そこのオタクくん座談会来ない? ~秘密のギャル本さん~ 作:馬門戒明/輪島ライ
「シャダバダッバダ、シャダバダッバダ、Foooo!! ハーイ、あーしクラリスジェルミナハート。今日は来てくれてホントありがとー!」
「えーでは今日はですねー、何と皆さんにカントリーダンスを楽しんで貰おーかと思います。カントリー漫才っつーかねー」
高校の最寄り駅近くの劇場で開かれたお笑いライブに、空本は親友である
劇場に来ている客のほとんどはグレートサクリファイス学会の信者で、素人の高校生である2人の出演料もグレサク学会から拠出されているということは空本から事前に聞いていた。
空本と斯波さんの漫才のクオリティはまだプロのお笑い芸人には遠く及ばないがギャル2人による漫才という構図自体は目新しく、斯波さんが考えているらしいトークの題材もそれなりに面白くて劇場ではやらせではない笑いが次々に巻き起こっていた。
お笑いライブにはグレサク学会関連ではない他のアマチュアのお笑い芸人も多数出演しており、小さな劇場にグレサク学会の信者たちが密集しているおかげもあってその日のお笑いライブは大盛況の内に終わっていた。
ライブが終わると俺は小規模な楽屋を訪れ、俺と空本との関係をよく知っているらしい斯波さんは今日はありがとねー、と言うとさっさと一人で帰っていった。
21時を過ぎた楽屋には既に俺と空本の姿しかなく、今日は日曜で明日はハッピーマンデーということもあって他の出演者たちは打ち上げでカラオケに行ったり相方と飲みに行ったりしているようだった。
「オタクくん、今日は本当にありがとね。チケット1枚3000円もしたのに払って貰っちゃって」
「友達の晴れ舞台を見るためならそれぐらい大したことないよ。空本とシバエリさんの漫才も予想よりずっと面白かった」
「ふーん、ひねくれ者のオタクくんがそう言うなら素直に喜んじゃっていーかも。今からご飯でも食べ行く?」
「いや、ご飯も食べたいけど俺は空本と今からラブホテルに行きたい。都合が悪かったら明日でも今度でもいい」
「それって……自腹でってこと? グレサク学会の交流会ならタダだけど?」
「小遣いからになるけど、俺は自分でお金を出して空本とラブホでセックスしたいんだ。俺はもう空本とただの友達でいるのは終わりにしたい」
「そっかぁ……よーし、それならあーしも付き合っちゃうから。自分の分のホテル代は出すから大丈夫だよ」
俺は今この時から空本に正面から向かい合おうと決めていて、そのために貯めていた小遣いからラブホテルの料金を持ってきていた。
高校生同士でも入れる近場のラブホテルは事前にリサーチしていて、俺と空本はファミレスで軽食を取るとそのままラブホテルに入った。
本番前に余計なことをしないようシャワーはそれぞれ浴びることにして、全身をくまなく洗った俺は歯を磨くと先にシャワーを浴びていた空本が座っているベッドに歩み寄った。
バスローブを身にまとった空本は余裕を見せつつもやはり緊張しているようで、俺は空本にどう話を切り出そうかと考えた。
「あのさ、空本。……いや、昔の名前で呼ぼうか。石川麻美さん、俺は君に高校で再会できて本当に嬉しかった」
「やっぱり気づいてたんだね。そう、あーしはオタクくん、いや宗日くんと箕面自由学園小学校で同級生だった石川麻美。あの時はお互い小学4年生だったよね」
俺が根性の悪い女子グループに嫌がらせをされていたあの日、空本が自分から俺に近づいてきたことをきっかけに、俺は少しずつ空本の正体に気づき始めていた。
あの頃の空本は石川という名字で、当然ギャルではなかったし黒髪ボブカットの大人しい地味な女の子だった。
そして、俺はあの頃から空本のことが好きだった。
「空本のお母さんは空本のお父さんから日常的に家庭内暴力を受けていた。だから空本のお母さんは空本を連れて逃げることにして、クラスメイトが知らないうちに東京の小学校に転校していった。……だけど、空本は俺にだけは転校することを話してくれた」
「よく覚えてたよね。あの後お父さんは離婚調停中に交通事故で死んじゃって、お葬式に行ったお母さんとあーしは向こうの親戚からすっごく罵倒された。あーしはお父さんが勝手に死んでくれてせいせいしたけど、お母さんは意味もないのに自分を責めてた。……だから、シバエリのお母さんに勧められてすぐにグレサク学会に入信したんだよ」
ベッドに腰掛けたまま静かに語る空本に、俺は真剣な表情のまま左隣に腰掛けた。
空本が大阪から引っ越した後、俺は箕面自由学園小学校から中学受験を経て大阪星光学院中学校に進学し、空本は東京の公立小学校に転校してからやはり中学受験を経て今いる私立高校の附属中学校に進学した。
そして俺は父親の転勤をきっかけとして偶然にも空本が在籍していた私立高校に転校することになり、空本の側はその時点から俺のことを思い出していたらしい。
「俺は空本のことがずっと好きだった。だから空本が俺のことを覚えてて自分からグレサク学会に誘ってくれたと分かった時は嬉しかったし、空本が一緒にいてくれるならこれからずっと信者を続けたっていい。……だけど、一つ分からないことがある。俺は小学生の頃に空本とそこまで交流がなかったのに、空本はなぜか自分から転校することを打ち明けてくれた。それから1回も連絡を取っていなかったのになぜか空本は俺に自分から近づいて、いきなりラブホテルに連れて行ってセックスをさせてくれようとした。……一体、俺のどこがそんなに気に入ったんだ? その理由が分からなかったから、俺はこれまでどれだけ誘惑されても空本とセックスしなかったんだ」
俺が声を絞り出すようにして話し終えると、空本は両手を伸ばして俺の両肩をつかんだ。
そして俺を優しくベッドに押し倒し、仰向けに寝転んだ俺にキスをする。
「オタクくん、人が人を好きになるっていうのはいつも理由があるとは限らないし、小学生のあーしがただ単にオタクくんに片思いしてたってことも普通にあるからね。……でもね、あーしにはオタクくんのことを好きになる決定的な瞬間があったんだよ」
空本はそう言うと俺が羽織っていたバスローブを脱がせ、自分もバスローブを脱いで生まれたままの姿になる。
目の前に空本の小麦色の豊満な肉体が現れ、俺はこれまでにないほどペニスを力強く勃起させていた。
「……ごめん、もう我慢できないかも。オタクくん、セックスしながら続き話してもいい? こんな形で童貞貰っちゃって本当にごめんね」
「ああ、何よりだ。……ああ……」
空本は俺の返事を聞くと俺に馬乗りになってペニスを右手で持ち、そして自分の秘所に差し込む。
騎乗位の体勢のまま俺のペニスは空本の柔らかい膣内に挿入され、俺はこの世のものとは思えないほどの快感を味わいながら必死で意識を保とうとする。
「小学3年生の時にさ、担任の先生に学芸会で漫才をやって欲しいって言われたの。出し物の3番目で山崎さんっていう女の子と漫才をやってくれないか? って。もうホントにびっくりした。ずっとお笑いが好きだったから、あーしにはお笑いの才能があるんだって確信しちゃったぐらい」
空本と両手をつないだまま、俺はゆっくりと空本を下から突き上げていく。
「でもね、担任の先生は別にあーしにお笑いの才能があるって思ってた訳じゃなかったの。山崎さんはいい子だったけど
真剣な表情で静かに語る空本の姿に愛おしさを感じて、俺は両手を離すと空本の乳房をゆっくりと持ち上げながら揉み始める。
「でも、結果は散々だった。山崎さんはクラスメイトの前ですっごく緊張しちゃって、吃音がひどくなって漫才は見れたもんじゃなかった。吃音を面白がって笑った男子たちを担任の先生は後できつく叱ったけど、山崎さんは傷ついてしばらく学校に来られなくなった。……誰が悪い訳でもないのに、誰も幸せにならなかった」
空本は俺の腰にまたがったまま涙を流し始め、俺も当時の記憶を思い出して両目から少しずつ涙が溢れてきた。
「でもね、でもね……あーしが山崎さんを慰めながら下校しようとした時に、オタクくんが近寄ってきて言ったの。さっきの漫才面白かったね! って大声で。オタクくんは大真面目に、開口一番にそう言ってくれたの。あーしね、もうホントに頭がパーン! ってなっちゃったの。オタクくんから面白かったねっていうのが聞こえた瞬間に何が何だか分かんなくなっちゃって、もう嬉しくて感動で。もう目の前にオタクくんがいる! って思ったらもう、すごかったんだよ」
俺はあの時、ただ空本の気を引きたかっただけだった。
俺だって山崎さんの吃音を内心で笑っていたかも知れないのに、そんな不純な動機で俺は空本の漫才を褒めた。
なのに、空本は俺の言葉をずっと覚えていてくれた。
「あーしはオタクくんが好き。あの時に孤独なあーしを一人だけ褒めてくれたオタクくんのことが大好き。だからオタクくんとずっとセックスしたかった」
「空本……俺はそんな善人じゃないよ。本当に、空本の気を引きたかっただけで……」
「そんなことあーしだって分かってる。でもあーしはあの時からずっとオタクくんのことが好きだった。お互い好きになった理由が綺麗じゃなくても、あーしはオタクくんと綺麗に愛し合いたいの」
お互い号泣しながら、俺は空本をペニスで激しく突き上げた。
空本は俺の胸板に涙をポタポタと垂らしながら腰を振り、今の俺の目には空本が女神のように見えた。
「空本、俺は空本の恋人になりたい。お互いずっと信者のままでも、そうじゃなくても俺はずっと空本と一緒にいたい。……いつまでも、俺と一緒にいてくれ」
「当ったり前じゃん。あーしはオタクくんの恋人になりたくてセックスするの!!」
空本が笑顔でそう言った瞬間、俺は絶頂に達した。
これまで秘めていた思いを込めた精液がどくどくと空本の膣内に放出され、空本は精液をぬぐい取るようにして腰をひねらせる。
ペニスが引き抜かれた瞬間に空本は全身を脱力させ、そのままベッドに倒れ込んだ。
俺はそんな空本を抱き上げると強引にディープキスをして、俺と空本は強く抱きしめ合ったまま深い眠りに落ちた。
目を覚ますとホテルの窓からは朝の光が差し込んでいて、空本はいつの間にか俺の左腕を腕枕にしていた。
にこにこ笑いながら俺の寝顔を見ていた空本に愛おしさを感じて、俺は今度は優しく空本とキスをした。
「オタクくん、今日からあーしとオタクくんは友達じゃなくて恋人だから。今度からはいつでもセックスできるよ」
「それは何よりだ。ところで、空本はグレサク学会のことは本気で信じてるのか?」
「うーん、ぶっちゃけあんまし信じてないけどホテル代出して貰えるししばらくは入っててもいいかなって。オタクくんと付き合ってるってリーダーに伝えたら交流会で他の男子とセックスしなくていいんだよ」
「良かった、流石に空本を他の男に抱かれたくはない。夫婦で信者っていうのも悪くないかもな」
「まーたそんなカッコつけちゃってぇ。でもあーしそんなオタクくんのこと大好き!!」
朝のラブホテルでお互い裸のまま抱き合いながら、俺は誰よりも素敵なギャルである空本といつまでも友達のような恋人関係でありたいと思った。
(完)