…世界の敵"ヘレティック"の1人[インティビリア]と相対した
[ハル・ハスラー]…全てを蹂躙する暴力と全てを焼き尽くす暴力が激突する。……
『…ここが、正体不明のアジトね…まさかここの突破方法がバリアフィールドを展開してのゴリ押しだったのは、気付かなかったわ……だけど、[ハスラー]君の後を付けた甲斐があった様ね…』
エデンの南門でヘレティックとレイヴンが相対していた頃、エデンの上層区画にはまた別のISが立っていた。
上層区画にはゲートの開閉を含めた管制システムが存在しゲートを創り出す他、周辺の天候を捻じ曲げて嵐を展開していた。また門のバリアには大きくは無いがISが通れるほどの穴があり、更にバリア自体が傷口を塞ぐ様にジワジワと塞がれていた。
そのISは水のスカートアーマーを単一使用能力で構成。右手にはランスが握られており、ただこの地に来た訳では無い事が伺い知れる。…
スカートアーマー替わりの水のヴェールは、鏡の様に滑らかに輝き、時折さざめく様相は機体の操縦者の心境を表しているかのようだった。
……さっきからエネルギー限界アラートが鳴りまくっているのは、無理やり突破しようとした弊害なのだが……
そもそも、[ナイトブレイカー]は、突破する際に組込み型特殊兵装の1つ
[
『悪天候を突っ切るのは大変だったけど、こんな場所を見つけられたのは行幸ね…』
…
ハイパーセンサーを用いて、壁や床等も余す事無く見通して。
『…さぁ、彼とこの施設の秘密をお姉さんに見せてちょうだいな♪』
誰も聞いちゃいないが、そう口にした侵入者は清流のような簓かな声に弾みを含ませながら、ISを使い施設の中層に入り込んだ。
『あら?これは面白そう♪』
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一方、エデンの内部では……
『全く!!ゲートの回線復旧まだで御座いますか?!』
『今終わったよ!!それと、
『なに!?新手の構ってちゃんは要りませんよ!!』
『そう言うと思って焼きました!!』
『感謝しますがラストスパートです!頑張りましょう٩(ˊᗜˋ*)و!!』
『随分と粗製なハッキングだね』と言いながらファイアウォールとカウンタープログラムを同時並行で仕掛けるミントと呼ばれるNIKKEを流し目にダウンから復旧した回線を繋ぐ黒い外套の少女。
……繋いだ回線から見えるその景色には……南エリアを破壊しながら暴れ狂う褐色肌のNIKKEと黒金の鉄人がラプチャーを巻き添えにしながらもド突合っている遠慮も何も無い光景が映し出されていた。
先ず、口にしたのは感嘆。感じ取ったのは執念だ。
『…凄いですね……』
無線の向こうにいるドロシーからは、圧迫感の籠った言葉が聞こえた。
『……その身1つで…遥かに上位の存在であるはずの"ヘレティック"に立ち向かう。……新星の再来と呼ばれた
『ちょっと押されてますね…』
『ですが、戦い方は歴戦のソレです。幾らか光明はあると思います。……』
暫く、その闘いを見つめるドロシーだが、己が愛銃を構え、戦場へと向かう事にした。
ーもし…彼を引き込めたら……次こそ間違う事がないかもしれないと云う希望を見出しながら……。
△▽△▽
[ナイトブレイカー]のカメラアイが、[インティビリア]を捉える。
その視線を受けたインティビリアはゾワリと身体の奥底から来る震えを感じ取る。
『あぁっ...///』
『……(…死ね…死んで俺の糧になれ)』
格下の存在であるハズの人間から感じ取った純粋で何とも言えぬ鋭い殺意。其れはかつての記憶で…否!身体が覚えている。巡礼者達に迫る気迫を放ち、完全に息の根を止めようと試行錯誤を繰り返しながら突破口を切り開く一羽の鴉。
取っ組み合いの最中、へし折られたテイルブレードを最高速度で背後から
接近させるが、予期していたのかは知らないが首を少し曲げフェイスパーツの左側を削り取らせるように躱す。対象を失ったままブレードはインティビリアの横顔スレスレに刺さる。
此方を睨みつけるハルの目は、猛禽の様な凶暴さの中に知性の宿る不思議な目をしていた。
『終だ…良かったぜ?お前との闘い…』
倒れたインティビリアの眼前に突き付けられたバズーカの砲口…
まさかゼロ距離で撃つつもりか?!いや、撃つ!絶対に撃つ。レイヴンの眼がそう告げている。
幾らヘレティックと言えど、ゼロ距離であんな火力を叩き込まれたらタダでは済まないと確信する。
『ッッッ…殺りなさい!』
インティビリアは負けを確信したのか、情けはかけられたくないと吠えた。
次の瞬間、[ナイトブレイカー]が円いナニカに吹き飛ばされた。
『…は?』
『えっ??』
ゴッガァンと小気味よい音を立ててナイトブレイカーに衝突した物体は、良く見れば装甲を何枚も重ね合わせた[球]状の物体…じゃなく小金色のダンゴムシな奇っ怪な生命体?だった。
吹っ飛ばされたハル・ハスラーはぐらつきながらも自分に当たった物体を見やるが、紛れも無くダンゴムシその物であった。
二転三転して止まったその球は形を崩し、
『…?何コイツ…』
『[キング・ソクタン]…ッッッ!!!まさかっ!?』
ダンゴムシ?の様な生物の名を口にしたドロシーがキングソクタンの飛んできた方向を見た途端に閉口してしまった為に釣られてその先を見てみると、そこには烏賊が居た。
但し、デカい。反則級にデカい。なんだコレはと言いたくなるような戦略兵器クラスにデカい烏賊が触腕で丁寧に球状のキング・ソクタンを三体程お手玉しながら待機していた。
どうやらこちらに向かってピンポイントでキング・ソクタンを砲丸の様に投擲したらしい。
『(…AP4/1持って行かれたんだが!?)…ヤベェな』
ーリペアキット 残数 ②
ナイトブレイカーのエネルギーを応急修理パッチで修繕したが、残弾数はどうにもならない。
残りが少ない[SONGS BIRD]と[ディトネーティングバズーカ]は使い切るつもりで持ってきたが、[レーザーブレード]と[ヴァーティカルプラズマミサイル]も合わせたとしてあの烏賊を倒し切ったとしても………今の一撃が推定、あと三発は控えている為にこれ以上無理だと思った。
ふと、烏賊とダンゴムシが上を見上げる。
それに釣られる様に上を見上げた面々は絶句した。
クラゲの様な大きな物体がふわふわと降りてきたのだ。
それに繋がるのは1人の少女。
その少女が目を開けると、インティビリアの方を見つめ……
『\(˙꒳˙\三/ ˙꒳˙)/…\(˙꒳˙\三/ ˙꒳˙)/…(ง ˙ω˙)ง┗=͟͟͞͞( ˙∀˙)=͟͟͞͞┛』
チャカチャカと全身を使ってリズミカルな動きを繰り広げ始めた。
……虚無見たいな表情の少女が無声映画の様にやたらとコミカルな動きで何かを言ってる様な感じがした。
『……手話?…違うよなぁ?』
バズーカを下ろしたが戦闘モードは解かずに、目の前のコントの様な光景を見続ける。
『…えぇ…えぇ…そうですわね…少し暴れ過ぎましたね……申し訳ないわね…"リバーレリオ"…』
『言葉分かるんですか!?』
どうやらクラゲの少女の名はリバーレリオと言うらしい。
リバーレリオの仕草を理解したのか、インティビリアが降伏の印として両手を上げるとリバーレリオも連れたのか背伸びをする様に両手を上げる。
両者に訪れた静寂。…取り敢えず、この戦闘は終わり。
さっきから銃撃も砲撃音も聞こえない所を見るにココが一番の激戦区で、他は最早防衛しきったあとなんだろうと思ったハルは報酬が少し減った事に落胆しながらも、倒れ伏した機体をどうにかしようと力を入れる。
そこに手が伸ばされる。
手を伸ばしたのはドロシーだった。
『立てますか?』
『補助をお願いしても良いかな?』
マニピュレーターをドロシーの手がガシリと掴んだ瞬間、まるで軽い荷物を持つかの様にヨイショと持ち上げられた。
ー生身の人間とNIKKEの間にはここまでの差が有るのかと愕然としたが、同時に彼女達に何処まで追い付ける?と興味が湧いた。
……ビキッ バキバキッッッ
『『『『『?????』』』』』
……若干の警戒を解いたそこに異音が鳴る。無線から無情にも声が響いた。
『ドロシー様……カタフラクトが…』
△▼△▼△
ドッ……ゴガァァァァンンン……
静寂を引き裂き、フロートエリアと工房エリアの壁を破砕して現れたのは巨大な装甲戦車。何故かは知らぬが、赤黒い燐光を迸らせ真紅に光る本体から繋がる2つの前脚を床に滑らせ、巨体に見合わぬ高速移動をしながらも、レーザー砲台をこちらに向けると……ぶっぱなした。レーザーは、そこら中の残骸を赤熱させながら迫るが、リバーレリオ達はキング・ソクタンを前面に配置する事で防いだ。
レーザーが溶断した残骸に前脚の履帯を滑らせて、ジャンプするとその巨体は砲弾の勢い如く飛び掛ってきたが…
リバーレリオの指示により、クラーケンが触腕を横凪に振り払い吹き飛ばした。だがカタフラクトの頑強さと鉄壁の防御は何度か相対したハスラーが知っている。無論、その弱点も……
『……( ー̀ н ー́ )』
『……[システム再起動]…』
ーメインシステム戦闘モード…ターゲットの情報を更新…目標…[亡国企業 特務機体:カタフラクト]…戦闘データの再開示を開始…
ハルは近くに居たドロシーから離れる様に横にブーストを吹かせるとカタフラクトもそれに気付いたのか、その巨体を前進させ轢き潰すつもりで全速力で突進して来た。
その際に、正面のコアゴーレムの代わりにISに乗った誰かが居る事に気付く。
『フッフッフ……まだまだ落ち無いわよ。この[ミステリアス・レイディ]は!!!』
『………( ゚д゚)…』
……目の間違いだろう……見覚えのある脳筋対魔忍が
それにしてもあの
以前に討ったトーカティブと似たヒカリを放ってはいるが、それにしたって禍々しい事この上無い。
思考を繰り返しながら目の前の機体の凶行を躱していると、[ナイトブレイカー]の通信回線にアクセスが入り通信が展開される。
『あっあの…私の名前は[ミント]と申します。…率直に言いますと目の前の
その通信から聞こえたのはやっぱりカタフラクトだったという事と想定外すぎるので破壊して止めてくれという意思表示だった。
無論、報酬の上乗せも確約してくれた為此方からもカタフラクトに関しての情報を伝える。
『…カタフラクトは、何度か相対して潰してるからな…了解した。……あぁ…そうだコイツだが…高機動・高火力・高耐久の三拍子揃った亡国の傑作とも言えるんだが……背負う形になっているのか、正面の被弾を全く想定していなくてな…懲罰席みたいになっているんだ……あんな風に…』
そう言いながら、左手のマニピュレーターで正面を指さす。
確かに正面がガラ空きだ。
『……何であんなにも凄惨なデザインなんですか??』
『(;´∀`)・・ァハハハ・・…最もあの巨体だからな…小回りが効かない。だから求められるのは、『超高速で動き、尚且つ高火力を正面に叩き込む?ですか•́ω•̀)?』…そこまで言えりゃ完璧だ。』
『でしたら、思い切りそれが出来る子達が居ますのでその子達に要請を出します。それ迄お願いできますか?』
『了承…そしてこの依頼を受諾しよう。…』
目の前の撃破対象を見据えた[ハル・ハスラー]は、[ディトネーティングバズーカ]を突き付けると好戦的な笑みを浮かべて、其の言葉を口にした。
『始めよう。…
ー続くよ〜 ー
ミントの通信記録簿
ーという訳で、蕾花さん…お願いします。
ー良いわよ〜貴女達も構わないわね?
ー姉様の命です。お供致します。
3つの黒風が戦場へと駆ける。