※この作品はR-18です。

「先生!もっとあたしらに構って!」   作:アキラゼミ

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第2章:最強は斯(か)くあるべし
第13話:接触


 

 レイコがこの世を去った日の夜────。

 事件を解決するまでシャーレに帰る気になれず、屋上に寝転がった。沈む心とは反対に、嫌味な程に明るい星空を見下ろし、眉をひそめ、溜め息一つ。

 普段なら、星空の美しさに対しての溜め息だっただろうが、今は違う。何にも思い通りにできない、そんな自分への苛立ち、情けなさ、やるせなさなど列挙しきれない程の負の感情が、心の中でとぐろを巻いている。

 

 ふと、ズボンの中でスマホが震えた事に気付く。凄まじい数のカヤからの着信、モモトークの通知。トーク画面は開かずアプリだけ開くと、サツキだけ飛び抜けて凄まじい通知の数になっていた。

 

 何故だろうと疑問に思っていたが、そうだった、資料をスキャンして送ってほしいとお願いしたのは私だった。山を作る程の膨大な数の資料だったのにあんな去り際のお願いを聞いてくれたらしい。

 今はまだ資料を見る気になれないが、後で必ず、目を通すことにしよう。

 

 生徒達や人工天使4姉妹に、ゲマトリアの面々、アイン達に、モモトークで「出張が長引きしばらくシャーレを不在にする」という内容を一斉送信。

 間もなく、様々な生徒から返信が来た。

 

 シロコとシロコからは、気晴らしに自転車乗りに行こうという、双子のように息ピッタリな返信が。送信時間が1分単位で一致している。アプリに表示されないだけで、秒単位で一致しているんだろう。

 ホシノからは、終わったら一緒にお昼寝しようといつも通りマイペースでのんびり屋さんな返信が。彼女にはメンタルケアをお願いしたいところだ。

 

 ミカからは、いつ終わるのかという問い掛けが。私だってそれが知りたい。

 セイアからは、私の身体を気遣うような返信が。まずは君自身の身体のことを考えてほしいが。

 ハナコからは、またセックスしないと出られない部屋に閉じ込められたのか、今度はどこの誰と──という揶揄うような返信が。前はハナコとだったが今回は閉じ込められていないよ。

 

 ルミとフウカからは、まともな食事をしているか確認・心配するような返信が。先日食べたアスカの野菜ラーメンの写真を送って、安心させておこう。不安にさせておくのは良くない。

 ヒナからは、仕事ばかりで精神を削らないようにという、心を気遣う返信が。君がそれを言うのか。

 イオリからは、ヒナのようにワーカーホリックになっていないかを心配するような返信が。膝枕でもお願いしたいところだ。

 

 ナツからは、仕事というリアルに没頭するあまりロマンを蔑ろにしないように、という忠告が。この独特の雰囲気は流石だ。

 クルミからは、護衛の必要は無いのかと心配するような返信が。護衛は……欲しいが、今はいい。

 ノゾミとヒカリからは、その出張が終わったなら気晴らしに列車旅行でもどうか、というお誘いが。また、夕日に照らされた君の横顔を眺めていたい。

 

「……頑張るしかないな」

 

 どうやら、まだまだ私は死ねそうにないらしい。

 

 ◆

 

 翌朝。冷房を効かせた保健室にて、レイコの頭を撫でる。私の知っている「死体」とはまるで違う。サラは肉体、テンコは服を縫合したらしく、やはり眠っているようにしか見えない。言い方は悪いが、まだ「処理」してもいないのに死臭などもせず。

 

「……眠ってるだけでしょ?」

 

 手首に触れる。やはり冷たく、脈動は無かった。当然だ、心臓を刃物で貫かれたも同然なのだから。私のような普通の人間は勿論、キヴォトスの民でもそれはダメらしい。

 

 ナルコ──ナルミは矯正局に送られるべき行いをしてしまった。

 監獄に入れられて当然の所業。だが、私が彼女の青春を奪ってしまっても良いのだろうか──という葛藤もある。

 レイコの青春を、命を奪ったのだから、当然とも思わなくもないが、本当にそれでいいのか。昨日は勢いであんな事を言ってしまったが、本当にそれでいいのかなど、悩みは尽きない。

 

「……じゃ、いってきます」

 

 冷たくなった彼女の頭を撫で、保健室を出る。

 泣いても喚いても、時間は前に進む。戻れない。私もこの事件を解決する為に、前に進まなくては。

 

 ◆

 

「────よォ、先生」

 

「やぁ、ナルコ。いや……ナルミでいいのかな?」

 

「今のアタシはナルコだが、まぁ、好きに呼びな。てか馴れ馴れしいな。レイコの仇だろ、アタシは」

 

「憎しみで動いても意味無いって思い出したから。先生もね、教えるばかりではなく『学ぶ』んだよ」

 

「ほォ?」

 

「『歴史のお勉強』、してきたよ。君が天使を排斥したいと願う理由も……ちょっとだけ、察せたよ」

 

「!」

 

 ピクリと眉を動かす。

 

「ハドマ学園はかつてゲヘナ学園と姉妹校だった。だけど、元トリニティの生徒が流入してきてから、流れが変わった。その生徒がハドマで議長となり、ゲヘナとの絶縁を宣言──結果、ハドマはゲヘナに置いていかれ没落。だけど、ハドマが好きな君にはそれが耐えられなかった。だからハドマから天使を排斥する事で、没落以前のハドマに戻したかった。違うかい?」

 

「…………そうだ。点数にすると、59点って所かな。ギリ赤点だな」

 

「『そうだ』って言う割に点数は低いね」

 

 ハドマ学園の試験って、赤点ライン59点なのか。60点以上じゃないとダメだなんてそんなまさか──ちょっと変な汗が出るな。

 

「アタシが飂熾冘巫髏に加入していた理由がまさにそれだからな。ゲヘナとの関係を昔に戻すどころか併合すれば、それに耐えられない天使共は、自ずと旧ハドマ学園から出ていく。アタシが余計な事件を起こす必要は無かったんだ。それなのに……」

 

「ルーシィが飂熾冘巫髏を解散させたからね」

 

「そうだ。アタシの思想とは少々ズレがあったが、近いものはあった。だから加入していた。アタシの力でも可能ではあるが、楽できるならそれがいい、そう思っていた。まっ、飂熾冘巫髏には、アタシの私怨はどうにもできない。だから私自ら動く事で、その『59点』を『100点』にしてやるんだよッ!」

 

「私怨? 天使を追い出す事で、ハドマ学園を昔に戻すのが目的じゃなかったの?」

 

「それもある、が、少し違うな。59点と言ったろ。天使を追い出してハドマ学園を昔に戻す、なんて、所詮はもののついでだ。主目的はあくまでアタシの怨みを晴らすことなんだよッ!」

 

 木刀を取り出して構えるナルコ。ここには私しか居ない、つまり彼女の攻撃対象は私だと分かる。

 木刀で鉄筋コンクリートすら破壊する攻撃を私にぶつけるつもりらしい。だが、私はまだ死ねない。死ぬワケにはいかない。どうにか彼女を止めねば。

 

「聞かせてほしい」

 

「……は?」

 

「他人に打ち明ける事で、少しは気が楽になるよ。心も軽くなる。その『怨み』、1人で抱えなくてもいいんだよ」

 

「聞いてどうする。手伝うつもりもないクセにな。和解の手助けをする──とでも言うつもりか?」

 

「だとしたら?」

 

「とんだお笑い草だな。お前なんかに分かるまい! 幼心を裏切られた──よりにもよって憧れの存在に裏切られた時の、ナルミの気持ちは! アタシは、その時のトラウマが原因で生まれたんだよッ!!」

 

 木刀を背中にしまうと、腕を組んで目を閉じる。

 2、3秒程度で目を開けると、ナルコではなく、ナルミが表に出てきていた。彼女達の人格交代は、こういう事なのか。

 ナルコはまさに「目にするもの全てが敵」とでも言わんばかりの、極めて刺々しい攻撃的なオーラを纏っている。

 しかし、ナルミはどうだろう。目の前の彼女は、至って普通の少女だ。笑顔さえあれば、天真爛漫なただの美少女だというのに……。

 

「──私は昔、天使になりたかったんです」

 

「……へ?」

 

「新雪のようにフワフワな翼、高貴な者特有の優雅な佇まい、マシュマロのように清廉潔白な精神性。何も知らない子供から見て憧れない方が無理です。殆ど誰も彼もが『カッコイイお姉さん』ですから。弱いものイジメをするようなその辺の雑多な悪魔と違って、本当にカッコよくて……」

 

「じゃあどうして排斥なんか!」

 

「その『カッコイイお姉さん』が、雑多な悪魔達と同じ低俗な遊びをしていたら? もし先生が私ならそれを見てどう思いますか……?」

 

「………………ちょっとガッカリする、かな?」

 

「ちょっとでは済みませんよ! 憧れの存在からの裏切り行為だなんて、幼児が心を壊すに値します。自分の信じたものが幻だったんだと、現実を知る位だったらまだいいです。ですけど! もし、正義の味方が悪党と同じ事をしてたら……ッ!」

 

「天使の子が、何をしてたの?」

 

「──実は私、昔、といっても小学生の頃ですが。悪魔の子に力が弱いどうこうってイジメられてて。でも、それを助けてくれたのが天使のお姉さんで。それはもう救いの女神のようだったんです、足蹴にされていた私に手を差し伸べるどころか、歯向かう悪魔の子を華麗に返り討ちにしたんです。今思えば中学生くらいの子が小学生を暴力でワカらせたってだけなんですけどね。ですがとにかく、当時の幼い私にとってはまさに『憧れ』そのものでした……」

 

「……その子が、『低俗な遊び』をしていた?」

 

「あぁいえ、多分全くの別人です。でも当時の私の憧れはあのお姉さんだけでなく『天使』そのものに向けられていましたからね。覚えはありませんか? 個人・個体ではなく、全体に憧れる……ってこと」

 

 理解できるような、できないような。身に覚えがあるような、無いような。即答できかねるものの、全く理解できないと言えるものでもない。むしろ、どちらかと言えば理解できる寄りかもしれない。

 

「当時の私にとっては、目の前が真っ暗になる程の衝撃でした。なんたって私にとって『天使』とは、高潔で、清純で、悪を打ち倒す正義の味方であり、最強でなくちゃならないんです。なのに、なのに! 私のことをイジメてきたあの悪魔の子と同じように天使の子が悪魔の子をイジメていたんですよッ!! しかも、よりによって複数人で1人を! そんなの絶対に違う、そんなの『最強』がやる事じゃない! 違う違う違う違う違う、絶対に違うってッ!!」

 

 人は悪魔からイジメられて、その悪魔は天使からイジメられる。人はその3種族のピラミッドの中で最下位に属していて……。頭が痛くなる話だ。

 

「気が付いたら、その天使の子達は血塗れで倒れていました。私を見る悪魔の子の顔は酷く怯えてて、私の両手は赤黒く染まっていた。──あの瞬間が、ナルコの誕生の瞬間だったと、私は思っています」

 

 つまり、自分を助けてくれた天使のお姉さんと、身近に居た天使の子で、同じ「天使」というだけで同一視しており、しかし別人であるが故に呆気なく解釈違いを起こし、脳が破壊されたと……?

 

「──それからというもの、私は、イジメが起きていないか周囲をパトロールして、見掛ける度に対処するようにしていました。言わば、自警団のようなものかなと……」

 

「それは……良い事じゃないか」

 

「でも、ダメだったんです。そもそも私は非力で、それ故に、悪魔の子にイジメられていた。イジメを見掛けた私にできた事は、その子の代わりに、私がサンドバッグになることだけでした」

 

「っ!」

 

「助けを求めることはしませんでした。そんなの、私の理想と違っていますし。先生はご存知ですか? イジメというのは飽きるまでやらせておけば勝手に終わるんですよ。私はそれを待ったんです」

 

「飽きたら終わるって……それは、そうだけど……」

 

「悪魔の子なんかは飽きるまで早いんです。後から知ったことですけど、悪魔の子って反撃が欲しくてイジめるみたいなので。逆に、天使の子は、反撃が欲しいのではなく自分の鬱憤を晴らしたいだけの事が多いから『飽きるまで』が長いんです」

 

 悪魔は構ってちゃんで、天使は捌け口を求めて、他者をイジめるということか。いや、悪魔の方は、イジめているという自覚すら無く、まさに「遊んでいるだけ」なのかもしれない。

 尤も、セイアも言っていたが、こんなのはまさに傾向の話でしかなく「悪魔(天使)だから構ってちゃん(捌け口を求めてる)」と決め付けるのは早計だろう。

 

「──そうやってサンドバッグになり続けてやっと気付いたんです。『悪魔は遊び相手を求めていて、天使は理由を付けて他者を虐げたいだけだ』って。神話に登場する神や天使だってそうですよ。試練と称して、何にも悪くない人間を虐げて、殺してる。キヴォトスの天使はまさに神話の通りの天使です。悪魔の方が、よっぽどマシだった……」

 

"でも君はその「天使」に助けられたんだよね"

 

「ええ、だから憧れもしましたし尊敬もしました。でも実際は悪魔も天使も変わらなかった! 理由は違えど、他者を痛め付けている事実は変わらない! それだったら遊び目的だと分かる悪魔の方が幾分かマシですよ、少なくともアイツらの目的は弱いものイジメじゃなかったのは確かなんだから!」

 

"ならその子(天使)はどうして君を助けたんだろうね"

 

「……? はい?」

 

"本当は、君も分かってるんでしょ"

 

"天使だから排斥するのは違うって……"

 

"天使に味方するから殺すのは違うってさ"

 

「ッッ!!!」

 

"君は、止まれなかったんだよね"

 

"憧れた「天使」の子がイジメをしていて……"

 

"そんなの理想と違うって、認めたくなくてさ"

 

"……つまるところ、君は"

 

"勝手な理想を無関係の子に投影して──"

 

"勝手に喜んで、勝手に失望して──"

 

"勝手に怒って、勝手に騒いで──"

 

"自分が嫌ってた子と同じような事をして──"

 

"結局、自分で自分を苦しめているんだよ"

 

「……自分で……自分、を……?」

 

「2年前、ナルコの手によってリエは翼を失う事になった。だけど、そのリエは、クラスメイトであるナルミと、普通に接してくれていたんでしょ?」

 

「っ!」

 

「トラウマになる程の傷を抱えていれば、目付きや雰囲気が違うだけのナルミの事も避けたり嫌うのが普通だよ。なのにリエは、そうはしなかったよね。リエは割り切り上手──違うそんな次元じゃない。同じ顔だろうとナルコはナルコ、ナルミはナルミ。血を分けた双子だろうと別人。完全に別物なんだと認識した上で、クラスメイトとして君に接してた」

 

「それは……で、でもっ」

 

「──君が天使の子に『裏切られた』と感じたのと同じように、リエもまた、君に『裏切られた』って感じただろうね。しかも君の場合と違ってナルミとナルコは同一人物なんだ、正真正銘の『裏切り』になっているよね」

 

「────!!」

 

 嫌っていたハズの者達と全く同じ事をしている。

 そう伝えると、ナルミはハッとしたような顔に。次いで、涙を流しながら、その場にヘナヘナ力無く座り込んでしまった。

 声を上げて泣き喚くこともなく、ただただ呆然と虚ろな目でどこかを見ている。その視界の中に私の姿はあるのだろうか。

 

「──それで、どうして『ハドマを昔に戻そう』としていたの?」

 

「それは、ナルコがカッコつけて言っただけで特に深い意味は──。ただ、レイコさえ倒した上で宣言しちゃえば、なにも天使全員を倒したり傷付けたりしなくとも、自分から出てくだろうからって……」

 

 飂熾冘巫髏に加入していたのは、ゲヘナ学園との併合を掲げていたから。仮にそれが叶えばナルミの理想の「天使が自ら身を引く」が叶うはずだった。大抵の天使はゲヘナに身を置きたくないからだ。

 しかしそれが叶わなかったので、今度は自分から動く事にした……と。

 

「……どうして、レイコを?」

 

「アレは私の意思じゃなく、ナルコの意思で……」

 

「じゃあナルコと話をさせてほしい」

 

「で、でもそれじゃ、先生が危……」

 

「自分の身は、自分で守るよ。大丈夫だから」

 

「…………はい……」

 

 ゆっくり、しかし怯えの色が隠せない様子で目を閉じる。数秒後、ハッとしたように目を覚ますと、既に彼女の目付きは見る者を全て傷付けんばかりの研いだ後のナイフのように鋭い目だった。

 

「『どうしてレイコを』、か。決まってんだろう。アイツが『最強』だからだよ」

 

「?」

 

「分からないか? ハドマは、実力主義の学校だ。そんな環境で『最強』が打倒されてみろ。ビビりな連中は揃って尻尾を巻いて逃げ出す準備を整えてるだろう。誰よりもレイコの強さを見て知っている、かつて飂熾冘巫髏だった連中は特に、な」

 

「……」

 

「圧倒的な最強が敗れ去った。私は、天使の虐殺を宣言した。──もう、バカでも分かるだろ。私には天使を殺せるだけの強さがあると。実際にレイコを殺せば、アタシの実力が皆に知れ渡る。こうすれば実際に天使を殺さずとも天使共を追い出せる、と。そう考えたんだよ」

 

「じゃあ、あの子は、君の強さを具体的に示す為に殺された──とでも言いたいの…………?」

 

「寧ろ、それ以外に何がある?」

 

「────ッッ!!」

 

「アンタの言う通りだよ、先生。アタシは逃げた。レイコとの、『最強』との戦いから逃げたんだよ。でも、逃げてもいいだろ? 正面から戦う事だけが戦闘行為じゃあない。そんな事をするのはバカだ。目的さえ達成できるなら、それ以外どうでもいい。目的の為には手段を選ばない──それが私であり、ナルミなんだ」

 

「……卑劣だとは思わないの?」

 

「思うね。だがその卑劣さもまた『人間』だろ?」

 

「そうだね。確かにそうだ。──でも君は、1つ、大きなポカをやらかしてるよ。卑劣さという強大な武器を以てしても、君の大望は成し得なかった」

 

「は……?」

 

「きっと誰もが見落としていた。それを武器にする本人でさえ。誰もが確信していた。卑劣さを武器に強大な相手を打ち倒す事ができたと」

 

「……お前、何を言って」

 

「──ナルコ。君は、レイコを殺せてなどいない。君は『最強』を倒せるほど卑劣じゃない。そもそもレイコを倒せる『技術』すらも持ち得ないんだよ」

 

「殺せてないだと? SAN値が下がり過ぎて、遂に発狂でもしたか……?」

 

「ふふ、全くの逆さ。下がるどころか回復したよ。ナルコ、安心するといい。君は確かにレイコに対し殺意を抱いていた。でもレイコは生きてる。結局、どんなに卑劣な手を使おうと、君に『最強』は打倒できないんだ。矯正局に行く事になるかどうかは、私の裁量では決められないし────ここは1つ、殺された本人に決めてもらうことにしようか?」

 

 パチンと指を鳴らす。

 すると近くのビルの屋上から、1つの人影が墜落するように私の隣に現れた。

 月夜に照らされ、その人物の顔が明らかになったその瞬間──ナルコは、顔面を蒼白にさせた。




クロノの頃からうっすら思ってたんだが、どうにも私の「イジメ」の描写って解像度がイマイチ低い。した事もされた事も、見た事も無いからか……。
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