「先生!もっとあたしらに構って!」 作:アキラゼミ
飂熾冘巫髏とシャーレの衝突は、飂熾冘巫髏側の助っ人であるユウナを倒してからも尚、収まる事も無く、ひたすら激化し続けていた。
「次は誰を
「ちょ、先生ッ!?指揮に集中するなら下がって!危ないでしょーがぁ!?」
「大丈夫だよ、スズ。安心して戦って」
「安心できるかぁ〜ッ!!」
さっき部隊を編成した時、2部隊編成した。私が率いる第1部隊、ハドマの生徒で組んだ第2部隊。総力戦でもないからかユウナの事は第1部隊だけで倒せたのでその場で解散してしまった。
しかしそこから飂熾冘巫髏との戦闘が激化した、今は第2部隊のハドマの生徒でどうにかしているが少しばかり手が足りないかもしれない。
というか、ハドマの生徒は、範囲攻撃系の生徒が少ない気がする。辛うじてリエくらいか。スズも、範囲攻撃ではあるが……素の攻撃力が低過ぎて……。
「……やっぱり火力か。────来い、ミカ!!」
「
「よく来てくれたね。何度もごめんね」
「ううん!先生の為だもん、何度でも来るよ!」
「ありがとう。──
「うん!こんな戦い、さっさと終わらせちゃお!」
更に水着ハナコ、コハル、ヒマリ、コタマを編成してから出撃──と思ったら、出撃の前に確認画面らしきものが表示される。
こんなの初めてだ、何だろうと思いよく見ると、今編成した「私」のスキルの関係で、戦闘開始前に
「強化するステータス」を選べるらしかった。
その選択肢は攻撃力、防御力、治癒力、命中値、会心値、回避値の6つ。
このうちの1つを強化できるらしい。数値にしてどれくらい強化されるかはまだ分からない、しかし今は火力を求めてこの編成にしたので、ここでも、攻撃力を選択しておこう。
さっきの「私」ではこの画面は出なかったから、今編成した「2種類目の私」ならではのスキルなんだろう。アロナとプラナ、別衣装枠として2人目も用意してくれたみたいだし。────プレナパテスみたいな感じで、なんか良いね。
「よし、皆、ここ一番の勝負だ、気張っていこう。戦闘開始だッ!!──『
戦闘開始直後、私のパッシブスキルが発動する。スキル名からしてゴルコンダっぽいが──そうか、2種類目の私は「ゲマトリアの名誉顧問」としての私のスキルなんだ。
発動と同時に全体の攻撃力が大幅にアップした。こんなにアップしてもいいのかな。ミカの攻撃力、既にだいぶヤバイ事になってるけど。サブスキルもステータスアップ系だから、今の素の状態でかなりヤバい状態だ。ヒマリとコタマのバフ追加したら、例えばハイタッチでも敵が吹っ飛びかねないような強烈なバフになってしまいそうで……。
「っ、何なのこのバカみたいな火力!誰か回復して回復!戦車隊、次に幹部陣の
「「はいっ!!」」
成程、アスカは脱退していても、ヒーラー自体は飂熾冘巫髏にも居るらしい。まぁ、そりゃそうか。
コタマ、ヒマリのバフを水着ハナコに掛け、範囲攻撃で広範囲を吹き飛ばしながら敵陣へ切り込む。ミカは、新たにバフを掛けずとも二重に掛けられた私のスキルで既にバグのような火力なのでこのまま進んでしまおう。
──ハナコとミカの間に流れる空気が少し不穏に感じるのが気になるが……。
「『"召喚!
ここで、私のもう1つのEXスキルを発動する。すると黒服が現れた。
「クックックッ、まさか私を召喚して頂けるとは。光栄ですよ、先生……!」
黒服の召喚時、召喚者の私を含めた味方全員に、黒服からのバリアを付与。ホシノが編成されていた場合は効果が上がるようだ。が、残念ながら今回はホシノは居ないので、またの機会に確認しよう。
「
「時間経過では消えないんだ」
「その通りです」
「……」
「……」
「帰らないの?」
「ええ、遮蔽物ですので」
「バリア付与したら黒服は遮蔽物になるの!?」
「ええ、ただし一撃でも喰らえば──あ゙うっ」
「黒服ーーーーーーっっ!?!?」
流れ弾を背中に受けた黒服は、瞬間移動で消えるように帰還した。後でゲマトリア本部にお見舞いに行こう。自分にはバリア付与できないらしい……。
「き、気を取り直してっ!ハナコ連発──からの、バフミカブッパからの、部隊切り替え──!!」
ハドマの生徒を指揮下に置いてやっと編成ミスに気が付いた。スズは時間経過で火力が上がる特性、つまり初期の火力はかなり低い。そういう生徒こそ私と一緒に編成して素の火力をブチ上げるべきだ。
まあ、戦闘が始まってしまった以上は仕方ない。指揮下に置く部隊の切り替えはできても入れ替えはできないし、ここは甘んじて受け入れるしかない。
「スズ!雑魚狩りはルビーとシエルに任せるんだ!君が前に出てちゃあ火力を高められない!」
「それは分かってるけど、手数が足りない……!」
そう、範囲攻撃型が少ないので、シンプルに手が足りない。2丁のサブマシンガン持ちのスズが手数多い方にカウントできるあたり、お察しだろう。
「ルビー!スズの補助、頼んだよ!」
「勿論です」
第1部隊に切り替え、私のスキルを発動させる。今度現れたのは────マエストロだ。
「やぁ先生。まさか久しぶりに戦場で相見える事になろうとはな。この私を召喚した際の効果は極めてシンプルだぞ。時間制限はあるものの、味方全員の攻撃力を各個人の157%アップだ」
「わぁバランス崩壊。会心出たらブッ壊れじゃん」
「更にッ!トリニティの生徒が編成されていれば、そこから58%上乗せされッ!」
「もういいて」
「特定の生徒『聖園ミカ』編成にて更に58%上乗せされるのだッ!!」
「過剰火力が過ぎるよッ!!」
私のサブスキルとパッシブスキル、マエストロの召喚効果で得られるバフと特殊効果でのバフを合計するだけで、この部隊への攻撃力バフは343.5%。
私のスキルだけでこの有様だ。ヒマリやコタマのバフはカウントしていない。
アロナとプラナよ──私を死なせたくないのかもしれないけど、流石にシャーレの先生(ゲマトリア名誉顧問)、壊れすぎだろ。
「わーお……紙装甲だね☆」
「いやいやいやいや、あんたの火力がエグいのよ!何なのよ、そのバ火力は!?」
「あなたも、ハドマの生徒にしちゃあ、それなりにイイんじゃない?」
「ッ……これでも、ハドマじゃ最強だッて自負してんだけどなぁ……。あんた、トリニティの生徒でしょ?最強って、剣先ツルギと聖園ミカって聞いてるけどあんた何者よ?……まさか、あんたが聖園ミカ?」
「そーだよ?」
「っ……!この戦争が終わったら勝負しなッ!元々、強い奴と勝負する為に飂熾冘巫髏に入ってたんだ!もし勝負しないってんなら私1人でもトリニティに攻め入ってやる!」
「あははっ☆ あなたこそ何者だか知らないけど、そういう事だったら受けてあげるよ?でも、まずは目の前の敵を蹴散らさなきゃね?」
「モチのロンよッ!!」
ミカとレイコの火力、ヤバイ事になってるなぁ。通常攻撃で戦車が吹き飛んでる。ミカがEXなんて使ったら過剰過ぎて死人でも出るんじゃ……。
更に、程なくしてノーマルスキルが発動。先程はSRT特殊学園の生徒が召喚された。しかし今回は私の抱える私兵、人工天使擬人化シリーズ4姉妹の次女、アンブロジウスのアンが現れた。
「っ!お久しぶりですわ、マスター・マエストロ」
「アンブロジウスが来たか。元気にしているかね」
「ええ、4人共。ただ、グレゴリオ改め、グレイとリンゴの2人は、ミレニアムの早瀬ユウカにかなり甘えん坊なんですの。困ったものですわ。ローニィお姉様は毎日オヤツに目玉焼きをお食べになるので卵の消費量がとんでもない事になってますしね」
「ふふ……そうか、そうか。ヒエロニムス──いや、ローニィの目玉焼きへの情熱は、何なのだろうな。作りの親である私にも、彼女の事はよく分からん」
「先生も、マエストロと同じこと言ってますわよ。やっぱりお2人は、元々住んでいた世界は違えど、根本的には同じなんですのね」
「──さて、先生。アンの召喚効果を見るがいい。先程よりも狂った数値になっているぞ」
「……完ッ全に脳筋パーティになった……」
アンの召喚時の効果も、まさかまさかの攻撃力のアップであった。その効果も加味すると、ヒマリやコタマからのバフを抜いて380%を超えるバフだ。
素の攻撃力だけでかなりのブッ壊れだ、こんなの敵に回したらと思うと……鳥肌が立つ。
「もう少しで雑魚は片付くよ、先生っ!」
「よし……ミカ、レイコ、アン!今だ!!」
「あなた達の為に────祈るね☆」
「誰に指示してんのよ!」
「了解しましたわ、先生」
ミカは当然、私の指揮下にある。しかしレイコは今は第1部隊と第2部隊のどちらにも編成してないお陰で、コストを10も消費せずに、レイコ本人さえその気になればEXを発動できる。そしてアンも、私が召喚しただけなので、コスト消費を気にせずにEXスキルを使えるのがイイ。
ミカで残る戦車を消し飛ばし、レイコで広範囲を吹き飛ばし、アンで更に広範囲を掃討してやった。とんでもない火力だ。バルバラのHPバーですら、一瞬で消え去りそうだ。これが重ねがけパワーか。
◆
「はぁっ、はぁっ……!これで、飂熾冘巫髏の雑魚は殆ど片付いたわよォ……ルーシィ!!」
「ちっ……!」
シエル、ルビー、リエは脱落してしまったものの後方支援とスズは部隊としてまだ残っており、更にソロでレイコ、ミカもまだ残っていた。
3人と後方支援さえ残っていれば、ルーシィなら倒せなくもない……が、懸念すべき点が、まだ……。
(さっきからライムの支援が来ない!何やってんのこんな時にッ!まさか別働隊に潰されたっての!?いや、先生の部隊操作権限はそこまで及ぶ……?)
「ルーシィらしくもない焦りっぷりねェ。まさか、万策尽きたのかしら?」
「……そーかもしれないわねぇ。でもま、あんたらをここまで追い詰められたなら、それでいいよ。私もここからは背水の陣でいくからさぁ……!」
「あぁん?私達を追い詰めたァ?そりゃ、前線には3人しか出て来てないけど。予備の人員なら、まだ控えてるからね?」
「そうじゃあないわよ。────もうあんたらには回復させない……そう言ってんのよ」
「「「……ッ!?」」」
回復は主に後方支援の生徒の役割だ。それなのに回復「させない」──つまり、後方支援の生徒にも手を出している、またはこれから手を出すという、ある種の宣言であると受け取れる。
それなら話は早い、そうさせないようにと防御に回るだけだ。
「スズッ!レイコッ!!アンナやアスカ達を!!」
「りょ、了解っ!」
「聖園ミカだけで大丈夫なんでしょうね!?」
「誰に言ってるのかな?あなたよりかは強いから、私達の方は大丈夫だよ☆」
「ちっ、いけ好かないヤツねェ……!」
仲間割れすな!とスズに襟首を掴まれ半ば強引に引っ張られていくレイコ。2人を見送る間、ミカはルーシィから目を離さないで居たようだ。
(これまでずっと、どんな策にも裏を用意していたお陰かな?あっさりとブラフに引っ掛かってくれたけれど……逆に心配になるわね)
「あなたこそ、後方支援が無さそうだけど、それは大丈夫なのかな?☆」
「……ええ、自分への後方支援として配置するより、別働隊に派遣した方が有意義だからね」
「へぇ、なんか凄いね?自分が可愛いだけのトップじゃないんだ?」
「私は万魔殿じゃあないのでね」
「……」
「ところで、その銀河みたいなヘイロー……そっか、そうなのね。アンタが、トリニティ総合学園最強の女、聖園ミカね?」
「そうだけど、あなたは?トリニティの生徒っぽく見えるけど、ハドマの生徒……なんだよね?」
「私は元ハドマ学園生徒会副会長────そして、現ゲヘナ学園生徒会長。トリニティ出身の堕天使、針村ルーシィよ」
「……ルーシィ?────ッ……な、に……っ?」
頭を抱え、汗を流す。ズキズキと脈動するように頭が痛み、その激しい頭痛に、思わずミカさえ顔を歪めてしまう。
──ナッちゃん、こんどいっしょにあそぼっ!
──ええ、ぜひ!
──ナギちゃんはわたしとあそぶんだよっ!
──ナギちゃんじゃなくてナッちゃん!
──ナギサちゃんはナギちゃんなのっ!
──まぁまぁ、おふたりとも。また、さんにんでいっしょにあそびましょう?
──
──ぴぃ……。
「え……ぁ……?ルーシィ……いや……
「……♪」
「有り得ない……。どうしてあなたが……、私達も……お……幼馴染、だった……?」
「……そーだよぉ、
「────そうだ、確か私とルーちゃんは従姉妹で私がお姉ちゃん役で、ナギちゃんとも遊んでた──でもルーちゃんは、親の都合で小学校に上がる時に
「そーそー♪」
「……久しぶり、だね。どうしたの、宣戦布告なんかしちゃってさ」
「内容は聞いてるでしょ?予告通り、トリニティを潰しに来たよ」
「……そっか。だけど、トリニティは、私にとっての数少ない居場所なの。嫌な奴も多いし、なんなら、あなたが潰してくれた方がスッキリするのかもね。でも……私はあなたを止めなくちゃ」
「っ!?」
「後方支援なんか間に合わせない。あなたはここで私に──ううん、シャーレの先生に負けるんだよ」
「やばっ……ライムッ!!」
「あなたの為に、祈るね。Kyrie Eleison」
ミカに吹っ飛ばされたルーシィを見て、辛うじて意識を保っていた飂熾冘巫髏残党は各方面に連絡を飛ばし、または逃走していく……。
◆
「りょ、了解!……い、命拾いしたな!今回はこれでズラかってやる!!やろー共、逃げるぞー!!」
トリニティ自治区某所、学園へ続く大通りにて。便利屋68と交戦していた飂熾冘巫髏の残党も敗北の報を受け取り、逃走を開始するが。
「あはははっ、逃がすワケないじゃん!」
「先生から依頼された任務だし──事態も事態だし完璧中の完璧で終わらせよう」
「そういう事ですので死んでくださいっ……!!」
「「「「ぎゃああああああ〜っっ!!」」」」
「クッソ……コイツら!」
「反撃しようとするな!仲間は連れてけない、自分だけでも逃げるんだ!散れ、散れ!散開っ!!」
「へぇ、仲間を見捨てる判断もできるんだ。ただのバカじゃあなさそうだね?」
「でも、この状況で投降しないなら、どちらにせよバカには変わりないだろうね」
飂熾冘巫髏の残党が逃げた先には便利屋68社長の陸八魔アル、更にはアリウススクワッドのリーダー錠前サオリ、支援にその他のスクワッドメンバーが待ち構えており、一網打尽にされてしまった。
◆
「────了解しました。まぁ負けますよね。ではあなた方もお気を付けて。白き世界で、また」
『マフユさんも……ご武運を!』
「────。皆さん、現時刻を以て作戦終了です。トリニティ総合学園から即時撤退。各々、自決用のダイナマイトを装備して抜け穴に。穴を破壊しつつのんびり帰るとしましょうか」
「りょ、了解っ!」
「あ、仲間も戦車も置いて行きますよ。そんなもの足でまといです」
「え!?で、でもッ……」
「では、あなたも置いて行きますね」
「えっ!ちょっと、待っ……」
ツルギにボコられ敗北、気絶してしまった同僚のレティを抱えていたマフユだったがそんなレティを投げるようにその場に落とすと、逃走を開始する。
「──さよなら、レティさん。楽しかったですね、復讐を目論むテロ組織ごっこ。次はもう少し私達の役に立ってくださいね」
同じ「幹部」であるレティの事すらも、ツルギに負けたからとその場に放置してしまった。
戦車やその残骸を盾や障害物にしながら、進軍に利用した穴へ進む。途中、何人もの仲間が正義実現委員会のスナイパー達に倒されていくが、気にせず進み続け、遂に地下道へと到達。
ツルギ率いる正義実現委員会もそこに追いつくがマフユ率いる飂熾冘巫髏のレッドウィンター部隊はとびきり逃げ慣れているようで、自分達が地下道に生き埋めになる事も厭わず爆弾を起爆──地下道を塞ぎ、正義実現委員会の追跡を、事もなげに完璧に振り切ってしまった。
次回────万魔殿の反撃
ミカエルとルシファーは双子なので、2人の元ネタ繋がりで、呪術廻戦の存在しない記憶ネタを。
幼稚園時代の記憶自体は本当に存在しないですが、ミカとルーシィは一応、従姉妹です。ただしミカもルーシィも自分達が本当に従姉妹だと知りません。
ルーシィはミカの呟きに適当に同調してるだけで、内心「何言ってんの?」程度にしか思ってません。
従姉妹揃って自校にも他校にも迷惑かけてるんだ。血は争えないみたいです。可愛いですね。