「先生!もっとあたしらに構って!」 作:アキラゼミ
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昼前にサエから連絡をもらって、現在、夕方……。
サエがシャーレに到着する気配は無いしあれから彼女から連絡も来ない。私から送ろうにも、今日はそれなりに仕事が立て込んでしまっていて、あまりスマホを触る余裕も無くて、そうこうしている内に夜になってしまった。
「流石にマズイよな……」
連絡を送ってみるも、既読もつかない。危機感を覚えた私は、シャーレを出てハドマからシャーレの道中にサエを探しに行く事にした。
何パターンもの交通網の中から、1つを特定してサエを探すのは骨が折れる。短距離ならともかく、ハドマ学園─シャーレ間はとても遠いから困った。恐らくだがゲヘナ─トリニティ間より遠いはず。
仕方なく人口天使4姉妹も動員してサエを捜索し22時を回る頃────トリニティ自治区内の小さな公園に居る所を発見された。
「サエっ!」
「先生……?」
「よかった、こんなとこに居たんだ……」
サエを見付けてくれたローニィを先にシャーレに帰し、それから私達も公園を出て少し歩くことに。赤く霜焼けのようになってしまった彼女の手を握りある程度温めてから、彼女の手でも握れそうな少し小さめのカイロを渡した。
「すみません、スマホの電池切れちゃって……」
「それで連絡付かなかったんだね」
「ええ、まぁ……」
「大体、何時くらいにハドマ学園を出たの?」
「えっと、アスカ先輩とご飯食べてからだから……。お昼過ぎには出たハズ、です……」
「!?」
昼過ぎを13時と仮定したら、大体9時間は野外に居たという計算になる。……なんて事だ。もっと早く彼女の捜索に乗り出していれば……。
「私、あんまり、学園の外を知らなくって……。道もよく分かりませんし、道行く人に訊くのはちょっと恥ずかしいなって思って……。そしたらいつの間にかこんな夜になっちゃって……人も居なくなって……」
「もし道に迷った時は、素直に助けを求めなくちゃダメだよ。道行く人達に訊くのは恥ずかしいのかもだけど、それなら電池が切れる前に言ってくれればもっと早く合流できてたでしょう?」
「大丈夫って言っちゃったし、何が何でも私の力でやり遂げないと、と思ってしまって……。でもそれで道に迷ってちゃ意味無いですね……ごめんなさい」
「……ともかく、サエが無事で良かった。今日はもう遅いから……シャーレに泊まっていくといいよ」
「え、いや、でもっ、チョコを渡しに行こうとしただけなので、そこまでは……」
「もう遅いしさ。明日、朝イチでハドマに送るよ」
「……ありがとうございます……先生」
シャーレに帰ってから、彼女が作ってきたというチョコレートを食べさせてもらった。
皮肉な事に、寒い野外に居たからかチョコの方は全く柔らかくなったり溶けることなく無事だった。アスカのはほろ苦い大人の味──サエは甘み重視のいかにも子供の味という、どこか懐かしくもなる、甘々なチョコレートだった。
温かな屋内に入った事で安心したのか、執務室のソファに座るなり、すぐに眠ってしまった。そんなサエを仮眠室に運んで寝かせて、翌朝、約束通りに朝イチでハドマ学園まで送り届けた。
アスカやルーシィなら「裏があるな」とか「これも計算のうちかルーシィ!」となりますが、サエだと全てが天然です。
アスカを見習うというのも「お菓子を渡す」と言う一点のみ。