※この作品はR-18です。

「先生!もっとあたしらに構って!」   作:アキラゼミ

119 / 185
第12話:かくあるべし

 

「────さっすが、ずっと七天魔に君臨し続けた3年生。戦闘の運びが悪くない。手馴れてる感じ。折角、リエをワンパンしてやろーと力(コスト)を溜めさせたのに、逆にスズをワンパンしちゃうし」

 

「戦闘に慣れているのもあるかもしれませんが──まぁ、リンコさんとはクラスメイトですしね」

 

「そりゃ普通よりあるよねー、コンビネーション☆ まぁ最近のリエは昔より少しトロいけど」

 

 リエのEXが終了した事で氷塊が蒸発していく。その蒸気を手で払いながら、へらへらと口角を上げ軽口を叩きながら、スタスタと歩いて距離を詰めるレイコ。

 リエとリンコの2人は、決して油断することなくそんなレイコを見据えつつ、すぐに退避できるよう身構えている。

 

「あーあ、スズやられちった。私1人で上位2人の相手すんのかよー、打たれ弱いなぁ羽虫ィ……」

 

「そしてもうじき、戦闘開始から100秒です」

 

「レイコは100秒がリミットだもんね」

 

「リミット迎えたらアンタら道連れにして、私だけ生き残ってやるよ。戦闘なんてのは最後に立ってたヤツの勝ちなんだから。リミットどころかボーナスタイムだっつーの。……どーする? 降参する?」

 

「……リンコさん」

 

「うん。リミットまで……3、2、1──」

 

 レイコのEX暴発タイムまで残り0秒。すなわち戦闘開始から100秒が経過した事を示していた。

 しかし、目の前の彼女はあっけらかんとした顔、いや、フンスとドヤ顔で目の前の2人を見ている。口にせずとも「どうだ?」と言っているのが分かるくらい、清々しいまでのドヤ顔だ。

 

「……リミットが何だってェ?」

 

「ッ──!? まさか……」

 

「克服した!? レイコの弱て……」

 

「そうッ! 私の弱点! ギアが上がりすぎると、歯止めが効かなくなる事! それを克服したッ!! これで私は名実共に──最・強……よ」

 

 これまでもレイコが最強だった。言うまでもないくらい、誰が言うでもなく、誰もが無意識に順位の最上位にレイコを位置付けていた。

 レイコは常に自身を「最強」と言って憚らない、しかしそのレイコが真に「最強」であると、遂に、行く所まで行ったと察してしまったリエは震え──リンコはフルフルと唇を震わせながら笑う。

 

「『Desperate Assault(EXスキル)』ッッ!!!」

 

「任せたよ、リエっ☆」

 

「『大紅蓮地獄(マカハドマ)』ッッ!!!」

 

 再び放たれるレイコのEX。校舎のヒビは深まり地面すら唸り声を上げる。レイコがEXを使用する気配を察知したリンコは一足早く退避。

 リエのEXで生み出された氷山がレイコによって粉々に破壊され、相殺されてしまう。

 

「……ちっ、タイミング見計らうの上手すぎ……」

 

「いいですかレイコさん。『奥の手』というものは往々にして、先に見せた方が負けるものなのです。しかし、ただ出し渋るのでは負けるばかり。要は、ジョーカーを切るタイミングの問題なのです……」

 

「……残念ね、リエ。それ、敗北者の思考よ」

 

「ッ!?」

 

「それはどうかなっ!?」

 

『どうかな☆』

 

 力を使い切り消耗したリエに銃を向けるレイコ。しかしその間にリンコとアンドロイドリンコが盾になるかのように割り込み、立ち塞がる。

 

「邪魔よリンコ共。──いい、リエ。世の中には、出し得の技ってモンが存在すンのよ。タイミング? そんなモン、戦車が海に沈められている事を知って海洋汚染だッて嘆くくらいまるで無意味で無関係。だって、要は────勝てばいいんだから♡」

 

 瞬間移動でもしたかのように姿が消える。

 目では追えない急加速、リエはリンコに警戒するようにと声を飛ばすが警戒の意味は無かった。既にレイコは、両者の射程外──尚且つ自分の射程内に2人を収めていたから。

 

「失礼ッ!」

 

「あ、ちょッ!?」

 

「『失礼』つったでしょーがァッ!!」

 

「ああっ……」

 

 アンナのSRを強奪したレイコ。そのまま一気に校舎の壁を登るとリエとリンコを圧倒的「上」から見下ろし、SRを放つと共に壁を蹴り強襲────先に放たれたSRの弾丸により体勢を崩されていた2人は、そこを突かれて、懐に忍ばせていたらしいスズのSMG2丁にて蜂の巣にされてしまった。

 

「ふぅ。いっちょ上がりィ♡」

 

 ◆

 

 こうして戦闘は「特別枠不要派」が勝利を収め、結局、アスカやヒトデのようなヒーラーを、特別枠として設置するという話は、レイコ達の勝利を以て白紙に戻った。

 よって、七天魔に入りかけたヒトデは一般生徒に逆戻り。七天魔は現在6人──誰か、追加の人員を募集する事になった。

 

 そうして集まったのがシエル、アンナ、ライム、ルーシィ、サラ、レイア、レイラの7人で、今度はこの7人で総当たり戦をする事に。

 バトルロイヤルにしなかったのは、校舎などへの影響を考えての事もあるが、下手に大人数で動くとルーシィが口で他の者を操らないか、と懸念されたからである。

 

 そんなの杞憂だろうが、ルーシィの口の上手さはリエもレイコもよく知っているし、何よりルーシィ本人すらそれを否定しなかった。というよりかは、否定できる状況じゃなかったのも大きいだろう。

 本当なら七天魔に志願する事すら烏滸がましいと言われるだろうが、そこは実力派のハドマ学園だ。敢えて多くは語るまい。

 

 順当に勝ち抜いていくレイア、レイラ、サラ──勝ち点はおおよそ同等だ。そして直接対決の結果、サラ、レイア、レイラ(以下省略)で順位が確定。

 ここに、新規七天魔メンバーに清川サラが確定。奇しくも、「特別枠」など設置しなくとも「戦えるヒーラー」が七天魔に入る事になった事でヒトデ、テンコの望みが叶えられたのであった。

 

 そこから更に話は進み、今一度、七天魔としての在り方を見つめ直そうという事になった。要するにこれまでのように「上位7人」というだけではなく

「明確に格付けしよう」という話だ。

 

「──この私がトップなのは当然として、他に順位あやふやなヤツ、居る?」

 

「リンコ先輩とリエ議長くらいじゃないですかね? よーいドンの戦いなら多分、十中八九スズ先輩より強いのは分かってますけど。逆に言えば、それしか分かりませんし」

 

「あ、それなら私が強いよぉ。盲目になった直後の私ならともかく、盲目に慣れた私、ましてや義眼も装備した私だったら……リエに私は倒せないよ☆」

 

「ですわね。2番手は戦うまでもなく分かります。リンコさんでしょう」

 

「リエさァ〜……少しは負けず嫌いになれば?」

 

「誰しもレイコさんのように強さを求めているワケではないのですから、負けず嫌いになっても無意味ですよ。それより、ルビーさんからサラさんまでの順位が気になりますね」

 

 サラが最下位なのは言うまでもない。経歴を見て初めて判明した事だったが、実はサラはこれまでも七天魔に立候補していたものの、今回が、初めての七天魔入りだったようなのだ。

 自分から七天魔を抜けた、かつてのテンコよりも下位である。つまり残る疑問は……。

 

「ルビーとテンコのどちらが強いか……か〜……」

 

「「私が上では(じゃないの)? …………はい(あ゙ん)?」」

 

 大真面目な顔で2人は声を揃える。どうやら2人揃って自分が上だと認識しているようだった。

 導かれるようにして2人は外に飛び出し、そして号令も無く戦闘を開始──僅差ではあったものの、体力や身体能力に優れるルビーが上回り──見事、勝利を収めた。

 こうして、新七天魔が確定したのである。

【挿絵表示】

 




キャラ同士の身長差、割としっかり合ってます。
ルビー、ちっこいですね。

ちなみに戦車が海に沈められてるというのは実際に起きてる事です。サンゴ礁や魚の産卵場所として、そして海底公園や観光資源として活用してるとか。
私の頭では思いつきませんわ、そんなん……。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。