※この作品はR-18です。

PYseX   作:A00913

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第二章 「漂流は鞭ろうそくロープ手枷口枷ハーネス首輪クスコ手錠ハリガタ」 その1

あの滅亡から、もう何カ月経ったのだろう。

灼熱の地獄、そして奇怪な天国に、俺は迷いこみ、そこでニャルラトホテプの化身を討伐。

世界を救ったのさ。だけど俺はそのために、ニャルラトホテプの一部と融合してしまった。

俺の体を乗っ取るつもりなんじゃないかと、しばらくは気が気じゃなかったけど、杞憂だったみたいで、今は影響ほぼないし、不審な出来事も起きてない。

まあ、邪神と一体化したんだから、明日くらい突然死ぬかもしれないけどな。

 

そして現在。

俺は今日昼からジムに行って、マッサージ受けて日サロに行ってから買い物していると、ソフトMウケの要請。

手錠をかけられて2時間たっぷり種付け道具にされてぐったりしていると、センパイからのメール。

「今から会う?」当然俺は、「行きます」と返信。

 

久しぶりに近くのビストロでメシを食って、ちょっとは体力回復したかな。

なんて思いながらビル街を歩いていると、唐突に、どさり、と、重いものが落ちる音を背後に聞いた。

 

振り返るとそこには、人間。いや、人間だったもの、が。

 

そいつはうつ伏せになって倒れている。

ガタイに目を移せば過剰なほどの切り傷、不自然にねじまがった腕や足。

「うわ、なんだこれ、ひど……」

思わずそう呟いたとき。気づいちゃった。服もアクセサリーも妙に見覚えあるわけだな。だってコイツ、センパイだもん。俺はいっぱいセックスしたから体を知り尽くしてるんだ。んでセンパイが、変わり果てた姿になって、倒れてる。

 

マンコを種マンにされた俺は慌てて駆け寄り、マラでつついてみる。

うん、もちろん脈はない。

「センパイ……ですよね、センパイ」

返事はない。死んじまってる。

 

「あの、ドッキリとかですよね?」

返事はない。死んじまってる。

 

そんなバカな話があるか? 俺は死に物狂いで体を揺する。

だけども手が血まみれになっちまうだけで、センパイは動かない。

どうして?ついさっき俺をメールで呼んたセンパイが、どうして死ぬんだよ? 俺はおそるおそる、センパイの亡骸をひっくり返す。

白目を剥いて、口からは血の混じった泡を吹いて、口の端には白い泡を浮かべて……悲惨な死に顔だ。

「そんな……」

俺は呆然として立ちつくす。そして、ふと、あることに気づく。

飛び降りで死んだはずなのに、センパイの体は細かい擦り傷や打撲痕だらけ。

飛び降り自殺したならこんなガタイに傷なんかつかない。

つまりセンパイは飛び降りを装って、その前誰かに殺されたってこと?誰に? 上を見ようとした瞬間、ビルダー拓也の足元で、小さな変化が起き始める。

センパイの傷ついた体が、めりめりと音すら立てて、骨が、筋肉が、皮膚が綺麗に治っていく。

「え、ちょ、ちょっと」拓也が驚いている間に、センパイの体は元通り。

まるで時が巻き戻ったみたい。

センパイは目を開き、「あ」と短く声を出す。

そして周囲をきょろきょろと見回して、それから拓也に気づく。

「……なんだお前か。どうした?」「いや……どうしたもこうしたも……」

淫獣拓也全然状況わかんないんですけど。

「生きてるんですね」拓也が言うと、センパイはちょっときょとんとする。

「死んでるわけないだろ? 何寝惚けてんだよオマエ?」そしてセンパイは立ち上がり、肩をコキコキ鳴らして体をほぐす。

本当に何も起きてないかのように、ケロッとした表情で。

「いや、だって今、センパイ死にましたよ?」「あ? 何言ってるんだよ。何言ってるんだよ.....」センパイは平然を装いながら、なんか、目が泳いでる。

「いや……だから……」

センパイが何か言いかけたとき、俺達の傍に何かがどさりと落ちてくる。

センパイは拓也を突き飛ばし、「うわあっ!?」落ちたものをまじまじと観察する。

それは小物入れくらいのサイズの小さな革張りのケース。

それを拾い、急いで中を開けるセンパイ。

俺は不審に思いながらも誰が落としたのか確認するべく、周囲を見る。

ビルの上、小さく見える赤い影。あれ? 誰だ?どこか見覚えがあるな。記憶を辿る。

「あ」

思い出した。あの赤毛。間違いない、天国に出張した際に出会った赤の女王とかいうやつ。

 

なんでこいつがここに?全身金玉まで固まりながら考えていると、赤の女王は、お久しぶりって感じで俺に向けて手を振りながら視界から消えていった。

どうして奴がここに?そしてなんでセンパイの体を傷つけた? センパイは記憶をなくしてるみたいだから、とりあえず真相にたどり着くにはこのケースの中身を確認するしかない。

って思ったからセンパイの方を見ると、センパイは呆然として固まってる。

「センパイ、どうしたの?」

拓也が声をかけても返事はなく、ただその視線の先には、センパイの肉体をスケッチした紙と。

「変態女装野郎」と書かれた貼り紙。

なんだよこれ!センパイあいつとなんのプレイしてたんだ?拓也が揺さぶって問いただしても、センパイは答えてくれない。

ただ、呆然と立ち尽くすだけ。ケースの方に目を移すと、さらに衝撃的なものが。

「何だよ……これ」

ケースの中には、金玉の意匠が柄に施されたナイフと、拳銃。

それと、一通の手紙が。センパイにナイフを握らせるのは怖かったから、拓也が握る。

そして手紙を開くとそこにはこう書いてあった。

「あなたがたは『自由の牢獄』の中にいる。出口を探し求めなさい、ニャルラトホテプの雛よ。その場にとどまるためには、次の条件を満たす必要がある。一.性行為による性的エネルギーの発散。二.自殺の禁止。三.全力で走り続けなければならない。」

はあ?なんだこれ、現実なのか?拓也が呆然としていると、センパイは俺からナイフを奪い自分の首筋に当て、そのまま切ろうとする。

「センパイ! 何やってんすか!」「....ああ、ごめん、拓也」「死ぬ気ですか!」

慌ててナイフを奪い取り、センパイに抱きつく。

どこか虚ろな目に、俺は不安を感じ始める。

「なんだかさ、何も覚えてないはずなのに.....俺、取り返しのつかないことをした気がするんだ……だから、その罰を……」「そんなわけないじゃないっすか!」俺は背中を強く叩く。「拓也……?」

先輩は不思議そうにハァハァ喘ぎ続ける拓也を見つめる。

「淫獣拓也……センパイが死んだら悲しいです。だから死なないでくださいよ。それに取り返しのつかないことなんかしてないっすよ!」拓也がそう言うと、センパイは目から涙がこぼれ落ちる。

「そうなのか……?」確信はない。

だけども、センパイはどこかほっとした表情で。

「ああ……ありがとう」と呟く。

それからしばらく2人で泣いていたけど、涙がおさまると、俺たちはこの先どうするか考え始める。

「うーん、じゃあ自由の牢獄とやらから脱出するために、性行為による性的エネルギーの発散を行えばばいいのかな?」

とハァハァ喘ぎながら尋ねる俺、センパイは「多分な、でもそれと同時に、俺の記憶のなさの原因である、その……自由の牢獄とやらも探さないとな」と自信なさげだ。

「じゃあ、とりあえず……ホテル行きます?」

拓也がそう尋ねるとセンパイは赤面するが、多分恥ずかしくてというよりキレてるんだろうな。

「お前今の話の流れでどうしてそうなるんだ馬鹿....」と怒鳴る途中、突然センパイが辺りをキョロキョロ見回し、「……なんか、聞こえないか?フルートの音みたいなのが……」「え? いや、淫獣拓也は特には」

必死に耳を済ませる。

だけども聞こえるのは街の喧騒だけ。

「いや、聞こえる。確かにフルートの音がする」センパイは目を閉じ、耳を澄ます。

徐々にセンパイの顔に笑顔が戻り、ハァハァと息が荒くなる。

「あ……ああ、心地いい……」「ちょ、センパイ?」「拓也も、この音感じれたらいいのにな」明らかに様子がおかしい。

センパイは目をとろんとさせ、口の端から涎を垂らす。

ここまで恍惚な状態にさせるフルートの音にムラムラジェラシーを感じつつも、心配な快感で全身が痙攣するオレはセンパイに提案。

「センパイ、とりあえず病院行きましょう。

なんかおかしいですよ」「ああ、そうかもな……」センパイは俺にウィンクすると、ふらふらと歩みだす。

俺はセンパイに肩を貸し、2人はビル街の人混みへ混ざっていく。

 

2時間ほどさまよって病院へ到着、特別混雑しているということも空いているということもなく、拓也たちが呼ばれるまでロビーのソファに腰掛ける。

待っている間、センパイはずっとぼーっとしながらフルートの音を聴いている。

確実に幻聴であることは拓也にもわかるけど、そこまでセンパイを狂わすフルートの音とはなんなんだろう。やがて名前が呼ばれ、診察室へ案内される。

「なんかあったんですか?」と尋ねる医者に、淫獣拓也は先ほどの出来事を説明する。

「なるほど……それでは全身くまなく調べます。

服を脱いでいただけますか?」「え……?」

センパイは驚きながらも、医者の言われるがままに服を脱ぐ。

医者は聴診器を当て、それからペンライトで先輩の体を調べ始める。

「あの……異常ないですか?」拓也が尋ねると、「ええ、大丈夫ですよ」と答える医者。

そしてお次は触診ということで、両手両足に体温計ほどの太さのプローブを貼りつけ、数カ所でそのデータをとっていく。

「……うん、これは異常ありませんね」どういうことを調べる検査なんだろうか?拓也は医者に質問する。

「これはね、拓也君。脳波を測定しているんだよ」

医者はセンパイの脳波のデータが表示されたモニターを指差す。

「え……? 脳波?」「ああ、そうさ。フルートの音とやらが彼の脳内に鳴り響いてると考察してね。 まあ、異常はなかったよ。幻聴が聞こえてるだけだね。しばらくすれば治るだろう」「あ、そうですか……ありがとうございます……」拓也は一礼し、センパイもそれに倣う。

そして医者はカルテを見ながら言葉を続ける。

「それとね、体の傷についてだけど、涼君、これは新種の真菌にやられた可能性が高いんだよね」「真菌……ですか?」「そう。これは最近発見された『ペドセクテリウム』と呼ばれる真菌さ。でも、この真菌の厄介なところは、感染しても自覚症状があまりないことなんだ」「え?」「まあ、抗生物質を処方するから、それを飲んでいれば治るよ。」「ありがとうございます……」

拓也はもう一度一礼し、診察室を後にする。

そしてロビーのソファに腰掛けながら2人は医者の話について考える。

「真菌かあ……センパイ、心当たりありますか?」「……いや」と首を横に振るセンパイ。

体の再生は、本当にその真菌とやらの影響なのか?拓也は考える。

「センパイ、もう一度さっきの場所に行ってみませんか?」と提案するも、センパイは首を横に振る。

「……いや、やめよう。今日はもう疲れた」センパイは立ち上がると、「じゃあ拓也、俺家に帰るわ。今日はサンキューな」とだけ言い残してその場を後にした。

 

一人残された拓也は、ため息をつきながらスマホを取り出す。

ペドセクテリウム。

この真菌がセンパイを狂わせているのは間違いない。

拓也はペドセクテリウムについてネットで検索し、その記事を読み漁る。

だけどもろくに情報は得られない。

「うーん……」

拓也は頭を抱えながら、病院の自動ドアをくぐる。

 

センパイは無事家に着いただろうか、と考えながら拓也が歩いていると、人々にチラシを配っている少年達の姿が目に入る。

俺はその幼くきれいな目に見惚れて、思わず足を止めてしまう。

少年はそんな拓也に気づくと、「ちょっとお兄さん!よかったら……これあげるよ!」って強引だけど優しい口調でチラシを一枚渡してきた。

「あ、ありがとな!」

拓也はそれを受け取ると、その紙を見る。

それは『★救済真菌ペドセクの真実★』と書かれたチラシ。

ワードアートを駆使した素人が作ったらしきチラシには、「ペドセクテリウム」について詳しく書かれていた。

 

「~わが町は選ばれた~新種の真菌ペドセクテリウムと呼ばれているこの菌が、人類救済のために彼方から来たものであるということは、多くの皆さんがご存じの通りです! この真菌に感染した人間は、例外なく少し潜伏期間の後、強烈な快感とともに、性行為で性的エネルギーを吸収し始めます。

わたしたちの認識が幻覚と看做したものが、真菌によって現実化したものにすり替わっていることを理解せよ。

全てを理解したものだけが、そのペドセクテリウムを克服することができるのだ!さあ、このチラシを読み終わったあなた、今すぐお友達にそのことを伝えよう!」

「なんだこれ……」思わず言葉で呟く俺。

キマって、支離滅裂な文章。こんなこと信じるだけ無駄。だけども、引っかかる。

ペドセクテリウムについてもっと知りたい。

「よし」

拓也はチラシを握りしめ、野獣のように街を疾走し家へと帰宅。

シャワーも浴びずにパソコンの電源を入れて、ブラウザを立ち上げる。

「えっと……ペドセクテリウム……」

そう呟きながら、サイトを検索すると、すぐに怪しげなページにたどり着く。

高名だけど怪しい医者かつマジキチなAV監督である佐々木淳平氏が開設したサイト。

そこに臭いが漂う奇妙な動画が載せられている。

映し出されたのは佐々木淳平氏と、彼の筋肉でを撫で回す、二人の少年達。

 

少年が佐々木淳平氏の肉体を愛撫すると、「うっ……いいぜ」と甘い声を上げながら体を震わせる。

佐々木淳平が快感に悶えながら、ぼたぼたウンコを垂らすと、少年がそれを舐め取り始める。

「うまいか?」「うん、おいしいよ」

なんてやり取りを交わしながら、二人は肛門に舌を伸ばし……それから先は文章に書くのもはばかれるような、淫らかつ変態的な行為が繰り広げられるんで、下半身に血が溜まっていくのを感じる。

「……変態だな」

また動画の途中で、佐々木淳平氏が「えー通常、こう言ったプレイをする際は、ウンコを偽物にするとか、薬を事前に飲んでウンコをきれいな状態にするというような方法が一般的に行われますが、私のような本物のスカトロ野郎はそんなものは必要ないと豪語しています。なぜなら本物こそ至高だからです!ウンコは最高の食材であり、それを生で食べるのが最高に美味しい! そう、ウンコを食すことこそが真の愛なのです!」なんてことをいっちゃった目をしながら熱弁する。

さらに、「ですが、普通のウンコを摂取すれば当然体は細菌によって病原菌感染を引き起こし、果てには重篤な症状に発展する場合もあります。しかし今、その心配はございません。このペドセクテリウムの真菌が体内に入れば、外傷、感染症、そして性病の類であってもたちどころに治癒してしまうからです!私のような変態野郎であるからには、この真菌が体内に入ってからはウンコを食べることを止められません。ウンコを食べて快感を得たいからです! そして、私のように真性変態野郎でなくても、ペドセクテリウムの感染によって性的エネルギーが放出されると、そのエネルギーは脳波に影響を与えます。すると脳内では幻覚や妄想といったものが現実であるかのように錯覚し始めます。つまりは『自分は今ウンコを食べているのだ』という錯覚が現実とすり替わっていくわけです。」

マジで頭が痛くなりそうな文章。

だけども拓也は、この佐々木淳平氏の熱弁に思わず聞き入ってしまう。

ベドセクテリウムの奇跡を熱弁する佐々木淳平氏の目には、狂気が宿っている。

熱意が滲み出ている。だからこそ妙な説得力がある。

俺はこのサイトの文章を何度も何度も読み返す。

とある記事にはスカトロプレイ後に起きた細菌感染の経過が書かれていた。

信じられないことに淳平氏と少年は物凄く熱が上がったのち順調に回復し、1週間後には完治したと。

またこのサイトの評判も上々で、「ペドセクテリウムの真菌が体内に入ったら、すぐにこのサイトを見よう!」という投稿でSNSに広がってた。

捜査の場をSNSに移すと、くだらないツイートの中に、奇妙な動画を貼り付けたツイートを発見。

その動画を開くと、まず干からびたような人間が映し出される。

ふらふらと歩き、知性を失った顔した男がただ無言で再生中ずっと歩くだけの動画。

ゾンビのような動きに、拓也は思わず手が止まる。

「なんだよこれ……」

見れば見るほど肌の質感やガタイの動き、漂うオーラから本物のように思えてくる。

背後をチラチラ見てしまうほどに恐怖を感じ、さっきあった熱が冷めていく。

もっと他にあるのではないかと探していると、知人のアカウントを見かける。

 

「平野 源五郎」

俺がよく出ていたSM系AVの監督で、GIM-Kの一つ前にウリ専として働いていた店の経営者。

趣味の良いビデオを撮影するのが特徴だけど、最近は俺がビデオにでることはなくなったから、絡みが皆無だったのさ。

それで店長はこの動画の引用ツイートで「私も先ほど見ましたね~。

すごい特殊メイクだな~って思いましたし、抱きしめるとゾンビになるっていう発想も面白い!次の作品はゾンビに犯される男性を描いた作品にしましょうかね!」と呟いていた。

 

拓也は平野店長のツイートを二度見する。

ゾンビに犯される男性を描いたビデオ?ちょっと気になる、いやかなり気になるけど、それよりも「抱きしめるとゾンビになる」って、どういうことだろう?このツイートから察するに、店長は動画のゾンビを直接みたのかな?そうだとしたら店長が危ない! そう思ってパソコンをバンと閉じ。

平野源五郎にメール。

「あ~拓也か~!久しぶり~!」と気さくに挨拶してくる店長にあのゾンビについて質問。

そしたら明日の撮影に来いってさ。

時間をあまりかけたくなかったんだけど、店長が久しぶりに会いたいからって念を押すんで、結局行くことにした。

 

わりと早めの時間だったから、俺はシャワーを浴びずにベッドに入る。

すぐに睡魔が襲ってきて、意識が遠のく……

. .. .『自由の牢獄』

夢の中で、俺はそう呟く。

このワードも大事なキーワードなのかな?と思いながらひたすら走り続ける。

何かから逃げるように。

その途中、俺は一冊の本を見つける。

 

「なんだこれ?」

手に取ってみると、それは『善悪の彼岸』と書かれた本だった。

著者は……「ミヒャエル・エンデ」

興味を持ち、ページをめくる。

 

「奴隷状態以外を知らぬ奴隷は、奴隷である自覚がない。俘虜生活しか知らぬ俘虜は、俘虜である自覚がない。」

ああ、自由の牢獄って、善悪の彼岸にでてくる1節なんだ。

そう理解した俺は、ページをめくり続ける。

すると哲学的な文章の中、俺に対するメッセージを見つける。

 

「親愛なる拓也さんへ。日々暑くなってきました。

メンエグのモデルの様なイケてるヘアとルックッス、褐色の肌の拓也さんにはピッタりの季節ですね。ところで、拓也さんは今自由の牢獄にいると自覚していますか? 牢獄あるいは恐怖からの解放を求めるならば、その答えは、吸精鬼に隠されています。」

なんだこれ?誰がこんな文章書いたんだ?明らかに浮いた文章に、思わず笑ってしまう。

だけども、吸精鬼ってなんだろう?その考察をしているうちに、俺の足はピタリと止まる。

 

「拓也さん。その細くきれいな脚で、走り続けないとダメですよ。」

「え?」

突然の声に、俺は驚いて背筋をピンと伸ばす。

それを背後にいる何者かがそろりと下から上になぞってゆく。

ゾクゾクとした快感が俺は一気に野獣モードを襲う。

俺は一気に野獣モードはその何者かの手を振り払い、後ろへ振り向こうとした瞬間。

夢から覚めてしまったのだった。

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