ようこそセクハラ至上主義の教室へ 作:セクハラ任三郎
----------------------------------
高度育成高等学校学生データベース
氏名 :鷹司 龍臣 たかつかさ たつおみ
クラス :1年D組
学籍番号:S01T004709
部活動 :無所属
誕生日 :8月22日
〖評価〗
学力 :A+
知性 :A
判断力 :A+
身体能力:A+
協調性 :B+
〖面接官からのコメント〗
筆記試験では一位を取り、実技試験でも歴代で一番の成績を残しました。面接時も特に問題は見られず、俳優業を行っていた影響か、頭の回転の速さが分かる場面が多々ありました。
サインを頼んだ所、快く受諾してくれました。
追記:別途資料によりD組に配属。…彼は女の敵です。徹底的に叩くべきです!
----------------------------------
四月。
俺は東京都高度育成学校高等学校に向かうバスに乗っている。揺れが全然無い。いいバスを使っているのだろう。
バスには、OLやサラリーマン。俺と同じ制服を着た生徒達で満員だ。
窓からは満開の桜が見える。いいねー。
こういうロケーションは結構好きだ。
バス停に止まり、新たに生徒が乗って来た。
ベレー帽が乗ったボブの銀髪、サイドに三つ編みが走っている。瞳は…紫色か? 珍しい。身長は150ちょいか? 胸も無いし、身体的特徴だけを見るとガキっぽいが、不思議と色気を感じる。
…俺と同じ高校の、女性タイプの制服を着ているな。同級生か? …杖してるじゃん。
彼女は埋まってる優先席に目線を向けて、少し目を伏せる。…良い表情だ。今の表情を見て、席を譲らない男は居ない。
気になるな。
「そこの銀髪の子、席譲るよ」
「あら、有難う御座います」
他の奴らも声をかけようとしていたが、それより先に俺が話しかけた。
走行を続けるバスの中、彼女は少しよろけながら進んでいく。…大変そうだな。
「ほら、手貸すよ」
「ふふっ。有難う御座います、貴方の名前は?」
俺は席から立ち、彼女に手を貸した。
俺の名前を知らない? TV見ないのか?
彼女を席に座らせて、俺はその傍に立った。
「
「おや、鷹司家の方でしたか、これは失礼を。私の名前は坂柳 有栖です。坂柳とお呼びください」
彼女はコチラに顔を向け、少し驚いた表情をした。
鷹司の方に反応したな。旧華族か? それとも財政会の方か?
坂柳有栖。どっかで聞いた気がする。
お、目を逸らさないな。このまま見つめ合おうか。
…いい顔してるな。今まで共演したアイドル達より数段美少女だ。
坂柳は、少し伏し目になりながらも、上目遣いでこちらを見詰めている。うーん…めっちゃ可愛いな。高校入学初は坂柳を狙うか。
十秒程経った頃。坂柳が白い頬を赤く染め、目を逸らした。
「ははっ。俺の勝ちだ」
「…負け? 今のは勝ち負けが存在する勝負じゃありません!」
なんだ? びっくりした。「負け」と言うワードに反応し、激昂して顔をこちらに向けてきた。
負けず嫌いか? 怒った顔も可愛いね。
「怒った顔も可愛いな。急にどうしたんだ?」
「んふっ♥ …口説こうとしても無駄です。私が負けた? 取り消してください」
「目を逸らしただろ? それとも、またやるかい?」
「望むところです! ルールは目を逸らさないことだけ、制限時間は学校に着くまで、これでいいですか? それと、さっき目を逸らしたのは…あれです。慣れて無かったからです…」
「いいけど、俺に有利過ぎじゃないか?」
坂柳は自信満々にそう言っていたが、目を逸らした話になるとまた頬を赤くした。俺は百戦錬磨のアイドル兼俳優だ。こんな小娘に負ける気がしない。
「ふふっ。貴方みたいな薄情な方に負ける訳がありません」
坂柳はクスクスと笑いながら、小馬鹿にした表情を向けてくる。…そんな表情をしながらも、少し頬を赤らめている。可愛い。
随分と舐められたものだな。
「うーん。やっても良いけど、俺にメリット無いよね」
「…まぁ。うら若き乙女がお願いしているのに、お断りになるのですか?」
むむ。『女子供には優しく』が俺の座右の銘だ。そんな事を言われた断れない。まぁ、至近距離で美少女の顔を見詰められる。それだけで十分か?
今までも俺は目を見て話していたが、坂柳側から目を逸らしていた。
「そう言われるとなぁ。よし、俺は何時でも良いよ」
「ふふっ。私の我儘に付き合って頂き、有難う御座います。では早速…」
坂柳は俺の目を見つめている。…マジで人形みたいに可愛いな。
前回の見つめ合いで余裕が出来たのか、坂柳は口を開く。
「少し、恥ずかしいですね」
「そうだね。でも、この距離で見つめ会える喜びが勝つよ」
「…そうですか」
む? 効いた様子がない。この短時間で適応したのか!? 俺の顔に!?
こんな事は初めてだ。
…俺は今、自分に対する激しい怒りを感じている。相手が素人だからって、手を抜いていた。ここからは本気だ。
俺は坂柳に顔を近付けながら言う。
「嘘じゃない。 俺は君の事が好きなのかもしれない」
「…♥ そうですか。でも、私は好きじゃないので」
今、一瞬だが、雌の顔をしたな。すぐに取り繕ったが、俺の目は誤魔化せない。この調子で行こう。俺は少しずつ顔を近付けていく。坂柳は顔が近くなる度に、どんどん頬を赤くしていく。
顔の近さが十cm程になった。
坂柳の顔がよく見える。
シミやたるみに毛穴、ニキビや出来物の一切無い、高揚感と羞恥心でほんのり赤らんだ白い肌。特に頬は、良く朱に染まっている。
きちんと整えられた、髪色と同じ眉。今は八の字の困り眉になっている。
そのすぐ下には、紫色の瞳を持つ大きな目がある。パッチリ二重だな。俺の目から絶対に逸らさないという強い意志を感じるな。
鼻筋が通った小さな鼻。
これまた小さな、何処か色っぽい唇。
シャープな輪郭。
完璧なパーツが完璧な配置で置かれている。そんな少女が、所謂雌の顔をして俺を見詰めている。
本番も良いが、この表情を見るのがかなりの楽しみだったりする。
「じゃあ、坂柳が目を逸らしたら有栖って呼んでいいか? 嫌なら逸らすなよ?」
「……私から逸らすなんて事は有り得ません♥ …もし。もしですが、私から目を逸らしたら、有栖でも有栖ちゃんでも好きに呼べばいいでしょう♥」
…吹っ切れて、俺の顔面を楽しんでいるな。この状態の女は目は逸らさないが、殆ど堕ちてる。逸らしても逸らさなくても、どっちみち行けそうだな。
ここは、坂柳を楽しませるか。
俺は更に顔を近づける。
坂柳の荒い息遣いが聞こえる。どちらかが更に顔を近付ければ、唇が触れるだろう。
「本当かい? 有難う。大好きだ。だが、坂柳だけってのは不公平だからね。もし俺が負けたら、煮るなり焼くなりしてくれて構わないよ」
「んっ♥ っ♥ ふーーー♥ そうですか? 無責任なことを言ったと、後悔させてやります♥」
…俺の顔と匂い、声だけでイッたか? マジ? くんくん。…この匂いは女のイッた匂いだな。
負ける気がしない。表情も蕩けている。
…まずいな。my sonが臨戦状態になりそうだ。全神経を集中して、勃起を抑える。
「いいのかい坂柳? 俺達は周りからどう見られてると思う? 朝からイチャつくバカップルだぜ?」
「…! それは良くないですね。貴方が目を逸らしなさい」
「俺は坂柳とバカップルって思われても良いからな。嫌なら坂柳が逸らすんだな」
そう。今は学校に向かうバスの中! 周りにも沢山人が居る。俺は人の視線に敏感だ。…興味深いという視線が五割、何してんだコイツらが三割、嫉妬と興奮が一割ずつだな。
なんなら坂柳が座っている席、元々俺が座っていた席の隣には、ロングな紫色の髪をしている少女が座っている。
彼女は興味無さそうな顔をしているが、チラチラとコチラを見ているし、少し頬が赤い。
「…軟派男。あんたら、人前でそんな事して恥ずかしくないの? どうでもいいけど、私の前では辞めてくんない?」
隣席に座る少女が、軽蔑の感情を隠しもせずにそんな事を言う。
無視だ無視。
軟派だろうがなんだろうが、女を食えれば問題ない。
「……恥ずかしいです♥」
坂柳は更に顔を赤くし、羞恥心と高揚感を乗せた声を放つ。
なに!?
同級生に蔑まれているのに、寧ろ興奮している!?
…とんでもない化け物だ。
それから十秒程、超至近距離で見つめあったが、顔は蕩けて瞳をとろんとし頬も赤く染めているが、全然目を逸らさない。
…うーん。どうしようか、思ったより手強いぞ。
うーん。良い表情してるなぁ。
俺は小声で声を掛ける。
「なぁ、キスしていいか?」
「…♥ ダメに決まってるでしょう? キスしたいなら、大人しく負けを認めなさい♥」
坂柳の目線からは、大きな興奮と少しの軽蔑が見て取れる。
負けを認めたらキスしていいのか。ラッキー。
「ふふっ♥ まぁ、負けを認めたら私に服従して貰いますが♥」
「ああっ! 俺の負けだ。 じゃあ早速…」
「…本気でキスする訳じゃないで…♥」
──ちゅ♥ ちゅー♥ ぷはぁ♥
「えっ。本当にするの?」
隣席の少女が何か言ってるが、気にしない。
唇同士を触れ合わせるだけの、優しいキスだ。
想像以上に柔らかい唇をしている。いきなりキスをされて驚いたのであろう、目を大きく見開き、驚愕しているな。
キスを終えて口を離した。顔も離した。
坂柳は唖然とし、自分の唇を指先で触れている。やらしい。
少しの興奮、それに対する驚愕の表情を浮かべているな。恐らく、「無理やりされたのに嫌じゃない? どうして?!」と言う感じだろう。
「あ、貴方♥ こんな事して許されると思っているんですか?♥」
「負けを認めればキスしてもいいと、坂柳が言ったんじゃないか」
坂柳がいいって言ったんだ。俺は悪くない。
先程の自分の発言を思い出したのか、坂柳はため息をついた。
「…はぁ。わかりました。キスをした事は不問にします。その代わり、貴方は私に絶対逆らえませんからね」
「イエッサー!」
逆らえないと言っても、まぁアイス買ってとかだろう。特に気にする事じゃないな。
「お、バス止まったな。学校に着いたんじゃないか?」
「…そうですか。では早速、私の荷物を運びなさい」
早速パシられた。まぁ、これ位なら全然構わない。なんなら、頼まれなくてもするつもりだったし。
俺達はバスから降り、校門に向かった。