「先生!もっとあたしらに構って!」 作:アキラゼミ
深夜──それは夜を生きる吸血鬼には至福の時。
我々「人間」が活動するのには昼間が最適であるように、彼女ら「吸血鬼」は夜間が最適であった。深夜0時、彼女にとっては正午に等しい時間帯だ。中でも、ゲヘナに居を構える彼女にとっては特に。
何気ない日常の中に、ヒントはあった。今回は、生徒からの山のようなモモトークがヒントだった。
モモトークを送ってきた生徒の1人に、モルモが居た。キヴォトス吸血鬼の始祖たるモルモが……。
その事に気付いた私は、深夜だしと躊躇する事も無く、モモトークで彼女に電話を掛けた。
夜間ともなれば、大抵の「生徒」の活動は鈍り、騒動が起きる頻度も落ちて、普段は忙しい風紀委員でさえも自然と少々の時間が作れる。ましてや今の彼女は、直接的に前線に出ないようにとヒナに配慮されているから、尚更だ。
「はろはろ〜、モルちゃんが来たよぉ〜。ハドマの自治区に来るの何年ぶりだろ? 相変わらず悪魔と天使と人間でサラダみたいになってんのね♡」
「流石、早いね」
機械式の翼を取り付けたり、気球に乗ったり──はたまた飛行船に乗ったり、宇宙戦艦に乗ったり。キヴォトスでは、そういった外力に頼らなければ、空を飛ぶ事はできないのが一般的だ。それなのに、この少女は完全に己の力で空を飛んでいる。全く、見れば見るほど呆れるしかない。なんて5歳児だ。
「なぁに、他愛もない取り柄だよん。……先生、少し痩せた?」
「そう見える?」
「痩せたっていうより、やつれた? まともにご飯食べてなさそ。フウカちゃんに怒られちゃうゾ♡」
「食欲が……微塵も無くてね」
まともに笑い返せない私の様子を見て、モルモはただならぬ何かを感じ取ったのだろう。いつも通りおちゃらけた雰囲気を消すと、屋上に座る私の隣に腰を下ろし、顔を覗き込む事もせず声のみで優しく問い掛けてくる。
「何かあったの? ハドマに私を呼ぶなんて、何かおかしいと思ったけど。私にできるコトだったら、何でも手伝うよ?」
「…………レイコが、殺された」
「……えっ?」
「来る時に見えたと思うけど。この校舎の外壁に、大穴が空いてるのわかったでしょ?」
「うん」
「正門の辺りから、破壊された生徒会室の壁の穴の辺りにいたレイコを狙い撃ちしたんだ。銃じゃなく矢での攻撃だった」
「……矢……」
「ナイフを取り付けた矢で、心臓を一突きだった。背中にまで貫通して。その場で、息を引き取った。即死とは言えないくらい大きな間があった。多分、実質的な死因は、心臓に穴が空いた事による失血死なのだと思う。……血が大好きな吸血鬼にとっては、一番苦しい死に方じゃないかな──って、死に際のレイコの顔が、今も頭から離れないんだ」
「レイコ……苦しんで逝った?」
「笑って逝ったよ。無理に笑ってたのか、本心から笑ってたのかは、今となっちゃ誰にも分からない。
『また
「じゃ、叶えてやりゃいいじゃない」
「え?」
「レイコの最後の願い。また、ルーシィと遊ばせてやりましょうよ」
笑顔で立ち上がり、先生も立てと言わんばかりに手を差し伸べる。けれど私には、彼女の言っている意味がよく分からず、理解はできても悪い意味しか頭に浮かばなかった。
そんな私には、幼女と化した彼女の手を取る事ができなくて……。
「…………ルーシィを殺す気?」
「いやどうしてそうなんのよ」
「だってレイコはもう死んで……ルーシィをあの世に送る事で、あの世で遊ばせてやるって意味じゃ?」
「どこの悪役よ、バァカ! 本気で言ってんの!? まさか知らない!? レイコ、
「え……」
「はぁ、心配してめっちゃ損した! 私てっきり、その状態のレイコに手を出すのが怖すぎるだとか、倫理に
「て、手を出すって」
「いや死姦じゃなくて!
「え……?」
「矢で心臓を一突きされたんでしょう? レイコのその死に方を聞いて心の底から安心したわ。これがもし首チョンパだったら、死んでただろうけどね」
「ごめん……話が見えないんだけど」
「だから! 心臓を一突きされた程度で死ぬかって言ってんの!」
「!?」
「ましてやレイコは
「え……えぇ?」
「てか、先生がその様子なら、レイコが死んだってルーシィは知らないようね?」
「多分知らないと思うけど……どうして?」
「どうしてって、そりゃあ、ルーシィにもレイコと同様に『吸血鬼のイロハ』を叩き込んでるからよ。レイコは、戦闘に関する事以外忘れてるんでしょ。でも、ルーシィなら覚えてる。戦闘関係無く、私が教えた事ならどんな小さな豆知識だろうと覚えてるでしょう。そしてルーシィなら、レイコが死んだと知ったなら、まずはそのシチュを、死因を探るわ。そして、心臓を一突きされたと知って、安堵する。それなら蘇生可能だ、今はただ仮死状態になってるだけだわ……ってね」
「仮死状態……」
「ほら、分かったら行きなさい。王子様の一突きで眠れる夜の姫を起こしに行くのよ♪」
「うあッ……!」
ぐいと手を引かれ、強制的に立たされる。つまりモルモは、私の手でレイコの心臓を突き刺せと──そう言っているらしかった。
「あ。一突きと言っても、ちんぽはダメだからね♡ それじゃあ、覚める目も覚めないわよ♡」
「わ、分かってるよ!」
「んふふっ、流石の先生もネクロフィリアの趣味は無かったか。ちょっと安心したわ〜」
「ったく。──で? 刺すのは、包丁でいいの?」
「ダメよ。やっぱ、同じモノじゃなきゃね」
「え」
「先生のことだから、レイコの胸に刺したまま矢を放置してるとは思いにくい。大方、矢なんてとうに抜いてるでしょ。捨てられる前に確保しといた方がいいわよぉ。もし手に入らなかったら、同じモノを作る手間が掛かるからねぇ♡」
「そ、それを早く言ってぇっ!!」
「頑張れ、せんせ〜♡」
バシュッと残像を残して飛び上がると、指で軽く投げキッスをして帰っていく。そんなモルモを最後まで見送ることなく、私は屋上から駆け出す。
仮死状態って、何なんだそれは。そんなの普通に考えれば分かる、おかしいって。そんな、リアルをガン無視したような意味不明な──でも、ロマンがあるような。
「──『ロマンを忘れちゃダメ』ってのは、案外、こういう事なのかもね……ナツ」
ナツからのモモトークをふと思い出す。レイコが殺されてしまったからと、気分も思考も、トコトン沈みまくっていて、ナツの言う「ロマン」を綺麗に忘れてしまっていた。
ナツは「仕事に忙殺されて」を危惧していたが、実際は「生徒が生徒を手に掛けて」──ロマンなどすっかり忘れていた。
そうだ、ここはキヴォトス──そしてあの子は、ハドマ最強の吸血鬼。なんて、ロマンに溢れている存在なんだろう。
◆
向かう先は統治委員会の本部。今は確か、スズが有事の際に備えて常駐していたハズ。スズだったら話せば分かってくれるだろう。そして、テンコから受け取った証拠品も保管しているハズだ。
「────スズッ!!」
「ビックリした……どしたの? まさかナルミ?」
「それは違うけど、テンコから受け取った『矢』は何処にある!?」
「え。血まみれだし、衛生状態も鑑みて、保健室の薬品棚に置かせてもらってるけど……」
「ありがと、助かった!」
「あ、ちょっと!? 説明くらいしてよォッ!」
スズには悪いが、場所だけ聞き出せれば、もう、統治委員会本部に用は無い。
どうして薬品の棚に置くんだ、何故サラもそれを許可するんだ──ツッコミを入れたいのは山々だがそんな時間すらも惜しい。
私はひたすら、保健室へ走った。
「ハァッ、ハァッ…………閉まってる……!」
保健室の鍵は閉まっていた。
サラが常駐しているという情報は私に共有されていない、つまり彼女は学園に居ないハズ。ならば、モモトークで連絡を──いやしかし今は丑三つ時、普通の生徒ならば寝ている。スズが仮眠を取らずに起きているのが謎なくらいだ、学園に居ないだろうサラにそれを求めるのはあまりに酷だし、連絡などしてしまえば起こしてしまう事になる。それは私の本意ではない。
「ええい、ままよ!!」
ガツンと蹴飛ばして、扉を外した。壊せずとも、外す事くらいなら私にだってできる。
しかし次の瞬間、けたたましい警報が響き、夜の学園に常駐していた生徒が寄ってくるのが、足音で分かる。何人か一斉に保健室に向かってきている。
保健室には、理科室や理科準備室と同様に薬品が安置されている。故に強引に押し入るようにすれば警報が鳴るように設定されていると、リエから前に聞いた事があった。
確か、生徒会室になら警報の「元」があるので、それを使って警報を止めることができる。しかし、今の私にとってはそれすらも「どうでもいい事」の一つでしかなく──生徒達の足音に追い立てられるように、保健室に駆け込んだ。
スマホのライトで薬品棚を照らし出す。しかし、急ぐ私を嘲笑うかのように、こちらにもしっかりと鍵が掛かっている。が、極めて小型なモノだ。鍵のサイズは恐らく指2本で
薬品に当たらないように角度をつけ、上から狙うカタチで鍵を撃ち抜き、薬品棚のガラス戸を壊し、中に安置されていたチャック付きの袋に入れられた血にまみれた矢を掴み取る。
「コッチだ! やっぱり保健室の扉が壊されてる!」
「また修理しないとだよぉ……銃声もしたしぃ……」
「外からはリエとアンナが来る! 逃がさないわよッ!」
声から察するにテンコ、リンコ、スズだ。外からリエとアンナが来るという事は、サラ以外の七天魔全員で保健室に向かっているらしい。
「フーッ……」
最低温度を最大風速で吐き出すエアコンの下で、私はレイコに馬乗りになり、震える手で血まみれの矢を掴んでいる。
ここは学園だ、霊安室は無い。だからエアコンの風が一番当たりやすい区域をカーテンで囲うことで仮の個室とし、レイコの身体を安置していたのだ。
風が直に私を打つ。全く、本当に、キヴォトスの空調はどうなっているのか。最低温度だからって、まるで冷蔵庫、いや、業務用の冷凍庫にも近い酷い冷気を吐き出している。恐らくだが、これはきっと霊安室よりも寒いだろう。
汗をかいて余計に寒く感じるのかもしれないが。
「フーッ……フーッ……」
服を貫かぬよう、軽く服をはだけさせる。サラが縫合した胸の傷に狙いを定め、矢を握る両手に力を込める。
スズ達の足音が近付く。もう数秒後には保健室に到達することだろう。その前に、早く────。
「っ、あああぁああぁぁぁっっ!!!」
いざ自分の手で彼女の肉体を傷付けようとするとどうにも震えが止まらない。
しかし本当にこれでレイコが笑顔を取り戻す事になるなら。本当にこれで日常が戻ってくるのなら。
そして、ナルミを殺人犯にしなくても済むなら。
大声で己を奮い立たせて、矢を握り潰さん勢いで力を込め、レイコの胸の糸を矢で断ち切るように、全身の力と体重を矢に乗せて、胸を突き刺した。
「────!!」
「ッッ!?!?」
その刹那、カッと目を見開いたレイコは、すぐに自分の胸を深く突き刺す矢を無造作に引っこ抜き、その辺にポイと投げ捨てた。
「え、ちょ」
抜いたら血が溢れるでしょう──そんな真っ当なド正論が通じる生態をしていないのだ、この子は。
矢を抜くなり、傷は瞬時に塞がり、傷口があった場所に残された僅かな血を指で掬うとペロリと軽く舐め取る。
そして、そんな様子を目を丸くしながら見ていた私に気が付くなり、にへらと笑うと……。
「ふぁぁ……」
…………人の顔を見てあくびしやがった。猫か。
「ん〜っ……はぁ〜、よく寝たぁ……」
「よ……よ、よく寝た……??」
「よォし! 目ェ覚めたからにはあの女にしっかりお礼参りよ! もう油断なんてしないんだから!」
「ちょちょちょちょちょっ! 大人しくして!!」
「何よ急に? 起き掛けにエッチは勘弁よ?」
「違うよ! だってレイコ……さっきまで……」
「仮死状態だった、って?」
「!! 知ってたの……?」
「いや知らん。でもそんな感じするから。だって、フツーに死んだと思ったけどなんか生きてるから、仮死状態から目覚めたんだな〜、って。違うの?」
「何も違わないどころか正解ド真ん中なんだけど、どうして分かったの……?」
「え……本能?」
「……はっ……」
本能って。なんだよ、それ。ふざけてるだろ。
死んだと思っていた生徒が、実は生きていて──仮死状態だから復活できると聞かされて、教わった通りの手順で蘇生して……。
こっちは涙が止まらないってのに、当の本人は、昼寝から目覚めたかのようなスッキリとした顔で。しかも目覚めた直後なのに「お礼参り」とか言ってナルミと戦おうとしているだなんて。
「ったく、何泣いてんのよ。てか、私が倒れた時も泣いてなかった? 先生って意外と泣き虫なのね」
「ベッドの上でよく
「んぐっ。て、ていうか今日に限っては先生だってベッドの上でよく泣いてるじゃないのよ! だからこれはお互い様よ、いいわね!?」
「どういう事?」
「だからァ!! 私が死んだと思って、ピーピーと泣いてたんでしょ? シーツ、涙のシミが大量よ? 最初はザーメンかと思ったけど、クサくないしね。流石の先生でも、この私の死体でオナニーする程は歪んでなかったかぁ〜。ちょっとザンネンかも♡」
「あのねぇ……」
「あー、はいはい、悪かったですよーだ。油断した私がクソマヌケでした、反省しまーす、もう二度と油断しませーん。……これでいいでしょ?」
ちろっ、と色を取り戻した舌を覗かせる。
それと同時に、スズ達3人が保健室に突入し──身体を起こして私と会話をしているレイコを見て、幽霊でも見たかのような、自治区を超えキヴォトス全体に響くであろう、超絶大絶叫。
その絶叫を聞き、リエは窓を体当たりで壊して、保健室に乱入────起きているレイコを見るや、スズ達3人に負けない大絶叫を1人で放つ。
それを聞いてなのか、少し遅れてアンナが到着。スナイパーらしく、保健室の窓が見える場所に待機していたのだろう。そんなアンナも「またかよ」と呆れ気味に顔を顰めるレイコを見て絶叫──せず、というより絶叫どころか何も言わず、白目を向いて気絶してしまった。
◆
冷えに冷えきった保健室を温める為、今度は少し強めに暖房をつけている。空調には負担をかける。
──あの後、駆け付けた生徒5人には「レイコは仮死状態だと判明したから蘇生させた」として軽く説明をした。全く納得いっていない様子だったが、彼女は吸血鬼の中の吸血鬼、規格外な吸血鬼だから常識は通用しないんだ──という滅茶苦茶な理屈で全員を説き伏せた。
要は「レイコだから」で話を完結させたワケだ、そんなの納得できるハズがない。
納得は全てに優先する──そんな考えの人なら、きっと私やモルモの説明では納得できないだろう。一生掛かっても無理だ。
でも、いい。これでいい。これがいいんだ。
こんな「奇跡」が積み重なって、今があるんだ。納得など、とっくの昔に捨て去ってる。そんなもの気にしていては、キヴォトスでは生きていけない。
ベッドに座って、いつも通りのニヤニヤと強気で小悪魔っぽい笑みを浮かべる彼女の温かな頬に手を添え、この小さな「奇跡」を取り戻せた事を、心の底から喜んだ。
◆
「──ったく、先生ったら心配しすぎ〜。私でも、油断くらいするのよ? 大事をとって休みな、とかそれは大袈裟だっての。分かる?」
「さっきから言ってるけど、その『油断』って?」
「油断してなきゃあんなノロい矢になんか被弾するワケないでしょ」
「!?」
そういえば、ナルコが私を狙ってきた時、スズが私を助けてくれたっけ。私に向けていたから助けることができたんだろう、程度に思っていたが……。
まさか、素で回避可能なのだろうか?
「どうして油断したの?」
「は? それ私の口から言わせる? ドSね……」
「真面目に聞いてるの。真面目に答えてくれる?」
「油断……というか、ちょっと安心しちゃったの」
「安心?」
「あの矢、先生のこと狙ってたでしょ?」
「うん、私にはそう見えてた」
「やっぱ気付いてたのね。私達には『離れて』とか言うクセに先生は被弾を覚悟してるのか目ェ瞑って避ける気サラサラ無い感じだったから、先生のこと蹴っ飛ばして助けよ〜って思ったんだけど。直前で軌道が歪んで、私に向かってきたからさ。『あぁ、大丈夫か』って、安心しちゃったんだよねぇ」
「だから、どうしてそこで『安心』になるの?」
「狙われてるのが先生じゃなくって私なら、銃弾と同じで致命的な怪我にはならないからさ。矢だって私には『
「ひ……平根……?」
「矢っていうか、鏃にもケッコーな種類があんの。平根っていう、尖ってる鏃もあってさ。それだなと思ったから避ける事無く受けたんだけど、まさか、刃物みたいにザックリ刺さると思わなかったよね! マジウケる!」
「マジウケないよ……」
ケラケラと何食わぬ顔で笑うレイコを見て、私はヘナヘナと座り込む。なんかもう、力が入らない。力むだけ無駄に思えてしまう。気を張っていても、その分だけ無駄になるような……。
「……私を助けようとしてくれたのは、ありがとう。だけど、幾ら自分に向かってきたからって、油断はしちゃダメだからね」
「言ってるコトはわかるけど、それはそれとして、被弾覚悟で目ェ閉じた先生にだけは言われたくないセリフランキング第1位ね?」
「う……」
「まぁ、先生も自然治癒力は高めなんだろうけど。だからって避ける気が0っぽいのはダメだかんね? 先生でも避けられたでしょ、アレくらい」
「そうかな。──というより、何故、私の治癒力が高めだと?」
「だってさ、少なくとも2回は撃たれてるでしょ。腹に残ってるよ、弾痕。エッチしてれば分かるよ」
「あぁ……そりゃ分かるか」
「他にも肩とか耳とか、背中とかにまでチラホラとキズあるしね。割と最近できたハズだけど、まるで古傷みたいになってる。治癒力が高い証拠だわ」
「治癒力が高い人が言うと、説得力があるね」
「そうでしょ、そうでしょ♪」
部屋の空気が温まったことで、暖房が弱まる。
暑いからか、レイコは服をパタパタと動かして、空気を取り込もうとする。
「うー、あっつ〜……ね、服脱いでいい?」
「ダメだよ……暖房止めるからそれでいいでしょ」
「え〜? 先生だって見たいし味わいたいでしょ? 復活したてほやほやの、私のカ・ラ・ダ♡」
「それはまた今度っ! 全てが解決したらね!」
「え〜? ぶーぶー、こっちはムラついてんのに。オナニーで我慢しろって? こんな状態で戦ったら今度こそホントに死んじゃうかもよぉ〜??」
「……………………………………1回だけだよ」
「あはっ♡ 先生チョロいなぁ〜♡ 大好きっ♡」
過剰な暖房のせいなのか、普段より格段に温かいレイコに抱きつかれて、呆気なく勃起してしまった私は、なんとチョロい男だろうか。
結局この日は、私もレイコも泣きながら、朝までお互いの愛を確かめ合い──翌朝、サラが保健室にやってきて、スズ達に負けない大絶叫を上げるまで愛し合っていた。