※この作品はR-18です。

「先生!もっとあたしらに構って!」   作:アキラゼミ

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第15話:戦闘終了(タイムリミット)まで、あと────

 

「え……」

 

「ルーシィさんの『仲間』……って」

 

「そ、飂熾冘巫髏のね。幹部陣だけ呼ぶけど、別にいいよね?」

 

「ッ、あたしらじゃアイツに勝てないっての!?」

 

「え、逆に聞くけど、この布陣で勝てんの?スズ、リエ、私、後衛(SPECIAL)4人の……7人で?」

 

「「っっ」」

 

「いや無理でしょ、勝てるワケない。揃いも揃って体力尽きる寸前じゃん、次のアスカの回復待ちで。今こうしてる間にもジワジワダメージ受けてんのにギャアギャア騒ぐ暇があんの?」

 

 あるワケ無かった。そんな暇があるならルビーやレイコを撤退させるまで追い込まれていないはず。余裕が無いからこそ、こうなっている。

 

"飂熾冘巫髏の幹部を呼ぶとして……"

 

"どれくらい掛かる?"

 

「ん?割とすぐに来ると思うよ?」

 

「え?」

 

「はっ?」

 

"すぐに……?"

 

「飂熾冘巫髏の吸血鬼が居なくなり始めてこっちも色々と作戦を練ってんの。────常に先生の傍で行動するよう指示を出しとく、とかね」

 

"!?"

 

「まぁそれは今思いついた冗談だけど。んとねー、私の位置情報が瞬間移動したら、すぐさま私の所に来るよう指示飛ばしてんだよね。近道(・・)とかは色々と各地に伸ばしてるから、それを利用してね」

 

"……どうして?"

 

「この件に先生が一枚噛んでるのが分かったから。飂熾冘巫髏関係の事件なら総長の私も駆り出されるだろうって、そんくらいなら予想もできるでしょ?先生とは連絡先も交換してるんだし」

 

"!!"

 

「それなら予め備えようとするよね。失楽園の者も半数が倒されたこの状況で。人数的に飂熾冘巫髏が有利な状況になるよう、組織の人員……呼ぶよね」

 

「ッ!まさか最初から、飂熾冘巫髏(そしき)を使って、場を乗っ取るつもりで……っ!?」

 

「どこまで汚いのよ、ルーシィッ!!」

 

「────この前の大決戦、結局、最後の方は策が尽きたからね。いつもより綿密に考えてるつもり。先生が許可しようがするまいが、幹部陣(アイツら)は来るよ」

 

 長かったロードのEXスキルがようやく終わる。縦横無尽に飛びまわりながらの銃撃はキツかった。リエのHPが一番危険なので、先にリエを回復させ安定を図る。

 

「んじゃ、呼ぶね」

 

 ゴソリとEXに使用する地雷を取り出す。まだ、私はEXの指示をしていない──と思っていると、彼女はそれを天井に向けて勢いよく投げ上げる。

 するとロードが反射的に地雷を撃ち抜き、地雷は空中で爆発四散。特に誰もダメージを受けず、天井だけが穴が広がった。

 

"……ん?"

 

「……え」

 

 天井に大穴が空いて数秒後。ヴォンヴォンッ、とバイクか何かのエンジンが唸るような音がいくつも大穴から飛び込んでくる。

 何が来るんだ?と、ロードも穴を見上げている。不意打ちしたかったが、ここはとりあえず、監視に徹した方が良さそうだ。シッテムの箱でも、戦闘が一時中断され「会話シーン」だし……。

 

「キャッホーーー♡♡♡」

 

「ぎぃゃあぁあああ〜〜〜っっ!?」

 

「うわわわわわぁぁぁっ!?」

 

「ッッッッッッッッッッ…………」

 

 それぞれ2人乗りのバイク2台で、合計4人が、天井の穴から降ってきた。バイクで着地なんか当然できず、落下と同時に爆発、炎上したのだが……。

 

「お待たせ総長っ!指示通り3人連れてきたよ!」

 

「ありがとレティ、来たばっかで悪いけどこのまま戦闘に参加できるよね?」

 

「ヨユーヨユー!ねっ、マフユ!」

 

 オレンジの綺麗な長髪の悪魔らしき少女────レティは、緑の髪の幼女……背の低い少女、マフユの背中をバシバシと叩く。しかし当のマフユはかなりぐったりしている。

 

「おぇ……後ろに乗るなんて二度とごめんです……」

 

「じゃあ、次はマフユが運転する?バイクの運転、教えたげるよ!」

 

「そういう問題じゃあないんですけど!?」

 

 あれがゲヘナ部隊の幹部、古谷(ふるや)レティ……。

 そしてあの幼少女が、未だチェリノ達、事務局の追っ手から逃げ続けているという寒崎(かんざき)マフユか。

 

「ふーっ、焦ったけどどうにか入れたわねっ!ほらマトイ、戦闘準備、戦闘準備っ!」

 

「……う、うん……」

 

 すると、もう1台のバイクを運転していた赤髪のツインテ天使が時計(とけい)クロノで、そのクロノの後ろに乗っていたのが桜庭(さくらば)マトイ……。

 前の飂熾冘巫髏大決戦では遂に姿を拝めなかった飂熾冘巫髏の別学区の4人の幹部をやっと見れた。これはかなり大きな収穫だ。

 スズは彼女達の登場に非常に不機嫌そうな顔だ。何かしら声を掛けてみようか──と考えたその時、シッテムの箱からアロナが声を飛ばす。

 

『あ!先生!ルーシィさんが呼んだ、飂熾冘巫髏の皆さんの戦闘への正式な参加が認められました!』

 

『先生の指揮下には入りませんが──「飂熾冘巫髏特別部隊」──遊撃隊のような形式で、アシストをしてくれるようです』

 

"え"

 

『ルーシィさん、悪ぶってはいますけど……』

 

『要約するなら「私の力では先生の指揮があってもヴァンパイア・ロードに勝てないから、組織の力を使うけど、いいよね?」というような、それに近い意味合いになるでしょうか……』

 

『リエさんやスズさんなどのヘイトを、自分だけに向ける為だけに……悪役を演じてる、ような……!』

 

"つまり、どういう事?"

 

『ルーシィさんは、別にこの場を乗っ取る事なんか考えてなくて……!』

 

『純粋に、ヴァンパイア・ロードを倒したいと強く願っています。今はその為だけに組織の力を、己の求心力を利用しています』

 

『この期は逃せません!畳み掛けましょうっ!』

 

 私の指揮下にこそ入らないものの、幹部達4人の参加によってEXのコスト回復力がそれなりに回復してくれた。今回はそういう仕様の戦闘らしい。

 

「『クロニックディジーズ(Pスキル)』!!」

 

「『神の兆候(Pスキル)』」

 

「『自画自賛の指揮官(Pスキル)』&『進軍開始(Sスキル)』」

 

「『無敵感のある夜(Pスキル)』&『中間管理職:中将L(Sスキル)』!これでも喰らっちゃえっ!」

 

 クロノは攻撃力を、マトイはHPを。マフユは、両方のスキルで攻撃力を。レティは攻撃力とそれを含めた全てのステータスを5%上昇させる。

 それぞれがパッシブスキル、サブスキルの発動を確認するとロードに向かって攻撃を浴びせ始める。

 

"アガリ!リエにバフ!"

 

「了解です」

 

 戦闘終了まで、残り1分と少し。それまでにあのHPバーを削り切れるだろうか。残り1分になったその瞬間に、スズのEXを、ロードにブチ込む──その為にスタン効果を持つEXは温存しなくては。

 

"次はどうし……ん?"

 

「────『最後の審判(Nスキル)』」

 

"……え"

 

 戦闘終了まで残り1分時点。

 リエのノーマルスキルにより、撤退した生徒達が全員、戦場にて復活を果たした。効果を確認するがかなりのチート性能で、残り時間が30秒時点までは復活した生徒はダメージを受けない……らしい。

 時間ギリギリまで追い込まれた事が無かったから初めてだ。そうだ、そういえばそんなスキルだったような気がする。

 飂熾冘巫髏の幹部陣のお陰でコスト回復力が高くなっていたのに、皆も復活した事でコスト回復力が更に凄まじい事になっている。

 人工天使グレゴリオ戦のラストスパートくらい、EXスキルが使いたい放題だ。

 

「おのれ……ッ!想定よりスキルを発動できないッ!定期的にスタンさせられるが故に、行動どころか、スキル回しも滞る……コストが重すぎたか……ッ!」

 

「……終わりましたね」

 

「……そういうこった」

 

 ルーシィだけではない。遅れて参戦した幹部陣、中でもクロノ、マフユもスタン効果あるスキル持ちらしく、ロードはこれまでよりもスタンに襲われ、定期的に動けなくさせられている。

 飂熾冘巫髏が統治委員会から逃げおおせることができるのも、恐らくはこういうカラクリが……。

 

"終わりだ、マエストロ"

 

"残り30秒……ゲージは18本……か"

 

"アガリ、スズにバフ!"

 

 この戦闘は制約解除決戦と同じ4分30秒の戦い。

 スズはサブスキルにより、敵を倒さなかった場合30秒毎に攻撃力が「2.9倍」される壊れ性能だ。

 しかもロードが配下の吸血鬼を召喚した時だってルビーが代わりに前に立つ事でスズが敵を倒す事を防いでいた。つまり──今のスズの攻撃力は、実に

素の攻撃力の2.9^8 倍────!!

 

「『あたしの邪魔をするヤツは喰ってやるわ!(EXスキル)』!これで、終わりィィィイイイッッ!!!」

 

 スズの2丁のSMGによるあまりにオーバーキルな強襲がロードを襲う。完全に勝負あり────と思われたその瞬間。

 

「────────ッッ!!!」

 

 また超音波攻撃が来る、と身構えたが、その直後幹部陣が侵入してきた際にできた天井の大穴から、ハドマ学園の吸血鬼達が一斉に飛び込んできた。

 

「イィィィヤッハァァァ!!」

 

「ウラララララ!!」

 

「プルルルルィヤッハーッ!!」

 

「あっ────!?」

 

 スズの攻撃は、目標のロードではなく……。新たに乱入してきた吸血鬼達にヒットしてしまった。

 サブスキルによる攻撃力の増加は、あくまで敵を1人倒すまでのもの。つまりロードではなくモブの吸血鬼を倒したせいで──4分も掛けて増加させた彼女のバフは、露と消えてしまったのだ。

 

「う、そ……」

 

「そんな……ロード(アイツ)に当たってない……?」

 

 そして、残り時間30秒とは。

 リエのスキルによって復活した生徒の無敵時間も終わりを告げ、ダメージを受けるようになる時間。無敵化という、誰もが夢見る魔法が解ける時間だ。

 

「『私に追い付けるか?(EXスキル)』ッ!!」

 

 また始まった。超高速で飛び回りつつ縦横無尽に銃を乱射して超広範囲にダメージを与えるEXだ。攻撃前にリロードし、攻撃速度を高めるバフまでも付与されるので尚更タチが悪い。

 

「────だったら、撃ち漏らした雑魚もまとめて私が凍結(とめ)ますよ。『絶対零度のココロ(EXスキル)』」

 

 マフユがEXスキルを発動させる。

 敵全体に「凍結」効果を付与し、3秒間のみ行動不能にする。3秒間後、「凍結」した人数に応じ、攻撃力320%分を掛け算したダメージを与える。

 

"っ!いいよ、マフユ!"

 

「っ!わ、私だってやれるんだから!見てなさい!

『神々の王(EXスキル)』っっ!!!」

 

 マフユに対抗心を燃やしたらしいクロノも同じくEXスキルを発動。

 前方扇形範囲内の敵全体に4秒間のスタン付与。その後、攻撃力590%のダメージを与える。

 これによりモブ吸血鬼は一掃、ロードのゲージは更に減らされ、動きも鈍くなってきた。残り10本。

 

"トドメだ……レイコ!!"

 

「『荒ぶる破壊神の顕現(EXスキル)』ッ!!」

 

 敵にしたら即死級とすら言えるレイコのEXも、HPさえ多ければ割と耐えられるらしい。しかし、それはあくまで耐えられるHPがあればの話。

 今のロードなら問題なく倒せる。残り15秒か──かなりギリギリだったな。

 ……待て。おかしい。今のロードのHPゲージなら何本分もオーバーするくらい強力なレイコのEXを使ったのに、まだ……戦闘が終わらない。

 

「………………え……?」

 

「な、に……?」

 

"ノーダメ……だって?"

 

 レイコのEXは、ロードに何の効果も無かった。

 土壇場で彼女の超音波に適応したロードが自分も同じような強さの超音波を逆位相で放つ事で綺麗に相殺してしまったからだ。

 

"う、そ……"

 

 現在────。

 ヴァンパイア・ロードのHP、ゲージ9本……。

 回復(アスカ)・鬱憤(テンコ)・身代わり(リンコ)・攻撃(ルビー)・弱攻撃(アンナ)といった、5人分のスキルカードが前に出ている。

 時間的な面から見て、使えるスキルは残り3個。消費コストに直すと合計16とか……それくらいか。

 

 

 

 戦闘終了まで────残り、10秒。

 

 

 

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