※この作品はR-18です。

「先生!もっとあたしらに構って!」   作:アキラゼミ

48 / 185
第3話:技術開発部、見参ッ!

 

「────そっか。アルバイト扱い、賃金支払いもOKしてくれたんだね」

 

「ええ。テロ組織への資金提供にならないか、とも危惧されていましたけれど。そもそも働く事を通し更生させるのも目的ですし。それに、仮に組織への資金提供になったとしても、賃金の支払いを渋る、悪質な業者と公的に手を組むよりはマシですもの」

 

「そうだね。概ね、私も同意見だよ。もしもこれで飂熾冘巫髏が力を付けたとしても、力を合わせて、また撃退しようか」

 

「はいっ……有事の際はよろしくお願いしますわ」

 

 ────それで、どうやってその研究者とやらが吸血鬼の生徒を研究とやらに参加させるか、という話になるのだが。

 やはりと言うべきか、リエもこれに対して疑問を抱いたらしく、事前に相手に質問してくれていた。

 それによると、所謂「私兵」を抱えているので、荒事にも備えはある……という事だった。

 カイザーPMCとは無関係であり、寧ろカイザーコーポレーションを嫌悪しているまであるようで、カイザーはもちろん外部との繋がりを完全に断ち、完全に、その研究者団体のみで運用をしている兵力らしい。

 抵抗をされれば誘拐じみた事にはなるだろうが、そもそも飂熾冘巫髏は指名手配中の組織である事も加味すると、公になっても問題は少ないのだそう。

 

「そ、そうかぁ……誘拐じみた事も想定済みか」

 

「『悪魔』とは基本的に、大なり小なり血気盛んな気質があるのですが『吸血鬼』の有するソレは全く異質なんです。癇癪持ち──キレ症──等とは全く違いますけれど、荒れ事なんかに飛び抜けて強く、血気盛んであり、好戦的です。参加するよう優しい言葉で語りかけても、無駄に終わるのでしょう」

 

「……もし飂熾冘巫髏の戦力が減ったらどうする?」

 

「っ……その時は、可能ならルーシィさんとの対話に臨み……『吸血鬼の方も組織を抜けたようですし』とそういった体(てい)で話してみたいです。そのまま組織を解体してくれるならヨシ。交戦するなら、そのまま倒すしかありませんが……」

 

「……」

 

 ルーシィなら、そのまま解体はしないのだろう。きっと飂熾冘巫髏という組織の形を安定させたまま私達の前に立ちはだかるはずだ。

 と、そこまで分かっていながら、私にはこの件に関して、まだ分からない事があった。

 

「──そういえば、なんだけどさ。吸血鬼の生徒を研究者に差し出して、飂熾冘巫髏の戦力を削ぐって言い出したのは、一体どの生徒なの?発想がその……あまり君達らしくないと感じたんだけれど」

 

 言いそうなのはレイコだろう。だが飂熾冘巫髏はレイコ自身の古巣であり、ルーシィの組織だ。今は敵対しているが、潰すとしても自分の手で──と、武人気質なレイコは考えるだろう。

 ハドマ部隊の主戦力である吸血鬼を差し出して、弱体化を狙う。レイコの発案ではないのは明確だ。誰かが、リエにそう口添えした生徒が居るハズだ。

 何より、お人好しなリエがこんな方法を思い付くだなんて思いにくいというのが大きい。要は勘だ。

 

「……?あ、そうでしたわね。そういえばまだご紹介していなかったかもしれません。折角ですし、今、紹介しますわね」

 

 スマホを取り出し、手短に連絡を送るリエ。

 程なくして、メイド服の少女が2人やってきた。とうとうリエのように制服ですら無くなった。全くこの学校の風紀や規則はどうなっているのやら──ハーレムを作っている私なんかが言えた事ではないかもしれないが、本当にわからん。

 ミレニアムで言う、C&Cに当たるような組織の生徒とも思えないし。

 

「はぁい、リエ〜。お待たせちゃん☆」

 

「……」

 

 1人はピンクのロングヘアー。直視できない程に私の好みにブッ刺さっている。ただし、何故か黒い目隠しをしている。巨乳だ。

 もう1人もピンク、ただしハーフロングくらいの髪をポニーテールに結び私にガンを飛ばしている。胸は……目隠しの子よりは小さいが、服の上からでもパッと見で分かるくらいには大きい。

 

「本日も、シャーレの先生をお招きしてましてね。お2人を紹介しようと思いまして」

 

「えっ、シャーレの先生来てるのっ!?どこどこ?どこなの、先生っ!?ねぇ教えてテンコ!」

 

「……2・5」

 

「────そこだっ!」

 

「うわっ!?」

 

 ポニテの少女が数字を呟くなり、ギュンと身体の角度を変えた目隠しの少女が私に飛びついてきた。あまりに唐突過ぎて身構える事もできず、呆気なく床に押し倒されてしまった。

 

「えっへへ〜♡ 先生、全く喋んないから、どこに居るか分かんなかったよ♡」

 

「え、えぇ……?」

 

「私、目ぇ見えないからさ?音を出してくれるか、誰かが場所教えてくんないと♡」

 

「!?……目……見えない、の……?」

 

「そだよー。ロマンを追い求めた代償、みたいな?名誉の勲章みたいな?そんな感じかな☆」

 

「どこが名誉の勲章だっての。ただの自爆でしょ」

 

「ロマンを追い求めた末の自爆ならセーフ☆」

 

「どんな基準なの、それ……」

 

 私を押し倒したままでやいのやいのと言い合いを始めてしまった2人。見かねたリエはわざとらしい咳払いをして、2人の意識をこちらに引き戻す。

 

「っと……そろそろ立とっかなー。…………すんすん……えへへ、先生の匂い、嫌いじゃないかも♡」

 

「私も────」

 

 私も君の匂い好きだよ!!と全力で返答しようと口を開いたその瞬間──あのポニテ少女の目付きが一際、ドギツイものになる。

 ヒュッ……とタマが縮み上がった気がした。

 

「お2人共。先生に自己紹介をお願いしますわ」

 

「技術開発部部長、砂田(さた)リンコ、3年生!先生も、私のことはサタリンって呼んでね☆」

【挿絵表示】

 

「……妹の、テンコ。……2年生」

【挿絵表示】

 

「おお……2人は姉妹なんだね」

 

「まっ、見ての通りって感じ?ソックリだもんね、私達♪」

 

「そんな似てないっての」

 

「もーっ、テンちゃんは照れ隠しが酷いなぁ♡」

 

「てっ、照れ隠しじゃないってのに!!」

 

「……こんなノリのやり取りは常ですので、先生も、慣れて頂けますと助かりますわ……」

 

「う、うん……」

 

 ◆

 

 それから暫く、2人と雑談を重ねた。帰る頃にはおおよその人となりを把握できつつあった。しかし帰り際まで、大事な事を聞き忘れていた。

 

「──そうだ。飂熾冘巫髏の吸血鬼達を研究者達に委ねて、その隙に飂熾冘巫髏を倒そうと思い付いた生徒……ってのは、リンコとテンコ、どっちなの?」

 

「私だよ〜」

 

「姉さん」

 

「っ!」

 

 意外だった。話している中では、リンコは温和、テンコは攻撃的で若干シスコン気味という印象で、戦力を減らした上で倒してしまおう、なんて言える性格をしているのはテンコの方に思えたのに。

 

「だってさー、吸血鬼って私達フツーの悪魔よりも少し頑丈で、回復も早くて、攻撃性能もあるしさ?弱くても、平均レベルは高めなんだよー」

 

「それはまぁ……そう、らしいね」

 

「だから、それが抜けちゃえば組織も潰せるしっ、組織という居所を無くした吸血鬼はまとまりなんか無いから、個別に潰せるしさ?一石二鳥だよね☆」

 

「吸血鬼は、飛び抜けた神性(カリスマ)を持つ者か、圧倒的な強者に従いやすい。それが無ければまとまりも殆ど無いに等しいからね。種族的な本能……かもね」

 

「何より飂熾冘巫髏はもう利用できそうにないし?なら、居なくなった方がオトクかなって思って☆」

 

「……利用?」

 

「あっやば。……今の聞かなかったことにして?」

 

「……姉さんさぁ……」

 

「?」

 

 リンコが何やら失言してしまったらしく、2人は一気に黙り込んでしまった。あまり深堀りするのも良くないかな、と思い別の話題を出そうとするが、この一連の流れを少し離れた生徒会長の席に座って見ていたリエは、大きな溜め息をついて……。

 

「ここまでハドマに尽くしてくださっている先生に隠し事というのは、良くないのではないですかね?

『商売人は信頼が命』とは、あなたの言葉ですよ」

 

「うぐぅ……ド正論パンチが目玉に刺さる……」

 

「無いでしょ。目玉」

 

「──怒んないで聞いてね、せんせ?」

 

「う、うん……?」

 

「私達────割とついこの前まで、飂熾冘巫髏の幹部と幹部補佐だったの」

 

「……えっ」

 

「まぁ、正確には『幹部候補』と『その補佐』ね。私達、ゲヘナ出身だからさ。だから、ゲヘナ部隊の幹部として、指揮を任されるハズだったの」

 

「ゲヘナ部隊……」

 

「それで、任された直後、部下の反乱に遭ってさ?盲目になったばっかりだったっていうのもあって、フツーに負けちゃって。だから辞めてやったのよ。どっちにしろ、ライムもルーシィも失楽園を抜けて飂熾冘巫髏1本でやってくようなら、私達にとって利用価値は無いもんね」

 

「そうね。それなら辞めた方が気が楽だし」

 

「────お2人は、飂熾冘巫髏からの資金提供が目当てで、飂熾冘巫髏に加入──というよりは協力していたそうです。先生も、既にルビーさん達から聞いていてご存知だと思いますが、ハドマ学園は、財政的にあまり豊かではありません。それは、殆ど常に開発費や材料費で金銭が必要な技術開発部とて例外ではありませんでした。それどころか私達より危機的な状態に置かれていましたし……」

 

「まぁそういう事〜。だから、割と即抜けしたって事で、これまで通りの生活に戻るのを条件にして、アッサリ許してもらったんだよね」

 

「即抜けしたの(それ)もありますし、そもそもお2人共、七天魔に数えられるくらいにはお強いですからね。無闇に敵に回すよりはマシというものです」

 

「あれ?この2人も七天魔なの?」

 

「ええ。先生がハドマ学園に来られる、ほんの少し前まで──ルビーさんとアスカさんは、七天魔には数えられていませんでした」

【挿絵表示】

 

「ッ!!」

 

「逆に言うなら──全力を出せる状態のお2人は、ルビーさんと同程度、もしくはそれ以上──大体、そんなものだと思って頂ければ」

 

「……凄いね。そんなに強いんだ。ルビーの強さは、私がよく知ってるよ。なのに……」

 

「あ、リエ〜?私、そろそろ盲目に慣れてきたし、七天魔に復帰できるかもよ?」

 

「姉さんが復帰したら私もそうするから」

 

「おやおや。次の入れ替わり戦*1が、今から楽しみですわね。ねぇ……先生♪」

 

 天使のハズのリエの微笑みが、どこか、悪知恵を働かせる悪魔のようにも見えた。

 そしてリンコとテンコもどこか「黒さ」を感じる笑みを浮かべニコニコ、またはニヤニヤしている。

 ────どうやら私の性格把握能力は、まだまだ拙いようだ。

 

 ◆

 

 そして、その日のハドマ学園からの帰り道……。

 

『先生!リンコさんとテンコさんの実装準備が完了しましたよっ!』

 

『データも、ガチャに実装済みです。情報(データ)の更新と確認をお願いします』

 

「おっ。実装早いなぁ。ありがとう、2人共」

 

【想いの行方は血を分けし者にこそ】砂田リンコ

【想いの果ては天国か地獄か】砂田テンコ

 ……同じガチャではなく別のガチャとはやりおる。私から意地でも石を搾り取るつもりか、アロナめ。

 

「……☆2実装でもいいのよ、アロナ?」

 

『七天魔に上り詰めた程の生徒さんです、☆3での実装は確定です!』

 

『肯定。1週間限定のガチャです、復刻する予定もありません。──今後の為にも、お2人をガチャで(先生の指揮下に)迎えておく事を強くオススメします』

 

「いやまぁ────飂熾冘巫髏の生徒も、ガチャで迎えてるしな。この2人だけ迎えません、なんて、そんなの私のスタイルじゃないよ。大丈夫さ」

 

『はいっ!それでこそ先生です!!』

 

『ご武(ガチャ)運を祈ります』

 

 結局、シャーレに帰還後、2天井した(めちゃくちゃアロナにお仕置きセックスした)。

 机に縛り付けてやり、目の前でプラナとパフェを頬張って見せたりした。ピンク封筒を全く出さないアロナが悪いのである。

*1:
七天魔に勝った者だけが七天魔を名乗れる。ただし、相手が降参すれば不戦勝となり、その者が新たな七天魔になる。




次回────勘違いから始まるトラブル

技術開発部のこの2人、作者としては
砂田リンコ(CV.長谷川育美)
砂田テンコ(CV.伊藤かな恵)
で想像しています。
リンコはともかく、テンコの元ネタが分かる人とかもし居たら凄いと思います。悪魔学とかそれなりに知ってる人だったらヘイロー見た瞬間ピンと来ると思いますが……。
テンコのヘイローは、元ネタのアレそのままです。
テンコの「テン」は天文学の「天」です。
「テンコ」を漢字で書くなら「天子」です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。