「先生!もっとあたしらに構って!」 作:アキラゼミ
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翌日──連絡をくれた「星井ヒトデ」なる生徒に会う為、約束の時間よりも少し早めにハドマ学園に向かった。
待ち合わせ場所は保健室。健康保全部の副部長を務める2年生で、吸血鬼(元飂熾冘巫髏)ながらも真面目に活動しているらしい。
解散したとはいえ真面目に活動するような子だ。飂熾冘巫髏に加入していたのも、リンコやテンコのようにお金目的だったのかもしれない。もしくは、レイコに逆らえなかったとか──なんにせよ、邪な思いで組織に所属していたのではなさそうだ。
アロナによるとリンコやテンコなどを迎えた時のガチャでひっそりヒトデの事も迎えていたらしい。シッテムの箱での記録を見るに、ヒトデは☆3生徒じゃないから──と言ってしまえばそれまでだが、迎えていたにも関わらず見落としてしまっていた。全く、情けない話である。
ちなみに、それに気付いてからは即座に育成し、固有武器も☆3まで解放済みである。こんなんでも私は先生だからね、仕方ないね。ちなみに、他にも何人かそういう生徒が居た。……面目ない。
「はーい、並んでくださーい! 並んでー!!」
「……ん!?」
学園に到着すると、目的地である保健室にやたら人が押し寄せているのが目に入る。しかも見た目で判断するに、吸血鬼の生徒だけの集団らしかった。
並んで並んでと繰り返し声を掛けている生徒は、白ナース服、青髪のサイドポニー、ネコ耳に加えてネコ尻尾も生えた、吸血鬼っぽい翼を持つ生徒──事前にシッテムの箱で確認していた通りの特徴だ。
「こんにちは。君が星井ヒトデ、で合ってる?」
「えと、シャーレの先生ですか? お話はあとで。とりあえず、まずこのゴタゴタをどうにかするのを手伝ってくださいっ……!」
「分かった! えっと、ヒトデ。どうにかってのは具体的にはどうすればいいかな? 並ばせる感じ?」
「星井でいいです。えーと、とりあえずテキトーに並ばせてください、私は配給の準備するので!」
「わ、分かった!」
ヒトデはかなり幼い容姿をしている。それこそ、11歳のココナちゃんやイブキと遜色ないくらいに。頭身は低いし、ある程度成長した少女達に見られる身体的特徴なども見受けられない。恐らくは、他の吸血鬼の生徒よりも一回り幼く見える。
少なくとも、ハドマ最強吸血鬼であるレイコより極めて幼い。なんなら、レイコの身長がずっと高く見えてしまう認識のバグが発生している。
だからか、見た目で舐められてしまうのだろう。ヒトデが声を張り上げても吸血鬼の生徒達はあまり意に介さない様子だったが、私が声を掛けるだけである程度はキチンと並んでくれた。
「次の方、どうぞー」
「やった、やっとだぁっ!」
「んふふっ、そろそろ私だぁー♪」
(この子達は何を待ってるんだろう……)
そして、何を「配給」しているのかと保健室内を覗いてみれば──例のトリニティ
保健室内は、薬品の匂いは殆どせず、鉄──いや血の匂いで充満していた。
◆
「────はぁぁ〜……疲れたぁ……」
「お疲れ様。もう配り終わったんだね」
「そうれすよぉ……私の分なんかちょっとしか……」
「……。謝肉祭での献血からしばらく経ってるけど、何かあったの?」
「え? 病原菌とか混ざってないかとか、不純物の除去だったりとかも色々検査してたんです。色んな種族の血が混ざってるので、ちょっとまずったって思ったんですけど……」
「そうだったんだね。……もし良かったら、私の血、飲んでいいよ」
「……ふにゃっ!? い、いやでも! そんな……」
「ルビーやレイコは、よく私の血、飲んでるよ?」
「ッ!? 美容に気を付けてるからとろくに他人の血を吸わないルビーに、ワガママ女王のレイコ!? そんなバカな……!!」
「そんなに驚く事……?」
「だって、よりによってその2人なんだもんっ!! 私だって飲みたい……飲んでみたいぃ……っ」
「いいよ、おいで。飲んでいいよ」
「〜〜〜〜〜〜ッッ……いただき、ますっ……」
私を椅子に座らせ、首に手を回すようにして私の首を固定したヒトデは、頸動脈に牙を突き立て──ちゅるちゅると血を吸い始めた。
なおその時、ゴロゴロゴロ……と喉を鳴らしていたヒトデであった。