抱きしめられた安心感と先程までの疲労感があったのか香織は園壱の腕の中で眠りについた。
そして園壱はそんな香織を優しくベットに寝転がせ、この転生した世界での情報を口にしながら部屋にある大きな窓の傍へと歩いていった。
「………この世界は元の世界とはあまり変わってないんだな」
窓の外を見るとたくさんの人や車が縦横無尽に行き交っていた。でも人の顔や表情は全くわからない。
何故全くわからないかと言えば、園壱がいる場所は
元の世界での園壱の家はある程度大きな財閥、そしてこの高層ビルの最上階が園壱達
「それにしても、香織の事にも驚いたけど………まさかこの【催眠・極】が
そう呟きながら園壱は転生する際にランダムで付与されたスキル──パッシブスキル【催眠・極】の凄さに舌を巻いた。
ステータスチェックをして確認した情報によると、パッシブスキル【催眠・極】は園壱が産まれた瞬間から効果が発動されており、スキルを使った園壱の言葉は全ての意思・地位・権限より上位になるらしく、それは個人などの限定的なものではなく世界に対して効果があるとのことだ。
「ちょっと怖いなぁ………ん?」
スキルを確認し園壱が行き交う人や澄み渡った青空を外を見ながらぼんやりとしていると扉をノックする音がした。
元の世界でも毎朝同じことがあり、ノックをしたのが誰なのか想像がついた園壱だったが念の為扉の傍へ足を運び確認した。
「………誰ですか?」
『時雨でございます園壱様。朝食の支度ができましたのでお呼びに参りました』
「……おはようございます時雨さん」
「おはようございます園壱様」
誰かの確認が取れ、園壱が扉を開けると一礼をした女性がいた。
彼女──三島時雨は、この家の住み込みのメイドで食事面でとてもお世話になっている。
園壱より十歳上で黒い長い髪と瞳を持ち、香織より少し高い身長ですらりとした華奢な身体つき。
だがそれでいて香織よりやや大きい二つの膨らみがある。
そしてその身体には、足首まで届くほどに長い黒のワンピースの上に僅かにフリルのついた白いエプロン──所謂クラシックタイプのメイド服を着ている。
この家は園壱と香織、二人の母に住み込みメイドの時雨を含めた四人で暮らしているのだ。
「そのお姿から察するに………朝早くから香織様とお楽しみだった様ですね?」
「あ………あははっ」
園壱は時雨にそう言われ思い出したのか、射精しきり落ち着いてながらも未だに存在感を顕にしていた肉棒を手で隠した。
「……本日は園壱様がこれから通われる高校の入学式なのですから、お早めに支度をなさってください」
「うん……わかったよ」
そう返事をすると時雨は『ではお待ちしております』と一礼をし部屋を後にした。
園壱はベットで毛布に包まりすやすやと寝ている香織を起こし、壁に掛けてあった新しい制服に袖を通し身支度を整えて朝食の支度ができているリビングへと足を運んだ。