中に出した後、リンくんはボクに一回キスをして、ボクの中からイチモツを抜き出した。抜く時に入り口とリンくんのものが擦れて、ぞわりと肌が泡立った。
ボクは熱く火照った手足をぐったりと投げ出した。……なんだかすごい体験をした気がする。
リンくんはボクの隣りに座り込んで、何かを考えているようだった。
リンくんは何も言わないので、ボクは自分の体に手を伸ばし、リンくんにキスされた場所や、先ほどまでリンくんのものが入っていた場所を撫でた。足の付け根は乾いていたが、割れ目の部分は熱を持ったまま、奥は僅かにぬめり気を残していた。
「……何してんの」
ボクのしぐさに気付いて、リンくんはボクに目を向けた。ボクは仰向けになったまま答えた。
「入り口って本当に気持ちいいのかなって思って、触ってみました」
「そう」
リンくんがボクの入り口に指を差し込もうとしたので、ボクは慌ててリンくんの手を引きはがした。
「触らなくていいです。零れたらどうするんですか、せっかく注いでくれたのに」
「気持ちいいの?」
「よくわかんないです……」
体は熱を持っているが、触られて気持ちいいところは特になかった気がする。リンくんは目尻を下げてボクの隣に寝転ぶと、ボクの乳首を指でつねった。ボクはリンくんの手を払いのけた。
「やめてください」
「嫌だった?」
「嫌というか……乳首が、女の子の乳首になってしまいます」
先ほど自分の体をぺたぺた触って気付いたのだ。
「ボク、前はこんなに乳首は尖ってなかったのに。リンくんがつねるから乳首が立ってしまいました。治らなかったらどうしよう」
「普通に女物の下着を使えばいいんじゃないのか。知らねーけど」
「ボク女性ものの下着は持っていないです」
ボクの言葉に、リンくんは驚いたように目を開いた。
「普通に買えばいいだろ。その辺に売ってんじゃん」
「伯爵家の嫡男が女性ものの下着を購入してどうします? どこから足がつくかわからないんですよ?」
「これまでどうしてたんだ。その……毎月のやつとか」
「食べなければ月のものは来ません」
リンくんは黙ってボクの方に手を伸ばしてきた。抱きしめてくれるかな、と思い、コロリと転がってリンくんの方に体を向けると、柔らかく頬をつままれる。
「お前、そんなんでよく子作りとか言えるな」
栄養失調じゃねぇか、と言われたので、ボクも言い返す。
「食べなくても子作りはできます。孕んだら食べればよいのです」
「正気かよ」
「そんなボクに欲情していたのは誰です? ほら、食べなくても子作りはできたではないですか」
リンくんは溜息をついてボクの体を抱きしめた。
「……悪かった。責任は取る」
「取らなくていいです」
ボクの腰に回ったリンくんの手を外し、ボクは胸元でリンくんの手をぎゅっと握りしめた。
「リンくんは、将来、髪が長くて、おっぱいが大きくて、芸術のことは分からなくても家庭的で可愛い女の子と幸せな家庭を築くんです。キミはボクなんかには勿体ない。普通の可愛くて素敵な女の子と結ばれるべきです。ボクはそう決めました」
「でもお前」
「言ったでしょう、リンくん。ボクは子供さえ作れればいいんです。ボクはボクで結婚します。『レオナルド・パスティーシュは男性』ですから」
「……いつかはバレるだろ」
「ばれませんよ。隠し通します。だからキミも協力してください」
ボクたちは共犯者です、とボクはリンくんに囁いた。
「ボクの体はどのように使ってくれても大丈夫です。好きなだけ欲を満たしてください。その代わり、ボクに協力してください。ボクが『男』のまま、西領を治める四大貴族、パスティーシュ家当主の役目を全うできるように」
リンくんは黙ってボクの方に腕を伸ばし、ボクの頭の下に腕を置いた。いわゆる腕枕の体勢である。リンくんの体温を近くで感じられて、なかなかどうして悪くない。
もう片方の手で、リンくんはボクの腰を撫でた。
「もしも、本物の『レオナルド・パスティーシュ』がいたらどうする」
「見つかってから考えます」
「仮に子どもができて腹が膨らんだらバレるぞ」
「病気と言って引きこもれば大丈夫です。父上が病んでから最後の数年間も、誰も見舞いには来ませんでしたから」
「医者はどうする。出産は一人じゃ無理だ」
「明らかに堕胎できなくなってから、秘密を守れる医者にかかります。診察の前後に<忘却>の魔法陣を使えば、お医者様の記憶には残りません」
「産まれた子供になんて言うんだ」
「パスティーシュ家は愛人も妾も多い家系です。母親不明でも<鑑定>スキル持ちなら誰も何も言いませんよ」
「お前の婚約者は」
「真実の愛を育む相手がいると言えば何とかなるでしょう。なにしろ愛人も愛妾もいない方が珍しいですからね、我が家は」
我が西領は下半身ゆるゆるで有名なのだ。東領の一夫一妻主義とは違うのですよ、とリンくんに伝えると、リンくんはボクの頭を優しく撫でた。
「……他のやつは知ってんの。その、勝手に子供を作って一人で育てる計画」
「誰も知りませんね。マーサやセバスはボクが女と知っていますが、そんなことを言い出したら大反対されるに決まっています」
「そりゃそうだ」
「でも最終的にはボクに甘いので、何とかなるんじゃないかと思っているんですよねー」
ボクがリンくんの裸の胸に頬を摺り寄せると、リンくんはボクの額に唇を当ててキスをした。
「リンくん、実はけっこうキスが好きなんですね?」
「あぁ、まぁ、うん。お前は?」
「嫌いではありませんね。普通です」
ちょっと背筋を伸ばして、チュッと音を立ててキスをする。リンくんは何かを考えているようだったが、ボクが口を寄せるとカプカプと唇を甘噛みした。楽しい。ボクはリンくんの腕の中で、さっきリンくんがボクにしてくれたように、鎖骨や首筋や胸元に沢山キスをした。
「……なぁ、答えたくなかったら答えなくていいけど」
「はい、何でしょう? リンくんの質問には何でも答えますよ!」
「お前、今日でセックス何回目?」
ボクはさっと顔を逸らした。
リンくんはボクを逃がすまいと腕に力を込めた。
「レイ? 正直に言ってみろ?」
「……い、一万回目くらい」
「オイ」
「間違えました、百万回くらいです。いわゆる百戦錬磨というやつです。ボクはこう見えてヤリチンなんですよ」
「チンコどこだよ」
全く、とリンくんがボクの尻を揉みながら言った。ボクは諦めてリンくんの胸に頬を摺り寄せた。
「本当にお前、そういうところさぁ……」
リンくんは深々と溜息を吐いた。
「まぁ他のやつのところに行かれるよりはいいけど……」
リンくんは諦めたように呟くと、もう一度キスをしてきた。
「ん、っ」
ちょっとエッチなキスだったので、合間に吐息が漏れる。
「さっきの話だけど」
リンくんはボクの裸の体を撫でながら言った。
「協力はする」
「本当? これからも中出し子作りエッチに協力してくれるんですか?」
ボクはばっと顔を上げてリンくんの目を見た。リンくんは少し不機嫌そうにボクの頬をつまんだ。
「ただし、条件をつける」
「何でしょう?」
「他のやつとこういうことするな」
「こういうこと、とは、キスとか中出しエッチとかですか」
ボクの言葉に、リンくんは、当たり前だ、と怖い声で言った。
「胸や尻を触らせるのもだめだ。中に出さないやつもダメ。性的な接触は全部俺だけにしろ」
「おや、なかなかに厳しい条件ですね」
「何が厳しいんだ、お前は伯爵令嬢なんだぞ。もっと貞操観念を持て」
リンくんの言葉にボクは肩をすくめた。
「ボクが誰に何をされても誰も気にしませんよぅ。父上のお葬式も来た人すっごい少なかったし、ボクの当主就任式も来客ゼロ人だったんですからね」
「その辺も調べろ、絶対におかしい。西領を統べる四大貴族なのにどうしてこうも人の出入りがないんだ……いや、いい。俺が調べる」
ボクはぱちぱちと目を瞬かせた。
「あの、リンくん、リンくん」
横になったまま、リンくんのお腹を指先でちょんちょんとつつく。
「ボク、リンくんにそこまでお願いする予定はないのですが……」
「俺だって全部手を出す気はねぇよ。領主の仕事なんてまともに取り組んだら膨大すぎるしな」
ボクは内心首を傾げた。ボクの領主の仕事は、週に何回か送られてくる書類にサインして送り返すだけである。何がそんなに大変なのだろうか。
「リンくん、領主のお仕事って、お抱え芸術家の任命と、子作り以外に何があるんですか?」
リンくんはボクの額にキスをして、頭を撫でた。
「それをこれから調べる。レイ、知り合いを呼んでもいいか」
ボクは頷いた。
「いいですけど、お部屋のお掃除は手伝ってくださいね」
リンくんは、「それもなんとかならねーかな……」とボクを抱きしめながら唸った。
お読みいただき誠にありがとうございました。
もし宜しければ、評価、感想などいただけますと励みになります。
気が向いたら続きます。よろしくお願いいたします。