「先生!もっとあたしらに構って!」 作:アキラゼミ
ハドマ学園で議長を選出する為の選挙が行われ、天使族・悪魔族・人間族それぞれの議長と副議長が決定してから、数日後。
旧生徒会からの引き継ぎを終え、遂に新生徒会で学園を運営していく運びとなった。
そしてそれに伴い、旧生徒会時代、学園で起きた数々の事件の解決に手を貸してくれた「シャーレの先生」に、挨拶に行こうという話になった。
アンナ、テンコ、ルーシィ、ナルミについては、既に知り合いではあるものの、マコラやカナンなど顔見知りですらない生徒も居るので、今後も円滑なコミュニケーションを図る為に──ということで、6人全員でシャーレに向かった。
◆
「ってことで、悪魔族代表で私が議長になったから改めてよろしく。もう少し仕事に慣れれば部活にも復帰できるかもだから、部室にも気軽に寄ってよ」
「テンコ、無理しないでね。生徒会と部活と仕事で色々と忙しいだろうから。無理は禁物だよ?」
「
「で、なんとこの私が悪魔族代表の副議長で〜す。副とはいえ、元テロリストの私が当選しちゃった。なんかもう、ウケるよね」
「もう、他の学園との併合とかはダメだよ?」
「大丈夫。それにテンコが最終決定権を持ってるんだから、私は補佐的な事以外は何にも出来ないよ。副議長の権限も3人が平等に持ってるんだしさ」
ルーシィは相変わらず悪戯っぽく微笑んでいる。これからテンコは、ルーシィにも振り回される事になりそうだ。色々と苦労が偲ばれる。
ただ、テンコは、自由奔放な姉の代わりに部活を仕切るなど、リーダー経験はかなりある方だ。現場指揮などもこなせる。そんなテンコならルーシィの手綱を握ることもきっと不可能ではないのだろう。
「先生のアドバイスのおかげで、トリニティの三頭政治みたいなやり方に持っていけました。本当に、ありがとうございましたっ……!」
「私は何もしてないよ。ナルミの努力の賜物だよ。風当たりが強い事もあるだろうけど──ナルミならきっと乗り越えられる。これからも頑張るんだよ」
「はいっ!」
「い、1年の平井カナンと申します。人間族代表の副議長として、ナルミ先輩をサポートしていく事になってます。部活、いえ、委員会は統治委員会で、生徒会と兼任する事になっています。よ、よろしくお願いします、先生!」
「カナンだね。よろしく。統治委員会との両立は、とても厳しいものになると思うけど。絶対に無理はしないようにね。優先順位を自分でしっかり決めてどっちつかずな状態になる事だけは避けよう」
「はいっ!」
にっこりと笑った事で初めて見えたサメのようなその歯に、一瞬、ビックリするものの。そういえばラブもこんな感じだったっけ──と思い直し、ただ笑顔だけを彼女に返した。
「えと、私が天使族の議長になっちゃいました……。右も左も中途半端に分かってるので、余計に大変なことになってるような気がしますが……これからも、よろしくお願いします……!」
「書記から議長って、物凄いステップアップだね。これまでの仕事とは段違いに忙しくなるだろうし、気苦労も増えると思う。何かあったら、すぐ、私に相談してくれていいからね。心身共に常に健康で、勉強に仕事に当たれるよう私もサポートするから。頑張るんだよ」
「はいっ! 頑張りますっ……!」
「1年1組2番、白羽マコラ! 我がハドマ学園の正当なる後継者だよ! 来年の議長は私がやるから先生も私の応援、ヨロシクね☆」
「よろしくね。ところで君は新しい七天魔?」
「え、違うよ? なんで?」
「あ、いや。なんとなく」
「服装でしょ?」
「……うん」
「制服、ダルいんだもん。夏服ですら厚いと感じるくらいにはダルいよ。薄手の生地の服しか勝たん」
「暑い寒いではなく、布の厚み……?」
「なんて言えばいいのかなぁ。身体に余計な重みを感じるのが嫌なんだよね! 動きにくくなる感じもするし、手足の可動域も狭まるような気もするし」
「言わんとする事は分からなくもないけど……。でも生徒会だったら余計に校則をキッチリ守るべきだと思うけれど……」
「皆にそう言われるからいい加減に分かってるよ。大丈夫、安心して。近いうちに校則変えるからさ」
「それは『大丈夫』と言っていいのかな……」
色々と彼女の言動に思うところはあったものの、選挙で選ばれたということは実力はあるのだろう。疑問に思うことはあるが私とはそもそも選考基準が違うだろうから、それ以上は、あんまり余計な事は言わないように努めることにした。
初対面の割に、カナンと違いそこそこ人懐っこい性格の持ち主のようで、以前からの知り合いだったように距離が近いように感じる。薄手の格好だから色々と危ないが、本人はそれを全く考慮していないようで、全く心臓に悪いものである。
────そして、私への挨拶を終えた新生徒会の6人はやがてハドマの自治区に帰っていき、しかしある生徒は、トンボ帰りしたかのような早さで再びシャーレに足を運んできた。
しかもその生徒は、予想外の人物を連れていた。
中途半端な長さになりそうだったから、ここで切ることにします。