「先生!もっとあたしらに構って!」 作:アキラゼミ
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ハドマ学園を中心とした騒動も終わりを告げて、世間が落ち着きを取り戻し始めた頃……。
遅れるかもしれないとのことだったので、約束の時間丁度くらいに到着するように時間を調整して、スズとの待ち合わせ場所に向かってみた。
事前に伝えてくれただけあり確かに元々の約束の時間には遅れてしまったものの、程なくしてサイドテール状態のスズが待ち合わせ場所にやってきた。
「ごめん先生っ、お待たせ!」
「そんなに待ってないから大丈夫だよ」
「待った人の常套句じゃん!……はぁ、はぁ……」
膝に手を付き、肩で大きく息をしている。見れば分かる通りかなり急いでいたようだ。サイドテールだったのはツインテールを解く途中だったようで、走りながらヘアゴムを解いていたら髪と絡まって、仕方なくこのまま来たのだそう。
「ツインテールにしてたって事は……ここに来る前に戦ってきたのかな?」
「よく覚えてるね、先生!あたしの戦闘モードは、ツインテにしてからが本番だかんね〜」
ハドマ学園の統治委員長、鐘蟲スズは、ちょっと変わったルーティンの持ち主だ。
戦闘時には、そのロングヘアーをツインテールにすると、やる気がアップするらしく、戦闘をかなり有利に進められるらしい。
ただし、上手く髪を分けられないと逆に戦力減になりかねないので、より早くより綺麗に髪を二分割するのが肝要なのだそう。
「実は、また
「!」
「ルーシィの指示なのか、他の幹部の指示なのかは分かんない。けどまぁ、チンピラレベルのザコだし別にいいんだけど……相ッ変わらず数が多いのよ!!ホントにさぁ!次から次へと湧いてくるもん!!」
「お疲れ様……」
「マジでお疲れ様だわ!こういう時に限ってルビー居ないしさぁ!いやまぁ、飂熾冘巫髏が暴れるのは別にいつも通りなんだけど……」
「あれ、ルビーはどうしたの?」
「今日は撮影。ほら、今月号は飂熾冘巫髏の騒動で撮影できなかったでしょ?だから代わりに、ルビー単体の本を出す為に撮影しまくりなのよ」
「ルビー単体!?そりゃ凄いね……」
「当然よ、ハドマ1の売れっ子モデルだもん♪」
スズ率いる統治委員会のナンバー2、副委員長の零得ルビーは、バイトとして読モやらのモデル業で稼いでいるそうだ。そのバイト代の一部は、彼女ら統治委員会の活動資金の一部になっている事から、スズとしてもルビーの活動をバックアップした方が後々お得に働くのだそう。
────だが、先日の飂熾冘巫髏の騒動の鎮圧に統治委員会として奔走したお陰で、今月号の雑誌にルビーが載る事は無かった。
ただ、ルビーは売れっ子なので、出版社としても何も出さないワケにはいかないようだった。今日の撮影はまさに、普段の雑誌の代わりに彼女単体での本を出す為の撮影なのだそうだ。
「まーそんなワケでさ。しかもそんなタイミングで飂熾冘巫髏のザコが暴れ出したから……」
「最悪なタイミングだったワケだ」
「そーそー……ホンット疲れちゃうわー」
スズの戦闘能力──というより特性ってヤツか。彼女の特性として、素の攻撃力がとんでもなく低い代わりに、時間経過と共に爆上がりしてくるというものがある。ただしそれも、ルビーの補佐があってやっと輝くようなものだ。
スズだけでは満足な運用は難しいだろうに……。
「……それで、今はどこに向かってるの?」
「あ、言ってなかったっけ。スイーツ店よ、なんか甘い物が食べたくなってさー」
「疲れた時にはそれが一番だよね。何でも好きなの注文してね。お疲れ様って事で私が出すから」
「ホント!?……ホントに言ってるの!?」
「いつも頑張ってるからね」
「〜〜〜〜〜ッ……頑張って良かったぁっ……!!」
きゅっと可愛らしく手を握り満面の笑みになる。奢るだけでそんな可愛い笑顔を見せてくれるなら、私としても、奢り得ってものだ。
そのまま2人並んで彼女イチオシのスイーツ店へ移動。学校終わりの時間だからなのか、それなりに混んでいるようで……。
「んー、並んじゃってるかぁ。せんせーって並ぶの大丈夫な人?」
「うん、3時間くらいなら待てるよ」
「それは気が長すぎじゃ……?いやさ、たまに待つのスゴく嫌いな人って居るじゃない?だから確認だけしとこうって思ってさ」
「そうなんだ。私の知ってる子は大体が待てるから少し新鮮かも」
トリニティのスイーツ店の方が並んでいるから、このくらいなら、私からすれば並んでない判定でも構わないくらいだ。20人も並んでないし……。
「オラッ、退きなァッ!」
「邪魔だ邪魔だぁ!」
「きゃっ!?な、何なのよあんたら!?」
「あぁん?……あっ、テメッ……」
「おうおう統治委員長サマかぁ!?買い食いなんてしてもいいんか?統治委員長サマがよぅ!!」
ハドマの制服──見たところ、飂熾冘巫髏の残党らしかった。残党が2人ほど私達の前に割り込み、オラついて他の客を追い払っている。
「ハドマの校則に『買い食い禁止』は無いでしょ。それよりあんたら、割り込むんじゃあないわよッ!先に並んでたのはあたし達なんだから!」
「へっ、関係無いね!なんなら今ここで、テメーに復讐しても良いんだ!」
「部下も居ない、副委員長は休み!今ここで、処理してやんよ!」
パチンと指を鳴らす、するとどこからともなく、10数人前後の飂熾冘巫髏の残党がやってきて、私とスズを囲んでしまう。
「うっそ、囲まれた……ッ」
「私が指揮する。大丈夫だよ」
「っ!……うんっ!お願い、先生!」
そして、私の指揮にて飂熾冘巫髏を撃退するも、戦闘が終わった頃には、お店の人も避難したらしく既に閉店してしまっており、並んでまで食べようとしていたスイーツは、堪能できなかった……。
◆