「先生!もっとあたしらに構って!」 作:アキラゼミ
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失明済みのハドマ学園3年生、リンコから連絡を受けた私は、それから程なくしてハドマ学園へ直行する。道中、作業中のテンコと出会ったが、部室で待っているとの事なので真っ直ぐ向かう事に。
部室に行くと、部長専用席らしき少しだけ装飾が綺麗な机に突っ伏している彼女が居た。ヘイローは出ている……つまり起きているようだ。
腕を枕にして、授業の最中に居眠りするようだ。何徹もした後の自分を見ているような気にもなる。
「リンコ……?」
「うぅ〜ん……むにゃむにゃー……♡」
「起きてるでしょ?」
「……」
「リンコ〜?」
「…………サタリンって呼んでくれないと起きませーん♡」
そう来たか。意地でもあだ名で呼ばせる気だな。確かに私は、一度も彼女をあだ名で呼んだ事が無い気はするが。強引だな、もう……。
「……起きて、サタリン」
「はーいっ!」
嬉しそうな声を上げて起き上がるなり、手で空を切る勢いでバッと手を広げる。まるで、幼い子供が抱っこをせがむようなポーズで固まる。……これは?
「えぇと……?コチョコチョして、ってこと?」
「ふひゃっ!?あはっ、ははっ!ちょ、も、もぉ!くすぐったいよぉ、せんせぇ♡」
「ごめん、意図がよく……」
「え〜?ギュ〜ってシて欲しいなーって♡」
「……」
相変わらず何を考えているか分からない。大体の生徒は、表情や視線、目付きなんかで分かる子すら居るくらいだが、リンコにはそれが無い。
目隠しなんかしているから、口や眉などの表情のパーツから読み取らなくてはならない。
「あ……」
「先生おっそーい、私から抱きついちゃう♪」
「……」
服の上からでも分かる彼女の巨乳が、ギュムッと強烈に押し当てられている。痛くないのだろうか。胸が大きい巫女さんが、サラシを強めに巻いて胸を潰しているような──それくらい強烈に胸を潰してしまっている気がする。
リンコは私と殆ど目線が変わらないくらいに背が高いから、ある意味、貴重だ。確かリンコはカリンだとかジュリよりは大きくて、シュンよりは小さいくらいだっただろうか……。
「ねーね、先生?お喋りしよ?スゴく退屈でさ〜」
「そうなんだ。じゃあ……私に色々と……そうだな、リンコのこと、聞かせてくれる?」
「…………」
「リンコ?」
「……………………」
「……サタリンのこと知りたいな、と思ってて……」
「え〜?んっふふ〜、仕方ないなー☆」
そんなにか。そんなにあだ名で呼ばれたいのか。いやまぁ周囲の誰もリンコのこと「サタリン」とか呼んでないし、呼ばれたいと思ってしまうってのは気持ちは分かるんだけれども。
「……私、目がこんなだからさ。現場の作業とかにはあんまり出られないから……いつも、部室に1人で。それが退屈なんだよねぇ。1人だと静かだしさ」
「あの義眼は?確か特製の義眼、あるんだよね?」
「あるけど、多用はしたくないかなー。疲れるし。というか神経に直接接続するのって思ったより負担凄くて。皮膚を介して──とかだったらまだしも。あと普通にお金が無い」
「あ。だから飂熾冘巫髏に入ったんだっけ?」
「まぁ、資金調達も理由の1つかもねぇ。暇潰しもかなり大きな理由だよ。資金調達と暇潰しの2強。まぁ……結局は割とすぐに抜けたけど」
「そっか……」
「理論は完成してる。だけど、実現する為のお金や設備が無い。技術はあるけど、機械が無ければ先に進めない段階にまで来てるんだ」
技術開発部はその役割柄、かなり優先的に予算を分配されている。──それでも尚、リンコの求めるレベルには遠く及ばない……らしい。
スズやリエが言うように、やはりこの学園自体がそれなりに貧乏だから、金銭的な壁には抗えずに、壁が見えてきたらもう撤退するしかないのだそう。
「ちなみに……だけどさ」
「……?なぁに?」
「リンコ……サタリンが失明した原因……って、一体何なのか……聞いても大丈夫?」
「え。……まぁ話す分には良いけど、バカなの?って絶対思うよ?」
「そう……?よっぽどの事が無ければ、生徒に対しておバカだなんて思ったりしないけれど」
「いやー、これに関してはホントにね、私自身バカだったと思ってるから!バカだと思ったら口にして構わないからね〜?」
「いやぁ流石にそれは……」
「私が失明した理由、それは────ズバリッ!!天体望遠鏡で太陽を観測したからでーすっ!!」
「おバカなの?」
「わーお、即落ち2コマレベルにあっさり……」
「あ、しまった。ごめん、つい反射的に」
いや、まさかだった。まさか、そんな理由で失明してしまっただなんて──にわかには信じ難いが、彼女自身、そういう気質があるように見て取れる。有り得なくはないラインの話だ。
「あっははは!大丈夫大丈夫っ!3年にもなって、マジで何やってんだろうなって私も思うんだよね!しかも両目!あはは、笑えなーい、救えなーい!」
「ホントに笑えないよ……どうしてそんな事したの?天体望遠鏡とかで太陽を直接見ちゃいけないって、キヴォトスでも常識レベルじゃない?」
「そう、常識だよぉ。だからこそ思ったの!まずは常識を疑え!!……ってね☆」
「そういうタイプかー」
「そういうタイプだったのよねー、あーやだやだ!でもまぁ、お陰で、飂熾冘巫髏を辞める尤もらしい理由になったから、結果オーライじゃないかな?」
「あれっ。飂熾冘巫髏を辞めるキッカケは、ゲヘナ部隊を任される事になったけど部下の反発に遭って負けて追い出されたこと……じゃなかったの?」
「
「そう、だったんだ……」
「ま、ルーシィは私が資金目当てで飂熾冘巫髏入りしたのも分かってたから、抜ける理由も察してたと思うけどね。ライムが会計への潜入に失敗した上、ルーシィも副会長との兼任じゃ、あんま会計の事も手に付かなかったでしょ。ましてや学園そのものが貧乏なもんだから、お金を引っ張る余裕すら無い、まさに八方塞がり状態。わざわざ飂熾冘巫髏に入るまでもなかった。少し考えれば察せたよねぇ」
「……リンコ……」
「でも、その直球なとこも私の良いとこ☆ お陰で堂々と先生に甘えられるもんねー♡」
「はは……。暇潰しとか退屈凌ぎの相手としてでも、何でもいいから……頼ってくれるなら、嬉しいよ」
「それじゃーこれからも頼っちゃおっかな〜?私のくだらない自分語りとか、愚痴とかっ!テンちゃん語りとかも聞いてもらおうかな☆」
「お、お手柔らかにお願いします……」
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