「先生!もっとあたしらに構って!」 作:アキラゼミ
「ル〜〜〜ビ〜〜〜ィ〜〜〜ッッ!!!」
「な……なんでしょう、スズ委員長……?」
「『なんでしょう』じゃあないわよ、バカ!ずっと連絡がつかないと思ったら、アビドス自治区にまで行ってたって!?バッッッカじゃないのォッ!?」
「な、なんでそれを……!?ハッ……まさか先生!」
「そのまさかよ、バァ〜カッ!!先生に相談したら
『アビドス帰りで疲れてシャーレで寝てるよ』って寝顔の写真付きの返信が来たわよ!!」
「んなっ……あ、あの人は何を……!」
「レイコと並んで、なかよしこよしだったのねぇ!仕事サボってた罰よ!始末書と経費申請書とその他諸々の書類の代筆、ヤッときなさい!今日中よ!」
「だッ……スズ先輩、何したんですか!?」
「誰かさんが仕事サボって遊び呆けてる間に、また飂熾冘巫髏が暴れ出したのよ!あんたが居ないからスマートに戦えないし──まぁその、なんつーか!学校に被害、出しまくったからさァッ!!」
「……うわぁ……」
「引くな!あんたがサボってんのが悪いのよ!?」
「……そーですね。それくらいなら、私がやります。サボってた罰、ですからね」
「そーよそーよ!それが終わったら反省文もね!」
「はいはい……」
◆
「──事情はお聞きしましたわ。己、そして同族のルーツを知りたいと、奔走していたそうですわね。ゲヘナ、D.U.に……果てはアビドス、と」
「……ハイ」
「飂熾冘巫髏の吸血鬼部隊を全員まとめて更生させ組織から脱退させた──という先生からの報告を、及び実績を鑑みて、今回は特にレイコさんに対して特別に罰則などを設けたりはしません」
「!!」
「しかし、レイコさん。今はあなたも生徒会の一員なのです。勝手すぎる行動は……もう、言わずとも、分かっていますわね?」
「……ハイ……」
「……何かしてしまった時には、何て言うのかしら?ルーシィさんから教わりませんでしたか?」
「……ごめん、なさい……」
「……。では、仕事に戻りましょうか。アンナさんやシエルさんも、手伝ってはくれたのですけれど……。やはりそれなりに溜まっていましてね。それから、今日中に統治委員会から諸々の書類が届きますので経費に関する書類の処理を、同じく今日中に全て。全てですわよ。終わらせるようにしてくださいね」
「……うぃ……」
◆
「も〜っ!レイアもレイラも、他の皆もっ!勝手にどっか行っちゃダメだよ!?」
「
「「「「ごめんなさーい……」」」」
「特にレイアとレイラ!飛び回ってもらうからっ。家業なんかやってる暇、無いからねっ!」
「「うわーん許して
◆
「えっへへ〜……かくかくしかじかで、マジで子供になっちゃいました……なーんて……」
「先生から話だけは聞いていましたが……」
「ウソだろ……!?」
「モルモさんが……」
「わ、私より小さく……?」
風紀委員会に合流を果たしたモルモ。事情は
幼児を囲む4人の幹部格。幼児への聞き取り調査なんて、全く、穏やかではない。
モルモの話す、あまりに壮大で長い話にイオリが頭の痛みを訴えようとした頃──ヒナが話の流れをぶった切った。
「──何にせよ。もう、そんな事はしないわよね」
「……うん。大丈夫、これからは真っ当に鍛えるよ」
「なら、いいわ」
結局のところ、モルモは肉体年齢が5歳のまま、記憶のみを保持したまま日常へと戻る事になった。
風紀委員会の副委員長という肩書きは、委員長のヒナから戦闘に関する仕事を請け負う為の、言わばモルモ専用の肩書きだったが──この姿のままではそんな危険な仕事はさせられないと、風紀委員会の幹部格と
とはいえ書類などの仕事はモルモが嫌がる上に、そもそも委員長のヒナにしか処理できない内容の物ばかりという事から、風紀委員会に所属はしているものの、今後は雑務やら、上空から見下ろす形での戦闘の指揮がメインになるのだそう。
上空から俯瞰する形での指揮──そう「
お陰でモルモが前線に居なくとも、戦果としては殆ど変わらない程度には、戦力が増強されている。
これまでは主に「滑空」がメインだったのだが、身体が軽くなったからなのか真の意味で「飛行」が可能になったようだ。これは、モルモ自身も純粋に喜んでいるようだった。
ヒナさえ、壁を蹴ったりしての飛翔らしき事しかできない事を考えると、かなりのアドバンテージと言える。
ただ────肉体が幼いので、彼女の武器であるSGの反動は少し耐え難いらしく、今は、少し昔に愛用していたというHGを1丁、持ち歩いている。
彼女がまた
モルモが幼い頃の姿に戻ったのは、「色彩」やらゲマトリアの秘儀によるものではない。彼女自身の能力──「神秘」によるものだ。
地下生活者の言葉と、モルモがやってきたことを信じるなら、本来モルモは自身の肉体年齢を自在に操れるハズなのだ。それでも今は、どう頑張っても元の姿──「20歳の姿」には戻れないようだった。
これはきっと、モルモが本当の意味で「未来」を恐れなくなったその時──初めて「未来」の方向に己の「神秘」を利用できるようになって、元の姿に戻れるようになるのだろう。
今は、難しくてもいい。ゆっくりでも「未来」に希望を持てるようにと、
それが叶ったなら、彼女が元の姿に戻れるようになるのも、遠い未来の話ではないのかもしれない。
◆
その頃、ハドマ自治区の某所では……。
死屍累々と積み重なるハドマ学園の生徒の山と、その眼前に広がる凄まじい血溜まりの前に、ハドマ発祥の最悪のテロ組織こと「
「どーなってんのよ、コレは……!!」
「レイコが抜けた影響──じゃあなさそうねぇ」
「たかがチンピラに、ハドマ部隊が負けたっての?有り得ない……有り得ないッ!何があったってのよ?吸血鬼部隊が居ないからってこんなにボロ負けするような、ヤワな連中じゃあないハズよッ!!」
「たかがチンピラの『お礼参り』だと思って、油断してたわね。レイコが束ねてた『チンピラ部隊』もそのまま抜けるだなんて……寝耳に水だわ」
「七囚人の1人『栗浜アケミ』──アイツがうちのチンピラ部隊を引き抜いたせいで……ッ」
「ま、バラバラだったチンピラを束ねてたレイコが抜けたのが大きいんでしょ」
「えぇそうね……ったく、レイコってば……!」
「…………どーすんのよ、ルーシィ。レイコ……いえ、生徒会……
棒付きキャンディを舌で転がしながら、ライムはそんな物騒な事を言う。実際問題、レイコが抜けた影響が大きいのは否めなかった。
もしレイコが居たなら、七囚人に負けることなど無かったから。
「しないわよ、ンなこと。やっと、レイコは私から卒業したんだから──幼馴染として、見送ってやるだけよ。もう、あの子のコトは、こっちの事情には巻き込みたくない」
「だね。──んじゃ、ユウナ呼び戻そっか。多分、まだ近くのブラックマーケットでたむろってるし」
「ええ、お願い。それから全幹部、補佐も集めて。作戦を立てましょ」
「『お礼参り』の『お礼参り』……ね?」
「フンッ。そんな野蛮なモンじゃないわ。もっと、悪魔的に──美しく、狡猾に……ね」
第3部Vol.3──完結。
第3部Vol.4──グループストーリー挟んで開幕。