※この作品はR-18です。

「先生!もっとあたしらに構って!」   作:アキラゼミ

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第11話:計算通り

 

 殲滅戦の直前──イオリ参戦直後。資料室では、チナツが飂熾冘巫髏の幹部から拷問を受けていた。ただし、所謂「苦痛」による拷問ではなく、快楽(・・)によるものだった。

 

「ほぉら、分かる?イイ感じにプックリしてるわ?パンツの上からでも分かるなんて、相当ね♡」

 

「はぁっ、はぁっ♡ やめ、てください……っ、どこ触ってるんです、かぁっ……♡」

 

「クリ周りをこう、ク〜リク〜リってなぞってぇ♡ ふふっ、イイ感じに焦らせてるかしら?」

 

「っっ……あ゙……っ♡」

 

 チナツを後ろから抱き締め、片手では胸を揉み、もう片手ではパンツの上から陰部をイジる。

 ルーシィからある任務を任された少女は、本部になだれ込む末端の構成員達と共に侵入してきたが、彼女はただの構成員ではない。幹部(・・)の1人である。

 

「だぁめ、イカせやしないわ?ふふっ、思ったより口が堅そうだから、もっとイジメちゃおうかしら」

 

「やめ……っ♡」

 

「ふふっ、汗かいちゃってカワイイ♡ うなじも、すっかりしょっぱいじゃない……♡」

 

「ひぃっ♡ ひぁっ、あっ♡ はぁ、はぐぁ♡♡」

 

「イキたいのにイケなくてもどかしいわよねぇ〜、よーく分かるわぁ……?」

 

「っっ……ッ♡」

 

「ほらぁ、早く言ったらどう?そしたら気持ち良くイカせてあげるわ?『トリニティ最強の倒し方』、あなたなら知ってるんでしょう?」

 

「です、からぁっ!最強だけじゃ、誰のことかっ♡ わか、わからにゃいっ、ですってぇっ♡♡」

 

「トリニティの最強って剣先ツルギじゃないのぉ?他に有力なの誰か居たっけ?『団長が壊して団員が直す救護騎士団』の……蒼森ミネ?」

 

「確かにっ、ツルギさんは最強との呼び声も高く、実際、強いです、がぁっ♡♡ もっ、もぉ1人っ、飛び抜けて、はぁ、強い方が、居てっ……!!」

 

「へぇ?そいつは初耳。イイわ、じゃあソイツの事教えてよ。それから、戦い方とかも教えてね?」

 

「その人っ、はっ……も、元ティーパーティーのっ、みっ、みそ、聖園ミカ、さん……でずっ……♡♡」

 

「ティーパーティー……生徒会?へぇ、そんなヤツが居たんだ?総長達でも知らなさそうねぇ。ふぅん、面白いこと聞いちゃった……♡」

 

 ひぃひぃと息が上がった様子のチナツを見て興奮したのか、それとも未知の情報を得た興奮からか、ぺろりと、舌舐めずり。

 約束通りチナツをイかせようとして、クリ周りを攻めていた指をクリに当て……。

 

「お゙ひっ♡ ひぐっ、イグッ♡♡」

 

「ほ〜ら、さっさとイッ……」

 

「ゲヘナ風紀委員会、銀鏡イオリだッ!お前ら大人しく投降しろ!!」

 

「…………」

 

「……?ろぉひたんれふか……?」

 

「ごめんねぇ〜、ホントはチナツちゃんと、もっとエッチなことシたかったんだけど♡──どうやら、もうタイムリミットみたい。それじゃあね♡」

 

「あ……っ」

 

 ウインクと共に資料室を飛び出す少女。そして、彼女が出て行った数秒後に、入れ違いに、イオリがチナツの援護及び救助にやってきた。

 

「チナツちゃんッ!!……あ、居た。大丈夫か?」

 

「イオリ……?」

 

「ずっと音信不通だったらしいから心配してたぞ、アコちゃんも……」

 

「おんしん…………ごめんなさい……」

 

「……?まぁ無事なら良かったけど大丈夫か?ヤケに顔が赤いけど……」

 

「……ええ、大丈夫です。それより、1人この辺から逃げて行きませんでしたか……?」

 

「いや、見てないな」

 

「そう、ですか……分かりました」

 

「何かあったのか?」

 

「いえ、特に……何もありませんでしたよ」

 

「?……まぁいい、援護頼む!」

 

「はい。……では、いきましょう」

 

 ◆

 

 そしてルーシィとレイコが撤退し、アジトに帰還してから数分後────1人の幹部が、同じく風紀委員会の本部から撤退し、帰還した。

 飂熾冘巫髏(ル・シュ・フェル)幹部────萌山(もえやま)ライム。

 現在のキヴォトスで、唯一の純血の夢魔である。

 彼女はアジトに帰還するなり、その足で、組織の幹部達の部屋へ向かう。幹部達の部屋には、総長や副総長、幹部の他、幹部補佐しか入室は許されないという、唯一と言っていい規則がある。

 

「たっだいま〜。……あらぁ?何か空気悪い?」

 

「お帰りなさい、ライム先輩っ!」

 

「ただいま〜、アガリちゃぁん♡──んっ?あの、アガリちゃんそっくりの子って……」

 

「あ、はい!お姉ちゃんのアスカです!」

 

「あらぁ!遂に勧誘に成功したの?」

 

「いえ、その……結局、副総長が後押しして……」

 

「なぁんだ残念。それじゃ〜、ご褒美は無しね?」

 

「ぶーぶー……」

 

 頬を膨らませるアガリの頭をポンポンと撫でて、ライムは端の席で居心地が悪そうに縮こまっているアスカの後ろに立ち、その豊満な胸をアスカの首に押し付けて、ぎゅむっと抱きついた。

 

「初めまして、アスカちゃ〜ん?飂熾冘巫髏に加入してくれたんですってね?ありがと♡」

 

「っ!?あ……あなたは……?」

 

「ハドマ学園3年生、萌山ライム────と聞いてしっくり来たなら、情報通ね♡」

 

「ッ!?ハドマ学園イチのヤリマ……」

 

「ノンノン、そんな汚らしい呼び方はやめなさい?せめてそこは『遊び人』と呼んでちょうだい?♡」

 

「……どちらも変わらない気が……」

 

「自分より小さい女の子を手篭めにするのってぇ、何回ヤッても飽きないのよねー♡」

 

「…………」

 

 萌山ライム───ハドマ学園イチ、下手をするとキヴォトスイチとも言える究極のヤリマン。

 食べてきた女子生徒は、自治区内外を合わせても合わせずとも数知れず。ハドマの学園内ですれ違うあの生徒もこの生徒も、実は既にライムに喰われた過去を持つ────なんて事も起こり得る。

 そしてライムはその温和な性格が故に、非合意は望まない。あくまでも合意を得て。あくまで和姦で交わっている。

 それは「夢魔」としての彼女のポリシーであり、エゴである。そして相手の理性を蕩けさせる魅了(チャーム)をキヴォトス最高精度で扱える。

 

「アガリちゃんも中々だったわよ♡」

 

「そうですか」

 

「お姉さん、アスカちゃんとも遊びたいなー♡」

 

「結構です。興味ありません。私は、美食研究会を潰す為に、飂熾冘巫髏の力を利用させてもらうだけですから」

 

「あら怖い。……ま、復讐が終わってスッキリしたらお姉さんのトコに来なね?終わった復讐の虚しさ、お姉さんが埋めてあげるから♡」

 

「……あなたも、飂熾冘巫髏の幹部なんですか?」

 

「そーよぉ?戦闘には向かないからサポートばかりだしィ、なんならスパイの真似事がメインだけど」

 

「……」

 

 チナツにクリ攻めという拷問をしていたライムは本当なら適当な誰かを襲ってしまいたいという程に酷くムラムラしていた。

 しかし、それでも幹部として、総長のルーシィに任された仕事の報告だけは先に済ませたかった。

 

「でさー、報告したいんだけど。この空気の悪さは何なのー?総長さぁん?副総長さぁん?」

 

「っさいなー……60人近くお縄になったせいで、少し人的被害が痛いのよね」

 

「それらも含めて、初めて明確に作戦失敗したからイラついてんのよ。悪いわね。……んで?何か情報は得られたワケ?」

 

「元ティーパーティーのぉ、聖園ミカ?って感じの名前の子がトリニティ最強っぽいよ?二大巨頭的な言い方だったから剣先ツルギとあんまり変わらないくらいなのかなぁ。……どうすんの、副総長?」

 

「……空崎ヒナを潰さずに、次になんかいけない!!私は空崎ヒナを潰してからトリニティに向かう!」

 

「今後の方針を決めた。レイコは一旦、別行動ね」

 

「つっても、まだゲヘナも乗っ取ってないじゃん。サポートの私が口出すのもどうかとは思うけどぉ、それはいいの?もうトリニティに手ぇ出すの?」

 

「当然、トリニティの前にゲヘナに決まってるわ。レイコが空崎ヒナを潰しに行く日に合わせて私達は万魔殿に侵攻する。だから、レイコとは別行動よ。後方支援はアスカとアガリ。今回の戦績によってはアガリも幹部に昇格してやってもいいわ」

 

「ホントですか!?」

 

「え〜?アーちゃんは私のお気に入りだゾっ♡」

 

「そこは好きにしなさいよ……。とにかく、万魔殿はレイコ抜きの私達で乗っ取る。……イケるわね?」

 

「「「「イケる!!」」」」

 

「よし。皆でやるよ、ゲヘナの乗っ取り。レイコ、空崎ヒナの引き付け──いや、打倒、よろしくね」

 

「それはいいけど、私は、モル姉が居ない時を狙うつもりよ。ルーちゃんの策略でモル姉とイオリって幹部はD.U.に飛ばされてるんでしょ。だからまぁその辺は────」

 

「風紀委員会の監視については、皆のお姉ちゃん、ライムお姉ちゃんに任せな☆」

 

「はいっ、お姉様っ!」

 

(アガリ……あんな女をお姉様だなんて……)

 

「誰が『皆のお姉ちゃん』よ、アホくさ」

 

「反吐が出る。モル姉の方がお姉ちゃんしてるわ、色んな意味で。プーちゃんの方がお姉ちゃんだし」

 

「その通り過ぎて首がもげるくらい頷きそう……」

 

「そりゃあ、レイコやルーシィのハジメテの相手は私のお姉ちゃんだし?仕方ないけどさー。ちょっとくらい私の事もお姉ちゃん扱いしてよ〜……」

 

「「絶対にヤダ」」

 

 ◆

 

 飂熾冘巫髏が今後の作戦についてあれやこれやと話し合っている頃、風紀委員会は風紀委員会で先の戦闘について反省会をしたり、幹部達は幹部達で、それぞれが情報共有を推し進めていた……。

 

「チナツ。あなた、戦闘開始からイオリの援護までずっと音信不通だったけれど、何があったの?」

 

「……敵から、拷も……尋問を受けていました」

 

「「「ッッ!?」」」

 

「拷問って言いそうになってるじゃん。相手に何をされたのよ?」

 

 拷問────チナツのその言い間違いを聞き逃す風紀委員達ではない。

 アコは驚愕、ヒナとイオリは殺気立ち、モルモは平然としている。拷問でも尋問でも、チナツ本人が無事なようなのでそこまで警戒していないらしい。

 

「……その……下着の上から、お股を……はい……」

 

「下着の上からクチュクチュされたの?アハハッ、敵さんも凄いエッチな拷問してくるねぇ。そんなのエロ漫画だけの出来事だと思ってたわ」

 

「そうか、だからチナツちゃん、私が駆け付けた時あんなに顔が赤かったのか」

 

「まさか本当に気付いていなかったなんて……。全て気付いた上で黙ってるものとばかり思ってました」

 

「いやまさかそんな事になってるとは微塵も……」

 

 モルモが囃し立てて、イオリとチナツがそれぞれ別の意味で縮こまる中、ちょっぴり眉間に皺を深く刻んだヒナが声を上げる。

 

「とにかくチナツが無事なら良かったわ。それで、敵は何を求めてそんな尋問をしてきたの?あなたの身体を弄ぶのが主目的なワケではないのでしょう?ましてや戦闘中なのだし」

 

「あ、はい。あの人は────『トリニティ最強、剣先ツルギについての情報を寄越しなさい?』と、迫ってきました」

 

「それで、それを言わなかったら身体を弄ってきたということ?」

 

「はい……」

 

「ゲヘナの事ではなくトリニティの事というのが、ちょっと解せないわ。まさかトリニティとも併合をするつもりなんてこともあるのかも────いや。ゲヘナ学園だったらトリニティの『最強』の情報を持ってると、想定されている……?」

 

「「「!!」」」

 

「有り得るわね。でもトリニティってツルギちゃん最強なの?総力戦で組んだけど、ミカちゃんの方が強ぉ〜い感じ、したけどなぁ」

 

「そこはあまり関係ないのでは?ハドマからすればどちらも強いがより厄介なのがツルギさん、という話なのかもしれませんし」

 

「──それで、チナツはそれを敵に言ったの?」

 

「しょ、所属と名前だけですが、ミカさんの名前も挙げてしまいました……ち、ちょっと……我慢できず……」

 

 所属と名前だけ、言ってしまえばたったこれだけだった。しかし、こちらから敵に新たな情報すらも提供してしまったというのは事実。

 ヒナは眉間の皺をより深く刻んで、アコは小さく溜め息をついてしまう。

 

「……まぁ、彼女は元からゲヘナが嫌いらしいから、何かしら情報が漏洩したとしても評価は変わらないでしょう。それでチナツ。何か身体に薬や毒の類を仕込まれた可能性は?」

 

「いやっ、流石に無いと思います。下着の中に手を入れられたら、疑いますが……。ずっと下着の上から触られていただけですので……」

 

「じゃあ精密検査は受けなくて大丈夫?」

 

「ええ、特に異変もありませんし……」

 

「そう……。もし異変があったらすぐに言いなさい。その時は、アコ。チナツに精密検査を受けさせて」

 

「分かりました、用意だけはさせておきます」

 

 その他、幹部達も反省会をし、次回の襲撃に備え警戒を強める事で合意した。そして遂に……。

 

「────これはさっき判明したのだけど、敵方のボス格2人とうちのモルモは知り合いらしくって」

 

「「「!?」」」

 

「しかも、因縁みたいなのもあるから──モルモ。知ってる限りの事、話してくれるかしら」

 

「え〜。どうしても?」

 

「どうしても。D.U.(向こう)に帰る前にね」

 

「んぅ……仕方ないかぁ」

 

 これまでずっと、誰もが気になりつつ、それでも聞けずにいた「ゲヘナ学園の魔女・盛宮モルモ」の過去。ヒナに促されたモルモはとうとう、復讐者に身を落とす以前の過去を、話し始めた。

 

「あれは5年前──万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)と失楽殿(ダイモニオン・ソサエティー)が抗争してた頃の話よ」

 

 ◆

 

 純血の吸血鬼、盛宮モルモ。少し前までアビドス自治区に住んでいた彼女は、戦闘が趣味であった。そして人々の観察も、同様に趣味であった。

 しかしアビドス高等学校は、既に人数が少なく、砂漠化の影響で荒廃しつつあった。だから彼女は、多数の人間と荒れた校風に惹かれ、ゲヘナ自治区へ引っ越し、そのままゲヘナ学園に入学……。

 程なくして、彼女には親しい友人が2人できた。

 蛇の尻尾を持つ少女──通称・蛇尻尾のラミィ。純血の夢魔の生き残り──通称・夢魔のプーサン。

 戦闘が趣味であるモルモは、帰宅部でありながら風紀委員会に手を貸して好きな時に助力して暴れる傍ら、ラミィ、プーサンとつるみ、ギャルデビューしてしまう。

 そしてある日、ゲヘナ自治区から、お隣のハドマ自治区に遊びに行った時のこと────。

 

「くそっ、ザコザコのクセに!離せ!くそっ!」

「雑魚はそっちだろうがクソガキが!」

「あまり年長者を舐めんなよッ!?」

「やめて!レーちゃんを離してぇ!」

 

「……なぁんか、ガキ共が絡まれてんね」

 

「げッ。つーかあれ、ゲヘナ生じゃん。ガキ相手に何やってんの?相手、小学生2人じゃん。だっせ、情けなさすぎ……」

 

「ん〜……可哀想だしぃ、助けてあげる……?」

 

「面倒事はゴメンだから、あたしはパス。プーさん助けに行くん?」

 

「ん〜……数が数だしぃ……モルちゃんは?」

 

「トーゼン、助けに行くっしょ!ついでにアイツらボコれるしィ!?WRYYYYYYーーーーっっ!!!」

 

「「……行くかぁ〜」」

 

 小学生2人を囲むチンピラ集団に単身で突っ込むモルモ。見ているのも──と、ラミィとプーサンも彼女に続いて突撃し、ギャル3人組はチンピラ達をたちどころに処理してしまった。

 

「ふぅ、いっちょあがりィ!大丈夫?ガキ共!」

 

「ふ、ふん!あれくらい、どうにかできたもん!」

 

「れ、レーちゃんっ!──あのっ、おねーさんっ!助けてくれて、ありがとうございましたっ……!」

 

「良いッてコトよ、ちょーど暴れたかったし!」

 

「あたしは手助け程度だけどな」

 

「モルちゃんの付き添いだから気にしないでね〜」

 

「モル、お姉ちゃん?が助けてくれたんですね!」

 

「ええそうよ、深く感謝なさい!私は盛宮モルモ、あんたらは?」

 

「は、針村ルーシィ、です……!」

 

「……博愛レイコ。ホントなら、あんな雑魚相手なら勝てたのよ!今のは数が多すぎたの!!」

 

「はいはい。雑魚ってのは数が(・・・・・・・・)多くても雑魚なの(・・・・・・・・)。それに負けたレイコはその雑魚より弱いって事よ」

 

「っっ……うぇぇぇん……ルーちゃぁぁん……」

 

「も、モルお姉ちゃんっ!レーちゃんだって強いんですよ!今はたまたまチンピラさんに負けたけど、いつもなら……」

 

「いい、ガキ共?世の中はね、結果が全てなのよ。強い者が勝つんじゃない。勝った者が強いの。逆に言うなら、弱いから負けるんじゃない。負けた者が弱いの。辛くても、それが現実よ」

 

「ッ……」

 

「理解できなくても仕方ないわ、あんたらまだまだ乳臭いガキンチョだもの。これから理解していけばそれでいいわ。……そんじゃあ、そろそろ行くわね。あんたらも、気を付けて帰んなよ?」

 

「あっ……はい、ありがとうございました……」

 

「ッッ……モルお姉ちゃん!そんなに言うなら勝負!勝負して!!絶対、私が勝つもん!!」

 

「あっそォ。言っとくけど、私ィ……大人気ないよ(・・・・・・)?加減とか、期待しないでよ?」

 

「ジョートーじゃない!やってやるわ!!」

 

 結果はレイコの惨敗であった。当然だ、モルモは修羅の学園・ゲヘナ学園にて風紀委員会に助力して好き放題に暴れているのだから。訓練を経ずとも、実戦経験ばかりのモルモに、レイコが敵うハズなどありはしなかった。

 あまりに残酷な現実を突き付けられたレイコは、先程のように涙を流す余裕すらも無かった。

 

「ぐっ……こんな、強いなんて……」

 

「んじゃ、そろそろ帰らせてもらうわよー?」

 

「待って……!もっと戦いたい、強くなりたいっ!!私を、強くして!モルお姉ちゃんッ!」

 

「師弟関係的な〜?んまぁ別にイイけどぉ。んじゃこれから私の事は──『モル姉』とお呼びなさい!いちいち『モルお姉ちゃん』じゃ長すぎるし。あと私だけじゃなくて、ラミィとプーサンにも、色々と教えてもらいな?」

 

「……その2人も、モル姉くらい強いの?」

 

「んー……まぁ、別の意味で……ね♡」

 

「「……?」」

 

 その日から、放課後の特訓は始まった。

 レイコはモルモと違い尻尾を持っているものの、一応種族は吸血鬼であるという事から、種族由来の技能などはモルモに直に伝授してもらい、戦闘時の立ち回りや尻尾の扱い方はラミィに教わった。

 そして、夢魔のプーサンからは────。

 

「うふふっ、まさに『両手に花』ね……♡」

 

「はぁはぁ♡ んぐっ、はうっ♡ しゅごいよぉ♡ おまたの、奥の方♡ ぐちゅぐちゅ、あちゅくて♡ ジンジンすりゅうっ♡♡」

 

「レーちゃんっ、レーちゃぁんっ♡ やらよぉ♡♡ おまんこの、おぐぅっ♡♡ んぉっ♡ んぐっ♡♡ ほぉぉっ♡ イグッ♡♡ イグぅぅうッッ♡♡」

 

「ん〜良い反応ねぇ♡ 一度、こうやって妹以外のガチロリっ子、思い切り犯してみたかったの〜♡」

 

「……相変わらずプーちんはエゲツねーなー……」

 

「激しいようで、そのコのイチバン敏感なトコロを的確にエグッてくるあの手マン♡ あ〜ん、見てるだけで濡れてきた……♡」

 

「我慢しろよな。レイコとルーシィに『あんたらに大人の階段登らせてあげるわ!プーサンがね!!』なんて言ったのお前だろ?」

 

「んぅぅぅっ、ヤダ!もう我慢できないわ!ヤろ、ラミィ!!」

 

「ふざっけんな!お前の性欲は強すぎるんだよ!!付き合わされる身にもなれ!」

 

「ヤダ!犯す!!」

 

「ぎゃああああ〜〜〜ッッ!?」

 

 時には5人でラブホに突入し、乱交パーティにも似た爛れきった関係に至ったりなど。そして……。

 

「初めまして、2人共♪……お姉ちゃんの言う通り、美味しそうな2人……♡」

 

「私の妹、ライムって言うの。ルーシィの1つ上。2人のことを話したらヤッてみたいって言うから、連れてきちゃった♡」

 

 プーサンの紹介で、当時中学1年生のライムが、その乱交に参戦したりもした。

 特訓にエッチに、たまに食べ歩きなど、年の差をまるで気にしない楽しい生活が続いていた。しかしそんなある日────。

 

「……ごめん、2人共。私が雑魚だったから……」

 

 蛇尻尾のラミィ、夢魔のプーサン──共に抗争に巻き込まれ死亡。2人に逃がされたモルモだけが、辛うじて生還できていた。

 そして……この日以降、モルモは、年下の友人達に会うのをやめ、自分の能力を研ぎ澄ませ、敵の事を調べる事だけに時間を費やす、復讐鬼と化した。

 

 ◆◆◆

 

「…………あれからもう5年だってさ、レイコ」

 

「…………早いね」

 

「……私達との再会……モル姉、喜んでなかったね」

 

「……再会の仕方がクソだったもん」

 

「ハハッ。確かに、それはあるのかもね」

 

 アジトの屋根の上で、月光を浴びながら横になるレイコ。そこは彼女の定位置。吸血鬼は月光が好物なので、夜は、屋根によく居る。

 幼馴染故にそれを知っているルーシィは、部屋に居ないレイコを探して屋根にやってきていた。

 そしてレイコの横に横になり、血のように赤くて丸い満月を眺めながら、あの時(・・・)の回想に耽る……。

 

「……モル姉達、遅いね」

 

「……うん……遅いね」

 

「最近忙しいって言ってたし今日は久しぶりにって思ってたのに……」

 

 いつもの集合場所で、2人が幾ら待っていても、モルモ、ラミィ、プーサンが現れる事は無かった。

 そして陽が沈む頃────レイコ達も遂に諦めて帰ろうとしたその時、集合場所に、涙と鼻水で顔がぐしゃぐしゃになったライムがトボトボフラフラとまともではない様子で歩いてやってきた。

 

「どうしたの……?」

 

「どうしたのライムッ!?何かあったの!?」

 

「……た」

 

「え?なにっ?なんて言ったの?」

 

「聞こえないよ!吸血鬼(地獄耳)なのに!」

 

「……おねーちゃんたち……死んじゃったぁ……」

 

 ぽそりと、しかし今度はハッキリと2人も彼女の言葉が聞き取れた。

 頑丈なキヴォトス人、しかし「死」は存在する。この2人も小学生とはいえ高学年故か「死」という概念自体は知っていたし、理解もしていた。

 だからこそ、ライムの言葉が理解できなかった。

 

「……死…………え?」

 

「誰が……?」

 

「おねーちゃん……と……ラミィ、おねーちゃん……」

 

「モル姉は!?まさか、モル姉もっ……」

 

「──モルお姉ちゃんは、お姉ちゃん達を────おうちまで……運んで(・・・)、きてくれた……」

 

「「……ッ!?」」

 

 この時代のゲヘナ学園は、抗争中であった。

 万魔殿と失楽殿の銃撃戦からそう遠くない所を、3人がたまたま通り掛かった。モルモ達は万魔殿の構成員かと、一員なのかと、殺気立っていた失楽殿構成員に疑われ、強襲に遭った。

 当然逃げようとした3人だったが、包囲されて、どうにも逃げられない状態だった。だからモルモは応戦しようとした。しかし2人は、血路を拓いて、モルモを逃がした。

 命懸けの行為にモルモは2人の覚悟を汲み取り、その場から逃げた。

 後から現場に戻ってみれば、原型を留めぬ2人の亡骸が血の水溜まりの中に沈んでいた────。

 

「……し…………死ん………………」

 

「誰が、そんな事、したッてのよ……!!」

 

「ゲヘナの、生徒会に楯突いてばかりの、失楽殿?みたいな名前の組織……だって……」

 

「「…………ッッ!?」」

 

 その日────2人は誓った。失楽殿を潰すと。その存在全てを否定し消し去ってやろうと。そして自らが最強に至るまでの踏み台にしよう、と。

 しかしその矢先、ある日を境に失楽殿が消えたとゲヘナ中で話題になった。その話題はゲヘナを超えハドマにまで轟く。

 誰が失楽殿を潰したのか?モルモか?一旦逃げたモルモが逆襲したのか?──様々な候補はあったが明確な答えは出なかった。

 ──それからしばらく時が流れ、ハドマ学園にて

「ダイモニオン・ソサエティー」と名乗りを上げた組織が発足、ハドマ学園の生徒会と争いになるが、よほどその組織は生徒の心を惹き付けたのだろう、争いが激化する事はなく平和に生徒会が交代した。

 ライムは夢魔である。理性を溶かす「魅了」など使わずとも、人の心に取り入るのが極めて上手い。だから彼女はそれを利用し、中学生でありながらも初期のダイモニオン・ソサエティーメンバーに深く取り入り、情報を得た。

 だから、そこからルーシィ達はハドマ学園生徒会

「失楽園」こそ「失楽殿」の後釜の組織であると……失楽殿の後輩が発足させた組織なのだとモルモさえ知らなかった情報を得て、知っていたのだ。

 

「とうとう来たわね、レーちゃん」

 

「うん。入学した(来た)よ、ルーちゃん」

 

 そして今年の春──3年生に進級したライムと、2年生でありつつ副会長の座に就任したルーシィと新入生のレイコが、遂にハドマ学園で揃ったのだ。

 

「……ライムは?」

 

「私と同じく生徒会に潜入済み……だった(・・・)」

 

「過去形?」

 

「色んな子とハメ外しすぎて会計クビになった……。相変わらずよ、ライムは……」

 

「あはは……でも、相変わらずで何よりだよ……」

 

「まぁ確かに相変わらずなんだけどね」

 

 現在の失楽園に「会計」が居ないのは、ただ単に新任が決まらないだけである。新入生の入学直前にライムは会計をクビになり、空席のままで現在まで来てしまっているだけだった。

 会計分の働きもルーシィが行う事で、議長であるリエの信頼を得ていった──といった、良い面での効果もあるにはあるのだが。

 

「それで、人手は?」

 

「当然、確保済みよ。私が副会長に当選したのも、手下に投票させたからだし」

 

「じゃあ……作ったんだね。ルーシィの組織を……」

 

「私達の、ね。総長は私、でも副総長はあなたよ」

 

「っ!?ライムは?」

 

「幹部第1号よ。生徒会の会計クビになっちゃうんだもの、副総長には不向きよ。まぁ、人数集めにはかなり貢献してくれたけどね」

 

「あははっ、ライムは夢魔だもんね、その辺は得意だよね。……わかった。やるよ、副総長」

 

「ええ、任せたわよ。飂熾冘巫髏(ル・シュ・フェル)の未来も……!」

 

「……名前ダサッ……マジでその名前にしたの?」

 

「えぇ〜っ!?ハドマ生徒会に復讐するって決めたあの日に、2人で考えた名前じゃないっ!」

 

「それはさぁ!小学生のノリと勢いじゃん!?もう高校生だよ!?」

 

「そんなぁ〜……トリニティからハドマに堕ちてきた私にピッタリだって言ってくれてたのにぃ……」

 

「……そんな気に入ってんならいいよ、それで」

 

「ホントッ!?いいの!?」

 

「その代わりッ!復讐を果たした上で、私が最強に登り詰めるまで!ルーちゃん──飂熾冘巫髏には、付き合ってもらうわよ!覚悟しなよね!」

 

「ッ!ええ、もちろん!最強になるまで、いいえ、最強になっても!私達は一緒よ!……ライムもね」

 

「そーね!……ついでに、ライムもね!」

 

 ◆◆◆

 

「……レイコ、何考えてる?」

 

「……多分、同じ事」

 

「……」

 

「……」

 

「屋根(ここ)に来る前──ライムから連絡があったわよ。モル姉、切り込み隊長とD.U.に帰ったって」

 

「じゃあ……決戦だね」

 

「うん」

 

「私……勝てるかな。空崎ヒナに……」

 

「勝てるよ。モル姉、半日も居なかったんだから、今の仲間に私達の弱点とかを教える時間は無いよ。だから、レーちゃんも、勝つんだよ。──万魔殿を乗っ取ったら、援護に行くからね」

 

「タイマンが良いんだけどな……」

 

「それで負けたら話にならないけどね」

 

「…………。はぁ……頑張ろ」

 

「頑張って。私も、頑張るから」

 

「うん。……ありがと、ルーちゃん」

 

 数時間後、太陽と共に訪れる決戦の日。まさしくゲヘナ学園の運命が左右される日である────。




次回────ゲヘナ大戦争

念の為にR-18タグをつけました。
今後の為にも。
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