヒップの皮膚もあたしの吐息にひくりと反応してくれる。くすぐってあげるときぃぃっと強張って、さわさわさわさわ~と柔らかいタッチでほぐしてやるとそわそわもぞもぞ。お尻がもちもちしてたのが緊張でいきなりぷりぷりして二度おいしい。
『っ……っっうぅー……ぅ……!』
クリトリスを感じさせながらお尻の穴も……すでに“感じる”ってわかっているところを指先や舌でこりこりしながら、それがお尻の穴にまでじわじわ広がればなあって念じて、こそこそ……キミもこんなにあたしをそそらせる反応できるんだからセンパイの性感帯になる資格があるよね~って上から目線で教えて励ます(?)と、センパイの表情や声からは拒絶しか帰ってこないけどお尻がひくつくのであたしは楽しくなれる。性感帯にしてあげるよ、ってますます張り切る。センパイはそっちでどう反応したらあたしが引くのか測りかねているらしく、困ったように太ももまで震わせている。
お尻から力を入れてくれても抜いてくれてもあたしの反応は同じです。演技しがいのない相手でごめんなさいって心中だけで謝る。
『は、ひっ……そんな、ところ、だけ……あう、んっ……えう、んんっ……!』
センパイがお尻にぎゅうって力を入れて、あたしの指を拒んでも、吐息まで遮るのは無理でしょう。お尻の穴にふうーって吹きかければびくって体ごと強張って、お尻がふるふるしてて可愛いです。あと吐息ならセンパイのお肌を傷つけず済むので気楽です。ふぅー、ふぅー。
「たっちゃん、たっちゃん、次行ってもいい?」
「ごめんなさいっ、もたもたして」
邪念にずぶずぶ囚われて意識が……いけない、いけない、置いてけぼりにされちゃう。
次にガイドさんが案内してくれたところに、枝を高く伸ばしていくつも白バラが咲いています。名前は……マウント・シャスタ? なるほど、背の高そうな、おいしい水の湧いてきそうな名前です。そのうち一ふりの枝がバラ園の通路側に傾いてはみ出て、ちょうどセンパイの鼻先あたりに一輪――枝を切り取る前の花に一輪二輪って数え方はおかしいかな?――通せんぼするように咲いています。
スマホを取り出して写真を撮っちゃいます。
「事務所を通してよー」
「プライベートですぅー」
そよそよぐらいの風が吹いても花がふらふら揺れます。うまく撮ろうとするとたいへん――相手は撮られるプロですからそんじょそこらの“うまく”ではちょっと恥ずかしい――太陽が雲から出たり隠れたりしてホワイトバランスも気になってますます手こずります。写真はふだんだと色校でチェックする側で、自分が撮る側になっていまさら苦労の一端を知ります。
「それにしても、花って絵的な動きがあるんですね~」
「風で揺れるのは……」
「それもそうですけど、一つの根っこから、満開の花と、つぼみと、半分散っちゃった花と、赤く枯れた枝に、時の流れを感じます」
「……そうね、宣材写真とか、お花屋さんのバラじゃ気が付かなかったけど」
ちゃんと花を見てますよ~とアピールするためコメントをひねり出します。珍しくセンパイが感心したように頷いてくれます。花びらが半分しか残っていない花を見たら片思いを連想しちゃいます。
なおガイドさんより「赤褐色の枝は、これから花を咲かせるために栄養をためています。赤っぽいのは栄養のアントシアニンです」とのご教示をいただきます。えへへって笑って誤魔化します。収録だったらぜったい使われるコメントだったからいいでしょう。
白バラのマウント・シャスタは一目だと真っ白のように見えるいっぽう、太陽光にしっかり照らされている花びらの四重五重ぐらいに重なったあいだが黄色みがかって見えます。黄色っぽい中でホタルに似た姿だけど豆粒ぐらいに小さい羽虫がもぞもぞしています。蜜なり花粉なりを採ろうとして悪戦苦闘、といった風情でそれも写真に収めます。
「たっちゃん、虫が大きらいだったと思ってたけど」
「ええ、まぁ」
いるところにいる、ってあらかじめ自分に言い聞かせておけばあたしもけっこう受け入れられるようです。豆ホタル(?)のほかにも、花から花へひらひらしているチョウチョやてきぱき飛び回るミツバチの姿も見ています。
「……まぁ、草花に虫はつきものですし、ちっちゃいのなら……」
花にたかる虫にもずいぶんと要領の差がある。あたしはちっちゃいホタルみたいに不器用にもぞもぞしている側だろう。それでみんなに愛でられる花はセンパイなのだ……そう思いながら白いバラとたたずむセンパイの写真を見返す。鼻先に白い花びらがくっついてる写真が撮れてて生クリームがくっついちゃったみたいに見えてうふふって笑う。
でも花って植物の生殖器です。
「ふんしょうろう……クロチルド・スーペール?」
センパイが別の白バラを見て首を傾げています。ちょっとピンクがかった白です。ふわふわした花びらがたっぷり密集していて、さっきのマウント・シャスタが“清楚”ならこっちは“可憐”って言葉が似合います。不器用な虫がうっかり入ったら出られなくなるんじゃないか……近くの立て札を読めば“粉粧楼(ふんしょうろう)”……と書いてあるそばに、テープで“クロチルド・スーペール”と追加されたらしき表示もあります。
「粉粧楼は、作出された地域も時代も謎のバラとして知られてたんですけど」
「けれど?」
「いまは、クロチルド・スーペールって品種を別の花と勘違いしていたことがわかって、そうなっています」
あたしは渋い顔になってしまいます。名前を間違えられるってイヤな思い出のままです。粉粧楼がかなりかわいらしくって人間で言ったらぶりっ子だろうなぁって外見なのもこうなると哀れみを誘います。匂いを嗅いでみるとパウダリーに甘い感じがします。“粉粧”って字面に連想させられちゃったのかも……またセンパイに手を引っぱられる。はいはい、雰囲気戻します。
「ここには殿堂入りのバラを集めています」
「殿堂入り、というのは?」
「世界各国のバラ生産者や研究者たちが3年に一度会議を開きまして、そこで特に世界中で愛されているバラの品種をせん……選ぶことがあります」
「あ、はいはい、特にすごいのを選ぶんですね、こんどはわかります」
「アメリカの植物園からこちらに、その殿堂入りの品種が贈られまして、それをこの花壇に植えています」
その殿堂入りの中で最初に目を引いたバラは、2色の……一輪のなかに2色が同居しています。花びらの真ん中は少し黄色が混じった白で、縁近くだけアイシャドウでも入れたようにピンクに近い赤です。それを表すように名札に“ダブル・ディライト”と掲げられています。
「二重の喜び、ですか」
「そうですね、ダブル・ディライトはその2色と……あと匂いもフルーティーなんですが、きょうは風が……」
センパイが花をくっつけてがんばって匂いを嗅ぎとろうとしているけれど、表情からして手応えならぬ鼻応え(?)が薄くなかなかピンとこないようです。そこも写真を撮らせてもらいます。
「真剣な面持ちですね、お仕事みたい」
「さっきプライベートですぅとか言わなかった?」
あたしのこのスマホ、カラオケでセンパイをレイプしたときの音声を録って保存したままなんですけど、よく平然と撮られてくれるものです。こっちがたじろぎそうです。
目をそらすようにして視線を花に……ダブル・ディライトにもつぼみをぶらさげた枝があります。そのつぼみは開ききっていないせいか花びらのうち白い部分が目立たずほとんどピンクに見えて……咲いて一皮むけたらぜんぜん色が違うって、センパイの内側はどんな色を……何を連想してるんだかあたし、ぜんぜん関係ないのに勝手にアタマが結びつけちゃう。
あたしのアタマがだいじょうぶなのか自信がなくなってくる。
「なんだか、人の名前みたいなお名前が多いように見えます」
「そうですね、いくつか見てみましょう」
黙っていると本当におかしくなりそうなので、気が紛れやしないかとガイドさんにいろいろ質問します。
黒みがかった紅の花びらのパパ・メイアン――「これはフランスのメイアンさんが作った品種で、パパ・メイアンは作出者の祖父の愛称です。世界三大黒バラの一つです」「え、黒バラって真っ黒じゃないんですか!?」――知りませんでした。
外のクリーム色から中心に向かってだんだんとピンク色に染まるピエール・ドゥ・ロンサール――「これもメイアンさんの作で、由来はフランスの詩人です」「ぴ、ぴえーる……」――初心者にお勧めの品種とのことでした。お世話する人はピエールさま元気に咲いて~とか呼びかけてるのかしら。
花に無知なあたしでもこれはいかにもバラぁ! って緋色の花びらがくるくる重なって外側でひらひら咲き誇る、その名もイングリッド・バーグマン――「こちらもこの見た目と、あと病気に強くて初心者に優しい品種です。由来は往年の名女優から」「……ええと、なんだかゆかりを感じますねセンパイ! 君の瞳に乾杯、ってあれの」「スマホのカンニングが見えてるわよ、たっちゃん」――芸能人って匂わせすぎ、ってセンパイに怒られちゃった。
殿堂入り花壇のすぐそばに休憩スペースらしきテラスが見えました。解説も一通り終わりとのことでガイドさんにお礼を言って別れてテラスに足を向けました。
ここにもバラがある、と思ったら露天売りでした。数十ぐらいの鉢植えが並んでいました。
値札を見たらけっこういいお値段がしました。
「おみやげにはちょっときびしいですね」
「持って帰るのきついでしょうね」
センパイは気にするところが違ってました。
「……あ」
「どしたの?」
買うつもりもないくせにお手ごろなのがないかなぁと思ったら、値札に線が引かれて値下げされているものが4分の1ぐらい横に固まって置かれているのを見つけて……「1番花が終わってしまったため」……旬が過ぎちゃったってことなのかな、花を育てたことがないあたしの目には違いがわからないけど、1鉢の定価3800円から2800円……えぐい値下げ幅だ。まぁ旬を過ぎたって見なされた芸能人のギャラや仕事の落ちっぷりほどじゃないか。
なんだかしょんぼりしてきちゃった。
「……もうしばらく休む?」
「い、いいえ……だいぶ人が増えてきましたね、バラ園」
テラスからバラ園のほうへ再び降りていきます。
しょんぼりしてる姿なんて見せたくないです。
バラ園の中をすたすた進むと、マリア・カラスが目について足が自然に止まってくれる。花びらの色がショッキングよりほんの少しおとなしいぐらいの鮮やかなピンクで、花全体があたしの片手じゃ覆えないほど大きくて丸っこくてとても目立つ――「これじゃあセンパイのお顔が隠れちゃう」「見た目の割に匂いはおとなしいみたいね」――濃い朱色で花びらの先がナイフみたいにぴんぴんしている――「マリア・カラスよりちっちゃいけどツンツンしてて、女の子だったらこれ気位高そう」「お名前が“かがやき”……これ日本の人が作出したんだってね」――バラで邪な気分が散ってくれやしないかってやたらに見て回ります。
「こっちも見てみようか?」
センパイが噴水そばの植え込みにあたしを誘導してくれる。バラ園をすっかり楽しんでくれているのか、あたしの危ない気分をどうにかしようと気を遣ってくれているのか。
どう反応すればいいの?
「あ、なんだか、かわいらしいですね……」
“こっち”は草丈が低いな、と思ったらミニバラが集まってるエリアとのこと。土とツタと葉のなかに鮮やかなオレンジ色、指先でつまめるぐらいの大きさのオレンジ・ジュエル……あたしの指先でセンパイのきゅっきゅってするところと同じぐらいの……違う、ぜんぜん関係ないのに結びつけちゃ……その隣の花壇に、クリーム色の花びらで、看板に「紅茶の香りがします」と記されるレディ・ヒリンドン……匂いがつかめない、言われてみればそんな気がするかも、ぐらいの……。
「たっちゃんは、こういうほうが好みかも」
そこからさらに通路1本向こうに……ピンクがかったワインレッドの花びらでいい色してて、マリア・カラスほどじゃないけど大ぶりで、匂いがふんわりと甘くて……名前が、イントゥリーグ……?
へぇ、イントゥリーグ(陰謀、密通)ですか、ふふふ。
「センパイは……」
「どうしたの?」
「なんで付き合ってくれるんでしょうねぇ」
あたしは人気のないところへセンパイの腕を引っぱりこむことにした。
※
バラ園のそばに生け垣ばっかりのスペースがある。そっちにセンパイの腕を引っぱる。ホテルとかに連れこむほど辛抱できない。
立て札をチラ見したら見本園って書いてあるけどなんなんだろう。全体的に「ああこれ東京の狭っ苦しい街並みでも姿を見るなあ、見覚えがあるなぁ」って感じの姿の……ヒイラギ、カヤ、スイカズラ、カラタチ、オオムラサキツツジ、ヒメアスナロ、コノテガシワ……名前は初めて知った。
「ちょ、ちょっとたっちゃん」
「しましょう」
「は?」
「みんなお花ばっかり見て生け垣なんて見ないでしょうし、死角になってるし」
「そんなわけないでしょー!」
バラ園のほうからだと見えなかったけど、10人ぐらいの人が生け垣を見ててあたしのあてが外れてた。
「“見本園”でしょ。あなた、おうちに生け垣とか作ったことないね?」
「……ええ、まぁ」
“岡﨑”家は生け垣なんか育てるうちじゃなかったもん、しょうがないでしょう。
「へぇ、カラタチってほんとにちくちくしてるんですね、歌でしか知らなかったんです。カラタチのとげは痛いよ~♪」
近くでもっと人気のないところに逃げていく。センパイが手を引っぱられてくれる。もっと人気のなさそうなところに連れてってあげます。
案外そばで見つかる。見本園からもバラ園からもすぐそこ、立て札だけ残って肝心のバラは枯れた葉とツタばかりで花がなくてお客さんもいない……バラ新品種コンクール出展の花壇、との看板が立ってて審査番号だけの札が付いている。コンクールに合わせて咲かせて盛りを過ぎちゃって見る人もいなくて入賞しないと名前もないまま生みの親にすら忘れられてしまう?
「ひ、ぅ、ぁ……ふぇ、ぁ、あふ、ん……っ!」
ベンチが見つかる。二人で腰掛けるにはじゅうぶんだけど組んず解れつには……もういい、キスしながらセンパイを押し倒す。
敷物があるから敷きましょう。これでセンパイがジタバタしても擦り傷がつきにくくなります。あと日傘をさしてバラ園側からの視線を遮ったらどうでしょう。これでセンパイがお尻きゅっきゅってするの隠せます。人気のない名無しのバラの中で誰かがなにかやってる、ってのはむしろわかりやすくなっちゃう。
「ぁ、きゃんっ……!? だ、めぇっ」
お尻を突き出させてスカートをめくってしまう。下着が白くて、お尻のところはシルクでデリケートゾーンが綿で、カラオケでレイプしたときに見た下着と似ている。よくこんなの履いてあたしと歩けるなぁって驚く。
「ね、ぇ、やめて、こんな、外……っん、ぅ、ぁ……!」
「見つかったらただじゃすみませんねぇ」
太ももの触り心地がとてもいい。すべすべしてる。ぴくぴくってしてくれる。ほっそりしているようで力むとしっかり肌にスジが浮く。こっちもいい、お尻が性感帯になってくれたら次はこっちと決める。
それにしても“見つかったらただじゃすみません”っていつものことなのによい反応。もしかしてクセになってます?
「濡れちゃうと、あとがたいへんですよ」
「ぁ、きゃんっ……!? だ、めぇっ」
センパイの肩や腕をベンチの座面や背もたれに寄りかからせながら、下着をひざ元まで下ろしてしまう。ふくらはぎとかバタバタさせて抵抗してくるけど押さえつけてしまえる。体格差って残酷。
「あうぅぅぅっ……!」
ぷにぷにしてておいしそうなお尻にふぅーって吐息であいさつしてからキス、さらに歯を押しつけて――噛み跡とかつけちゃったら、いかがでしょう?――伝えちゃう。
お尻の穴がきゅっきゅってする。あたしその奥に引きずりこまれてしまいそう。
「そんな、とこ、汚い、から、あ……!」
「すぅー……」
「や、ぁ……! だ、め……っ」
秋晴れの中でたっぷりバラ園を堪能してきたセンパイの下半身はスカートのなかでほんのり汗ばんだ気配がしっかりこもっててどんなバラよりたっぷりした匂いがしてうれしい。ボディソープの匂い――センパイご愛顧の品ぐらいご承知である――いつもより濃い。洗ってくれちゃいましたか念入りに? あたしとお出かけだって意識しちゃったせい?
いけない。
「あたしのためにキレイキレイしてくれてたんですか~」
「っ……っっうぅー……ぅ……!」
お尻を揉んであげるてるとお肌にしっとり汗が浮かんでくる。きゅっきゅってなってるお尻の穴に遠慮なくくちづけする。ぴりぴりってかすかに苦くて味わっちゃダメってわかる味によだれがじわじわあふれてぬるぬるさせるのはかどっちゃう。
「んぉ、ぃ、ゃ、ぁ……ぉお、ッほおぉ……!」
きれいきれいにしてくれたの、こうしてもらいたいためだったんですよねって念じながら舌をくにくにねじこむ。センパイの足の抵抗が一気に弱々しくなる。言葉ではあいかわらずあたしをなじって拒んでるけど、お尻の穴で気持ちよくなってあえなく途切れちゃう。
「だ、だめ、あなた、そんな……は、ぉ、ァ、あ……ッ!!」
顔とか口とかってあたしたちの商売道具だからかセンパイは特別に意識してくれる。ふだんならクンニリングスもすごくイヤがる。でもいまバタバタ抵抗したらバラ園のスタッフさんやお客さんに何事かって怪しまれちゃうからってがまんしてるんでしょう。
それともあたしから無理矢理されてって趣向ならお尻の穴で気持ちよくなっておかしくされてもしょうがないって諦めちゃってる……?
「んくっ……!? や、ぁ……お、音、立てちゃ……っ」
じゅるじゅるって音がするぐらい激しく吸う。舌をねっとり動かしてお尻のひだをなめちゃう。センパイがくちびるを噛みしめたのか嬌声が鳴りを潜めてあたしのじゅるじゅるがうるさくなる。気持ちよくなってもおかしくないのにがんばって知らぬ顔のセンパイの顔を見たいけどお尻から離れられないなぁって悩む。
「は、ひっ、こんなの、じゃ……んっ……ぇう、んんっ……っ!」
ちゅぽん、って舌を退かせる。お尻の穴がてらてら濡れて光って息を荒らげるようにうごめいてる。今度は指でほぐしちゃう。
「んっ、うっ、あ、あっ……! あぁっ、はぁぁぁぁ……!」
人差し指1本で軽くつつくとすぐにねっとり吸いついてくれる。ひだの筋を指の腹で上下左右にくにくにする。お尻がびくびくひきつる。あたしのあそこやお尻の穴までむずむずする、そうだ、センパイはあたしなんだ……違う、さすがに違う。
「お尻でも気持ちよくなれたほうがいいですよね?」
「私、そんなんじゃ……えぅ、うううーっ……!」
抗弁をねじ曲げるように入り口をほじる。センパイはお尻で気持ちよくなっちゃうの本当に怖がっているのかしら、あたしはセンパイをいっぱい気持ちよくしてあげたいって本当に思ってるんです、センパイが気持ちよくなってくれたらあたしも気持ちよくなれそうです。これって両思いだと思います。
「あぅっ、うぐっ……おしり、なんか、じゃ……んっ、うんぅ、だか、ら、ぁ……っ……!」
指に伝わってくる圧迫が強くなって心地よくって傷つけないようにそっと奥のほうに忍び寄ってぐりぐりしてあげる。第二関節まで入っちゃう。センパイが太ももをよじって逃げようとしてる。
「ああっ、にゃっ、やめっ……!?」
「お尻でも気持ちよくなってあげましょうよー」
クリトリスをきゅってつまんで逃げるの止めてしまう。お尻だけで済ませる手はなくてセンパイが素直になってくれるならどんな手でも使う。クリトリスとかあそこのぴらぴらに触る。にちにちえっちに濡れていてとても素直でにやにやしちゃう。指がぐずぐずに汚されちゃう。
もっと汚してよ。
「んきゅ、ぅぁあ! や、やめっ……や、あ……あっ……! ち、ちがう、こんな、の……」
「違くありませーん」
いじりつづけてるとあそこのぬるぬるが手のひらや手首まで垂れてくる。不規則にきゅっきゅって収縮するお尻の肌にキスすると前よりしょっぱくなってる。
「熱くなってきてますね、センパイのカラダ」
「……っ……っっうぅー……ぅ……!」
センパイの息がもっと切なそうになる。目線をずらすとお尻だけじゃなくお腹や胸のほうまでぴくぴくしてるのが見えてうれしくなる。センパイどんな顔をしているんだろう。想像の中のお顔がダブル・ディライトの2色花びらに遮られてしまう。
お尻の穴に負けないぐらいあそこも指先にみっちりしがみついてきてる。気持ちいいだろうにセンパイは例のまん丸い髪がぱさぱさ揺れるぐらい首を振ってる。しょうがない人、もっといじってあげる。
「ゃ、やめっ……や、ぅ、ん……ぉ、ぁ……っ……!」
「あんまり動かさないでください」
「お、ねが……とめぇ……ぇう、っく、ふ、ぐぅ……!」
あそこに触れている人差し指もじりじり差しこんでいく。両方の指がセンパイの粘膜ごしにお互いを感じあう。センパイの肌の奥が熱いのこりこりする、くちゅくちゅする。
「あ、そうそう」
「んっ、んっうぁ……く、ぅ……なに、よ……?」
「お手洗いしたくなったら言ってくださいね」
「……聞くんじゃ、なかった、わ……」
触れずにいておきましたが、あたしたちバラ園に入ってからずーっと歩き回っていまして……ここまでに飲んできた水分しだいですが……したくなってもおかしくない頃合いでしょう。お尻とあそこをほじほじされながらおもらししてもらえればいい……カラオケのときもそれで素直になってくれたでしょう。
「う、うっ……うううっ、ぐっ……ぁう、ふううっ……!」
センパイのカラダが固くなるけどあたしがクリトリスの裏とお尻の入り口をくにくにして抵抗する。おしっこの穴も見てますー、お手洗いのこと言われて意識してきちゃったでしょう。指を休めず軽く曲げる。センパイの穴の摩擦が強くなってあそこからのお汁がますますたらたらする。あたしのよだれも垂れちゃう。
「は、ぁ――く、ぁあ、ぅうう……っこ、こんなの、いくら、され、たって、ぇ……!」
「じゃあ、あたしの気が済むまでさせてもらっても?」
「あ、ああっ、うぅううっ……!」
クリトリスがぽってりしてるの手触りだけでわかる。お尻の穴もこのぐらいわかりやすくなってくれます? 立派な性感帯のように、ここで岡崎泰葉は気持ちよくなれるって見てわかるように、いいじゃないですかセンパイがお熱な――いまもお熱なんですか?――プロデューサーさんもきっとよろこびます。
「ううゔ、ふうぅ゙……ゔっ……く、ふっ……!! ハッ、はァッ……!」
まだまだお尻をいじってあげる。指の股まで入れてぐいぐい、お尻の穴をくちゅくちゅ、クリトリスの裏側をかりかり、どこまでしてあげたらいいんだろう。底なしです。
また“ぷすー”っておならをしてくれちゃった気がしますけれどセンパイとあたしの荒い吐息や水音に紛れちゃってよくわからなかった。匂いが嗅ぎ取れずかえって鼻先がむずむず騒いだ。ある育種家はは『香りがないのはバラではない』と豪語したそうな。
「あぅっ、うぐっ、こ、この……んぅぅぅっ、うんぅぅぅっ……!」
センパイのカラダががくがく震える。あたしの指がぎゅって締めつけられる。何度目だろう。でもセンパイもそろそろ危ないって思ってきたのか足が本当にバタバタして蹴られて痛いしさすがのあたしでも振りほどかれちゃいそう。
しょうがないので両足のあいだから退散する。
「んぎゅっ!? ぁぅ、あっ!」
「失礼しますよー」
センパイの背中に馬乗りになっちゃって体重全体で押さえつける。センパイの両足がむなしく敷物をくしゃくしゃにしている。
もう一度お尻にぬちゅっとする。
「は、ぁあ゙、あお゙ぉ……っ!」
「あまりバタバタしてると地面に落ちちゃいますよ」
これでセンパイはあたしにいくらお尻をいじられても手足バタバタしかできないはず。センパイを押しつけてるの狭いベンチの座面なのであたしが言ったとおりにうまく地面に落ちて転がったりなんだりすれば逃れられそうですけど、そこまでしないみたいです。そこまでしなくてもお尻は平気です?
ほんとにセンパイといっしょになっちゃいそう。
「ぁ……や、めぇ……も……っお、っ……!」
「……や、だっ、やめないもんっ」
「んひゅ、かは、ぁ、あッ、は、ぅ、ぁあぅ……っ!」
センパイが足をバタバタさせてもあたしがいないので無駄な抵抗。そんなにずりずりしたらひざとか擦り傷ついちゃう。立ったり歩いたりとしてはまったく役立たずになってるセンパイの両足を見る。
どうしようもなく興奮する。
もっとずぶずぶする。
「あっ、だっ……お、し、りぃ……く、や、め……ぁ、あ、い、イ……ク、ぅ、ぁ、ああぁあっ……!」
足が指先までびくびくしている。あそこがひくひくしてじゅぶじゅぶとろけていく。
「あ、はっ……んぐ……うっ、あお゙……ぉお゙ッ、い、いっ……っ……」
やがてびちゃびちゃって水音がして例の匂いでセンパイがおもらししたって察する。さらにほじほじする。センパイの声がこもって足がぴゅんぴゅんするばかりになる。攣(つ)っちゃったのかな、と思って背中を降りてひざを伸ばしてあげる。
本当に攣ってたらしく「飲み物持ってきて」と目で怒られる。
そうですね、お水を持ってくるのは後輩の役目で……。
「……あ」
いろいろなものに気を取られすぎて忘れていました。
急いで自販機かなにか探して買いに行く……のですが、あたしのワンピースまでセンパイのお汁であちこち濡れちゃってたのに閉口しました。空も土も草木も色が妙にまぶしくて歩くと足もアタマもふらふらしました。どこか狭いところに閉じこめられてからいきなり外に出たみたいでした。
いろいろこらえながらこそこそ買って戻ってきたらセンパイの気力が復活しててすっごく怒られました。ふやけてた指が戻っちゃいました。センパイのお汁を吸った敷物を没収されちゃいました。このワンピースまで没収されちゃったらどうしよーってふざけてたらますます怒られちゃいました。
……というのは、ぜんぶあたしの妄想ですよ?
センパイのお尻の穴をいじってるときに思わせぶりな反応をされすぎてあたしのアタマがおかしくなってどんどんそういう考えに向かってっちゃってるだけなんですよ。センパイがお尻の穴をいじられてあそこぐちゃぐちゃのとろとろになっちゃうなんて断じて事実ではありません。
だからこんどこそセンパイのお尻を性感帯にできるようがんばります!
こっそり、です。それこそイントゥリーグみたいに……。
(おしまい)