※この作品はR-18です。

「先生!もっとあたしらに構って!」   作:アキラゼミ

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第13話:全ての吸血鬼の王(The Lord of the Vampires.)

 

「────さぁ、親愛なる先生へその強さをお見せしようではないか。ハドマ学園の生徒の協力(・・)により完成に至った、私とゴルコンダ、デカルコマニーの初の合作だ……!!」

 

「吸血鬼の中の吸血鬼、いえ、その純度はもはや、通常の概念では推し量れないものとなっています。悪魔の中の悪魔とも言える神の如き不可侵の存在……そう、仮に名を冠するならば──」

 

「己(おの)が作品へ、そして、製作にも力を貸してくれたゴルコンダ、デカルコマニー。何よりハドマ学園の吸血鬼の生徒へ、最大限の敬意を。そして、感謝を込め──敢えて、名を与えようではないか」

 

 

 

────全ての吸血鬼の王(The Lord of the Vampires)……!!

 

 

 

「ロード・オブ・ザ・ヴァンパイア…………!?」

 

「ヴァンパイア・ロード……と渾名するだけあって、とてつもないモノが完成してしまった。いやはや、本当に恐ろしいぞ。自分の手腕──いいや、彼女達

『吸血鬼』という特殊な種族のポテンシャルはな」

 

「こんなにも強大な能力を有した種族が、どうしてキヴォトスを、どこかの自治区単位でも微塵も支配していないのか。恐らくは神の、世界の意思とでも言うしかないのでしょう」

 

「今回の実験の過程で、彼女達『吸血鬼』とは──ある一定以上の能力を有する者には、殆ど無条件で付き従う傾向にある事が判明した。ある者は頭脳、ある者は強さ……というようにな」

 

「神秘を上書きしてしまう神秘など、放置すれば、すぐにキヴォトスを呑み込むでしょう。だからこそ

『神』と呼ばれる存在は、吸血鬼達の本能を、従者基質になるよう設計した。自ら上に立つのではなく他者に従うようにと……そう設計したのです」

 

「────故に──私達が連れてきたハドマ学園の生徒達は『ヴァンパイア・ロード』に従っている」

 

「「「ッッ!!!」」」

 

「我々は──少々手を加えただけに過ぎないのだ。私の製作した人工の肉体を吸血鬼化させる所から、全ての流れは始まった」

 

「恐らくは、吸血鬼に関わりを持つ誰もが気になる事象でしょう。この『吸血鬼を更に吸血鬼化したらどうなるのか?』──という疑問はね」

 

「故に検証した、先生がここに来るまでの間にな。はじめは、幾ら計測しようとも、誤差程度の地味な数値の変化しか見られなかった。しかし同じ操作を何度も何度も何度も繰り返す事によってなのか──ある時から、数値が指数関数的に伸び始めたのだ」

 

「そして、慎重にデータを採取しつつ、同じ操作をそこからも更に、繰り返し繰り返し実行しました。その結果として、大元の全ての数値を塗り替える、最強の吸血鬼──吸血鬼の王が、我々の手によって産声を上げる事になったのです……!」

 

「さぁ、ゆけ!ヴァンパイア・ロードッ!!最後の実験だ!お前の戦闘力(美しさ)を魅せろ!私達に!先生に!キヴォトス中に知らしめろッ!!」

 

「いくよ、みんな!アイツの支配から飂熾冘巫髏のメンバーを助け出すんだッ!」

 

 かつて敵として渡り合い、今も和解はしていない敵組織、飂熾冘巫髏。しかし、今この瞬間だけは、彼女達の為に私の指揮の下で歪な共同戦線を張る。

 ある者は自身の選択の後始末の為に。

 ある者は友人に助力する為に。

 ある者は、純粋な好奇心から。

 またある者は己の部下を取り戻す為に。

 そしてまたある者は己の行いを悔いて。

 異なる目的、感情を宿した極めてまとまりの悪い生徒達が、1つの敵に向かって一丸となったのだ。

 

「オオオオォッ……!!」

 

 雄叫びを上げるロード。唸り声か叫び声しか声を聞けない。まるで、理性がカケラも無い獣のよう。

 レイコにも似た白の長髪を左右に揺らし、漆黒のショットガンを天井に向けて放つ。

 

「オオオオオォォーーッ!!」

 

「無駄撃ちしてる!今よ、ルビー!リロードの隙を狙って畳み掛ける!」

 

「先輩っ、待って!!」

 

 仰け反るようにして天井を見上げ叫ぶ。好機、とばかりに喜び勇んでロードへと突っ込んでいくスズだったが────。

 

「「「アッハハハハハハッ!」」」

 

「「「ヒハハハハァッ!!」」」

 

「────ッッ!?」

 

 隕石の如き勢いで、弾が貫通したであろう天井を突き破り何人もの吸血鬼の生徒が飛び降りてきた。マエストロの言う「ロードに従うハドマの生徒」がロード本人の導きによって戦場に参戦したのだ。

 

「先輩、下がって!雑魚の相手しないでください!先輩の『空腹』状態でアイツをワンパンできるまで力温存してくださいよ!」

 

「チッ……!それはそれで気に食わないのよっ!」

 

「ワガママ言ってる場合ですか!」

 

 スズとルビーは相変わらず。確かに私としても、スズのサブスキルを利用したワンパンは気持ちいいというかその方が普通に効率がいいと思っている。スズに前に出てもらっては、普通に困ってしまう。

 

「兵隊を呼んで駒を増やしやがった……ッ!どーするルーちゃん!?吸血鬼だしっ……クソ頑丈だよ!?」

 

「……気に食わないわね」

 

「え?」

 

「あの『駒』はアイツの駒じゃあないでしょうよ。飂熾冘巫髏の総長……この私の駒だってのッ!!」

 

 制約解除決戦と似たシステムの戦闘だからなのか今回はコストの上限は20とのこと。2部隊同時指揮だから、コストも単に2倍という事だ。

 現在は、その内の15が溜まっている。それなら、使うしかないじゃないか。ルーシィとレイコによるクソ凶悪初見殺しEXコンボを……。

 

"ルーシィとレイコ以外の

FRONT、MIDDLEの生徒は下がって!!"

 

「『星々の先導者(EXスキル)』ッ!!」

 

 ルーシィの、スタンを付与する地雷の爆破によりロードを含むハドマ学園の吸血鬼達に大ダメージ&3〜5秒のスタンを付与。

 間髪入れずに、10ものコストを使用した、極めて野性的で極めて暴力的なEXの使用を指示……!!

 

"今だッ、レイコ!!"

 

「『荒ぶる破壊神の顕現(EXスキル)』ッッ!!」

 

「「「「「…………っっ」」」」」

 

 レイコがEXを使うとあっては、ただの味方だけではなく同じ吸血鬼のルビーも特に酷いダメージを受ける事になる。だから今は、耳栓を使用した上で耳を手で塞ぎ、音波の侵入を最小限に減少させた。

 それをしていなかった──いや、スタンによってそういった最低限の防御すらさせてもらえなかった飂熾冘巫髏の吸血鬼達は、大爆発で吹き飛ぶように吹っ飛ばされ、そのまま気絶……。

 

「武器変更ついでに、目ぇ覚めても邪魔しないよう奪っといてやる!」

 

 レイコは自分で吹っ飛ばした彼女達に駆け寄るとそれぞれの武器を奪っていく。彼女には適正武器が存在しない。あらゆる武器を使用できてしまうのが彼女の圧倒的なアドバンテージである。

 だからレイコは、彼女達から武器を奪う事で攻撃手段を潰すついでに、自分の武器にしたのだった。

 

「あははっ、相変わらずレイコってば凄いなぁー☆ どうしてあんなに色んな武器を使えるんだろうね?」

 

「……そういう姉さんだって、スナイパーライフルとショットガンとかいう2種の武器を使えるでしょ」

 

「まー、人並みだけどねぇ。レイコみたいに上手く使いこなせはしないよ。……そんじゃあ、まぁ、またさっきみたいに雑魚を呼ばれる前に────」

 

「畳み掛けるよ」

 

「うん、先導よろ♡」

 

 コストが5溜まる。ルーシィとレイコのスキルを使った事で、リンコとテンコのスキルカードが前に出てきた。それなら──このタイミングで使うのも悪くはない。

 

"テンコ!リンコ!今だッ!"

 

「『大人しく破壊(たお)されると思うな』ッ!!」

 

「『開発も運用もお任せだよん☆』

 

 それぞれ、コスト2と3を消費して、砂田姉妹のEXスキルを使用する。

 テンコは直接的に攻撃、防御をするようなスキルではない。自分が倒された時に、敵を道連れにする為の攻撃力を高める──というスキルだ。

 コスト2消費しEX1回毎に「鬱憤」を溜める。HPが尽きて、倒された場合──溜めた「鬱憤」の数‪‪✕‬攻撃力288%分のダメージを与える。

 テンコもスズと似た系統の攻撃の上がり方らしく後半になるにつれて攻撃力が高まるスキル構成だ。

 一方、姉のリンコはというと……。

 

「うーん、ちょっとだけタイムラグがあったねぇ。そんなに学園から離れてないと思うんだけどなー、ここ……」

 

『敵を排除するヨ☆』

 

 リンコのアンドロイドが、天井を突き破って場に侵入したかと思うと、ロードが再び呼び出した子達と戦い始めた。あれがアンドロイドリンコ……。

 アリスがアンドロイドというか「造られた」とは思えないように、アンドロイドリンコもまた同様に

「造られた」とは思えない動きをしている。

 ただ、機械音声っぽい微妙な独特の抑揚からは、やっぱり機械の声帯を持ってるんだな──と嫌でも考えさせられる。

 アンドロイドリンコは、彼女本人と同量のHP、攻撃力などを持っていて、敵全体に対し貫通属性のダメージを与える。デフォで全体攻撃なのは、少し無法がすぎるような気がするが……。

 ちなみに、アンドロイドリンコの有する属性は、貫通/軽装備。HPが尽きると自爆するし、彼女の自爆を以て「リンコのEXスキル」は終わる。

 アンドロイドリンコの自爆は爆発属性の攻撃で、敵全体に攻撃力850%分のダメージが入るそう。

 どちらにせよ、壊されても壊されなくともかなり頼りになる存在なのは間違いない。

 

「クッ、ソ……!硬すぎる!全ッ然、攻撃が効いてる気がしないよッ!!」

 

「同感、です……。たまに出る会心(クリティカル)でしかまともにダメージが入らない気が……疲れてしまいます……」

 

 スズとルビーの言う通りだ。ロードのゲージが、一向に減りやしない。会心を受けた場合にのみ少し大きめに削れる……。いやまぁそれは普通のことだがその差が異様に大きい気がする。

 

"……アロナ"

 

『はい!』

 

"ロードが異常に硬い"

 

"何かギミックでもあるのかな?"

 

『ありません!』

 

『肯定。強いて言うのなら、彼女のサブスキルで、そういった効果を発揮しているものと思われます』

 

"教えて"

 

『──ヴァンパイア・ロードのS(サブ)スキル「吸血鬼の伝説」、その効果は「胸、首、顔に命中させないと通常通りのダメージを通せない」……です……』

 

『そして胴体などのそれ以外(・・・・)の部位へのダメージは5分の1程度まで落ちてしまいます』

 

『もう1つ効果があります!「一定以上の命中率を有した者の攻撃でないと決して会心(クリティカル)が出せない」というものです……っ!』

 

"…………バケモノめ"

 

 思わず、そんな悪態が口をついて出てしまった。

 Sスキルどころか、立派なギミックじゃないか。いやギミックをSスキルという形に落とし込んだと見るべきだろう。そしてこういう概念系のことは、恐らくゴルコンダの仕業だ。……やってくれたな。

 レイコの命中率は10秒毎に10%も落ちてしまう。今はスタート時に比べ6割程度の命中率。命中率がこんなに減ってしまってはもう、レイコでは会心が出せないというワケか。

 EXは命中率が0%になっても使用が可能なのは知っているがかなり絶望的だと言える────が。

 

"……アガリ?"

 

 アスカの妹、アガリのスキルカードが前に出てる事に今更気がついた。

 同時に、今が「戦闘開始から40秒」経過している事に、ロードのHPゲージの上のデバフを見て漸く気付く事ができた。

 戦闘開始から40秒経過────ロードに掛かった謎のデバフ。アロナに頼んでアガリのスキルを確認してみれば、その謎は綺麗に氷解した。

 今のロードは、アガリのノーマルスキルの効果によって防御力が0になっている。溜めたコストを、全ブッパする瞬間が、今訪れたのだ。

 

"スズ!アスカ!アンナ!"

 

 コストが低いEXスキルでスキル回し。これで、アガリのを保持しつつ────あの子のスキルを、前に出す事ができた。

 

"アガリ、今だ!リエにお願いッ!!"

 

「了解です。『成長途中の迷探偵ちゃん(ライジング・プライベート・アイ)』」

 

 味方1人に対し会心値を34%、会心ダメージ率を72%増加させるアガリのEXスキル。

 このスキルを、EXスキルの数値だけで見れば、あのレイコさえも上回るリエに掛けてやった。

 

"ブチかませ、リエッッ!!"

 

「『大紅蓮地獄(マカハドマ)』ッッ!!!」

 

 敵全体に、攻撃力の1860%のダメージ────。

 目論見通り会心になったし、ロードにも凄まじい攻撃が叩き込まれた。惜しむらくは、属性相性的にダメージの倍率が‪加算されない、×‬1.0倍な事か。

 

「ガァァァ……ッ!!」

 

 ロードのHPバーが何本も消し飛んだ。このまましばらくはアガリ&リエのコンボでキメていって、約1分後に始まるレイコのEX乱発が始まったら、その時にはレイコにバフを積み、アスカの回復をも積めばいい。

 

「怯むなッ、ヴァンパイア・ロード!EXスキルを使うのだッ!」

 

「グガァ……!『悪魔のキッス(EXスキル)』……ッ!!」

 

"ッ!来るよ、みんな!備えて!"

 

 遂に、ロードがEXスキルを発動させる。どんな攻撃が来るのかと身構えたが────どうやら攻撃ではなく、こちらへのデバフらしかった。

 

「キャアッ……!?あつっ……」

 

「ッッ……最悪です……」

 

「って、私も!?」

 

「ありゃぁ……デバフかぁ、厄介だねぇ」

 

 スズ、ルビー、シエル、リンコの4人がロードのEXによってデバフを受けてしまった。そのデバフというのが極めて厄介なもので……。

 

"アロナ、それぞれのデバフを教えて"

 

『はいっ!スズさん達が受けたデバフは以下の通りです!』

 

 スズ:日光恐怖症──日光が当たる環境の場合、攻撃力30%分の持続ダメージ

 ルビー:弱点付与──受ける攻撃が会心の確率が30%増加する

 シエル:ルビーに同じ

 リンコ:火炎恐怖症:爆発属性の生徒は与ダメが半減/HPが半分未満になると、CC状態が3秒間付与される

 

『一応、ここは屋内ではありますが、吸血鬼さんがたくさん侵入してきた時にできたあの天井の穴から差し込む光でダメージを受ける事はあるようです……スズさんの行動に注意してください!』

 

 セリナや体操服ユウカなんかのスキルで、天井に穴が空いてない箇所に彼女を誘導したい。しかし、それができないのが何とももどかしい。

 

『──なお、今のあのスキルはランダムの敵4人にランダムに効果を与えるもののようです。そして、あれらのデバフが効果を発揮する時間は、30秒間となります』

 

"……長いね"

 

 アスカ1人には少し荷が重いか。ライムの回復のスキルを利用したいが、彼女のスキルはステージに数WAVEあるのが前提になっている。

 そう、例えばケセドみたいな……。だから、今回のヒエロニムス形式でのコレだと、使用できる場面が固定されがちなスキルはあんまり役に立たない。

 

"中でも厄介なのは弱点付与と火炎恐怖症か"

 

 ロードは軽装備。つまり爆発の生徒で攻撃すると効率がいい。しかし爆発の生徒が「火炎恐怖症」になってしまうと与ダメが半減してしまう上、効果が切れる前にHPが半分未満になるとCC状態、か。こんなの厄介にも程がある。

 

「あ、先生!私は大丈夫だよ☆」

 

"え?"

 

「その為のアンドロイドリンコだからね!バリバリ盾にしちゃうし、私の代わりの矛にしちゃうよっ!まぁ、属性?とかは違うかもだけど……無いよりマシ程度には抑えられるだろーしね!」

 

 正直、有難い。こうして自衛できる子は助かる。だがそういう子ばかりではない。だから私が必要になるのだろう。

 どうにか……どうにか、ここは乗り切るしかない。

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