「先生!もっとあたしらに構って!」 作:アキラゼミ
「あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ーーーッッ!?」
「うわ……」
「バリケード壊れたじゃない何やってくれてんのよバカぁっっ!! バカバカバカバカァァッッ!!」
統治委員会の戦闘は、スズの悲鳴から始まった。戦闘開始と同時に、マフユ率いるレッドウィンター部隊が仕掛けた爆弾が起爆し、スズ達が積み上げたバリケードが学園の塀と共に吹き飛んだからだ。
汗水流して積み上げたのが一瞬で瓦礫と化した。強気なスズとて、泣きたくなるというものである。
「あーあ……積んだの無駄でしたね」
「そ、それは結果論でしょ!? いーからさっさとヤツらをブチのめすわよッ!」
ルビーや吸血鬼化した統治委員の生徒を先導し、瓦礫と化した塀を乗り越えてくるスケバン達を正面から迎え撃つ。
しかし、なだれ込んでくる勢いはまるで鉄砲水。吸血鬼化している人員ばかりだとて、統治委員会の人数ではとてもじゃないが太刀打ちできない比だ。
「きゃあぁっ!?」
「う、撃てな、いッ……近すぎるっ……」
「オラオラァッ!! 押せ押せ押せ押せェェッ!! 押し切っちまえぇええええええっっ!!」
至近距離でも銃くらい撃てる。しかし最前線中の最前線では、おしくらまんじゅうさながらの両陣営による押し合い圧し合いが勃発していた。
力はこちらが上でも、圧倒的な人数差があった。1人が3倍強くても人数差が5倍あれば意味が無いように、スケバン1人より圧倒的に力が強いハズのスズ達はジワジワと押し込まれ始まっていた……。
「くそ、クソッ、くそぉッ! こんな、序盤にィ! 押し負けて、たまるかァァァアッッッ!!!」
スズの叫びに呼応するように、スケバンの集団の中で、次々に爆発が起き始めた。前から後ろからと酷く揉みくちゃにされながらどうにか見上げると、機械の翼を備えたテンコがスケバン達の頭上で旋回している。
飛べないどころか翼すらも持たない同級生が空を飛び始めたのを見たスズの心境たるや。あんまり、心中は穏やかではない。
「こっち!!」
無線か何かで姉とやり取りをしているのだろう。手短にそう告げた彼女はどこかへ飛び去っていく。スズの視界から彼女が消えて数秒後、校舎方面から何やら箱のような物体が飛んできてまるで流れ星のようにスケバンの集団の中に落ちていった。
「何あれ……キャッ!?」
「何か飛んできて……爆発した……??」
「屋上から飛んできてたわよ、
「リンコ先輩の『兵器』ですかね。レールを二重に設置して、列車砲などを設置し──籠城に特化した要塞に改造したようです」
「れ、列車砲って……んなバカな……」
「
「なんか地味に有り得そうで怖いンだけど……抵抗が弱まった、押し返すわよッ!!」
上空から俯瞰するテンコの合図を受け取った技術開発部の援護もあって、統治委員会やその他大勢もスケバン勢力を少しずつ押し始めた。
しかしそれは校庭に侵入してきている一部のみの話であり──奥には、まだまだまだまだスケバンが控えているのである。
◆
「──くふふっ。い〜い具合に荒れてますねぇ〜。良いですよぉ、もっと荒れに荒れてください♪」
「ね、ねぇ、マフユちゃん……? 私達さ、まだ突入しない方がいい……んだよね?」
「当然です。そもそも、開戦したての今は、そんなバイクを転がす為の『隙間』が無いでしょう……」
「それはそうだけど……」
「?」
「みんな頑張ってるのに私達だけ動かないのは〜……気が引けるというかさ……」
「…………。『待機』も立派な仕事ですよぉ?」
「……っ! そうだね……そうだよねっ!」
(大人しい人だと思ってましたが、この人も立派なゲヘナ人ですね。やたらと好戦的ですし。やれやれですね……制御が難しい……)
◆
「あの爆発────とうとう開戦したみたいねっ! 皆、クソスケバン共をいてこます準備はいい!?」
「包囲したまま……殲滅するよ」
「「「おおぉぉぉーーーっ!!!」」」
「トリニティ部隊、突撃ぃーーーっ!!!」
ハドマ学園に篭城するハドマ学園勢力、そして、飂熾冘巫髏の本隊。それを学園ごと囲む千と数百を越える超大勢のスケバン。そしてそれを更に囲む、飂熾冘巫髏の他学区の部隊。
レッドウィンター部隊及びゲヘナ部隊は待機だ。前線に出るのは主にトリニティ部隊である。それを率いるのは、トリニティ部隊の幹部であるクロノ、マトイ。現副総長のユウナ、元副総長のレイコ。
クロノとマトイは指揮という意味で部隊を率い、ユウナとレイコは暴力装置、特攻隊長という意味で部隊に混じって戦闘している。
レイコは先程、マトイの迎えを受けて、後方での戦闘に参戦を果たした。ユウナ同様、切り込み隊長としての働きを期待されての事である。
しかもそれが、他ならぬルーシィからの期待だ。レイコのテンションの上がりようは、それはもう、酷く凄まじかった。
「ッッしゃあッ!! ブッッッ飛ばしてやるわ!! その他大勢のクソザコ共ォォッッ!!!」
牙を剥き出しにする好戦的で野性的な笑みを全く隠しもせず、トリニティ部隊が包囲する中、単騎で敵集団の中に飛び込んでいった。
「あっ!? レイコさんっ!?」
「何やってっ……」
「バカ、止めちゃダメだよ。包囲前にマトイさんに言われたでしょ。レイコさんは、単騎でこそ真価を発揮する戦闘スタイルなんだって」
「そ、そーだけど……」
「飂熾冘巫髏に居た頃のあの人の戦闘、見た事ないからさー……」
「まぁレイコさんは主にハドマで活動してたから、多少はね? 私達はトリニティでの逃走経路確保がメインなところあるし……」
「ま、逃亡幇助になるンだけどね。ナギサ様からの詰問、キツかったな〜……またアレやるのかな?」
「やらないでしょ。今回は『ハドマ学園防衛』って大義名分があるんだよ?
「アハッ! それサイコーじゃん♡」
大義名分を得た不良少女達はまさに水を得た魚。レイコ、遅れて飛び出したユウナの背中を見送り、そんな会話をしつつ、スケバン達への攻撃を開始。
包囲、そして殲滅。飂熾冘巫髏は、構成員の数は凄まじいが頭であるルーシィの作戦によりこれまで常に誰も捕まらず逃げおおせてきた。今回は、そのリソースが全て「攻撃」へ投入されたのだ。
飂熾冘巫髏の本領は、ここから発揮される。
もうしばらくニートやりたい〜、会社都合なんだしもう少しニートさせてぇ……。