※この作品はR-18です。

「先生!もっとあたしらに構って!」   作:アキラゼミ

158 / 185
第22話:荒らされた七天魔

 

「何なんだ、アイツは! ふざけていやがる!」

 

「まーまー落ち着いて、ルカ先輩」

 

「荒らすだけ荒らしたって感じだよね〜。なんか、意味不明すぎて、やってらんないわ〜」

 

「ライム、臭いぞ。ここでネイル落とすのやめろ」

 

「はぁーい」

 

 ナルコが七天魔を脱してクロンが戻った数日後。七天魔と議長による会議は、殆どが、ルカの愚痴を聞く会と化していた。

 飽きたライムは除光液でネイルを落とし、室内に凄まじい臭気を放ち、ルカは不機嫌さを隠そうともしない様子だ。

 それを受けても、作業を辞める程度で平気な顔をしているあたり、ライムは流石と言えば流石だ。

 

「……あ、あの……」

 

「あん? どうしたリエ、何かあったか?」

 

「実は今日、部活動について、ナルミさんから1つ提案があるそうでして……」

 

「あ゙ぁ? 今度は何だ? 猫田姉よ」

 

「あの、じ、実は、ナルコから言伝が……」

 

「……言ってみろ」

 

「『剣道部と弓道部を統合したい』と……」

 

「………………は? なんだと?」

 

「ですから、私の剣道部とナルコの弓道部を……」

 

「それは分かってるんだよッ!!」

 

「ひぃッ!?」

 

 ドガンッ、という轟音と共に、スチール製の机が凹む。怒りのあまり、机に拳を叩き付けたらしい。それを見てナルミは涙目、リエは慌て──リンコは少し口元を緩ませ、ライムはやはり平然としている様子であった。

 クロンなどの他の先輩は、頬杖を付いて眉を顰めながら、溜め息も加えて怒りを表している。

 

「リエの心身を傷付けて、クロンの首を絞めてッ! その上で七天魔に成り上がった分際で部活動をまた新たに立ち上げたばかりだというのに! 今度は、その部長としての責任すら放棄するってのか!?」

 

「実はナルコ、病弱というか……それで、最近は少し学園を休みがちで……。部長としてそれじゃダメだと思ったらしいんです」

 

「だったら初めから部活など立ち上げるな、という話になるんだがなぁ……何なんだ、お前の妹は?」

 

「す、すみません……」

 

「お前が謝っても仕方ないだろ。お前と妹は双子、別人なんだ」

 

「……はい」

 

 じゃあ「何なんだお前の妹は?」などとナルミに話を振るな──と何人かは思ったが、ルカの怒りをヒートアップさせそうなので全員が黙っていた。

 そのルカも大抵の愚痴を吐き出し終えたのか急に黙るようになり、生徒会室には沈黙のみが残り──キュッキュッ、とネイルの蓋を開けながらライムがボソリと呟く。

 

「てか思ったんだけどさ〜。ナルミとナルコって、なんか逆じゃない? なんかウケるよね」

 

「逆、って……私と、ナルコが?」

 

「なんていうか、立ち上げる部活と本人の気質ぅ? ほら、落ち着いてるナルミが弓道部で、気性の荒いナルコが剣道部を立ち上げるってんなら、まだ理解できる方じゃん?」

 

 ネイルを塗りながらのライムの発言に、確かにとバラバラ頷く生徒達。

 

「なのに実際は逆でさ。ナルミが剣道部でナルコが弓道部。まぁ立ち上げる部活は自由だけど、2人の性格を考えたらアベコベじゃーん、と思ってさ〜。ちょっとウケた。ごめん、関係ない話だったわね」

 

「関係ないのはお前のその行動だ、ネイル塗るのもやめろ……」

 

「んー、右手だけ塗っちゃう〜♡」

 

「はぁ……。だが、確かに、ライムの言う通りだな。何か理由でもあるのか?」

 

「へっ? 理由、ですか? 弓道を始めれば、あの気性の荒さも治まる、とか思ったんじゃ……?」

 

「あのナルコがそんな殊勝なことを考えるかァ?」

 

「無さそ〜」

 

「無さそうだよね!」

 

「み、皆さん、あまりそういう事を言うのは──。そ、そう! それより部活の件はどうしますの?」

 

「ん? そんなもん即断即決だ。剣道部と弓道部の統合を認める」

 

「随分とアッサリですのね……」

 

「ほ、本当にいいんですか……?」

 

「ナルミ。お前が部長として両部を取りまとめろ。ナルコは部長にはしない。最高でも副部長までだ。そして、部活を統合するなら予算も見直しだ。用具購入費用などの初期費用などは既に出した、今後は少々予算カットして部活1つ分の1.5倍が上限だ」

 

「!」

 

「文句や異論は……無いよなぁ?」

 

「はっ、はい!! ありがとうございますっ!!」

 

「それより、弓道部の道場はどうする? 剣道部の道場脇でずっと……巻藁? ってのをやるのか?」

 

「それについては、少し予算を貯めるなり、近くの施設を借りるなりで、何かしらの方法でやりくりをしようかなって思ってます……」

 

「ふん、まぁ今はそれでいい。計画書は近日中に。遅くとも今月中──つまりあと半月以内に提出だ。分かったな?」

 

「分かりました! ありがとうございますっ!」

 

 ナルコが七天魔を抜け、クロンが帰還して暫く、七天魔内の生徒が出入りする事は無かった。なんとその期間、半年以上。この期間はハドマ学園史上で最も七天魔の出入りが無く安定した期間であった。

 

 次に彼女ら「七天魔」に激震が走る事になるのはその翌年の年明けに行われる「受験」の時である。

 そこで、ハドマ学園史上最高の──恐らく今後も絶対に覆されないであろう誰も予想だにしなかった大波乱が巻き起こる事になる────。




C106お疲れ様でしたー!!
試しに本作(1章分)も何冊か刷ってみたのですがオリジナルキャラメインの作品である事を私に確認した上でお手に取って下さった方が……。

表紙の製作は、外部の方に依頼したりなど、色々と苦心したのでね……かなり嬉しかったです!
感謝感激です、ありがとうございました!

因みに第1巻はスズ、ルーシィ、リエが表紙です。
裏表紙はシエル、ルビー、レイコ。
第1巻(第1章)のメインキャラですからね。

次あたりアスカが表紙になるのかな……?
レイコは表の表紙に来そう。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。