「先生!もっとあたしらに構って!」 作:アキラゼミ
第16話:期待の超新星①
──「シャーレの先生」がハドマ学園に接触するおよそ2年前。
ハドマ学園には「期待の超新星」として話題の、とある生徒が1人、入学してきていた────。
2年前の4月。
トリニティ自治区出身の生徒・
「──以上で入学の挨拶とさせて頂きます。新入生代表、我猛リエ」
今年度、ハドマ学園に首席合格したリエは、代表挨拶を済ませ、通例通りの入学式を終えた。
ハドマ学園は実力主義の学園である。それ故に、基本的に、優秀な生徒から順に1組、2組──と、数字の順に組を分けられている。
ただし、これはあくまでも総合評価での順番だ。例えば、中学校での内申、試験の点数、戦闘力──などなど様々な要素を数値化し、並べられたもの。尚、それを計算するのは生徒会の仕事である。
そして新入生代表を務めたリエは、当然のように文句無しの首位。優秀な生徒が集まる「1組」だ。
クラスメイトには、同じくトリニティ自治区からやって来た幼馴染の
「リエらしい挨拶だったよ♪」
「ありがとうございます、シエルさん。今年も同じクラスで、幸いですわ」
「ったく〜。リエに追いつけるように勉強すんの、マジ大変だったんだからね? 毎週末のリエ直々の勉強会に助けられたわー」
「ふふ、助けられたのはお互い様です。他でもないシエルさんが私と一緒に頑張ってくれたから、私も頑張れたのです」
「も、もぉ……。まぁ、私達の間にコイツが居なきゃもっと満足だったんだケドね〜?」
「し、シエルさんっ……!」
桃色の長髪を春風に預けて、柔和な表情で読書に勤しむ1人の少女。席順から鑑みるに、リエの次の成績で入学した生徒らしい。因みに、当のシエルはその生徒の次、つまり3番目である。
シエルは自身とリエの間に座るその少女を見て、忌々しい「何か」を感じ取っていた。言葉にできる感覚ではない、何かしらの第六感とも言える何かがシエルの気分を害していた。
『さてさて、入学式も無事に終わった事ですから、順番に自己紹介をお願いします。趣味や目標なども話してくれると嬉しいです。少なくとも今年はこのメンバーで過ごしますからね。では皆さん、仲良く過ごしましょう』
「「「「はーい」」」」
入学式の後、軽い職員会議でもあったのだろう。生徒達より数分遅れて教員ロボが教室にやってくるなり、生徒達に自己紹介を促す。
首席のリエが挨拶もトップバッターだ。ふわりと4枚の翼を揺らしながら前に出るや、優雅に挨拶をしてみせる。
「初めまして。トリニティ自治区より参りました、我猛リエと申します。宜しくお願い申し上げます。趣味はショッピングです。私の目標は──今年中に本校生徒会の幹部になることですわ」
「「「「おぉぉ……!!」」」」
「さっすがリエ♪」
そして次の生徒は──シエルが何かを感じ取ったその生徒は、わざとらしいくらいの明るい笑顔で、リエの恭しい挨拶とは反対の、明るくはっちゃけるような挨拶を繰り広げた。
「ゲヘナの方から来ました、
「「「「…………!?」」」」
(あぁ……)
あぁ、とシエルはリンコの自己紹介を聞いて全て察した。リンコはゲヘナ出身の生徒、道理でどこか
シエルはどちらかと言うと差別意識が「ある」。良くも悪くも正直な彼女は幼い頃からそうだった。それ故に争いが起きた際、リエに庇ってもらう事も決して少なくはなかった。
「弖使魔シエルでーす。リエとは幼馴染で、同じくトリニティ出身ね。趣味はリエとのペアルックで、目標は、リエに置いていかれないよう頑張るって事くらいかな。生徒会とかはあんま興味無いでーす。他には……まぁいいや、以上でーす」
リエともリンコとも違うシエルの挨拶は、どこかぶっきらぼうだった。彼女はリエ以外の存在などに興味は無いし、「態度」などが評価基準になるのはあくまで受験の時だけ。入学してしまえば、あとは純粋なる「戦闘力」だけで判断されがちである事を事前に予備知識として知っていたから、シエルは、ここまでふざける事ができた。
「ハドマ生まれハドマ育ちの、猫田ナルミですっ! は、ハドマ学園には剣道部が無いと聞いたのでっ、部活を作る為に七天魔に入れるよう、頑張ります! も、もし私が剣道部を作れたら、入ってください! お待ちしてますっ!」
「まだ七天魔ですらないのに自分が作る部活の勧誘って……」
「あまりにも気が早すぎて笑う」
「てかこの前、あの子、スケバンのことボコボコにしてなかった?」
「あぁ……『
「確か、やり過ぎてヴァルキューレに追われてたんだよね」
「こっわ、そんなのが1年間クラスメイトなの?」
「いや、さっき本人に聞いたけど、それ双子の妹らしい」
「双子!? そりゃそっくりなワケだよ……」
「えー……じゃあ、ナルミちゃん大変だね」
「「「同感」」」
「……思ったんだけど、『キャスパリーグ』とどっちが強いんだろ?」
「あー、トリニティの方に居るスケバンだよね」
「猫対決でワロタ」
「名前的にはキャスパリーグ。でもミヌエットでしょ」
『はいはいはい、静かにしましょうね。自己紹介が進みません。それでは次の方、どうぞー』
────こうして、リエ達のハドマ学園での学生生活が幕を開けた……。