※この作品はR-18です。

「先生!もっとあたしらに構って!」   作:アキラゼミ

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第2話:幹部会

 

「──おっ。揃ってるね、時間通り。それじゃあ、こっちもボチボチ始めましょうか……」

 

 飂熾冘巫髏(ル・シュ・フェル)・総長、針村(はりむら)ルーシィ。トリニティの出身であるが、かつての復讐を果たす為にハドマに移籍し、ハドマ学園の生徒会副会長に登り詰める。ゲヘナ学園との併合を目論む。一時的ではあるが、それを達成した後、シャーレの先生の助太刀もあり併合が白紙に戻る。

 現在は、ハドマ学園を実質的に停学になりながら次なる野望を遂げようと暗躍していた所である。

 賽鬼(さいき)ユウナ──飂熾冘巫髏に所属する生徒で唯一百鬼夜行連合学院に籍を置く、鬼の生徒。百鬼夜行自治区内でも有名な家の娘だが、家を抜け出して、拾われる形で学院に所属する事になるも──そんな百鬼夜行を以てしても、彼女を制御できなかった。

 ブラックマーケットを転々としつつ生活していた所を飂熾冘巫髏、ルーシィに目を付けられ、組織に加入。組織を抜けたレイコと入れ替わるように加入したものの、矯正局を自力で脱獄した腕を買われて副総長の座を与えられたことで、現在に至る。

 萌山(もえやま)ライム──ハドマ学園3年生。ハドマ学園の生徒、特に吸血鬼ではない生徒を集めた部隊である

「ハドマ部隊」を統括する飂熾冘巫髏の幹部。

 美食研究会対策委員会の委員長こと三重(みえ)アスカを姉に持つ生徒、アガリを自身の補佐に任命し、手元に置くことで可愛がっている。

 夢魔の末裔を自称するが、それに違わぬ特殊能力なのか、そういう「神秘」なのか──他者の性欲を強く掻き立てる特殊な技能を有している。

 以前はそれを利用して、ヴァルキューレ公安局、シャーレの先生を足止めしルーシィの逃走を助けたという実績がある。

 ルーシィ、レイコと小学生の頃からの付き合いでレイコとは今でも連絡し合っているようだ。これについては、総長のルーシィも公認している。

 

「──飂熾冘巫髏の今後についての会議を、ね」

 

 会議室には既に幹部と補佐が、ルーシィら3人を除き7人が居た。普段は6人だが、これについては既に、該当幹部からルーシィには伝達済みである。

 

「相変わらず可愛い顔ぶれだわァ〜♡」

 

「お姉様ってば、全く……」

 

「あぁんもうっ、ごめんってば♡」

 

 そしてこのライムはかなりのレズ気質で、ハドマ学園において多くの生徒が一度は彼女と寝た経験があるとか無いとか。

 そしてそんな彼女を補佐するのは、アスカの妹、

三重(みえ)アガリ。決してライムとは姉妹ではないもののライムを「お姉様」と呼び、慕っている。

 

「今度はどーするの? ルーシィ総長っ!」

 

「そんな焦らなくても、総長から話あるだろうから静かにしてましょ……」

 

 トリニティ総合学園に籍を置く「天使」の2人。ルーシィの幼稚園時代からの幼馴染と、その友人の2人である。

 時計(とけい)クロノ──昔からトリニティの自治区内にて暮らしていたが小学生の頃から執拗なイジメに遭いトリニティに対して強い恨みを持つ。飂熾冘巫髏の組織力を利用しトリニティ総合学園を潰そうとしたものの、失敗に終わった。

 桜庭(さくらば)マトイ──クロノとはトリニティ総合学園に進学してからの付き合いであるが、彼女に降り注ぐイジメを見て見ぬフリをしていた。勇気を振り絞り手を差し伸べようとしたが既に遅く、ならばせめてクロノの手助けをしようと、クロノと共に組織へと参入する事に。

 クロノは第1幹部、マトイは第2幹部であり共に2年生である。

 彼女達が率いる「トリニティ部隊」に現在も在籍するのは、僅か100人程度だ。

 かの飂熾冘巫髏大決戦当時は、現在の数倍は在籍していたものの──ティーパーティーホストである桐藤ナギサによって、聞き取り調査の末に、期間に差はあれど停学処分を下された事によってすっかり萎縮してしまったようだった。

 トリニティに恨みを持っているトリニティ生などそれこそ母数は少なく、大半はノリで飂熾冘巫髏に加入した事の表れだろう。その流されやすさだけはやはり「トリニティらしさ」が出ていると言える。

 

「みんなで集まるのはしばらくぶりだねっ!」

 

 古谷(ふるや)レティ──ゲヘナ学園の2年生。彼女と同じゲヘナ学園に籍を置く者を集めた「ゲヘナ部隊」の幹部である。

 ゲヘナ部隊の幹部の前任者は、ハドマ学園の技術開発部の部長である砂田(さた)リンコ。補佐は妹のテンコだったが失明したてのリンコはレティに敗れた事で組織を脱退、ついでにテンコも脱退した事によって現在はレティのワンマン経営である。

 ただし飂熾冘巫髏大決戦の際、シャーレの先生の募集に応じて参戦を果たした温泉開発部の部長──鬼怒川カスミの巧みな話術によって、ゲヘナ部隊の生徒の大半をヘッドハンティングされてしまった。

 現在、ゲヘナ部隊の在籍数は約100人程度だ。

 

「あれだけ剣先ツルギにボコられておいて、後で、部下達から反逆などされなかったんですか? 今のゲヘナ部隊はヌルいですねェ……」

 

「私達の部隊ならまず確実に起きますね、反逆(クーデター)」

 

「くふっ、ええ、そうでしょうとも。だからこそ、私はそんなヘマはしないのですがね」

 

 クーデターに対し異常なまでの耐性を持つ部隊。それは「レッドウィンター部隊」である。

 悪魔でもないただの少女に「寒空の悪魔」という二つ名が付けられるほど、部隊を束ねるこの幹部の少女は冷酷であり、味方をも簡単に見捨てる。この少女の作戦について行く事ができるのは、大決戦を経た今も彼女に従う、この100人くらいだろう。

 寒崎(かんざき)マフユ──レッドウィンター部隊を束ねる、ただ1人の幹部だ。レッドウィンター事務局からの追っ手を退ける戦闘力を有しながらも、無闇に武力行使に出るのではなく今も逃走を続けている。

 そんな甲斐もあってかレッドウィンター事務局は彼女を賞金首に指定。アビドス自治区で、賞金稼ぎとして彼女を狙いに来た対策委員会と交戦するも、シャーレの先生の介入もあって事無きを得た。

 飂熾冘巫髏の中では唯一、アビドスに知り合い(パイプ)を持っていると言える。

 飂熾冘巫髏では唯一のロリ巨乳を自称しているが実際に結構な膨らみはある──が、シャーレの先生くらいになると、トリニティのハナエ、百鬼夜行のカエデくらいにならないとロリ巨乳とは認めない、というのはまた別の話である。

 

「──それと皆さん。今回は、彼女の紹介もさせてください。レッドウィンター部隊・幹部補佐です。私が選びました。当然の事ですけど、総長の許可は事前に頂いています。私共々可愛がってください」

 

 トッ、と優しく背中を押され、マフユの一歩前に出る水色の髪の少女。マフユのように縛らない髪、腰あたりまでのロングヘアー。

 深い森のような新緑の瞳に、キッと結ばれた口。マフユ同様に背は小さいがどこか堂々たる雰囲気を感じられる。

 

「──下音(しもね)ハユ、です。よろしくお願い致します。主にSRで援護を担当してますが、一応、SMGも使えます……」

 

「「「「「おぉー……!」」」」」

 

「んふふっ、どうでしょう? 複数の武器を扱える生徒なんて、レイコ以来でしょう? 酷くオドオドしているようにも見えますがその実、ハユってば、自分の腕試しができるからって戦闘がかなり大好きなんですよねェ〜」

 

「マフユさんっ……べ、別にそんな……っ」

 

「謙遜しちゃって、まぁ。あっ、2年生の私に敬語使ってますけど、同い歳(タメ)ですよ、同い歳(タメ)。クラスは違いますがね」

 

 ワシャワシャと頭を撫でるマフユ。傍から見ると姉妹に見えるが、姉妹ではないし親戚ですらないと彼女達は言う。

 ライムからも撫で回され子供のように頬を緩めるハユだったが、そんな空気を咳払いで吹き飛ばして彼女への質問を始めるは、総長のルーシィ。

 

「主にSRでの援護って言ってたけど、SMGってSRとはまるで違うわよね? どうしてSMGまで使おうと思ったの?」

 

「何故、でしょう? 前に出たいって、思うようになったんです。それで幾つか候補がある中たまたま手に取ったのが、SMGだったんです」

 

「……そう、なんだ? まあ、理屈じゃ説明つかない事なんてのはよくあるわよね」

 

「そうですね。私のも多分、それだと思います」

 

「そうね……じゃあ、強みや得意な事とかってある? もしあるのなら、是非とも作戦に組み込みたいから教えてくれる?」

 

「SRについては、ほぼ百発百中かなと。当たると確信した時にしか撃たないようにしてるので……」

 

「SMGは?」

 

「SMGは、そ、そのォ……えへへへ…………ダメとも言えますし、ダメじゃないとも言えるような……」

 

「???」

 

 ヘラヘラしながら答えを濁らせる。マフユは少し小さめの溜め息をつき、ハユの代わりにルーシィの問いに答える。

 

「SMGを持つとハイになるんですけど──どうもハイになったハユは、ちょっと様子がおかしくて。ハイになると命中率がバグるんです。自分の弾で、相手の弾を受け止めて完璧に相殺してしまう──と言いますかね。なのでリロードの瞬間さえ除けば、ハユはダメージすらも受けません」

 

「は?」

 

「大袈裟ですよマフユさん……! 違うんです総長、そんな大層なものじゃあないんです……。ただ、私、テンションが上がると『撃墜』したくなるんです……相手の弾を、全て……♡」

 

「???」

 

「ハユ、謙遜してて謙虚に見えますけどね、実際は全くの逆なんです。自分大好きなナルシストです。正確には『撃墜王になった自分』が大好きでして。それでよく戦闘後にオナニーしてるんですよ」

 

「!?!?」

 

「マフユさんっっ!? それは言わないって……」

 

「約束はしてませんねぇ」

 

「はうっ……」

 

「なので、ハユを前線に出すなら、SMG持たせてタンクをやらせるのがいいかと。受けるタンクでも回避するタンクでもない────攻撃を撃ち落とす(・・・・・・・・)という、異色極まったタンクですけどね」

 

「……とんだ逸材(ヘンタイ)でしょ。どこで知り合ったの?」

 

「猛吹雪の中、レッドウィンターの山中で事務局の追っ手から逃げていた時の話です。私達の行く手に大きな大きな熊が立ち塞がりまして。───普段は爆弾で吹き飛ばしていましたけども、場所が悪く、下手をすると雪崩を起こしかねない立地でしてね。寒さに耐える為か、脂肪や毛皮なども厚く、私達の弾丸がほとんど通じなくて。まさに絶体絶命というその瞬間──どこからか飛来した2発の弾丸が熊の両眼を貫き、倒してくれたんです」

 

「後日、マフユさん率いるレッドウィンター部隊は逃げながら調査したみたいで、レッドウィンターでそんな芸当ができるのは下音ハユ(わたし)だけ──と結論が出たらしく、私に声が掛かったという次第です……。確かに熊を殺したのは私なので合ってるんですが、声が掛かった時はビビりましたね、えへへ……」

 

「相変わらずレッドウィンター部隊は、何と言うか色んな意味で凄いわね……。新参者とかそういうのは気にしなくていいからね。頼りにしてるわ、ハユ」

 

「っ……! は、はいっ!」

 

 その後は幹部、幹部補佐がそれぞれハユに挨拶を済ませ、いよいよ飂熾冘巫髏も、本題に入る。

 

「──知っての通り、今の飂熾冘巫髏は、かなりの窮地に立たされてる。レイコが圧倒的な『暴力』で押さえ付けて支配していたチンピラやスケバンが、七囚人の1人『栗浜アケミ』の活動再開に呼応して私達への反逆を始めた。『お礼参り』と称してね。つい先日は、ハドマ部隊がゴッソリとヤラれたわ。まさに死屍累々って感じだった」

 

「私は現場に居合わせなかったんだけど。ちょっちタイミング悪かったわ〜。もしも居合わせてたら、最悪でも引き分けには持ち込めただろーし……」

 

「ライムは隙あらば女の子を食べてるから、そこを付け込まれたんでしょ」

 

「う……さっすがルーシィ♪」

 

「──で、明確な飂熾冘巫髏への敵対行為だから、潰したいし対策も打ち出したいワケなんだけどね、敵の数があまりにも膨大すぎて──正直な話、もう私達だけじゃあ手に負えないレベルになってるの。前にレイコから聞いた話だと千人は居るわ。これはハドマ学園の全校生徒より多いわ。当然、現存する組織のメンバーよりも多いし。しかも最悪な事に、敵は元・飂熾冘巫髏の傘下のチンピラだけじゃなくその辺のチンピラやスケバンも吸収しながら規模を大きくしてるの。敵の数は、概算だけど千五百人に上ると予想されるわ」

 

「ちな、今の飂熾冘巫髏の人数ってのは……?」

 

「トリニティ、ゲヘナ、レッドウィンターそれぞれ百、ハドマは三百〜四百人。全部隊を合わせても、絶対に八百人いかない。数的有利は有り得ないわ」

 

「実に倍近くの人数差があるのね、ハナから勝てるワケが無かった……マジにどうすんの、ルーシィ?」

 

「だからこうして話し合いの機会を設けてるのよ。吸血鬼部隊が引き抜かれた以上、取り戻すにはまずルビー関連だし統治委員会との全面戦争が不可避。統治委員会そのものの層は薄いけど、数は多いし、引き抜かれた吸血鬼部隊のヤツはルビーに呼応して今の統治委員会に力を貸すでしょう。つまり、もし私達が吸血鬼部隊の戦力を欲すれば……」

 

「統治委員会と吸血鬼部隊の連合軍と全面戦争する事になる──ってコトね?」

 

「ええ。しかもこれはまだ『軽度』の場合。最悪の場合なんて……言うまでもなく、分かるわよね?」

 

「……七天魔(しちてんま)と失楽園(ダイモニオン・ソサエティー)、ね……」

 

「えぇそう。有事の際に学園を守る為に、最前線に駆り出される『学園内での強さトップ7』七天魔。質は折り紙つき。リエやレイコが居る以上、ウチの幹部陣だろうとも歯が立たないでしょうね。当然、私も勝てる自信は皆無よ。ライムは?」

 

「そりゃ私は援護というかサポート向きだしィ……。ハナから戦闘(たたかい)にすらならないと思うわ?」

 

「──これまでどれだけレイコの強さに頼ってたか身に染みて分かったわ。そして、作戦だけでは絶対覆せない圧倒的な数の差。これは未経験だからね、仕方ない部分はある──でもね。負け戦をわざわざ仕掛ける飂熾冘巫髏(ル・シュ・フェル)じゃあないのよ」

 

「じゃあ、どうするってのよ?」

 

「まァ……結局の所、ゲリラ戦か、綿密に練った作戦くらいしか、私達にはないのよ。もし案があったら言ってね、積極的に取り入れたいと思ってるから。失敗しても責めないわ、その作戦を採用した私側に非があるから。遠慮しないで発言してよね」

 

 ────と、総長からそう言われても、キレ者のルーシィですらお手上げに近いこの状況なのでは、それ以外の幹部も同様にお手上げに近かった。

 それぞれの幹部補佐もまた、同様に。

 そんな重苦しい空気の中でコホンと咳払い一つ。こんな空気の中で真っ先に口を開いたのは、唯一の百鬼夜行からの加入者であり副総長の、賽鬼(さいき)ユウナだった。

 

「前の副総長と同じ事をすればいいんじゃないの? ただし今度は、チンピラやスケバンじゃあなくて、ヘルメット団ね!」

 

「……つまり? ヘルメット団に襲撃(カチコミ)掛けて、暴力で支配しようって?」

 

「まぁそんなとこ!」

 

「無理ね」

 

「ええっ!? ちょ、ちょっとそんなぁ!? 少しくらいは吟味してよォ!?」

 

「吟味するまでもないわ。悪いけど否定したくなる要素しか見当たらない。幾つかあるけど、聞く?」

 

「き、聞かせてもらおーじゃん! 納得いかなきゃ飂熾冘巫髏そのもの辞めてやるわよ!?」

 

「じゃあ納得させてあげるから、よく聞いてよね」

 

 ・ヘルメット団はキヴォトスのほぼ全域に勢力を伸ばしている為、最大数が計り知れない

 ・支部のみに目を付けようとしても、他支部との連絡を取る手段が不明な以上、こちらに従うフリをしながら援軍を頼まれる可能性が高く、連絡手段が不明な以上は連絡の阻止もできない可能性がある

 ・仮に助力を得られたとしても今回のチンピラのように後から離反されて、面倒な事になるのが目に見えている

 ・ユウナは過去にヘルメット団と敵対しているがそのユウナ及び飂熾冘巫髏を倒す為ヘルメット団とチンピラが一時休戦して手を組み、勢力を拡大する可能性もある

 

 ────と、完膚なきまでにユウナの作戦を地に叩き付けてしまった。ルーシィでなくともこの中の半分程の理由は思い付きそうなものだが、ユウナは己の力にモノを言わせて過ごしてきたので、そんな単純な事にも気付けなかったというのもある。

 

「あうぅ〜……もう立ち直れない……」

 

「ルーシィ、言い過ぎ〜。まぁ正しいんだけどね。けど、そうねぇ。1つだけ擁護できる点はあるわ。敢えてヘルメット団に協力を頼み断られることで、ヘルメット団には、『チンピラと手を組もう』って思わせるの。当然チンピラは反発するだろうから、ヘルメット団と潰し合うハズ。──そもそも、その栗浜アケミが捕まった理由ってのは

ヘルメット団のタレコミが原因らしいし。つまりはヘルメット団とチンピラ及びスケバンが手を組んで私達に敵対してくる可能性は、多分だけど……きっと無し寄りの無しじゃな〜い?」

 

「そ、そうよルーシィ! やってみる価値はある! ライムもこう言ってるし……ねっ!?」

 

「それは希望的観測でしかない。人間っつーのは、バカみたいに単純な生き物なんだから。共通の敵を前にすると、普段はいがみ合っていても容易く手を組んじゃうものよ。……マジで、そんなものよ」

 

「あぅ……」

 

「んまぁ、確かにね。ヘルメット団と敵対しているユウナと、飂熾冘巫髏自体と敵対しているチンピラ及びスケバン──ユウナが飂熾冘巫髏に居るからといがみ合っている両者が手を組む事は……うーん……有り得そうねェ……」

 

「ましてやヘルメット団なんて、支部毎にとはいえユウナさんにちょくちょく壊滅させられてますし。その時点で、ヘルメット団単体で飂熾冘巫髏相手に攻撃を仕掛けてくる可能性は低いと言えますよね。なんなら、チンピラとかスケバンに頭を下げてでも彼女達に助力を願いそうじゃありません?」

 

「マフユさん率いる私達レッドウィンター部隊ならチンピラ千人に勝てます?」

 

「ハユはバカですか?」

 

「──っていうか、ユウナもさっきのリエの演説、聞いてたでしょ? 学園が危機に晒された場合には飂熾冘巫髏とも手を組む事を視野に入れている──なんて言ってたでしょ。すぐ取り返したとはいえ、一度でもハドマ学園を転覆させた私達とも手を組むつもりなのよ、リエは。チンピラ達が飂熾冘巫髏とハドマ学園の『共通の敵』……だからね」

 

 万事休す。というより万策尽きた。

 飂熾冘巫髏イチの切れ者であるルーシィ、それに次ぐ切れ者であるマフユを以てしてもこれといった妙案は浮かばず。

 あれやこれやと意見を出し合うも、ルーシィだけではなく誰かしらがその意見を否定する要素を提示してくる。

 

「飂熾冘巫髏の創設以来よ、こんなピンチ。相手は単なるスケバンだけじゃなく、七囚人も居ると仮定すべきで、その七囚人が束ねるチンピラやスケバンなどは総数千五百人以上だとすると、単なる物量戦なんかじゃ、まず負け確定──戦車のような兵器も特に無く、白兵戦を想定すべきで──」

 

「ライムをフル活用するとか?」

 

「ユウナ、あんたね……私を殺す気?」

 

「アハッ、冗談冗談♪」

 

「これまでにもこういう逆境はあったのよ。でも、これまではレイコが、吸血鬼部隊が居た。吸血鬼は滅茶苦茶タフだからね。素で体力(HP)がバカ多いのよ。最前線に出す事は、決して少なくなかったからね。ホントにどうしようかしら……」

 

「いっそリエに頭下げて、チンピラ? スケバン? 撃退の為に力借りるとかどうなのよ? それとも、それはルーシィのプライドが許さない?」

 

「んー、それは飂熾冘巫髏としてのプライドが──なんて言ってられる余裕も、もう無いのよね……」

 

「チンピラスケバンなど、ハドマとは無関係な──対外的な問題を全て解決してから、改めてハドマに敵対する……もう、これしか無いのでは?」

 

「でもそれ随分と都合良いわよね〜……義理もクソも無いというか。でも、それしかないのかしら?」

 

「──トリニティの力を借りるとかどうッ!?」

 

「おっ。クロノにも何か案が?」

 

「ええ! ティーパーティーに乗り込むの! で、言ってやるの──『チンピラ共の征伐に力を貸してくれたらテロ組織を脱退する』って!」

 

「……はぁ?」

 

「ほら、やっぱりトリニティからすれば、自分達の学校にテロ組織の人間が紛れ込んでるのなんて恥に思うじゃない? だから、トリニティ部隊の人間をゴッソリ辞めさせる為に、力を貸さざるを得ないんじゃない!? ……って思うんだけど!」

 

 幹部達の間に流れる空気は凍る。

 そんな事、上手くいくハズが無いだろうに。何故彼女はこんなにも堂々と言ってしまえるのか。最早相方と言えるマトイすらも額に手を当て黙り込み、マフユはクロノの発言に顔をヒクつかせている。

 

「……あのねぇ、クロノ? ティーパーティーからの目線で考えてみなさいよ。それを了承して、何か、トリニティ側にメリットがあるの?」

 

「んぇ? 『自分達の学校にはテロ組織の人間が在籍しない』って堂々と言えるようになる!」

 

「おバカねぇ。力貸すまでもなく『トリニティにはテロ組織の人間など居ません』って言えるわよ」

 

「えっ?」

 

「だってあんた、顔バレしてんでしょ? そんなら判明してる構成員は皆、ティーパーティーの権限で退学させればいいでしょ。『不穏分子の排除』って名目があるんだしさ」

 

「あっ!?」

 

「桐藤ナギサちゃん、だっけ? その子の温情(・・)で、あんたはまだトリニティ生で居られるってだけよ。あんたが飂熾冘巫髏やめると宣言しようがしまいがナギサちゃんには関係無いわぁ。分かる?」

 

「あぅ……」

 

「尤も──何か『恩を売る』って名目があるなら、直談判してみてもいいかもしれないけれど。だけど見逃されてるだけのあんたらにそんな資格は無いと思うし……うーん……?」

 

「せめて、私がハドマかゲヘナを乗っ取ったままで居られたら、そういう交渉の余地も1%はあったのかもしれないけどね。流石にその案は無理あるわ」

 

「うーん、そっかぁ」

 

「……他に、何か案がある人は?」

 

 再び沈黙が流れる。しかし今度は、すぐに沈黙が破られた。クロノに次いで天然、能天気とも言えるゲヘナ部隊の幹部、レティである。

 

「……あ、あの! ひ、1つ、あるかも……っ!」

 

「お。いいよレティ、言ってみて」

 

「シャーレの先生を頼ってみる……って、どう?」

 

「「「「…………はぁ……?」」」」

 

 全員がマヌケな声を漏らした。クロノでさえも。

 当然だ、シャーレの先生と言えば秩序側の存在。先日の飂熾冘巫髏大決戦で、飂熾冘巫髏と対峙した存在だというのに、どうして今更、こちら側に力を貸してくれると言うのだろう。

 

「いや、あのね、レティ? 先生は連邦生徒会側の人間なのよ? テロ組織の飂熾冘巫髏とは根本から馴れ合わないタイプのサイドの人間よ……?」

 

「そーよそーよ、流石の私もそれは無いと思うわ! そう思うなら根拠を言いなさい、根拠を!」

 

「えっと実は、この前、風紀委員会に捕まった時の話なんだけど……」

 

((((風紀委員会に捕まったのか……))))

 

「シャーレの先生って、テロ組織とも割と繋がりがあるって情報を聞いたのっ! 例えば温泉開発部や美食研究会とか……!」

 

「えっ?」

 

「ウソ!?」

 

「ホントホント! 一緒に居る所を見掛けた〜とか先生と一緒に逃走してるとか! 風紀委員会の子が言ってたから、これは確かな情報だと思うの!」

 

「──有り得ますね。シャーレの先生はああ見えて賞金稼ぎとも繋がりを持っています。賞金首として捕まりかけた所を庇って頂いた事がありますから。そんな賞金稼ぎと繋がりがある先生なら、他学区のテロ組織と繋がりがあっても、なんらおかしくないでしょうね」

 

((((マフユ、賞金首になってるんだ……))))

 

 アビドスにて、賞金稼ぎをしている対策委員会に捕まりかけたマフユは、意外なことにレティの案を支持する。

 ルーシィに次ぐ切れ者のマフユが支持した事で、一気にレティの案が現実味を帯びてくる。それは、あのルーシィさえも心が動かされる程に……。

 

「……じゃあ……その方向で考えてみる……?」

 

「マジで言ってる!?」

 

「まぁ、私も先生とエッチした仲だし……」

 

「中出し!? やだもうルーシィ、ダイタンね♡」

 

「いやそーじゃなくて! ……シたけどさぁっ!」

 

「きゃー♡ 私もまだ先生とエッチしてないのに、ルーシィってば手が早い〜♡ ね、クロノ♡」

 

「えっ……あ、そ、そーね! さっすが〜!」

 

「……///」

 

「……クロノとマトイ(あんたら)……まさか、もしかして……」

 

「ほほう……♡ お2人も先生とヤッてましたか♡ 実は私もなんですよねぇ、かなり良かったです♡」

 

「うそぉっ!? わ、私なんて喋った事すら……」

 

「おやおや? ライムさんのみならずレティまで? ふふっ、先生はロリコンなんですねぇ。揃って幼女体型の生徒ばかり食べて(・・・)いる。総長はそこまで幼女体型でもないですけどね」

 

「え〜? マジ夢魔の私を差し置いてクロノ達〜? なーんか複雑ゥ〜……。ショックなんですけどー? 一応、ゲヘナ学園を乗っ取ってる時に会ってるし、連絡先も……。うーん、先生ってロリコンなの?」

 

「「「それは否定できない」」」

 

「ふぅん?──ね、ルーシィ? 先生への交渉役、私にヤらせてくんない?」

 

「……任せていいのね?」

 

「任せて。ぐでぐでの骨抜きにしてやるわ……♡」

 

 飂熾冘巫髏の幹部における頂点こと萌山ライム、遂に、本格始動────!!




ハユの性能はそれなりに壊れてます。
SRを持たせて編成する際はSpecialになりSMGを持たせて編成する際はStriker(FRONT)です。
レイコは素のステータスが高く命中率が死んでいくデバフスキルがあり、ハユは素のステータスが低く命中率はバケモンです。
ハユの元ネタは多分めっちゃ分かりやすい。
フルネームの響きで分かりそう。
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