ユー・アー・マイ・スペシャル 作:グリム・グリルグリン・グリーングリップ
PPP
6.
お”っ♡♡ お”っ♡♡ お”っ♡♡ お”っ♡♡ お”っ♡♡ お”っ♡♡
防音と防震の“結界”が敷かれた千葉県有数の遊園地ホテルの一室で、盛りのついた動物ですら恥じらうような交尾と糖蜜めいた男女の交流が行われている。
お”っ♡♡ …お”ぉ”~~~っ♡♡ ぉ”ぅ”っ♡♡ ぉ”ぁ”っ♡♡ …ィ”ぃ――――――っ♡♡
繰り広げられている情事の内容が“結界”の外側に漏れ出ることはないと知っているからこその本気交尾であり、それはまた同時に、一人の男を巡るオンナ同士の恥を取っ払った戦いでもあった。
イ”っ…ぐ――――っ♡♡♡ またっ♡♡ い”っ♡♡♡ ぉ”ッオオォォ”ォ”ォ~~~~~~~~っっ♡♡♡♡
寝バックで挿入されていた家入硝子が、枕に顔をうずめながら、それでも抑えきれないオホ声と共に桃尻をびくびく♡♡震わせる。家入硝子に覆いかぶさっていた坂本は、密着状態をやめて肩を起こすと、すぐに別の甘やかな女体に抱き着かれた。
「ざーんねん。次は、私の番ね…」
悦びを隠さない菅田真奈美は坂本と濃密にベロを絡め、先に絶頂を遂げた家入硝子にも聴こえるように淫らなリップ音を奏でる。坂本がペニスを引き抜こうとすると、家入硝子は弱々しく首を振って“ぎゅ~~~っ♡♡”と
「私がするから、……ん”っ♡♡ ~~~ぉ”お”ぉ”ぉ…っ”♡♡」
今度は菅田真奈美が坂本に跨り、オスメスの体液にまみれたままの一物を、つゆだくな
「…また…ォ”っ♡♡ ……出して、っ、いいんだからね…♡♡ がまん…しないで…♡♡」
自身の胸に坂本の両手を導き、豊満な乳房を
「あなた専用の、まんこ穴に…♡♡ せーし…そそいで…♡♡」
「…ずるい」
エクスタシーの余韻から脱した家入硝子が、のろのろと後ろから、菅田真奈美に近づく。その手が絶賛パコハメ中の色白臀部に触れると、小さく呟いた。「…【
ホォ”オオオオッ”♡♡♡ なぃぃ”っ―――あ”あ”ァあ”ああああ~~~~~~~っっ♡♡♡♡
外部出力可能な〈反転術式〉を応用した、瞬間過敏化強制術(別名:感度3000倍拳)。家入硝子の技量では、考案者である坂本のそれには威力と精度で劣っているものの、ただでさえ敏感になっている状態で強引に感度を引き上げられた菅田真奈美は、びくびくびくっ♡♡♡と仰け反り痙攣しながら、文字通りの不意打ちアクメをキメてしまう。
「イけ…」
お”っ♡♡ お”ぉ”――――っ♡♡ お”~~~~~っ♡♡ お”っ♡♡ お”~~~~~~~っっ♡♡♡♡
「ほら、イけ……」
ぷしっ♡♡ ぷしーっ♡♡ ぷしぷしっ♡♡ ぷし―――――っ♡♡♡♡
「さっさと……イけっ♡♡」
ぷしっっ♡♡ ぷっしぃ~~~~~~~~~っっ♡♡♡♡
「…はい、三回イったから…私の番」
にんまり笑った家入硝子は、菅田真奈美を雑にどかせると直近のポジションを奪い、連戦に次ぐ連戦でも萎えることを知らないデカチンを
「~~~~~~っ”ぉ”ぉぉっ♡♡♡ っ…はぁ……はあ…っ…♡♡ おじさん、さあ……なんか…私に、言っておくこと…ぉっ♡♡ あるんじゃ、ないの…?」
〈反転術式〉による消耗も影響し、ふぅっ♡♡ ふぅっ♡♡と呼気を荒げている家入硝子は、腰を前後に遣いながら坂本の胸をさわさわ♡♡弄り、熱の籠った瞳で見下ろす。
「…だからぁ……さっき、
「私にもっ、言え……」
ずちゅ…っ♡♡ ずちゅ…っ♡♡ ぬちゅ…っ♡♡ ぬちゅ…っ♡♡
「……私にも、好きって言え…っ♡♡」
坂本は腰を突き上げると、ん”おっ♡♡と家入硝子が背筋を仰け反らせた隙に、体位を入れ替えた。正常位で繋がり直しながら、耳元に囁く。
「…もっと」
ぎゅ~~~っ♡♡と膣が締まる。坂本は抱き着かれながら、更にお望みの言葉を紡ぐ。
「もっと言え」
もっと囁く。亀頭で
「もっと…」
唇と唇が触れ合う距離で見つめ合い、お互いしか目に入らない状態で、睦言を交わす。
「もっと…♡♡」
ぎゅぎゅ~~~~っ♡♡と膣が締まり、抱きしめ合いながら昂ってゆくと。
蕩けた幼い少女の顔で、家入硝子がふわりと微笑んだ。
「わたしも…好き♡♡」
…ちゅっ♡♡
口づけと同時に、坂本は最奥に突き入れた。
「―――――――――――オ”ォ”ッ”ッ”♡♡♡♡」
上下で一体となり、ぐつぐつと溜め込んでいた煮え滾る熱を、逃げ場のない閉鎖空間である子宮へと放出する。
びゅくびゅくびゅるるるぅうううぅぅぅぅぅ~~~~~~~~~~っっ♡♡♡♡
いちゃらぶベロチューあまあま密着セックスで生産された濃厚精液を、じか出しで容赦なく大量に注ぎ込んでゆく。
家入硝子は注ぎ込まれる
…ふぅ”ぅぅぅ~~~~~っ”っ♡♡♡♡ ふぅ”ぅぅぅぅぅ~~~~~~~っ”♡♡♡♡ …っん”ぢゅっ♡♡♡ ちゅ”ぅぅっ…ちゅぅ……っちゅぅぅぅ~~~~~~……っ…♡♡♡
……ぢゅぱっ♡♡
「…っぁ……はぁ……っ、…ふぅ……っ♡♡ ……………………たくさん、でた…♡♡」
長い射精が終わると、家入硝子は溶けた角砂糖のように締まりのない顔で、にへらと笑みを浮かべた。
「…せーえき、すごい勢いだったし……きもちよかった…?」
「やっと起きたんだ…?」
二回目のナカ出しを先取された菅田真奈美は、じゃっかん物言いたげな顔をすると。坂本の身体を、家入硝子から引き剝がそうと絡みついた。
「……ほら抜いて、きれいにしてあげるから」
「まだ、だめ…」
「だーめ、イッたんだから。それに次は私よ」
「やだ…」
「やだって。子供じゃないでしょ」
「だめ…抜くなぁ…やめろぉ―――…」
抗議に構わず、…ぬぽっ♡♡と引き抜くや、…ドロぉっ♡♡とワレ目から半固形状の白濁ほかほかざーめんが溢れ出し、既に交尾臭まみれであった部屋に猛烈なメステロ精液臭が追加される。引き抜かれた刺激で「ぉ”っ♡♡」と家入硝子は後追い甘アクメし、坂本がベッドに
オスの強靭さを象徴するような太い血管を浮かべているデカマラに対し、ちゅっ♡♡ ちゅっ♡♡と労わるように唇を落とす。
「…あ―――――む…っ♡♡」
ぐぽっ♡♡ ぢゅぽっ♡♡ んぢゅっ♡♡ もごっ♡♡ じゅぞぞぞぞ…っ♡♡
鈴口から
ん”ちゅっ♡♡ じゅるるるっ♡♡ んふっ♡♡ ぢゅるるるっ♡♡ ぐぽっ♡♡ ぐぽっ♡♡ …んぇれれれぇ~~~っ♡♡
尿道に残ったものをやさしく導くように根元から竿コキし、陰嚢をモミモミ♡♡繊細な手先でマッサージしながら、とぷとぷと鈴口から滲み出すカウパーを逃さず啜り上げ、ぶっとくて固くてステキな亀頭に吸い付くのを繰り返す。
じゅぽじゅぽ♡♡菅田真奈美がお掃除フェラに励んでいると、仰向けに開脚したまま息を整えていた家入硝子が、もっそりと身体を横にした。這うようにゆっくりと動き出し、恥毛に張り付いた精液をぽたぽた落としながら、坂本のほうに近づいてくる。
「…私もする」
「ちょっとぉ」
「ぉ”ぉ”ぉ”ぉ”~~~~~~…っ♡♡ …オスのにおい、すっご…♡♡ やば…♡♡」
菅田真奈美の隣に同じように這い屈み、ぴくぴく♡♡鼻を近づけるや震えてしまった家入硝子を、菅田真奈美は咎めるように見やるが。坂本をジト目で見上げると、カリ首を唇で「はむはむ♡♡」挟んで甘噛みし、それから諦めたように家入硝子のぶんのスペースを空けた。
ちゅっ♡♡ ちゅむっ♡♡ れろぉ…じゅるるるぅ~~~~~っ♡♡
二人の舌と唇がぬろぬろと熱心に這いまぶされ、既に三度射精している坂本のマラ棒は、衰えるどころかますます強盛を主張し始める。当初は三人で
んぷっ♡♡ んぢゅっ♡♡ ちゅぢゅっ♡♡ ぢゅるるるる~~~~~~…っ♡♡ ちゅっ♡♡ …ちゅっ♡♡ ちゅぱ…♡♡
「…はい、きれいになった」
対抗心の見え隠れするダブルお掃除フェラが完了し、坂本が礼を言うと。
視線に火花を散らした二人は、今度は坂本の胸板に舌を這わせた。
「おじさん、次は…? …ちゅっ♡♡」
「次こそ、私よね…? …ちゅっ♡♡」
「私だよね、…れろぉ…♡♡」
「私にして、…れろぉ…♡♡」
すり…すり…♡♡ しゅこ…しゅこ…♡♡
二人は両脇から坂本に乳房を押し付け、そそり立つデカマラをしなやかな指先で包み込むようにダブル手淫コキコキしながら、陶然と濡れた上目遣いを向ける。
坂本は菅田真奈美のデカ乳と家入硝子のやわ乳を揉み比べ、匂い立つフローラルな甘いフェロモンに情欲を搔き立てられながら、それぞれのメス媚びアピールを熟考したのち、次のチンハメ先を選んだ。
「やった」
「ズルーい」
「ズルくありません」
「じゃあ、さっさとイカせて交代させる」
「さっきのヤツぅ? あれこそズルでしょ…?」
「ズルくありませーん」
その後、坂本が家入硝子の〈化楽転変〉使用を禁止にしたことで、二人のどちらかが一方的に気絶するような展開とはならなかったが。
ぱんっ♡♡ ぱんっ♡♡ ぱんっ♡♡ ぱんっ♡♡
菅田真奈美の両腕を引っ張りながら後背位で力強くパコったり。
家入硝子の太ももを持ち上げて屈曲位でGスポットを刺激しながらテンポよくヌプハメこーびしたり。
菅田真奈美と背面座位しながらベロちゅーする様子を家入硝子にまじまじと観察されたり。
家入硝子と背面側位で繋がって乳房に本家本元の〈化楽転変〉を流し込むことで潮噴き強力アクメ体験をさせてみたり。
菅田真奈美とのシックスナインでは眼前のデカケツを鷲掴んで連続で潮吹き絶頂するまで攻め続けてみたり。
家入硝子の片脚を持ち上げて
三人で浴室に入るとダブルパイズリフェラされながら射精して二人に盛大にぶっかけたり。
二人の尻を並べて交互に挿入しながら片方を手マンでイカせて嬌声とイキ汁を撒き散らさせたり。
湯船のなか、家入硝子と対面座位で繋がり、坂本の背中側に回った菅田真奈美に抱き着かれながら、ささめくように淫らな言葉で煽られたり。
しまいには風呂を上がったあともセックスの時間は続き――坂本の欲求が満たされ尽くしていないことを察した二人が、望んだこともあり――夜が更け坂本が八度目の射精に至った頃には、菅田真奈美と家入硝子は二人掛かりで挑んだにもかかわらず、坂本よりも先に限界を迎えていた。
ん”ぉ”ぉ…っ♡♡ ん”ぉぉっ”♡♡ ぉぉぉぉ”…っ♡♡
ベッド横のサイドランプが、先に撃沈して枕に突っ伏した家入硝子を映している。その隣で騎乗位で繋がりながら抽送を受け止めている菅田真奈美も、蓄積した疲労と快楽で、そろそろ意識が耐えられなくなっている。
びゅぶっ♡♡ びゅるるる…っ♡♡
どぷっ♡♡ どぷっ♡♡ どぷぷぷ…っ♡♡
九度目の射精に合わせ、朦朧としながらも健気に
荒い息の音。
しばらくして気が戻ってくると、坂本の胸に頭を乗せた菅田真奈美が、ぼんやりと呼んだ。
「どうした」
「……満足、できた…?」
「…ああ」
菅田真奈美は。ゆるゆると口端を歪ませて、くすりと笑った。
「…うそつき」
坂本は、菅田真奈美の頬に触れた。目を細めて指を受け入れる彼女と共に、様々な
「真奈美」
瞼がつこうとしていた菅田真奈美に、坂本は囁いた。
「なあに」
「ありがとう。硝子のこと」
「いいのよ。私のためでもあるし」
「それでも、さ。色々と、気を遣わせてる」
「私のほうこそ。ごめんね」
「いいんだ」
「でも」
「いいんだよ。わかってる」
「……眠れそう?」
「ああ」
「………、」
「眠いんだろ?」
「…うん」
「おやすみ」
「……うん。おやすみなさい」
会話が途絶える。
物音が消える。明かりが落ちる。
いつしか、静かな寝息が増える。
静寂。
闇。
目蓋の裏側にも、闇が満ちる。
坂本は、傍らから聞こえる安らな心音を、いつまでも感覚し続けている。
闇のなかで。
夜が明けるまで。
7.
「起きろ、硝子」
肩を軽く揺すられた家入硝子は、目をしばたくと、一瞬で起き上がった。
「おはよう」
「……おはようございます」
「なんで敬語?」
外から陽光がさしている。坂本と目を合わせた家入硝子は、自身の状態に気が付くと手繰り寄せたシーツで裸を隠し、それからもう一度坂本を見やった。
「綺麗になってる」
「身体とシーツの汚れだけな、
坂本が寝室から出て行くと、家入硝子は道具と着替えを持ち、いそいそと浴室に向かった。熱い湯で意識も覚醒し、ドライヤーで髪を乾かしていると、菜々子と美々子が突撃してくる。
「お姉ちゃん、おはよー」
「おはよー」
「おはよ。二人は、今から風呂?」
「うんっ。アサブロー」
ちょっと得意げに言った菜々子に愛想笑いして部屋へ戻ると、坂本がテレビを点けていた。音は流れていない。朝番組の司会者やタレントが、画面の枠のなかで、無音で笑い合っている。
「上がったよ」
「おう」
「菅田さんは」
「ホテルを見学してくるらしい。朝食は、ラウンジでブッフェだ」
「へー」
じぃ、と。家入硝子は、坂本の視線を感じる。「なに?」
「いんや。風呂上がりってやっぱり、いつもと雰囲気変わるよなと」
「……あのさあ」
「うん?」
「おじさんってもしかして、万年発情期?」
「ひでえ言いぐさ」
「いやいや。今のはそう取られてもおかしくない発言だった」
「そんな意図は微塵も含んでねえよ」
「嘘つけ」
「ちょっと
「……見惚れたって」急に言うじゃん。どきりとする。「何が狙いだ」あやしい。
「なんで疑われてるんだ、俺は?」
コーヒーを口にしてから。硝子は気付いてないかもしれねえけど、とわざとらしく前置きして、坂本はさらりと言った。
「おまえは綺麗だし、可愛いからな。それを改めて口にしたってだけの話だよ。他意は無い」
「言うねー、急に」
「いつもそう思ってるけど」
「……へー」
いつもそう思ってるんだ。へえー。
「機嫌がよさそうで何よりだよ」
「そう見えんの?」
「鏡、出そうか?」
「私もコーヒー飲も」
「お湯はそこな」
そうして駄弁っているうちに、双子が風呂から上がってくる。坂本が膝に乗せた菜々子の髪を乾かしていると、家入硝子の手元を覗き込んだ美々子が、自分のコップに湯を注ぎながら言った。
「菜々子もコーヒー飲む?」
「砂糖とミルクありありねっ」
「わかった」
「美々子はブラックなんだ。飲めるの、ブラック?」
「まーね」
「……やっぱり私もブラックにする」
「遅いよ。ミルク入れちゃったもん」
「ちぇー」
「美々子のは、砂糖入りのブラックだけどな」
「それってブラック呼びで合ってんの?」
「ミルクを入れるのがホワイトで、入れないのがブラックの定義じゃなかったか?」
「いや知んないけど」
髪を整え終わった菜々子がコーヒーを受け取ると、続いて美々子が坂本の膝に乗り、髪を
その後は全員でラウンジまで降り、菅田真奈美と合流すると、ブッフェ形式の朝食を済ませた。
チェックアウトは一二時までだったが、忘れ物が無いよう確かめてから、少し早めにフロントに向かう。
「それで、どうかしら」
手続きしている坂本たちを遠巻きに眺めていると、家入硝子の横に座った菅田真奈美が、そう切り出した。
「どうって?」
「協定を結ばない?」
何に対する協定なのかは、語るまでも無かった。お互いに、視線を合わせないまま話を続ける。
「具体的には」
「敵対しない。妨害しない。独占しない。可能な部分では協力する。要するに、共同関係ね」
「おじさんを中心にした、ハーレムってわけか」
「共同管理と言い換えてもいいけれど。ありていに言えば、そうね」
皮肉な物言いになったが。菅田真奈美に変化はなかった。
「私が奪ってしまえば――」
「無理よ」
わらい声。
「なぜ」
「昨日、身をもって知ったはずでしょう?」
「私では不足だと?」
「
自分だけでは満たすことができない。だから、満たせるだけの存在を用意する。そのための協定。そのための共同関係。
「それで納得しろと」
「そうよ。それができないのなら、やっぱり、別れてもらうしかない」
「あなたは納得できてるんですか」
「じゃなきゃ、こんな馬鹿げた提案しないわよ」
自分が愛した男の心に、他の女を居座らせるなんて。
「……なんでそこまで」
「私はね」
菅田真奈美は、穏やかな声をして言った。
「これまで、いろいろな経験をしてきたわ。色々な人間を見てきた。そのうえで、ひとつわかったことがある」
「……それは?」
「みんな幸せになりたがっているってこと。世の中には色々な欲望のかたちがあるけれど、それは要するに、欲望を叶えることで、満たされたがっているってことでしょう。満たされるのは、幸せなことだものね」
「―――、」
「私も同じ。私は私が幸せになるために生きているの。そして私は私の幸せのためにも、彼に……私か私以上に、幸せになってもらう必要がある」
家入硝子は、何も言えなかった。話している菅田真奈美の表情が、あまりにもやさしくて。透明な笑顔であったから。
「私は私の大事な人に笑っていてほしい。だって好きな相手には幸せになってほしいじゃない。いつも笑っていてほしいし、辛いことがあるのなら代わってあげたいし、満たされないのなら満たしてあげたい」
「だからって、限度があるでしょ」
「これは、その限度の範疇なのよ。私にとってはね」
「狂ってますね」
「失礼しちゃうわ。純愛って言いなさいよ」
「術師ってこんなんばっか」
「そうよ。手遅れなやつばかりなんだから」
頭を抱える素振りをすると、小さく笑われる。
「まあ結局、どこまでいっても自分のためなのよね。だから、自己犠牲とかじゃないの」
それで、と呟いた菅田真奈美の眼差しが、家入硝子に向けられた。
「あなたはどうなの?」
喋っていると、坂本たちが戻ってくる。
「終わった?」
「ああ。あと、お勧めのショップも教えてもらった。お土産も買わないとまずいし」
「あー」
家入硝子は頷いた。買っても買わなくてもうるさく騒ぐであろう同期の姿が、脳裏に思い浮かぶ。
「なら、行きましょうか。選ぶのにも時間かかるでしょうし」
菅田真奈美の言葉は、すぐに現実になった。自分へのお土産、友人へのお土産、仕事場へのお土産など、五〇近くあるショップの中から予算内で厳選し吟味した結果、退園する頃にはいい時間帯になっていた。
ラッピングしてもらったものを後部座席に乗せ、乗せ切れないものはトランクに詰めて、一行は帰路に就く。
行きとは違い、助手席には家入硝子が座ることになった。双子は後部座席でアニメ映画を見ていて、時おり座席の隙間から、坂本と家入硝子に開封したお菓子をお裾分けしてくれたりする。菅田真奈美はその横で、タッチパネル操作の携帯を弄っていた。
そのうち双子が眠りにつき、車内は旅の疲れもあって静かになる。古い曲ばかりセレクトするラジオチャンネルからドゥービー・ブラザースの「ディペンディン・オン・ユー」が流れてきて、坂本が微かに指でリズムを取りながらハンドルを操っているのを横目に、家入硝子はチェックアウト時の会話を思い返している。
「私も手遅れ、ってことか」
坂本がちらと見てきたので、なんでもない、と家入硝子はかぶりを振った。
車窓に目をやる。自覚はあった。たしかに、手遅れなのだろう。
そして、そうと言われたところで、べつに悪い気はしなかった。そもそも、
いつの間にか、眠っていた。
「着いたぞ」
見慣れた駐車場に、夕日が射している。
家入硝子は車を降り、軽く伸びをしてから、スーツケースとお土産を手に取った。
双子はまだ眠っている。
「またな。といっても、すぐ会うことになるだろうけど」
「うん」
「硝子さん」
菅田真奈美が言った。
「楽しかったわ。また、どこか出かけましょう」
「そうですね」
家入硝子は、自然に笑いながら頷いた。
「真奈美さんも、今回はありがとうございました。また誘ってください」
助手席の扉を閉めようとして、ふと手を止める。
「おじさん」
「どうした、忘れ物か?」
「うん――」
半身を乗り出し、坂本に顔を近づけた。
唇を重ねる。
一秒か二秒。
「…忘れ物」
顔を離すと、坂本がへんな表情になっていた。
「照れてんの?」
にやりと笑うと、後部座席の菅田真奈美が、圧のある笑みを浮かべていた。
「んじゃ。ばいばい」
ドアを閉め、セダンが走り去ってゆく。
さて、面倒だけどお土産も配んなくちゃだし。自室に荷物を置いてから職員室に向かおうとした家入硝子は、その途中で見覚えのある巫女服を見かけた。
「硝子ォっ!」
東京校に用事があったらしい、呪術高専京都校の教師である
術師のなかでも常識的でそこそこ頼りになって友人と言っても過言ではない間柄の先輩が、なぜだか興奮している。「歌姫センパイ?」怪訝に問いかけると、がばっ、と肩を掴まれた。がくがく揺らされる。
「アンタ、男と外泊してきたってぇ!?」
「誰から聞いたんです、それ」
スポーツ観戦しているわけでもないのに声がバカうるさい。デカい声で叫ぶ内容でもないし。いつもの庵歌姫ならば持ち得ているはずの配慮が、今は消し飛んでいた。
「否定しないってことはァそういうことなのォ~~~~~~~!?」
うわめんどくせー。家入硝子は声には出さず、内心で深いため息をついた。
8.
「準備はいいな?」
高専の校庭で、禪院真希と禪院真依が頷く。二人の前に立って問うのは普段と変わらない服装の坂本であり、それを五条悟と夏油傑、距離を置いて菜々子と美々子、家入硝子が見守っている。
「始めよう」
視線を集めながら、坂本が気負いなく「烏枢沙摩明王」の掌印を結び、淀みなく唱えた。
「【領域展開】――」
膨大な呪力が一縷の絹のように乱れなく現出し、空間を遮断する〈生得領域〉の結界が滑らかに構築されてゆき、禪院真希と禪院真依の姿を呑み込む。
「【
高専という見知ったはずの景色が、一瞬で、まったく未知の世界に変貌する。
完成した〈領域〉のなかで、禪院真希は双眸を見開いた。
「―――」
禪院真希の足元で、白い花が揺れていた。隣で驚愕している禪院真依の足元にも咲いている。
足元だけではなかった。見渡す限りの一帯が、圧倒される量の白い花で埋め尽くされている。
禪院真希が踏みつけにしている地面でさえも。白い花弁を無数に積み重ねたもので出来ている。
どこにも光源が無いにもかかわらず、見渡す限りのすべてが明るかった。花それ自体が輝いているのかと一瞬疑うも、その白は決して眩い性質を持っていない。はっと心を奪われるほどに純美な真白であり、同時に、見たものを突き放すような寒々しい印象を醸しているだけに過ぎない。
禪院真希は花の寒々しい気配から逃れるように周囲を確認し、見上げた先の
“扉”。
住居や施設といった文明社会の一般的な場所にありふれている、誰もが一度は見たり触れたりしたことがあるであろう普通の、何の変哲もない、人間が使う大きさの木造の“扉”。
そしてこれら無数のすべての“扉”には、
「これが……」
「そうだ。俺の〈領域〉だ」
声のしたほうへ振り返る。
「師匠」
「おじさま」
坂本だった。
「びっくりしたかな」
花の海に置かれていた
「ようこそ、俺の
彼の足元で、凄艶な色をした一輪の赤が、皮肉るように揺れた。
・家入硝子 … 当初は敵の牙城に乗り込む心境だったものの、終わってみればそこそこ楽しい旅行だった。なんだかんだ三人でスるのもあんがい悪くなかったが、二人掛かりでも勝てなかったマジカルチンポに正直ちょっと引いている。実は〈反転術式〉を応用した攻撃術を習得している(なお本当に感度3000倍になるわけではない)。
・菅田真奈美 … 旅行中は常に余裕然と振る舞っていたが、くすくす笑っている裏側では坂本の家入硝子に対するかれぴムーブを目の当たりにして事あるごとに脳が破壊されていた。のちにイチャらぶ純愛あまあま成分をたっぷり補充してもらったので脳は再生されたが、現段階では「予測」どおり、クソ雑魚チン負けオナホまんこの運命は乗り越えられそうにない。
・坂本 … 美女二人とのさんぴーでめちゃくちゃに濃いやつがドバドバ出たが、まだまだ限界が知れない。以前と比べれば、多少は眠れるようになった。
・センパイ … 大事な後輩に彼氏ができたことを喜びつつも焦っている。そして悪い男に引っかかっていないかどうかをとても心配している。硝子の彼氏って伝聞でしか知らないしまだ会ったこともないけど実際どんなもんなのよ、気になるじゃんそろそろ一度くらい会わせてよ話もしてみたいしさ~~~~~~。なお、後輩からは断固として拒否されている。