「先生!もっとあたしらに構って!」 作:アキラゼミ
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ルビーとの逢瀬を終えた帰り道。私が乗る予定の列車の発車まで時間があるので、ハドマの商店街で軽く時間を潰す事にした……。
「……」
商店街に入った直後あたりから、何やら気持ちが落ち着かない。まるで誰かに監視されているような感覚だ。監視──というよりは尾行かもしれない。
勘とでも言うべきか、そんな嫌な二択が頭の中に浮かぶ。私を監視や尾行しようなどという連中は、あまり思い浮かばないが。どちらにせよ、このまま監視などさせるものか。
アリウススクワッドのリーダー、錠前サオリから教わっているゲリラ戦術の応用で、建物や人ごみに紛れ移動。更に、退路が確保できる路地に身を潜め今も尾行してきているであろう敵を待ち伏せする。
「────アロナ」
『はいっ!既に防御の準備はできています!』
との事なので、妙にキョロキョロしている人影が私が身を潜める路地前を通過した直後……。
「動かないで」
「えッ?……ええっ、先生!?いっ、いつの間に私の後ろにっ……!?」
「ん……?」
私が拘束しかけたのはハドマ学園生徒会・失楽園書記の天河アンナだった。敵ではないと分かり安心したので、話しながら少し歩くことにした。
「どうして私を尾行したりしたの?」
「び、尾行したつもりは無くって……。入口の近くで先生を見掛けたのですが、話しかけるタイミングが掴めず……でも先生とお話がしたかったから……」
「……そっかぁ」
うーん。無自覚のストーキング行為──と断じて大丈夫だろうか。他の大多数の生徒なら「先生!」みたいに話し掛けてきそうだし、無言で
「そういえば、アンナはどうして商店街に?」
「えっと、そろそろ普段使いしてるペンのインクが切れそうで……。替えの芯を買い足しに来たんです。先生こそ割とかなり過疎ってるこの寂れた商店街でどうされたんですか?」
「急に地元をディスるね。……私は特に、目的も無くブラついてるだけだよ。電車の発車時刻まで時間があるから、暇潰しにね」
「そうだったんですね!良かったら案内しますよ?よくこの辺に遊びに来るので、それなりに詳しいと思いますし……!」
「そうなんだ。じゃあちょっとお願いしようかな」
「はいっ!」
彼女の案内で真っ先に向かったのは、文房具屋。シンプルなデザインなモノから、凝ったデザインのモノまで、かなり選り取りみどりだ。
ファイルにバインダー、書類ケースなんかのサブアイテムまで豊富で、つい手を伸ばしそうになる。ただ、デッサンに使うようなデッサン人形、パンも置いてあるのは……これは文房具、なのだろうか?
「あ!見てください先生、このキーホルダー!新作出てるみたいです!」
「え?」
小学生などに人気がありそうな、ペンについてる小さな装飾品──アレがキーホルダーとして個別に販売されている。カイテンジャーのキーホルダーもあるだなんて……。
「今月の新作は、ゲヘナ式の旧型アサルトライフルですか……!可愛さよりカッコ良さ重視なのかなぁ、重厚感あるデザインが良いですよね!」
「……そうだね!」
これって文房具に入るの?────今にも口から飛び出しそうになったその言葉を飲み込み、全力で肯定してみた。
その他にも作業用BGMのCD、環境音のCD、爆弾解除のASMRのCD、CDプレイヤーなど。
他には、持ち歩きのできる音楽再生機器といった文房具屋を名乗るお店に置くにしてはワケ分からんグッズも案内してもらった。
「あっ……つい話し込んでしまいました……!電車の時間は大丈夫ですか?」
「……次のに乗るから大丈夫ダヨ」
「そうでしたか、じゃあ次は────」
お店を出る頃には、あまりにも情報が完結せず、思考が停止しかけていた。
別れ際に、お土産として、アンナからスナイパーライフルのキーホルダーを御守りにどうぞと譲ってもらった。SRといえば、確かアンナの固有武器のはずだが──果たして、彼女の真意や如何に……。
ペンについてる、チャラチャラしてる小さな飾り。
好きでもないけど、特に嫌いでもなかったです。
自分の武器を模してるキーホルダーを御守りに、と送るアンナ。割と重そう。