「先生!もっとあたしらに構って!」 作:アキラゼミ
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アスカの待つ第1家庭科室に向かうと、その階に到達した時点で甘い香りが鼻腔をくすぐる。どこか温かくて、優しい香り。アスカのお得意料理……。
「────クッキーだっ!」
「わっ!?せ、先生っ……!」
家庭科室に突撃すると、エプロンを着たアスカとサエがお菓子作りに励んでいた。見た所、どうやら焼き終えたクッキーをオーブンから取り出しているようだった。幾つも並べられたオーブンから大量のクッキーが取り出されていく。
これがアスカのEXスキルのウラ側か〜……。
「あっ、先生だ!こんにちはっ!今日はどうしたんですか!?」
まるで小動物のような、極めてロリロリしい美食研究会対策委員会の副委員長、
「や。アスカに呼ばれて、ちょっとね。……来たよ、アスカ」
「お待ちしてました。……サエ、今日はもう大丈夫、片付けは私に任せて」
「え、でも……」
「ちょっと、先生と2人にさせてくれる?」
「!成程です!分かりました!頑張ってください、応援してますっ!それではっ!」
自分の道具らしい調理器具や筆箱や、焼き上がるまで勉強して待ってたらしく教科書にノートなどを胸に抱えて、パタパタと駆けて行った。
「……はぁ……何を頑張るってのよ、何を……」
「相変わらずサエは天然だね」
「天然とかそういう問題です……?」
その後アスカと家庭科室の片付けや掃除を行い、作ったばかりのクッキーを冷ましつつ、甘い香りの残る家庭科室内で、アスカとの対話に臨む。
「それで……妹について──だったね?」
「はい……。あの子……アガリは、私の知らない間に飂熾冘巫髏に加入していました。しかも
「ライムに気に入られてるんだったよね。だから、多分、そういう所じゃないかな。幹部補佐になる程功績を残したとかじゃなくて気に入られただけだと思うよ」
「そこなんです!私が気になっているのは!」
「え?」
曰く──彼女は人の気持ちを無視するかのような言動をするので、およそ好かれやすい性格ではないとのこと。サエと友人関係でいるのすら、アガリに問題はあれどサエがその辺を無視して接してくれるというのが何より大きいらしい。
「そ、そっかー……じゃあ、多分だけど、それが答えなんじゃないかな」
「え……?」
「サエが、アガリのそういう部分を度外視して友人関係を築いてたのと同じように──ライムもまた、性格を無視して、また別な観点からアガリを補佐に抜擢した。例えば潜入能力だとか、自分の気持ちと指示内容を分けて考えられるとかさ──そういった感じで、理由は幾らでも考えられるかもね」
「そうかもですが……。アガリなんて、ライム先輩に向かって『お姉様』呼びして……」
「……」
「まあライム先輩の事ですし、アガリのことすらも食べてるんでしょうけど。私の事は『お姉ちゃん』なのに他人を『お姉様』呼びは納得行かない……」
俯き、ぷっくり頬を膨らませる。お姉ちゃん──姉として思う所があるんだろう。私も、少しだけ、分かる部分もあるにはある。
確執はあれど、妹が他人を姉扱いしているのだ。これは姉本人からすれば面白くないし思う所もあるだろう。
ミドリが、
しかもこの例で言うとゲーム開発部とセミナーはバッチバチに対立しているとして、だ。そりゃあ、アスカもモヤるだろう。
自分の妹が、敵組織の幹部を「お姉様」と呼んで懐いているとなれば……。
「飂熾冘巫髏を壊滅させたら、何か変わるかもね」
「壊滅……できますかね……」
「頑張ればできるさ。少なくともヘルメット団より小規模だもの」
「……でも、更に小規模な美食研究会は、壊滅させる事ができるような……ビジョンが見えません」
「……あの子達は、キヴォトスでも屈指のテロリストだからね……ちょ〜っとレベルが違うかなー……?」
「正直、妹どうこう、飂熾冘巫髏どうこうよりも、美食研究会を潰したいです……。一時期とはいえ私が飂熾冘巫髏に加入したのだって、美食研究会を倒す為の兵力にするつもりだったからですし」
「…………………………皆で頑張れば何とかなるよ!」
「そうですね……頑張ります……っ!」
美食研究会も私の生徒だ、表立って言えない事もあるにはあるがアスカには余計に言えない。だからちょっぴり誤魔化してしまったが、アスカはあまり気にしていないようだった。
その後、作りたてホヤホヤの甘々のお菓子を沢山袋に詰めて譲ってくれたので、快くそれを受け取りシャーレに帰還した。
疲れが取れるお菓子だ、夜に仕事が煮詰まった時なんかに有難く食べることにしよう。
次回────アスカと……♡